IP電話は音質が悪いって本当?音質低下の原因と対策方法を解説

背景

近年、アナログ回線からIP電話サービスに乗り換える企業が増えてきています。しかし、IP電話を使っていて「音質が悪い」と感じたことがある人も中にはいるようです。そのため、「IP電話の音質低下はなぜ起きる?」「どうしたらクリアな音質になる?」という疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

今回は、IP電話の音質が悪くなる原因、音質低下を防ぐ対策、おすすめのIP電話サービスについて解説します。

IP電話とは

IP電話とは、アナログ回線ではなくインターネット回線を利用して通話を行う電話の総称です。

アナログ回線は、音声をアナログ信号に変換して銅線で送り、基地局を経由して相手方に届けます。IP電話の場合は音声をデジタルデータ(パケット)に変換して、相手方に届けます。アナログ回線のように基地局を経由しないため、遠距離であっても通話料金が変わらず全国一律であるのが特徴です。そのため、通話料が全体的に抑えられやすい傾向にあります。また、アナログ回線と異なり物理的に配線されていなくても、インターネット環境さえあれば通話できます。そのため、外出先や自宅からスマホやPCなどの端末を使っていつでも通話できるわけです。

IP電話は電話番号ごとに3つのタイプに分けられます。「050型」は、IP電話を示す「050」から始まる11桁の電話番号が割り当てられます。「0AB-J型」は、アナログ回線の固定電話のように「03」などの市外局番から始まる10桁の電話番号が割り当てられます。「電話番号不要型」は、LINEやSkypeなどのチャットツールの通話機能で利用するツールのことです。

IP電話の音質が悪い場合に考えられる原因とは?

IP電話は、アナログの固定電話と比べると音質が悪い傾向にあると言われます。これは、IP電話とアナログ回線で通信回線の利用方式に違いがあることが原因です。

アナログ回線では、回線固定方式で通話を行います。通話の開始から終了まで、その通話専用の回線が確保されるため通信が安定しやすく、音質も良くなりやすい傾向にあります。

IP電話の場合は、通話データをパケットというデジタルデータにして、他のデータと一緒にインターネット回線で送ります。つまり、アナログ回線のように通話専用回線を確保するわけではないため、音質がインターネット環境に大きく左右されやすいのです。

以下で、IP電話の音質低下を招くケース・原因について解説します。

インターネット回線の混雑

IP電話は音声をパケットデータに変換し、インターネット回線を通じて相手方で音声データへと再構築することで通話を行っています。この変換・送信・再構築というプロセスがスムーズにできるかどうかは、インターネット速度に大きく影響されます。

高速回線で混雑していない状態であれば、データはスムーズに送信できてデータ処理のスピードも速くなります。その結果、音声の分割・再構築もスムーズに行われるため、音声が途切れるなどの問題はほぼ発生しません。しかし、低速回線であったり混雑しているケースでは、データ処理や送信に時間がかかったり不安定になったりします。そのため、音声の遅れ・途切れといった形で通話音質が低下することがあるのです。

インターネット回線の混雑は社内だけの問題ではありません。社外も含めてネット全体で混雑している場合も通話に影響が出る恐れがあります。

オフィス内で大容量のデータ転送が行われている

上述のケースでは社内外を含めた全体での混雑でしたが、オフィス内で大容量データを転送しているようなケースでも音質低下の恐れがあります。

アナログ回線の場合は回線固定方式であるため、通話時に自社内のインターネットで大容量データを転送していても音質には全く影響がありません。しかし、IP電話で利用するインターネット回線は、同時に複数の通信を行っています。例えば、社員が通話を行うタイミングで他の社員が顧客に大容量データを送っていたとします。そうしたケースでは一時的にインターネット回線が混雑してしまい、音質が低下する可能性があるのです。

また、通話時に社内でファイルの送受信を控えたとしても、同じインターネット回線を利用する社外の他のユーザーが大量のデータ通信をしていれば、やはり音質低下の恐れがあります。

社内の無線LANの電波が不安定

無線LANを使用している場合は、電波が不安定になるなどの理由でIP電話の音質が低下する可能性があります。

例えば、無線LANのアクセスポイントである親機までの距離が遠いと、何らかの遮蔽物で電波が届きにくくなることがあります。電波が届かなければもちろん音質は低下します。また、複数のアクセスポイントや無線LANの中継器があると、通話中に意図せずアクセスポイントが切り替わることがあります。切り替わる瞬間に一時的に通信が途切れるため、通話も途切れて音質が低下する可能性があるでしょう。

無線LANは配線不要でインターネット回線を気軽に利用できる便利なツールです。しかし、大切な顧客との通話が途切れてしまうのは大きな問題といえます。高音質を維持したい場合は、無線ではなく有線で利用するほうが確実です。大切な通話の場合は回線とつながっているPCなどから通話を行いましょう。

音質の低いIP電話サービスを使っている

音質を含め、IP電話のサービス品質はベンダーによって差があります。例えば、アプリの品質が低い場合は使い勝手が悪いだけでなく、音質も低くなりがちです。IP電話アプリの音声品質は、システムの性能に大きく左右されてしまうためです。インターネット環境やアクセスポイントの問題がないのであれば、IP電話サービスそのものの品質を疑ってみても良いかもしれません。

一概には言えませんが、安価なサービスを提供しているベンダーは音声品質が低くなることがあります。評判を確かめたり、事前にトライアルなどで音質を試したりしてから本格的に導入しましょう。すでに利用しているIP電話サービスが低音質だと思われる場合は、ベンダーそのものの変更も検討することをおすすめします。

また、システムの品質を確かめる方法としては、総務省の「IP電話端末、ソフトフォンの標準化と相互接続の動向」にある 「IP電話の音声品質評価基準」を参考にしてみるのも良いでしょう。固定電話並みのクラスAまたは携帯電話並みのクラスBであれば、ビジネス利用で問題ないと考えられます。

IP電話アプリとスマホ・PCの相性

IP電話アプリを使用する端末との相性が悪いケースもあります。

IP電話アプリ利用における通話品質の問題は、ほとんどがインターネット環境に関係しています。しかし、使用しているスマホやPCの端末との相性が悪かったり、端末そのものが古かったりする場合、音質が低下することがあります。

例えば、端末が古い場合、IP電話アプリのアップデートによって通話音質が著しく低下したり、通話そのものが困難になったりします。

アプリと端末の相性問題は、自社で予測・対応することは難しいものです。そのため、こうした不具合について情報共有や対応を行ってくれるベンダーを選ぶことが大切です。対応がスムーズなベンダーであれば、不具合解決のためのアップデートを行う、事前情報をくれるなどの対応をしてくれます。

IP電話の音質を改善する際に押さえておきたいポイント

ビジネスにおいて、通話音質はとても重要です。音質を改善するためにはどうすべきなのか、押さえておくべきポイントを以下で解説します。

自社のインターネット環境を見直す

IP電話で通話音質が低下する大きな要因はインターネット環境です。まずは、以下のような取り組みを行って、社内のインターネット環境を見直してみましょう。

インターネット契約を見直す

いまより大容量・高速な通信業者と契約すればデータの送信・再構築がスムーズになります。

例えば、ADSL回線から光回線に契約を見直すだけで、大容量化・高速化が図れます。インターネット回線の質が高くなれば、IP電話の通話品質だけでなく他業務におけるデータ通信でもメリットがあるので検討してみてください。

無線LANの干渉を減らす

無線LANを使用している場合は、できる限り通信障害が起きない環境を整えましょう。

例えば、電子レンジやテレビといった電子機器は遮蔽物となり、無線LANの電波に影響を与えやすいものです。無線LANのアクセスポイントは、こういった機器と距離をあけるようにしましょう。

また、複数のアクセスポイントがある場合は、途中で切り替えが起きないように、IP電話利用端末の設定を変更しておきましょう。

接続端末数を制限する

無線LANの接続端末数を制限するのも良い取り組みです。

1台の無線LANに接続端末が集中すると、音質低下だけでなく社内のインターネット環境そのものに影響が出ます。IP電話の音質低下を感じているようであれば、一度に接続する端末数を制限するなどの取り組みを行いましょう。

社内のネット混雑を減らすルール

社内のネット環境を改善するには、混雑を減らすのも効果的です。

「大容量データを送る際には、通話をしない」「通話する場合は大容量データを送らない」などの取り決めをしましょう。例えば、データ通信時に◯◯メガバイト以上は事前に通知するといったルールを決めておけば、ネット混雑を防ぎやすくなります。

有線接続する

無線LANを使っていてIP電話の音声品質に悩んでいるのであれば、有線接続を試してみましょう。

無線LANは障害物などの影響で電波が弱くなることが少なくありません。しかし、有線LANであれば障害物などの影響を受けずにインターネット回線へつながります。例えば、大切な電話をする際には有線接続されたPCや固定電話機から行うようにすれば、音質の低下で悩まされにくくなるかもしれません。

混雑する時間帯を避ける

インターネットが混雑する時間帯を避けてIP電話を使うという方法もあります。

本来であれば、契約を見直すなどの取り組みによってインターネット環境を整えるべきです。しかし、契約見直しがすぐにできないケースや、ネットが混雑する時間帯が明確であるケースもあるでしょう。そのような場合は、対症療法的な改善策として混雑する時間帯を避けるのも方法のひとつです。

契約サービスを見直す

さまざまな取り組みをしたものの音声品質が改善しないのであれば、契約しているIP電話サービスを見直しましょう。

前述の通り、総務省ではIP電話の音質を3つのクラスに分けています。このうち、クラスAであれば快適に通話でき、クラスBであればビジネス利用に耐えうる音声品質といえます。

また、契約を見直す際にはトライアルなどを利用して、導入前に実際に自社内にて音声品質を確かめることも大切です。

安定した音質で使えるIP電話サービスとは?

通話をする上で音質はとても大切なものです。途中で音声が途切れたり雑音が入ったりすれば、聞き逃しや聞き間違いなどが発生する可能性があります。それが後になってクレームに発展することもあるため、音質はできる限り高いほうが良いでしょう。

総務省が基準とするクラスBであれば、携帯電話並みの音質なのでビジネス利用できる程度です。しかし、聞き逃し・聞き間違いリスクを避けるのであれば、よりクリアなクラスAのものを選ぶほうが良いでしょう。

「0AB-J型」の電話番号が使えるサービスは「クラスA品質」が必要

総務省が規定するクラスA品質は、固定電話並みの音声品質であるとされています。つまり、従来のアナログ回線の固定電話と同等のクリアな音質であるわけです。

IP電話では一般的に「050型」の電話番号が付与されますが、一部サービスでは「0AB-J型」の電話番号を取得できます。一概には言い切れませんが、「050型」と比べた場合、「0AB-J型」の電話番号を使えるIP電話のほうが品質は高い傾向にあります。そのため、よりクリアな音質を求めるのであれば、「03」などの市外局番付き電話番号を取得できるIP電話サービスを選ぶほうがおすすめです。

初月無料で通話品質が試せる!おすすめのIP電話サービス「03plus」

03plusは「03」「06」など、全国の主要46局の市外局番付き電話番号、つまり「0AB-J型」を取得できるIP電話サービスです。

03plusは一般的なインターネット回線を使用して通話を行うサービスなので、総務省のクラス認定の対象にはなっていません。しかし、03plusのサーバーは専用線で電話網と接続されているため、インターネット回線の影響を受けることがありません。そのため、利用者側のインターネット環境が整っていれば、通話品質への影響はほぼないと考えられます。

03plusでは初月お試し無料キャンペーンを行っています。1ヶ月無料で実際に使って音質や使用感を確かめられます。まずは一度、お試しください。

まとめ

今回は、IP電話の音声品質が低下する原因について解説しました。

IP電話はインターネット回線を使用して通話するため、インターネット環境に何らかの問題があると通話品質が下がる可能性があります。そのため、IP電話を導入する際には自社のインターネット環境を確認して、必要があれば整えることが大切です。

また、IP電話サービスそのものの品質が低いこともあります。そういった場合は、「050型」しか取得できないサービスではなく、「0AB-J型」の電話番号を取得できるサービスに乗り換えを検討してみましょう。

固定電話がスマホで使える。IP電話なら03plus

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