インターネット電話とは?種類やメリット・デメリットを踏まえて導入のポイントを解説
更新日: 2025年06月03日
IT化が進む昨今、ご家庭はもちろん企業でもインターネット回線を引くのが当たり前になりました。そのため、従来のアナログ回線の電話からインターネット電話へ移行する企業も増えています。しかし、「インターネット電話は普通の電話と何が違うの?」と疑問に思う方もいることでしょう。
そこで今回は、インターネット電話とはどのようなものなのか、その種類やメリット・デメリット、導入する際のポイントを解説します。
インターネット電話とは
インターネット電話とは、データ通信(パケット通信)によって通話を行うものです。従来の固定電話と異なり、電話回線ではなくインターネット回線を使用します。仕組みとしては、発信側の声をIPパケットに変換し、インターネット回線で送信。その後、着信側にてIPパケットを電気信号に変換してスマホなどの端末にて音声信号に変換して通話を実現します。
電話の通信方法にはインターネットのデータ通信の他に、従来の音声通話方式があります。
音声通話は電話の登場から使われてきた通信方法で、電話回線を用いて通話を行うものです。音声通話では「回線交換方式」という通話方式が採用されています。そのため、通話に参加できるのはニ者に固定されるのが特徴です。つまり、電話回線を使用する音声通話では、通話する人同士で回線が独占され、第三者がそこに割り込むことはできません。割り込もうとしても、「通話中」とされて電話がつながらないのです。
一方、インターネット電話で使われるデータ通信は、「パケット交換方式」という通話方式を採用しています。パケット交換方式とは、一定の大きさに分けられた通信データを送受信するものです。パケット交換方式はデータを細切れにするため、大容量データも送受信できるのが特徴です。例えば、SNSでのメッセージ投稿・送信、動画の配信や視聴などでパケット交換方式が使われています。回線交換方式と異なり、インターネット回線は独占されるのではなく、複数の利用者で共有します。そのため、ビデオチャットのように複数人で通話を行うことも可能です。
このような技術が使われているインターネット電話には、IP電話やソフトフォン、光電話などさまざまあります。次項でそれぞれについて詳しく解説します。
インターネット電話の種類
インターネット電話にはIP電話、ソフトフォン、光電話の3種類あります。それぞれどのような特徴があるのか、以下で解説していきます。
IP電話
IP電話は、インターネットプロトコルを利用して通話を行う音声電話サービスです。アナログ回線の場合は基地局を経由して、いわば糸電話のような形で音声通話しますが、IP電話は音声をデジタルデータに変換して通話を行います。IP電話は通信事業者が提供しているサービスで、電話回線を使った通話よりも料金が安い傾向にあります。
IP電話では「050型」の電話番号が一般的ですが、近年はIP電話が普及して品質が向上したこともあり、基準を満たしているベンダーであれば従来の固定電話番号形式である「0ABJ型」も使えます。
ソフトフォン
ソフトフォンとは、専用のソフトウェアをスマホやPCにインストールして通話を行う形式のインターネット電話です。たとえば、SkypeやLINEといった、今や多くの人が使う通話アプリはソフトフォンの一種です。
ソフトフォンはインターネット電話ですが、電話番号は割り当てられていないため、電話番号宛ての通話は行えません。通話を行う人同士が同じアプリを導入していなければ、通話ができないのです。ただし、同一アプリ間であれば無料通話できるメリットがあります。
スマホやPCなどさまざまな端末で使えて、アプリ間通話は無料でできるため導入負担やコストを抑えられるものの、ビジネス用途ではあまり向きません。
光電話
光電話とは、光回線を利用して通話を行うインターネット電話です。光IP電話と呼ばれることもあります。IP電話であるものの、光回線以外では利用できません。そのため、光回線のインターネットオプションの一つとして提供されていることがほとんどです。市外局番から始まる「0ABJ型」の電話番号を取得できたり、緊急通報に発信できたりするなどのメリットがあります。また、インターネット回線の中でも高速で安定性に優れている光回線を使用するため、品質が高くクリアな音声で通話できるのも特徴です。
インターネット電話のメリット
インターネット電話は、インターネット回線を活用した発着信ができるため、導入すればさまざまなメリットを得られます。ここでは、インターネット電話を導入することの主なメリットを解説します。
通話料が安くなる
インターネット電話を導入するメリットの一つは、通話料を抑えやすい点です。
現在、固定電話は従来のアナログ網からIP網へ移行し、全国一律料金が適用されています。そのため、通話距離による格差はありません。しかし、インターネット電話サービスでは、固定電話よりも割安な料金体系を採用していることが多いです。そのため、インターネット電話の導入による通話コスト削減効果が期待できます。
また、インターネット電話サービスには電話番号が付与されないタイプがあります。このタイプでは、同一アプリ間であれば通話料が無料となることがほとんどです。固定電話番号や携帯電話番号宛てには発信できないため、ビジネス利用には向きませんが、個人利用や趣味で導入する場合には、通話料がかからない点が大きなメリットといえます。
スマホやパソコンで電話できる
インターネット電話を導入することのメリットとして、スマホやパソコンなどさまざまな端末で通話できることも挙げられます。
従来の固定電話は、固定電話機が必要で、スマホやパソコンなど他の端末では通話できませんでした。そのため、新たに電話環境を構築する場合は、固定電話機の購入が必要です。
一方で、インターネット電話を導入すれば、インターネット回線が利用できるスマホやパソコン、タブレットなど既存の端末で通話できます。既存端末をそのまま利用できるため、導入コストを抑えられます。また、インターネット回線を利用して通話するため、オフィスに縛られず外出先や自宅で電話業務を行えます。
電話回線を引く必要がない
インターネット電話の導入では、新たに電話回線を引く手間がかからないのもメリットです。
従来の固定電話の場合、新規契約時に電話回線の工事や配線作業が必要です。そのため、多くの初期費用や工事時間が発生していました。
一方、インターネット電話であれば、インターネット環境さえあればすぐに導入できて、スピーディーに利用を開始できます。導入時の手間やコストも大きく抑えることが可能です。起業や新規開店など、スピーディーに電話環境を整えたい場合には、インターネット電話の導入は大きなメリットになります。
企業での利用は特に利便性が高い
インターネット電話を企業が導入することで、ビジネスにおける利便性が格段に高まります。
従来の固定電話は、電話対応を固定電話機のあるオフィスでしか行えません。そのため、電話番スタッフの配置、外出中のスタッフが個人の携帯電話や社用スマホから発信しなければならない、という課題がありました。
しかし、インターネット電話を導入すれば、スマホやパソコンから、インターネット回線を利用して、いつでもどこからでも会社代表番号を用いて発着信できます。外出先や自宅からでも会社番号で顧客と連絡が取れるため、顧客対応の柔軟性が向上し、信頼性も高まります。
また、インターネット電話を導入すれば、離れた拠点や外出中の社員とも、通話料をかけずに内線通話で連絡を取り合えます。さらに、インターネット電話サービスごとにさまざまな機能があります。導入することで、すでに利用しているITツールと連携させれば、業務効率化やコスト削減を実現できることでしょう。
インターネット電話を導入するデメリット
インターネット電話の導入には多くのメリットがあります。その一方で、導入することによるデメリットもあります。ここでは、インターネット電話を導入する際に注意すべきデメリットについて解説します。
ネット回線がなければ利用できない
インターネット電話を導入するデメリットの一つは、ネット回線がなければ利用できないことです。
従来の固定電話は、インターネット環境がなくても電話回線があれば利用できます。停電時でも固定電話機が電源不要のタイプであれば通話が可能です。そのため、災害時などでも通話手段として重宝されてきました。
一方、インターネット電話を導入した場合、通話にはインターネット回線が必須になります。外出先でネット環境がない場合や、停電による通信機器の停止時には通話ができなくなるため注意が必要です。
利用できる電話番号に条件がある
インターネット電話を導入するデメリットとして、利用できる電話番号に一定の条件がある点も挙げられます。
従来の固定電話では「03」や「06」などの市外局番付き電話番号を利用できます。しかし、インターネット電話では、基本的に「050」から始まる番号のみが利用可能です。これは、インターネット電話の場合、利用者の地域情報を特定できず、市外局番付き番号を割り当てることが難しいためです。
また、従来の固定電話から乗り換えて、インターネット電話を導入する場合も注意が必要です。導入するインターネット電話サービスが、番号ポータビリティに対応していなければ、それまで使っていた市外局番付きの電話番号から変更する必要があります。
しかし近年では、市外局番付き番号が利用できる、番号ポータビリティに対応しているようなインターネット電話が増えています。ビジネス利用するのであれば、そうしたインターネット電話を導入しましょう。
発信できない電話番号がある
インターネット電話を導入するデメリットには、発信できない電話番号が存在するというものもあります。
従来の固定電話では、緊急通報や特殊番号などさまざまな電話番号への発信が可能です。しかし、インターネット電話は、緊急通報番号(110番や119番など)や一部の特殊番号への発信ができません。インターネット電話の場合、利用者の位置情報を特定できないためです。
インターネット電話を導入後、緊急発信したい場合は、最寄りの警察署や消防署の一般番号に直接電話する必要があります。
他にも、インターネット電話はNTTのサービスである「0120」を始め、かけられない電話番号がいくつかあります。インターネット電話を導入する際は、発信できない番号の有無とその代替手段を事前に確認しておきましょう。
通話品質がインターネット環境に依存する
通話品質がインターネット環境に大きく依存することも、インターネット電話のデメリットといえます。
インターネット電話は、音声をデジタル化しインターネット回線を通じて相手にその声を届けることで通話を実現しています。その仕組みから、インターネット回線に何らかの不具合が発生すると、音声が途切れたり、通話品質が低下したりするのです。
例えば、外出先でフリーWi-Fiの通信品質が悪い場合、音声が聞き取りづらくなることがあります。また、オフィス内でも大容量のデータ通信が重なることで、インターネット回線が混雑し、通話中にノイズや遅延が発生することもあります。
インターネット電話を導入する際は、安定したインターネット環境が整っているかどうかを必ず確認することが大切です。さらに、不具合へ速やかに対応できるように、原因を解消できる体制を整えておきましょう。
セキュリティにやや不安がある
セキュリティ面での不安がある点も、インターネット電話を導入するデメリットです。
通常の固定電話は電話回線を利用するため、ウイルス感染やサイバー攻撃のリスクはほとんどありません。しかし、インターネット電話は、インターネット回線を介して通話することから、ウイルス感染やサイバー攻撃、情報漏えいなどのリスクがあります。万が一、インターネット関連の被害を受ければ、顧客情報や機密情報が流出するおそれも否定できません。
ただし、最近では多くのインターネット電話サービスが高度なセキュリティ対策を講じています。ユーザー側で特別な対策が必要となるケースはほぼありません。そのため、インターネット電話の導入時には、ベンダー側でどのようなセキュリティ対策を行っているかを事前に確認しておき、吟味することが大切です。
インターネット電話導入のポイント
インターネット電話を導入する際、どのような点に気をつけるべきでしょうか。以下でインターネット電話導入のポイントを解説します。
利用中の電話番号を引き継げるか確認する
インターネット電話を導入するのであれば、いま使っている電話番号を引き継げるかどうかを確認しましょう。
アナログ回線からインターネット電話へ移行する場合、前述の通り基本的には電話番号が変更となります。電話番号が変わるとなると、ホームページや名刺の記載変更や顧客への通知が必要です。それは手間や費用がかなりかかるため、企業にとっては痛手となることでしょう。
しかし、インターネット電話のベンダー側が番号ポータビリティに対応していれば、そうした問題を解決できます。満たすべき条件はあるものの、番号ポータビリティを利用できるのであれば、これまで使っていた市外局番付き電話番号をインターネット電話へ移行後も利用できます。電話番号を変更したくないのであれば、必ず確認しておきましょう。
無料プランやお試しを活用する
インターネット電話を本格的に導入する前に無料プランやお試しを活用して、使い勝手を確認しましょう。
インターネット電話はベンダーごとに搭載されている機能、費用、使い勝手、音声品質、サポート力などが大きく異なります。リーズナブルさだけで選んでしまうと、使い勝手や音声品質が悪く、問い合わせても対応してくれないなどの問題が出てくる可能性があります。また、自社の業務に必要な機能を搭載しておらず、せっかく移行したのに十分に活用できなくなることもありえます。
インターネット電話の中には一定期間、無料プランやトライアルでお試しできるところもあります。試しに自社で運用してみて、業務に活かせそうか確認するようにしましょう。
トータルコストを試算する
インターネット電話サービスを選ぶ際は、トータルコストがどれくらいになるかを試算しましょう。
最低限かかるのは初期費用や月額費用です。企業によっては必要な機能を利用するのにオプションを追加することもあるでしょう。また、電話の利用状況によって通話料もかかります。これらすべてを考慮した上で、トータルでどのくらいの費用がかかるのか、今現在よりも安くなるのか、費用対効果はどれくらいかなどを試算してみましょう。
ちなみに、ビジネスフォンをリースしていて、インターネット電話に乗り換える場合は注意が必要です。リース期間中の解約では違約金が発生しますので、その費用もトータルコストに含めることを忘れないようにしましょう。
インターネット電話なら「03plus」
03plusは「03」「06」を始め、主要46局の市外局番つき電話番号を取得できるインターネット電話です。番号ポータビリティに対応していますので、利用中の電話番号を変更せずに移行することもできます。ユーザー数6万以上で大阪市にも導入実績があり、信頼性の高いサービスです。
03plusの魅力は豊富な機能にあります。クラウド上で共有の電話帳を持てる「Web電話帳」、通話を自動録音してクラウド上でいつでも確認できる「通話録音」、自動音声にて着信先を適切に振り分ける「IVR」、電話の一次対応を任せられる「留守レポ」、1通話10分までの通話が無料になる「10分かけ放題」などがあります。
このように、インターネット電話ならではの豊富な機能を使えるため、自社に合わせてカスタマイズすれば、業務効率アップやコスト削減などを果たすことができます。インターネット電話をお探しなら、ぜひ03plusをご検討ください。
まとめ
今回はインターネット電話とは何なのか、その種類や特徴について解説しました。
従来のアナログ回線を使用する音声通話と違い、インターネット電話はインターネット回線を利用する電話です。導入がスムーズで通話料も安くなり、豊富な機能があるため、企業で導入すれば便利に使うことができます。業務効率アップやコスト削減、顧客満足度向上などを実現したいと考えているならば、ぜひ導入を検討しましょう。

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