インターネット電話とは?種類やメリット・デメリットを踏まえて導入のポイントを解説
更新日: 2024年09月06日
IT化が進む昨今、ご家庭はもちろん企業でもインターネット回線を引くのが当たり前になりました。そのため、従来のアナログ回線の電話からインターネット電話へ移行する企業も増えています。しかし、「インターネット電話は普通の電話と何が違うの?」と疑問に思う方もいることでしょう。
そこで今回は、インターネット電話とはどのようなものなのか、その種類やメリット・デメリット、導入する際のポイントを解説します。
インターネット電話とは
インターネット電話とは、データ通信(パケット通信)によって通話を行うものです。従来の固定電話と異なり、電話回線ではなくインターネット回線を使用します。仕組みとしては、発信側の声をIPパケットに変換し、インターネット回線で送信。その後、着信側にてIPパケットを電気信号に変換してスマホなどの端末にて音声信号に変換して通話を実現します。
電話の通信方法にはインターネットのデータ通信の他に、従来の音声通話方式があります。
音声通話は電話の登場から使われてきた通信方法で、電話回線を用いて通話を行うものです。音声通話では「回線交換方式」という通話方式が採用されています。そのため、通話に参加できるのはニ者に固定されるのが特徴です。つまり、電話回線を使用する音声通話では、通話する人同士で回線が独占され、第三者がそこに割り込むことはできません。割り込もうとしても、「通話中」とされて電話がつながらないのです。
一方、インターネット電話で使われるデータ通信は、「パケット交換方式」という通話方式を採用しています。パケット交換方式とは、一定の大きさに分けられた通信データを送受信するものです。パケット交換方式はデータを細切れにするため、大容量データも送受信できるのが特徴です。例えば、SNSでのメッセージ投稿・送信、動画の配信や視聴などでパケット交換方式が使われています。回線交換方式と異なり、インターネット回線は独占されるのではなく、複数の利用者で共有します。そのため、ビデオチャットのように複数人で通話を行うことも可能です。
このような技術が使われているインターネット電話には、IP電話やソフトフォン、光電話などさまざまあります。次項でそれぞれについて詳しく解説します。
インターネット電話の種類
インターネット電話にはIP電話、ソフトフォン、光電話の3種類あります。それぞれどのような特徴があるのか、以下で解説していきます。
IP電話
IP電話は、インターネットプロトコルを利用して通話を行う音声電話サービスです。アナログ回線の場合は基地局を経由して、いわば糸電話のような形で音声通話しますが、IP電話は音声をデジタルデータに変換して通話を行います。IP電話は通信事業者が提供しているサービスで、電話回線を使った通話よりも料金が安い傾向にあります。
IP電話では「050型」の電話番号が一般的ですが、近年はIP電話が普及して品質が向上したこともあり、基準を満たしているベンダーであれば従来の固定電話番号形式である「0ABJ型」も使えます。
ソフトフォン
ソフトフォンとは、専用のソフトウェアをスマホやPCにインストールして通話を行う形式のインターネット電話です。たとえば、SkypeやLINEといった、今や多くの人が使う通話アプリはソフトフォンの一種です。
ソフトフォンはインターネット電話ですが、電話番号は割り当てられていないため、電話番号宛ての通話は行えません。通話を行う人同士が同じアプリを導入していなければ、通話ができないのです。ただし、同一アプリ間であれば無料通話できるメリットがあります。
スマホやPCなどさまざまな端末で使えて、アプリ間通話は無料でできるため導入負担やコストを抑えられるものの、ビジネス用途ではあまり向きません。
光電話
光電話とは、光回線を利用して通話を行うインターネット電話です。光IP電話と呼ばれることもあります。IP電話であるものの、光回線以外では利用できません。そのため、光回線のインターネットオプションの一つとして提供されていることがほとんどです。市外局番から始まる「0ABJ型」の電話番号を取得できたり、緊急通報に発信できたりするなどのメリットがあります。また、インターネット回線の中でも高速で安定性に優れている光回線を使用するため、品質が高くクリアな音声で通話できるのも特徴です。
インターネット電話のメリット
インターネット電話はインターネット回線を使用して発着信できることが大きな特徴です。その特徴からさまざまなメリットがあります。以下で、インターネット電話が持つメリットについて解説します。
通話料が安くなる
インターネット電話は通話料をリーズナブルにしやすいのがメリットです。
従来のアナログ回線の場合、通話料が遠距離になるほど割高になっていました。これは、距離が遠くなるほどに多くの基地局を経由するためです。
一方、インターネット電話は距離にかかわらず、一律の料金で通話できます。これは、基地局を経由することがないインターネット回線を使用しているためです。
2024年からアナログ回線がIP網へ移行しました。そのため、固定電話であっても距離にかかわらず全国一律料金となっています。とはいえ、インターネット電話サービスでは通話料金が固定電話よりも割安なところもあります。そのため、差が縮まりはしましたが、通話料金はインターネット電話の方が安いことが少なくありません。
また、インターネット電話でも、電話番号が付与されないタイプの場合は通話料金がかかりません。同一のアプリを使用している者同士であれば、インターネット回線を使用して無料通話を行えます。ただし、基本的に固定電話や携帯電話へはかけられませんし、信頼性が劣るというデメリットがあるため、ビジネス利用では不向きです。個人利用や趣味で使う分には通話料がかからないためメリットといえるでしょう。
スマホやパソコンで電話できる
インターネット電話は、スマホやパソコンで電話できることも特徴でありメリットです。
音声通話の場合はアナログ回線につながった固定電話機でなければ通話を行えません。スマホやパソコンなどの端末はもちろん利用不可です。新たに電話を契約する場合は、固定電話機の購入が必要です。
一方、インターネット電話であれば、インターネット回線を利用できるスマホ、パソコン、タブレットなどさまざまな端末を利用できます。新たに契約する場合でも、既存のスマホやパソコンをそのまま活用できるため、導入コストを抑えられます。また、通話しながらスマホやパソコンでアプリを使ったり、検索したりといった作業を行えるため、業務効率を高めやすくなります。
電話回線を引く必要がない
インターネット電話であれば、わざわざ電話回線を引く必要がありません。
音声通話であれば、新規で契約した際に新たに電話回線を引き込む必要があります。もちろん、固定電話機に配線するのも忘れてはいけません。電話回線を引くには工事をしなければなりませんので、費用や手間がかかります。
一方、インターネット電話は新規で契約をして審査が通れば、電話回線を引くことなくすぐに利用できます。インターネット環境が整っていれば、それで通話を行えるためです。そのため、起業や開店してすぐに電話を使いたい場合は、インターネット電話の方がスピーディーですし、費用を抑えやすくなります。
企業での利用は特に利便性が高い
インターネット電話はビジネス利用で多くのメリットがあります。
音声通話は電話回線を使用しますので、固定電話機のみに限定されます。そのため、電話対応のためにオフィス内には電話番のスタッフを必ず配置する必要があります。また、会社代表番号はオフィス内の固定電話からしか利用できません。そのため、外出先から発信する場合は携帯電話番号で発信することになります。もちろん、外出中のスタッフや離れた拠点との通話は外線発信で通話料がかかります。
一方、インターネット電話は、インターネット環境があればスマホやパソコンなどの端末を使って、いつでもどこでも会社代表番号による発着信を行えます。例えば、外出先や出張中であっても、スマホから会社代表番号で顧客へ連絡が可能です。携帯電話番号ではなく会社代表番号での着信のため、顧客も電話に出てくれやすくなるでしょう。
また、インターネット電話はインターネット上で電話環境が構築されています。そのため、離れた拠点や外出中の社員との通話が無料の内線通話扱いで行えます。そのため、情報共有や社内コミュニケーションもコストをかけることなく活性化可能です。
また、インターネット電話はサービスごとにさまざまな機能を利用できます。自社で利用しているITサービスとも連携もできる場合もあるでしょう。そのため、業務効率化やコスト削減を実現しやすいです。
インターネット電話のデメリット
インターネット電話にはさまざまなメリットがあり、音声通話よりも優位性があります。しかし、インターネット電話ならではのデメリットも実はいくつかあります。以下でどのようなデメリットがあるのか解説します。
ネット回線がなければ利用できない
インターネット電話はネット回線がないと利用できない点がデメリットです。
音声通話の場合、アナログ回線なのでインターネット回線がなくても通話できます。たとえ停電になったとしても、固定電話機が電源供給を必要としないタイプであれば、通話が可能です。そのため、災害時でも通話ができて重宝します。
一方、インターネット電話はインターネット回線がなければ通話を行えません。たとえば、外出先でインターネット環境がない場合や、停電になってしまった場合などは通話不可となります。
利用できる電話番号に条件がある
インターネット電話は使える電話番号に一定の条件があることがデメリットとなります。
音声通話の場合、「03」「06」などの市外局番付き電話番号を利用できます。一方、インターネット電話の場合は、基本的に「050」から始まる電話番号のみしか利用できません。市外局番付き電話番号には地域情報が含まれています。インターネット電話の場合、利用者の地域を特定できないため、市外局番付き電話番号の利用は基本的にできないのです。
また、アナログ回線からインターネット電話へ移行する場合、ベンダー側が番号ポータビリティに対応しているケースを除いて、もともと使っていた市外局番付き電話番号から変更しなければなりません。
ただし、近年はインターネット電話の通話品質が良くなったこともあり、一部サービスでは市外局番付き電話番号を利用できるケースもあります。また、光電話は音声通話の電話と同じように、市外局番付き電話番号を取得可能です。
発信できない電話番号がある
インターネット電話では、発信できない電話番号があります。
音声通話の場合、どの電話番号へも発信できます。たとえば、緊急通報や特殊番号であっても発信可能です。しかし、インターネット電話の場合は緊急通報や特殊番号への発信ができません。これは、インターネット電話だと位置情報が特定できず、スムーズな救助活動を行えないためです。インターネット電話で緊急時の発信をしたい場合は、最寄りの警察署や消防署の電話番号へ直接発信するしかありません。
通話品質がインターネット環境に依存する
インターネット電話は通話品質がインターネット環境に左右される点に注意しましょう。
インターネット電話の仕組みは、前述の通り音声をデジタル化してインターネット回線を通して相手に声を届けることで通話を実現します。つまり、インターネット回線が音声を届ける重要な道というわけです。そんなインターネット回線に何らかの理由で不具合が起きてしまうと、声が届きにくくなってしまい、通話品質が低下します。
例えば、外出先のフリーWi-Fiの質が悪ければ音声は正しくやり取りできません。オフィス内であっても、大容量のデータ送受信を行うタイミングでは回線が込み合ってしまい、ノイズや途切れが発生する可能性があるでしょう。
このようなことから、インターネット電話を使用する際は、インターネット環境が整っているかどうかを確認することが大切です。不具合があると考えられる場合は、その原因を解消しなければなりません。
セキュリティにやや不安がある
インターネット電話は、セキュリティ面でやや不安があります。
通常の固定電話は電話回線を使用しますので、ウイルス感染やサイバー攻撃被害を受けることはありません。
しかし、インターネット電話はインターネット回線を介して通話するため、ウイルス感染やサイバー攻撃リスクがあります。万が一、インターネット関連の被害が発生した場合、顧客情報や機密情報などが漏洩するリスクがあります。
とはいえ、ベンダー側もこうしたリスクに備えてセキュリティ対策を万全にしています。サービスを利用するユーザー側では特別な対策を講じる必要はありません。サービスを選ぶ際は、どのようなセキュリティ対策をベンダーが講じているかを確認しましょう。
インターネット電話導入のポイント
インターネット電話を導入する際、どのような点に気をつけるべきでしょうか。以下でインターネット電話導入のポイントを解説します。
利用中の電話番号を引き継げるか確認する
インターネット電話を導入するのであれば、いま使っている電話番号を引き継げるかどうかを確認しましょう。
アナログ回線からインターネット電話へ移行する場合、前述の通り基本的には電話番号が変更となります。電話番号が変わるとなると、ホームページや名刺の記載変更や顧客への通知が必要です。それは手間や費用がかなりかかるため、企業にとっては痛手となることでしょう。
しかし、インターネット電話のベンダー側が番号ポータビリティに対応していれば、そうした問題を解決できます。満たすべき条件はあるものの、番号ポータビリティを利用できるのであれば、これまで使っていた市外局番付き電話番号をインターネット電話へ移行後も利用できます。電話番号を変更したくないのであれば、必ず確認しておきましょう。
無料プランやお試しを活用する
インターネット電話を本格的に導入する前に無料プランやお試しを活用して、使い勝手を確認しましょう。
インターネット電話はベンダーごとに搭載されている機能、費用、使い勝手、音声品質、サポート力などが大きく異なります。リーズナブルさだけで選んでしまうと、使い勝手や音声品質が悪く、問い合わせても対応してくれないなどの問題が出てくる可能性があります。また、自社の業務に必要な機能を搭載しておらず、せっかく移行したのに十分に活用できなくなることもありえます。
インターネット電話の中には一定期間、無料プランやトライアルでお試しできるところもあります。試しに自社で運用してみて、業務に活かせそうか確認するようにしましょう。
トータルコストを試算する
インターネット電話サービスを選ぶ際は、トータルコストがどれくらいになるかを試算しましょう。
最低限かかるのは初期費用や月額費用です。企業によっては必要な機能を利用するのにオプションを追加することもあるでしょう。また、電話の利用状況によって通話料もかかります。これらすべてを考慮した上で、トータルでどのくらいの費用がかかるのか、今現在よりも安くなるのか、費用対効果はどれくらいかなどを試算してみましょう。
ちなみに、ビジネスフォンをリースしていて、インターネット電話に乗り換える場合は注意が必要です。リース期間中の解約では違約金が発生しますので、その費用もトータルコストに含めることを忘れないようにしましょう。
インターネット電話なら「03plus」
03plusは「03」「06」を始め、主要46局の市外局番つき電話番号を取得できるインターネット電話です。番号ポータビリティに対応していますので、利用中の電話番号を変更せずに移行することもできます。ユーザー数6万以上で大阪市にも導入実績があり、信頼性の高いサービスです。
03plusの魅力は豊富な機能にあります。クラウド上で共有の電話帳を持てる「Web電話帳」、通話を自動録音してクラウド上でいつでも確認できる「通話録音」、自動音声にて着信先を適切に振り分ける「IVR」、電話の一次対応を任せられる「留守レポ」、1通話10分までの通話が無料になる「10分かけ放題」などがあります。
このように、インターネット電話ならではの豊富な機能を使えるため、自社に合わせてカスタマイズすれば、業務効率アップやコスト削減などを果たすことができます。インターネット電話をお探しなら、ぜひ03plusをご検討ください。
まとめ
今回はインターネット電話とは何なのか、その種類や特徴について解説しました。
従来のアナログ回線を使用する音声通話と違い、インターネット電話はインターネット回線を利用する電話です。導入がスムーズで通話料も安くなり、豊富な機能があるため、企業で導入すれば便利に使うことができます。業務効率アップやコスト削減、顧客満足度向上などを実現したいと考えているならば、ぜひ導入を検討しましょう。
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