IP電話で利用できる050電話番号とは?導入方法も解説
IP電話で利用できる050番号は、個人や新たにビジネスを始める人でも気軽に取得できる電話番号です。契約後、アプリを導入すればスマホですぐに利用でき、通話料金がアナログ回線より安いといったメリットがあります。ですが「050は怪しいイメージがある」「導入の仕方がよくわからない」という方もいらっしゃることでしょう。
今回は、050電話番号とはどういうものなのか、危険・怪しさはないのか、導入方法やメリット・デメリット、おすすめサービスを解説します。
050電話番号とは
050電話番号はIP電話に割り当てられる電話番号です。IP電話は2002年から普及し、従来のアナログ回線ではなくインターネット回線を利用して通話を行います。
050電話番号は「東京03」のような市外局番とさまざまな違いがあります。まず、市外局番は11桁ありますが、050電話番号は10桁しかありません。そして、市外局番のように地域情報が含まれておらず、その代わりに事業者識別番号が含まれています。また、050電話番号を用いるIP電話は導入がスムーズで、低コストで運用できるメリットがあります。
050電話番号は危険?
050電話番号は、市外局番付き電話番号と比べて信頼性が低いといわれることがあります。これは、050電話番号のIP電話は気軽に導入できて運用コストが低いことや、電話番号自体に地域情報が含まれていないという特徴が関係しています。
050電話番号は気軽に取得できるため、しつこい勧誘やセールス電話の番号として利用されることが少なくありません。警察などの公的機関を装った詐欺電話に利用されるケースもあります。このように悪用されることが多々あったことから、050電話番号は危険で怪しいというイメージがついてしまいました。また、地域情報が含まれていないことは、中高年にとっては市外局番ほど見慣れた番号ではないことから、信頼されにくい傾向にあります。
しかし、050電話番号だからといって必ずしも危険であるとはいい切れません。実は大企業のカスタマーセンターや公式案内用として利用されているケースも多くあります。例えば、JR東日本でも050番号を利用しているのです。そのため、050電話番号をひとくくりにして「危険である」とはいえず、むしろ近年は普通に使われることも多いと考えたほうがよいでしょう。
IP電話とは
IP電話とは、インターネット回線を利用して通話を行うサービスです。アナログ回線を利用する従来の固定電話と異なり、導入がスピーディーで通話料金が全国一律で費用を抑えやすいなどの特徴があります。また、固定電話機だけでなくスマホやPCなどの端末を用いて通話できるのも特徴です。スマホにアプリを導入すれば外出先でもIP電話による発着信を行えます。PCに導入すれば、マイク付きイヤホンで通話しながら情報検索を容易に行うことも可能です。
IP電話の仕組み
IP電話は、VoIP(Voice over Internet Protocol)という技術により通話を行います。従来の固定電話では、音声がアナログ回線を通して相手方に伝わっていました。IP電話ではVoIPゲートウェイが音声をデジタルデータ化して相手方に送信します。そしてインターネット回線を通じて相手方のVoIPゲートウェイでデジタルデータが音声に変換されて通話を行います。
アナログ回線では距離に応じて複数の電話交換局を経由する必要がありましたが、IP電話ではその必要がなく、インターネット回線を通じてデータが直接相手に届きます。そのため、通話料金が全国一律なのです。
IP電話の番号の種類
IP電話にはいくつかの種類があります。
一つは電話番号を持たないアプリ型のIP電話です。同一アプリ間のみ無料通話が可能で、一般電話や他のIP電話アプリ、050番号などと通話ができません。音声品質はあまり良くない傾向にありますが、導入が簡単で誰でも無料で使えるため個人間で利用されやすいIP電話です。
もう一つは050電話番号を使うIP電話です。IP電話サービスに契約後、スマホ等の端末にアプリを導入して通話を行います。同一サービスの050番号間の通話や、同一契約内の内線通話は無料で行えます。市外局番付き電話番号や携帯電話番号にかけることができ、距離に関わらず全国一律料金で通話できます。緊急通報は行えませんが、気軽に導入できて外出先でも発着信できることから、個人だけでなくビジネス利用するケースもあるIP電話です。
最後は市外局番を使用するIP電話サービスです。例えばNTTのひかり電話はIP電話ですが東京03などの市外局番が割り当てられます。通話制限がなく、市外局番・050番号・緊急通報などに発信可能です。ただし、無料通話は基本的にありません。市外局番付き電話番号は社会的信用を得やすいことから、ビジネス利用するケースが多いです。
050電話番号のIP電話を導入するメリット
050電話番号のIP電話は導入が簡単で通話料が安く、引っ越し時も電話番号を変えずに済むというメリットがあります。これはインターネット回線を使用するIP電話ならではの特徴です。具体的にそれぞれのメリットについて解説します。
導入が簡単
IP電話は従来の固定電話と比べて簡単に導入できます。
従来の固定電話は手続きが多く、アナログ回線開通には工事が必要で、実際に利用できるまでには数週間かかる可能性があります。また、アナログ回線につなぐ固定電話機も購入する必要があり、導入は手間となることでしょう。
IP電話はベンダーにもよりますが、本人確認を行って契約すれば、後はスマホ等の端末にアプリを導入するだけで通話を行えます。本人確認作業はWeb上で行える場合もあるため、手間はそれほどかからずスムーズです。また、新たに端末を購入しなくても、スタッフの個人用スマホをそのまま利用できるため、すぐ利用できるのがメリットです。回線の増減もWeb上で簡単に行えるため、スタッフの人事異動や入退社にも柔軟に対応できます。
料金が安い
IP電話は導入・運用コストが低いことも特徴です。
従来の固定電話は、電話加入権や開通工事に多額の費用がかかります。アナログPBX環境を構築する場合は、主装置の購入代金や専用の固定電話機の購入・レンタル費用も必要です。通話も遠距離になると割高になるため、運用面でもコストが高くつく傾向にあります。
一方で、IP電話は数千円の初期費用があれば工事不要ですぐに導入できます。スタッフの個人スマホを用いることができるため、機器の購入代金もかかりません。また、インターネット回線を利用するため基地局を経由する必要がなく、通話は全国一律料金です。遠距離通話が多いケースでは通話コストを大幅に下げることができるでしょう。さらに、相手も同一のIP電話サービスを利用している場合は通話が無料となります。そのため、複数拠点がある場合は拠点間の通話を無料で行えるため、社内コミュニケーションを低コストでできるのも魅力です。
引っ越しによる電話番号の変更がない
IP電話は引っ越しや移転をしても電話番号が変更されません。
従来のアナログ固定電話の場合、遠方に引っ越しや移転する場合は電話番号が変更となります。これは、既存の市外局番付き電話番号に含まれる地域情報のエリアから離れて別のエリアに移動してしまうためです。
一方、IP電話で使われる050番号には地域情報が含まれていません。電話番号は各事業者が管理しているものであり、引っ越ししたとしても全国どこでも同じ番号を引き続き使えます。ただし、別のIP電話サービスに乗り換える場合は、引っ越しや移転をしなくても電話番号が変わるため注意が必要です。
050電話番号のIP電話を導入するデメリット
050電話番号のIP電話は導入しやすく、コストを抑えやすいなどさまざまなメリットがあります。その一方で、ビジネスにおける信用度やかけられない電話番号などのデメリットも存在しています。ここでは、具体的に050電話番号のIP電話ならではのデメリットを解説します。
ビジネスにおける信用度
IP電話に使われる050電話番号は、社会的信用が低く見られる傾向にあります。前述の通り、050電話番号は導入が簡単で安く運用できることから、迷惑電話やしつこい営業電話などに利用されやすいことが関係しています。050電話番号からかかってきた電話に対して迷惑な思いをした経験を持つ人からすると、印象が悪くなってしまうのも仕方ないかもしれません。また、中高年以上の年代にとって050電話番号は見慣れないものであり、不信感を抱かれやすい傾向にあります。地域情報が含まれておらず、どこからかかってきたのかわかりにくい点も、受信者が思わず身構えてしまう原因といえるでしょう。
もちろん、050電話番号だからといってすべてが迷惑・しつこい電話というわけではありません。ただ、現状は市外局番付き電話番号の方が信頼されやすく、ビジネスでは使いやすいといえるでしょう。
0AB-J型の電話番号が取得できるものもあるFiが便利
IP電話は、050番号の社会的信用が低いことから「ビジネスでは利用しにくい」と考える方もいます。しかし実は、IP電話サービスの中には「0AB-J型」である市外局番付き電話番号を取得できるものもあります。そうしたサービスであれば、契約時に自社の所在地に対応した市外局番付き電話番号を割り当てられ、それをそのままスマホ等で利用できます。ビジネス利用する場合は、「東京03」などの市外局番付き番号を取得できるサービスを検討してみましょう。
かけられない電話番号がある
050電話番号のIP電話にはかけられない電話番号が存在します。
例えば、0120や110などの緊急通報番号です。中には0120にかけられるIP電話サービスも存在しますが、有料での通話になります。そのため、わざわざIP電話からかけなくても固定電話があればそちらでかけた方がお得です。
緊急通報にかけられないのは、050電話番号に地域情報が含まれていないためです。緊急通報とは電話番号に含まれる地域情報をもとに最寄りの警察署・消防署につながる仕組みとなっています。そのため、050電話番号ではかけることができないのです。
音声品質が悪い場合がある
050電話番号のIP電話は、音声品質が低い場合があります。
IP電話はインターネット回線を利用するため、通話品質はネット環境の影響を大きく受けます。ネット環境が悪い場合や電波が届きにくい場所の場合は、音声が途切れたりノイズが入ったりする可能性があるのです。
また、050番号は0AB-J型と違って音声品質が低くてもサービスを提供することができます。そのため、一部の格安サービスではサーバーの処理速度が低く音声品質が悪い場合があるのです。もちろん、近年は安くても品質が保たれているサービスが増えていますので、そこまで気にしすぎる必要はありません。心配な場合は事前に無料体験版などを試してみましょう。
050電話番号を取得できるIP電話サービスの例
IP電話サービスはたくさんあり、どれを選ぶべきか迷うことでしょう。ここでは、050電話番号を取得できるおすすめのIP電話サービスをまとめましたので参考にしてみてください。
03plus
「東京03」を始めとした、全国主要46局の市外局番付き電話番号を取得できるIP電話サービスです。番号ポータビリティにも対応しているため既存の固定電話番号をそのまま利用することも可能です。もちろん、市外局番付き電話番号だけでなく、希望があれば050番号の取得もできます。
月額1,280円から利用でき、外出先からでも取得した電話番号を用いて発着信を行えます。同一契約内であれば、外出先のスタッフとの通話や拠点間通話を内線として無料で行えるため、通話コストを大幅に下げることが可能です。また、1通話10分までであれば無料となる「10分かけ放題サービス」やペーパーレス化や業務効率化を実現する「クラウドFAX」など便利でお得なサービスも豊富にあるのが魅力です。
050 plus
月額330円で利用できるIP電話サービスです。取得できるのは050番号のみですが、リーズナブルで導入もスムーズであるため、すぐに利用したい方やお得に利用したい方に向いています。通話料は距離に関わらず全国一律であり、同一アプリ同士や提携プロバイダのIP電話への無料通話も可能です。留守番電話がメールで届くメッセージお預かり機能もあります。
FleaLine
月額400円でお安く使える050電話番号のIP電話サービスです。市外局番付き電話番号は取得できませんが、個人はもちろん法人利用もできます。同一アプリ同士であれば距離に関わらず無料通話でき、提携IP電話サービスとも無料で通話可能です。個人事業主や小規模店舗など、プライベートなスマホをビジネス用として活用したいケースで向いているサービスです。
まとめ
今回はIP電話で利用できる050電話番号とはどのようなものなのか、その導入方法について解説しました。
050電話番号のIP電話はサービス契約後、スマホ等にアプリをインストールすればすぐに利用できるため、導入の手間がほとんどかかりません。開通工事も不要なため時間はもちろんコストもかけずにすぐお得なIP電話で通話できます。
ただし、050電話番号は音声品質が不安定になる可能性があったり、社会的信用が低い傾向にあったりするため、ビジネス利用する場合は注意が必要です。
本格的にビジネス利用するのであれば、03plusなど市外局番付き電話番号を取得できるIP電話サービスも検討してみてください。ビジネスに役立つ機能も豊富に揃っているため、業務効率化やコスト削減を目指す企業に向いています。
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