引っ越したらIP電話の番号は変わってしまう？

加入電話など従来の固定電話では同じ地域内でも引っ越すと電話番号が変わってしまうということがありました。これは加入電話の電話番号は全国各地に点在するNTTの電話局毎に管轄が決まっており、その電話居の管轄エリアが異なる地域に引っ越すと電話番号を変えざるをえないためでした。

例えば東京03の場合、電話局の数は実に102にもなります。東京03のカバーエリアはほぼ東京23区ですので、単純計算で1つの区に4-5の電話局が存在していることになります。よって、同じ区内で通りを1本挟んだ場所への引っ越しであっても、そこが電話局の管轄エリアが異なるエリアであれば番号が変わってしまうのです。

では、IP電話の場合、引っ越した際に番号は変わってしまうでしょうか。

IP電話には以下の2種類の電話番号があり、それぞれで引っ越し時の対応が異なります。

・「03」や「06」などの市外局番から始まる「0AB～J番号」

・「050」から始まる番号

それぞれについて、引っ越した場合に番号が変わるかどうか解説します。

市外局番（0AB～J番号）の場合

「03」「06」などの市外局番から始まる電話番号は通信業界では「0AB～J番号」と呼ばれています。例えば主に東京23区の固定電話番号は[03-●●●●-■■■■]という並びになりますが、これは03は「市外局番」を、●●●●は「市内局番」を、■■■■は「加入者番号」という情報をそれぞれ表しています。よって、電話があった際に着信番号を見ると、通話相手のエリアがどの地域からの着信なのか、大よそ判別することができます。このように「0AB～J番号」はそれぞれの地域と紐づいた番号であるということが前提になっています。

NTTのひかり電話など、通信事業者が提供する市外局番（0AB～J番号）のIP電話番号は、加入電話と同じで電話局毎に管轄エリアが決まっています。
よってほとんどの場合、IP電話サービスで取得した市外局番は加入電話と同様、電話局の管轄エリアをまたいだ引っ越しの場合には番号が変わってしまいます

ただ、ある制度を利用すればIP電話の利用中に引っ越しても電話番号を変えずに済む方法があります。それは番号ポータビリティを利用して、引っ越しても番号が変わらないインフラをもつIP電話サービスに移行するという方法です。

例えば東京03の場合、冒頭でご説明したようにNTTの電話局は102あるため、局ごとの管轄エリア外に出てしまうと電話番号が変わってしまいました。
一方、上記のようなIP電話サービスの場合、同一市外局番区域内、つまり東京03のエリア内（＝ほぼ東京23区）であれば、引っ越しても同じ番号がそのまま利用できます。
このようなIP電話サービスの場合は、東京03でも電話局が1つしか存在しないためです。

全てのIP電話サービスがこの仕組みを取っているわけではなく、「03plus」一部のサービスにおいて利用可能である点に注意が必要です。

また、すでに加入電話で取得している電話番号を03plusなどのIP電話サービスでそのまま使いたい場合は、番号ポータビリティ（番号移転）を利用しましょう。番号ポータビリティをすると、通信事業者を変更しても同じ番号を継続して使うことができます。

つまり、加入電話から番号ポータビリティを利用して上記のようなIP電話サービスに乗り換えてから引っ越しをすれば、東京23区内のどこに引っ越しても番号を変えることなく、継続して同じ番号を使い続けることが可能になります。

「03plus」は「引っ越しても番号が変わらないIP電話サービス」ですので、引っ越しても番号を変えたくないという方は是非検討してみください。

050番号の場合

一方の050番号は基本的に引っ越しても電話番号は変わりません。市外局番（0AB～J番号）がそれぞれの地域と紐づいているのに対し、050番号は地域性との紐づきが無いためです。050番号を提供している事業者は自社のサーバーで番号を一括して管理しており、利用者の居住地域との結びつきを持っていません。利用者は国内のどこに引っ越しても同じ番号を使い続けることが可能です。ただし、引っ越しなどのタイミングで050番号を提供しているプロバイダーを変更した場合は番号を変えざるをえません。

これらの注意点を踏まえ、仕事の都合上などの理由で将来的に電話番号を一切変えたくないという方で、なおかつ同じプロバイダーを使い続けるという方であれば、思い切ってIP電話の「050」番号にしてしまうというのも1つの手かもしれません。

注意点

市外局番（0AB～J番号）にせよ050番号にせよ、IP電話サービスで取得した番号は他の電話会社へ番号ポータビリティ（番号移転）できないという点です。
他社のIP電話サービスに乗り換えたりという自発的な場合だけでなく、IP電話の事業者がサービスを停止してしまって他社に乗り換えざるを得ない場合でも番号が変わってしまいます。ただし、加入電話からIP電話に引き継いだ番号であれば、他社のIP電話事業者に乗り換えても引き続き同じ番号を使用することが可能です。