「050」番号と「03」番号の違い

IP電話で提供されている電話番号は、「0ABJ型」と「050型」の2種類に分類されます。
同じIP電話でも「0ABJ型」と「050型」では違いがあります。

背景

0ABJ番号とは?

従来の固定電話で使われている0304506などお馴染みの市外局番から始まる固定電話番号は「0ABJ番号」と呼ばれています。この0ABJ型の電話番号は必ず0で始まりそれ以降は9桁の数字で構成されますが、これは「0A-BCDE-FGHJ」と表すことができるため、省略して「0ABJ」番号と呼びます。ちなみに最後が「I」でなくて「J」なのは数字の1と見間違えるため「J」が使われています。


0ABJ番号は、頭から順に「市外局番」「市内局番」「加入者番号」を表しています。例えば東京23区内であれば固定電話の番号は「03-●●●●-▲▲▲▲」となりますが、この2桁目の「3」は東京23区を示しています。このように0ABJ番号の2桁目の数字はそれがどの地域であるかを示しており、この数字と地域は国によって規定されています。よって、0ABJ番号をみればそれがどの地域なのか、大よそ見当がつきます。


従来0ABJ番号は加入電話やひかり電話などのいわゆる固定電話のみに割り当てられ、携帯電話のように地域が特定できない端末には従来0ABJ番号は使えませんでした。しかし最近では、IP-PBXクラウドPBXなどのサービスの登場により、スマホでも0ABJ番号で発着信をおこなうことが可能になってきました。


また、0ABJ型IP電話に求められる通話品質に関しては、総務省によって厳しい品質基準が定められています。品質基準で求められている条項には、接続品質総合品質安定品質ネットワーク品質などがあります。それぞれの基準の詳細は割愛しますが、アナログ電話と「0ABJ」番号の見た目が変わらないということもあり、IP電話の通話品質もアナログ電話並みの品質を求められています。アナログ電話は電話専用回線を利用しているため安定しているのは当たり前ですが、IP電話は電話専用ではないインターネット回線を利用しています。そのため、ネットワーク状況によって発信音や呼び出し音や通話中の音声などの遅延、揺らぎ、ノイズなどが生じやすい環境にあります。しかし上記事由によりアナログ電話並みの品質を求められているわけですから、0ABJ型のIP電話にとっては厳しい品質基準といえるわけです。

050型IP電話とは

「050」から始まるIP電話用の電話番号は、「050」–「ABCD」–「EFGH」と携帯電話と同じ11桁の番号によって構成されています。頭の「050」「IP回線」であること意味しており、そのあとは4桁ずつ「通信事業者の識別番号」「利用者番号」を示しています。固定電話番号と異なり地域性を示す情報はありませんが、通信事業者を判別することは可能です。050番号は、0ABJ番号とは違って地域性を示す情報がないため、スマホなどの移動体端末でも電話を利用することが可能です。


また、050型IP電話にも通信品質の基準が求められています。ただ、0ABJ型の通話品詞基準とは異なり「安定性」や「ネットワーク品質」に関しては品質を求められていなかったり、110や119などの緊急通報が必須ではなかったりと、0ABJ型IP電話に比べると求められる品質基準はさほど厳しくないという特徴があります。

050型IP電話とは

■通話品質
IP電話の通話品質は総務省によって3つのクラスに分類されています。


  • クラスA:固定電話並みの品質で品質が最も高く遅延が少ない
  • クラスB:携帯電話並みの通話品質
  • クラスC:クラスBを下回る通話品質

050型IP電話はクラスCの品質があればOKですが、0ABJ型のIP電話の通話品質はクラスAの品質と規定されています。


■番号の社会的信頼性


050番号の認知度が高まってきたとはいえ、社会的な信頼性が高いのは依然として0ABJ番号です。法人でも050番号の利用率は徐々に高まってきてはいますが、会社の代表番号を050にしているところがわずかしか存在していないことからも明らかです。クレジットカードの発行銀行口座の開設など、一部金融機関では0ABJ番号でないと申請が通らないところがあるのも事実です。


■番号の継続性


050番号はサービス提供事業者を乗り換えた場合には100%番号が変わってしまい、引き続き利用することはできません。0ABJ番号「現在加入電話で使っている番号」または「元々加入電話で取得した番号で現在は光電話など他の電話サービスで使っている番号」といった条件付きにはなりますが、他社の事業者に乗り換えても番号を引き継ぐことが可能です。特に法人では電話番号が変わるとなると、取引先への案内やWeb上のみならず名刺やカタログ・パンフレットなどに記載された電話番号も擦り直しになり、労力とコストが発生するため注意が必要です。


このように0ABJ型のIP電話050型IP電話にはそれぞれ特性があることがお分かりいただけたかと思います。通話品質社会的信頼性番号の継続性など、どのような要件を求めるかによってそれぞれのサービスのメリット、デメリットは異なってきますので、IP電話の導入を検討する際には事前によく検討することが重要になってきます。

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