IP電話は料金が安い?固定電話と比較
IP電話は通話料や導入コストが安いため、固定電話から移行を検討している企業が増えています。しかし実は、コストがリーズナブルなだけでなく、IP電話には業務効率化や顧客満足度を高められる数多くのメリットもあります。
今回は、IP電話の料金が固定電話と比較して安い理由や仕組み、料金以外のIP電話のメリット、IP電話サービスを選ぶ際の比較ポイントを解説します。
IP電話は通話料が安い!
IP電話のメリットの一つとしてよく挙げられるのがコストの安さです。まずは、一般的なアナログの固定電話回線とIP電話の料金を比べてみました。
・固定電話
導入にかかる料金:約40,480円(電話加入権を購入する場合)
月額基本料:1,595円~
・IP電話
※すでにインターネット回線を引いている場合
導入にかかる料金:2,000円ほど~
月額基本料:500円ほど~
このように、IP電話のほうが導入時の初期費用、月額費用ともに固定電話よりも安い傾向にあります。IP電話は電話加入権の購入が必要ないほか、導入時の工事も必要ありません。
そしてIP電話は通話料においても従来の固定電話よりも安いケースが多くあります。
これまでアナログ回線の一般的な固定電話を使っていた場合、IP電話に変更することで次のようなシーンにおける通話料を大幅に安くすることができます。
①会社の別拠点などに電話をかける場合
→IP電話なら同一IP電話サービス利用者同士で無料通話ができる
②遠方の相手に固定電話から電話をかける場合
→IP電話なら距離にかかわらず一律の通話料金でかけられる
それぞれのシーンについて仕組みを交えて詳しくご紹介します。
同一IP電話サービス同士で通話料が無料になる仕組み
IP電話サービスはVoIP(音声をインターネット回線上で伝送する技術)を使用しています。
IP電話同士で通話した場合、以下のような流れで通話が実現されます。
- 1.発信者側から相手を呼び出す信号が発信され、サービス提供者のサーバ経由で、通話相手に信号が送信される
- 2.着信者側で呼び出し音が鳴り、着信ボタンを押すと通話経路(コネクション)が確立され通話が可能になる
- 3.通話の音声信号はデータ化され、IPネットワーク経由で相手側に送信され、受信者側で音声信号に復元されて通話が成立する
- 4.電話を切ると、サービス提供者のサーバ経由で切断信号が送信され、通話経路(コネクション)が解放される
このように、IP電話同士の通話だとIPネットワーク上だけで通信が行われます。他の電話サービスの電話回線を使用していないため、同一アプリ間での通話料が無料となるわけです。
国内加入電話への通話料が一律になる仕組み
IP電話から一般的な電話(固定電話や携帯電話)への通話を行うためにはVoIPゲートウェイと呼ばれる機器が必要となります。
VoIPゲートウェイはIP電話から従来の電話へ、また従来の電話からIP電話へと、それぞれ音声信号の変換を行う役割を果たしています。このVoIPゲートウェイはIP電話のサービス提供業者の設備に配置されている場合もあれば、サービス契約者が自分の電話機に接続する必要がある場合もあります。
従来の加入電話の通話料は通話相手先の距離に応じて変動しました。しかしIP電話サービスの通話料は、インターネット回線を使用するため距離という概念がありません。また、加入電話に対しては、その相手に最も近い場所に設置されたVoIPゲートウェイから発信するため、通話料を抑えることが可能になるわけです。そのため国内加入電話への通話料を一律にすることが可能です。
料金以外のIP電話のメリット
IP電話は従来の固定電話と比べて導入・運用コストを下げられるのが魅力です。実はその他にも、インターネット回線を使用するIP電話ならではのメリットがあります。
システムと連携しやすい
IP電話はインターネット回線を利用するため、さまざまなシステムやアプリとの連携がしやすいです。
従来のアナログ固定電話の場合、アナログ回線を使用するため基本的にITツールとの連携はできません。そのため手間がかかりますし、人的ミスも発生しやすいのが懸念点です。
しかし、インターネット回線を利用するIP電話は、さまざまなITツールと連携できます。例えば、通話録音するシステムと連携すれば、顧客との通話も自動的に録音できて聞き逃し等のリスクを回避可能です。WEB電話帳を活用すれば、いつでもどこでもスムーズに顧客へ連絡できます。
このように、さまざまなシステムやアプリと連携しやすい点は、固定電話にはないIP電話の大きなメリットといえるでしょう。
社員数や支店数の増減に対応しやすい
IP電話は社員数や支店数の増減にフレキシブルに対応できます。
従来の固定電話の場合、アナログ回線で電話機同士をつながなければならないため、社員数が増減するたびに配線工事が必要です。また、支店が増減するたびに新たに固定電話を契約して配線工事をしたり、契約解除したりしなければなりません。
しかし、IP電話ならば社員が増減してもインターネット上で設定するだけですぐに対応できます。もちろん配線工事をする必要はありません。支店が増減した際にも、新たに契約したり契約解除したりする必要はなく、インターネット上にて申し込みを行えばすぐに電話回線を開設できます。
使っていない電話回線の料金や配線工事などの費用がかからないため、コストを削減できるのは大きなメリットです。
スマホやパソコンでも通話できる
IP電話はテレワークや外出先でも通話できることがメリットです。
従来のアナログ固定電話の場合、オフィス内でしか会社代表番号を使って通話できません。外出先やテレワークの際には、社員または会社から支給したスマホ等の利用が必須です。携帯電話番号でしか電話業務ができないため、取り次ぎや折り返しの手間や対応漏れといった機会損失が発生する可能性があります。
しかし、IP電話ならば、スマホやPCなどの端末で通話できます。そのため、外出先ではスマホから、テレワーク中は自宅のPCから会社代表番号を使って通話できます。そのため、取り次ぎ・折り返しの手間やミスがなくなります。また、携帯電話番号からではなく会社代表番号から発信できるため、顧客も安心して電話に出ることができます。
社員の個人用スマホ・PCを流用できるため、新規端末購入コストも削減可能です。
IP電話を選ぶ際の比較ポイント
IP電話は従来の固定電話と比べて利便性がかなり上がっており注目を集めていますが、その分サービスを提供するベンダーも多いため、どれにすべきか迷ってしまうのではないでしょうか。
そこで、IP電話を選ぶ際にはどのようなポイントを比較すべきなのか解説します。
利用中のシステムとの相性
IP電話を導入する際には、現在利用中のシステムとの相性を比較してチェックしましょう。
IP電話はインターネット回線を使用する通話サービスであり、さまざまなITツールと連携できるのが強みです。しかし、サービスによっては既存ITツールと連携できない場合もあります。
すでに自社で活用している外部ITツールがあるならばそれと連携できるのか、連携することで業務効率化を図れるのか、などといった点を比較して選びましょう。
操作のしやすさ
電話業務をスムーズに行うためにも、操作性は比較しておきたいところです。
IP電話はおおまかな部分はそこまで違いはないものの、サービスによって操作性などに違いがあります。設定画面は見やすいか、誰でも簡単に扱えるシステムなのか、設定変更をスムーズに行えるかなどを比較してサービスを選びましょう。
また、自社に年配の社員が多くいる場合は特に操作性は重視すべきです。年配の社員はITツールに使い慣れていないことも多いため、複雑なシステムだと教育に時間がかかってしまうためです。そのようなケースでは、できるだけシンプルで使いやすいIP電話サービスを比較して選ぶようにしましょう。
必要な機能の有無
IP電話サービスを選ぶ際には、機能面もしっかり比較しておきましょう。
IP電話はベンダーによって搭載されている機能がかなり違います。まず、自社の業務で必要となる機能を洗い出し、それに合わせてサービスをいくつかに絞っていきましょう。そして、それぞれのサービスに搭載されている機能や性能を見比べた上で、料金に見合うサービスを選ぶのがおすすめです。
また、無料お試し期間を用意しているベンダーもありますので、実際にいくつか使って比較すると、より自社にマッチするIP電話サービスを見つけやすくなります。
料金プランの柔軟性
IP電話サービスを選ぶなら、料金プランの比較は必須です。
IP電話サービスは低コストであることが大きな特徴です。とはいえ、ベンダーごとに料金体系は異なりますし、運用の仕方によってリーズナブルにならないケースもあります。例えば、通話先が固定電話なのか、携帯電話なのか、それとも国際電話なのかでも大きく異なります。
さらに、多くのオプションを追加すれば、それだけ費用もかかるので注意が必要です。
自社に必要な機能だけを選べる、契約数によって割引がある、複数のプランが用意されているなど、料金体系の柔軟性をしっかり比較しましょう。また、ベンダー側に事前にコスト試算を行ってもらい、それを基に比較するのも良いでしょう。
サポート体制
インターネット回線を使用するIP電話サービスを選ぶ際は、サポート体制を必ず比較しましょう。
アナログ固定電話の場合は特に心配する必要はありませんが、IP電話の場合は通信障害やハッキングなどのリスクに注意しなければなりません。万が一トラブルがあった際にはスムーズに対応してくれるベンダーを選ぶようにしましょう。
サポート対応時間、問い合わせ方法の種類、窓口体制、専任担当者の有無などは必ずチェックし、サポート力のあるベンダーを選びましょう。
まとめ
IP電話はインターネット回線を使用するため、従来のアナログ固定電話と比較して導入・運用コストが安い傾向にあります。さらにそれだけでなく、ITツールとの連携や社員数・支店数の増減に柔軟に対応でき、外出先やテレワークにも対応できるというメリットがあります。IP電話に移行すれば、コスト削減だけでなく業務効率化や顧客満足度向上を実現できることでしょう。
アナログ固定電話と比べて利便性が大幅に上がっているため、IP電話を選ぶ際には、サービスを比較することが大切です。料金はもちろんですが、操作性や利用できる機能、サポート体制を比較して、自社に合ったIP電話サービスをお選びください。

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