「ホームルーターで固定電話を使える?」と疑問をお持ちの方もいることでしょう。
ホームルーター単体では固定電話を利用できませんが、クラウドPBXやIP電話機、アナログ変換アダプタなどを組み合わせることで、会社用の電話環境を構築できます。
ホームルーターはインターネット回線工事が不要で、短期間に導入しやすい点がメリットです。一方、通信状況によって通話品質が変わるほか、利用するホームルーターと電話サービスの組み合わせにも注意しなければなりません。
今回は、ホームルーターで会社の固定電話を使う方法やメリット、導入する際の注意点について解説します。
目次
ホームルーターとは
ホームルーターとは、4Gや5Gなどのモバイル回線を利用してインターネットに接続する、据え置き型の通信機器です。本体をコンセントにつなぎ、パソコンやスマホでWi-Fiの接続設定を行うことで利用できます。
光回線のように建物内へケーブルを引き込む工事が必要なく、端末が届けば短期間でインターネット環境を整えられる点が特徴です。「置くだけWi-Fi」や「挿すだけWi-Fi」と呼ばれることもあります。
持ち運びを前提としたモバイルルーターに比べて同時接続できる端末数が多い傾向にあり、自宅だけでなく、小規模なオフィスや仮設事務所などでも利用されています。
ホームルーターで会社の固定電話は使える?
ホームルーターを導入しただけでは、会社の固定電話をそのまま使えるわけではありません。ただし、対応する電話サービスや機器を組み合わせることで、固定電話として利用できるようになります。
ここからは、ホームルーター単体で利用できない理由と、固定電話を使うための仕組みを解説します。
ホームルーター単体では固定電話を利用できない
ホームルーターは、モバイル回線を利用してインターネットへ接続するための通信機器です。端末に挿入するSIMカードに電話番号が記録されていても、ホームルーター自体が音声通話に対応しているわけではありません。その番号を使って、会社の固定電話として発着信することはできません。
また、一般的なホームルーターに備わっているのは、パソコンやスマホなどを接続するためのWi-Fi機能やLANポートです。アナログ電話機を直接接続する電話端子や、電話の発着信を制御する機能は備わっていません。そのため、ホームルーターを設置したり、電話機をLANポートにつないだりするだけでは通話できません。
会社の固定電話を利用するには、別途、クラウドPBXなどの電話サービスと、サービスに対応した電話端末や機器が必要です。
電話サービスを組み合わせることで固定電話が使える
ホームルーターは単体では固定電話を利用できませんが、電話サービスを組み合わせれば利用できます。
ホームルーターは、通話に必要な音声データを送受信するためのインターネット回線として使用します。固定電話番号の発行や着信の制御は、クラウドPBXなどの電話サービス側が行います。専用アプリを入れたスマホやパソコン、対応するIP電話機などを利用することで、会社の固定電話番号による発着信が可能です。
サービスによっては、市外局番付きの電話番号を新たに取得できるほか、条件を満たせば現在利用している固定電話番号を引き継げます。
ただし、利用できる電話番号や端末、必要な機器はサービスによって異なります。また、ホームルーターの通信環境や設定によっては正常に利用できないこともあるため、事前の確認が必要です。
次章からは、ホームルーターで固定電話を使う具体的な方法と、利用する際の注意点を解説します。
ホームルーターで固定電話を使う方法
ホームルーターで会社の固定電話を使うには、インターネット回線に対応した電話サービスや機器を導入する必要があります。利用したい電話番号や電話機、運用方法に応じて適切な方法を選びましょう。
ここからは、ホームルーターで固定電話を使う主な方法を解説します。
ホームルーターとクラウドPBXを組み合わせる
ホームルーターとクラウドPBXを組み合わせれば、光回線などの固定インターネット回線を新たに引かずに、会社の固定電話環境を構築できます。
クラウドPBXは、外線着信の振り分けや内線、保留、転送などを行うPBXの機能をクラウド上で利用できる通話サービスです。ホームルーターをインターネット接続回線として使用し、スマホやパソコンに専用アプリを導入することで、会社の固定電話番号を使って発着信できます。サービスによっては、IP電話機を接続して利用することも可能です。
クラウドPBXでは、会社の代表番号への着信を複数の端末で受けられます。オフィスにいる社員だけでなく、外出先や自宅にいる社員も電話に対応できるため、特定の社員に電話対応の負担が集中するのを防ぎやすくなります。
また、スマホやパソコンを内線端末として利用し、社員同士で内線通話をしたり、受けた電話を外出中の担当者へ取り次いだりできます。サービスによっては内線通話や内線での取り次ぎに通話料がかからないため、外線転送にかかる通話料の削減にもつながります。
従来のビジネスフォンのように、オフィスへ主装置を設置する必要もありません。主装置の購入や保守、更改にかかる負担を抑えられるほか、利用する社員が増えた際も、端末やIDの追加によって電話環境を拡張しやすい点がメリットです。
このように、ホームルーターとクラウドPBXを組み合わせる方法は、固定回線の工事を待たず、複数の社員が柔軟に電話対応できる環境を整えたい企業に適しています。
IP電話機やアダプタをホームルーターにつなぐ
ホームルーターにIP電話機やアダプタをつなぐことでも、固定電話を利用できます。
IP電話機は、インターネット回線を通じて通話する据え置き型の電話機です。電話サービスに対応したIP電話機とホームルーターをLANケーブルで接続し、サービス提供事業者の案内に沿って設定することで利用できます。サービスによっては、必要な設定が済んだIP電話機が提供されるため、LANケーブルをつなぐだけで利用を開始できます。
現在使用しているアナログ電話機を引き続き使いたい場合は、アナログ変換アダプタを利用します。アダプタがアナログ電話機の音声信号をIP通信用のデータへ変換するため、従来型の電話機からインターネット経由で発着信できます。
この方法なら、スマホやパソコンではなく、使い慣れた据え置きの電話機で会社の固定電話番号を利用できます。ただし、利用できるIP電話機やアダプタ、アナログ電話機はサービスによって異なります。有線LANへの接続が必要になるため、ホームルーターの端子や対応環境も事前に確認しましょう。
ホームルーターで固定電話を使うメリット
ホームルーターを活用すれば、固定回線を利用する場合より、会社の電話環境を手軽に構築できます。新たに電話環境を整えたい企業や、オフィスの運用を柔軟にしたい企業にとって、利用しやすい方法といえるでしょう。
ここからは、ホームルーターで固定電話を使う主なメリットを解説します。
インターネット回線工事が不要
ホームルーターを活用すれば、インターネット回線工事を行わずに、オフィスのインターネット環境と電話環境を整えられます。
従来のビジネスフォンを導入する場合は、電話回線の引き込みや主装置の設置、電話機の配線などの工事が必要です。工事業者との日程調整や立ち会いが必要になるほか、申し込みから利用開始までに時間がかかることもあります。
一方、ホームルーターは、本体をコンセントにつないで初期設定を行えばインターネットに接続できます。対応するクラウドPBXやIP電話機などを組み合わせることで、固定インターネット回線の開通を待たずに、会社の電話環境を構築できます。
回線の引き込み工事に伴う費用や手間を抑えられるため、新しいオフィスや仮設事務所などで、電話環境を短期間で整えたい場合に適しています。
レイアウト変更や移転がスムーズ
ホームルーターを活用して電話環境を構築すれば、オフィスのレイアウト変更や移転にも対応しやすくなります。
従来のビジネスフォンは、電話機が主装置や配線で物理的に接続されています。そのため、レイアウト変更に伴って電話機を移動する際は、配線の変更や追加工事が必要になることがあります。オフィスを移転する場合も、新しい拠点で回線や電話設備を整えるまでに時間がかかります。
しかし、ホームルーターとクラウドPBXを組み合わせれば、固定回線の引き込み位置に合わせて電話機を設置する必要がありません。大がかりな配線変更をせずに、端末の設定だけで電話環境を調整できます。
オフィスを移転する際も、新たなインターネット回線工事をせずに電話環境を整えやすいため、移転に伴う手間や期間を抑えられます。ただし、移転先がホームルーターのサービスエリア内であるかを確認しましょう。また、契約するサービスによっては、登録住所の変更手続きが必要になることもあります。
ホームルーターで固定電話を使う際の注意点
ホームルーターを使えば、回線工事をせずに電話環境を構築できます。ただし、安定した通話を行うためには、通信環境や利用する機器・サービスの対応状況を確認しておくことが大切です。
ここからは、ホームルーターで固定電話を使う際の注意点を解説します。
通信状況によって通話品質が変わる
ホームルーターを使った固定電話は、インターネットの通信状況によって通話品質が変わります。
ホームルーターはモバイル回線を利用するため、電波の強さや建物の構造、周辺の回線利用状況などの影響を受けます。通信が不安定になると、音声の遅延や途切れが生じることがあります。また、同じホームルーターに接続した複数の端末で、大容量のデータを同時に送受信しているときも、通話が不安定になる可能性があります。
通話品質を安定させるには、ホームルーターを窓際や床から離れた場所など、電波を受信しやすい位置に設置しましょう。金属製品や家電製品の近くなど、電波が遮られたり、干渉を受けたりしやすい場所は避けることも大切です。
導入前には通信速度を確認するだけでなく、実際に電話を利用する時間帯に発着信を試し、音声の遅延や途切れがないかを確認しましょう。電話対応が多い企業や、安定した通話環境を重視する企業は、光回線の利用も検討してみてください。
ホームルーターによってはクラウドPBXを利用できない
利用するホームルーターや回線の接続方式によっては、クラウドPBXを利用できないことがあります。
クラウドPBXはインターネットを通じて発着信や音声データのやり取りを行うため、ホームルーター側で必要な通信が制限されていると、正常に利用できません。また、スマホアプリは利用できても、IP電話機やアナログ変換アダプタには対応していないなど、使用する端末によって対応状況が異なることもあります。
例えば、03plusは、SoftBank AirやNUROモバイルのHOME Wi-Fiでは利用できません。また、V6プラス(MAP-E)やIPv6(クロスパス)などの接続環境でも、正常に利用できないことがあります。専用IP電話機やアナログ変換アダプタを使う場合は、ルーターやファイアウォール側の設定が必要になることもあります。
導入前に、利用予定のホームルーターや回線、接続方式、使用する電話端末がクラウドPBXに対応しているか、サービス提供事業者へ確認しましょう。対応していない場合は、ルーターの設定変更や機種変更、インターネット回線の変更を検討しましょう。
まとめ
今回は、ホームルーターで会社の固定電話を使う方法やメリット、注意点について解説しました。
ホームルーターは、モバイル回線を利用してインターネット環境を構築する据え置き型の通信機器です。単体では固定電話を利用できませんが、クラウドPBXやIP電話機、アナログ変換アダプタなどを組み合わせることで、会社用の電話環境を構築できます。
ただし、ホームルーターは電波状況や回線の混雑状況によって通信が不安定になることがあります。固定電話の通話品質や安定性を重視する企業は、光回線を引いたうえでクラウドPBXを利用するほうが適しています。
一方、ホームルーターはインターネット回線工事が不要で、電話環境を短期間で整えられる点がメリットです。レイアウト変更やオフィス移転にも対応しやすいため、スタートアップや中小企業、開設したばかりの拠点など、導入の手軽さや柔軟性を重視する場合には有力な選択肢となります。
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