衛星電話を比較|ワイドスター・イリジウムなどの違いとStarlink+IP電話で会社電話を使う方法

衛星電話を比較する際は、利用できるエリアや端末の携帯性、料金、データ通信への対応状況などを確認することが大切です。

衛星電話は、携帯電話の電波が届かない山間部や海上、通信インフラが整っていない地域でも利用でき、災害時のBCP対策としても活用されています。一方で、サービスによって特徴が大きく異なるため、利用する場所や目的に合ったものを選ぶ必要があります。

本記事では、ワイドスターIII・イリジウム Extreme・インマルサット IsatPhone 2を比較し、それぞれの特徴や活用場面を解説します。あわせて、Starlink+03plusで衛星を活用した電話環境を構築する方法についても紹介します。

衛星電話とは?

衛星電話とは、人工衛星を経由して音声通話などを行う通信サービスです。

携帯電話は、端末から地上の基地局へ電波を送り、通信事業者のネットワークを通じて相手と接続します。

一方、衛星電話は専用端末から上空の人工衛星へ直接電波を送ります。人工衛星に届いた信号は、地上局や通信ネットワークなどを経由して相手の電話へ届けられる仕組みです。

衛星電話は、地上の基地局に依存しないため、携帯電話の電波が届かない山間部や海上、建設現場などでも通信できます。また、災害によって基地局や地上の通信網が被災した際にも連絡手段を確保しやすく、企業や自治体のBCP対策としても活用されています。

ただし、衛星と通信する必要があるため、建物や山などで空が遮られる場所ではつながりにくくなることがあります。また、利用可能エリアや端末、料金などはサービスによって異なるため、用途に合わせて比較することが大切です。

主な衛星電話サービスを比較

衛星電話には複数のサービスがあり、利用できるエリアや端末の携帯性、データ通信への対応状況などが異なります。

代表的な衛星電話サービスである「ワイドスターIII」「イリジウム Extreme」「インマルサット IsatPhone 2」を比較すると、以下の通りです。

比較項目ワイドスターIIIイリジウム Extremeインマルサット IsatPhone 2
利用可能エリア日本全土(一部離島を除く)・沿岸約200海里※全世界極域を除く全世界
端末可搬型・設置型携帯型携帯型
音声通話○○○
データ通信○○×
携帯性可搬型:約1,163g約247g約318g
月額基本料金10,450円(税込)~11,600円(免税)~要問い合わせ
向いている用途国内のBCP対策、山間部・工事現場、船舶など海外、山間部、海上など幅広い地域での利用BCP対策、海外・遠隔地での利用など

※可搬型端末を内蔵アンテナで利用する場合は、主要4島と一部離島がカバー範囲です。

以下、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

ワイドスターIII

ワイドスターIIIは、NTTドコモが提供する国内向けの衛星電話サービスです。日本全土(一部離島を除く)と沿岸約200海里をサービスエリアとしています。

端末は、持ち運んで利用できる可搬型と、車両や船舶、建物などに設置して利用できる設置型の2種類です。音声通話に加えてデータ通信にも対応しており、可搬型は上り最大250Kbps・下り最大1.5Mbps、設置型は上り最大1Mbps・下り最大1.5Mbpsで通信できます。

携帯電話がつながりにくい山間部や離島、工事現場、海上などで利用できるほか、災害によって地上の通信インフラが使えなくなった際の連絡手段としても活用できます。

そのため、国内でのBCP対策を重視する官公庁・自治体・企業や、山間部・建設現場・船舶などで通信手段を確保したい事業者に向いています。

イリジウム Extreme

イリジウム Extremeは、極地を含む全世界をカバーする衛星電話サービスです。上空約780kmを周回する66機の衛星を利用しており、海外や山間部、海上など幅広い地域で通信できます。

端末は約247gと小型・軽量で、持ち運びやすい点が特徴です。音声通話に加えてSMSやデータ通信にも対応しているため、携帯電話の電波が届かない場所での連絡手段として活用できます。

また、災害時や大規模な通信障害が発生した際の連絡手段としても利用できます。海外での業務をはじめ、山間部や工事現場、海上など、場所を問わず衛星電話を持ち運んで利用したい企業に向いています。

ただし、海外では国によって衛星電話の持ち込みや利用に制限があるため、利用予定国の規制を事前に確認する必要があります。

インマルサット IsatPhone 2

インマルサット IsatPhone 2は、極域を除く世界各地で利用できる衛星電話です。

インマルサットは赤道上空約36,000kmにある静止衛星を利用しており、日本で使用する際は南側の空が開けた場所が適しています。IsatPhone 2では、音声通話のほか、SMSやGPS位置情報などを利用できます。

端末は約318gで、連続通話時間は最大約8時間、待受時間は最大約160時間です。また、防水・防じん性能や耐衝撃性も備えており、屋外での利用にも対応しています。

災害時のBCP対策をはじめ、海外や通信インフラが整っていない地域などで通信手段を確保したい企業に向いています。ただし、海外では国や地域によって衛星電話の利用に規制があるため、事前の確認が必要です。

衛星電話が活用される主な場面

衛星電話は、携帯電話の基地局が利用できない場所や、災害などによって地上の通信インフラが使えなくなった場面で活用されています。

ここからは、それぞれの活用場面について詳しく解説します。

災害時のBCP・緊急連絡

衛星電話は、地震や台風などの災害時に備えたBCP対策や緊急連絡手段として活用されています。

万が一大規模な災害が発生した場合、基地局や電話回線などの通信設備が被災し、固定電話や携帯電話の利用が困難になることがあります。衛星電話は人工衛星を経由して通信するため、地上の通信インフラが被災した状況でも連絡手段を確保しやすい点が特徴です。

そのため、災害時に社員や各拠点の状況を確認したり、対策本部と連絡を取ったりするための予備回線として利用できます。自治体や官公庁、企業などでもBCP対策の一環として導入されています。

携帯電話が圏外になる山間部・工事現場

衛星電話は、携帯電話の基地局から電波が届きにくい山間部や工事現場でも活用されています。

山間部や河川周辺などでは、場所によって携帯電話が圏外になり、現場と事務所や本部との連絡が難しくなることがあります。衛星電話であれば、人工衛星と通信できる環境を確保することで、地上の基地局がない場所でも通話できます。

そのため、山間部での建設・土木工事やインフラ点検など、通常の携帯電話だけでは通信手段を確保しにくい現場での連絡手段として利用できます。

船舶・海上での通信

衛星電話は、携帯電話の電波が届きにくい船舶や海上での通信手段として活用されています。

陸地から離れた海上では、地上に設置された携帯電話の基地局から電波が届かず、通常の携帯電話では通信できないことがあります。しかし衛星電話であれば、人工衛星と通信することで、携帯電話の圏外でも連絡手段を確保できます。

そのため、船舶から陸上の事務所や関係者へ連絡したり、航行中の緊急連絡手段を確保したりする目的で利用されています。ワイドスターIIIのように日本沿岸をカバーするサービスのほか、イリジウムのように世界各地の海上で利用できるサービスもあります。

通信インフラが整っていない地域

衛星電話は、固定電話や携帯電話などの通信インフラが十分に整っていない地域でも活用できます。

地上の通信設備が整備されていない地域では、通常の電話回線や携帯電話を利用できません。衛星電話は地上の基地局に依存せず人工衛星を経由して通信するため、対応エリア内で衛星と通信できる環境があれば連絡手段を確保できます。

そのため、離島や遠隔地をはじめ、通信設備を新たに整備することが難しい場所での業務連絡や緊急連絡手段として利用されています。

海外・遠隔地での業務

衛星電話は、海外や遠隔地での業務にも活用されています。

海外では、滞在先や作業地域によって携帯電話の通信環境が十分に整っていないことがあります。しかし衛星電話であれば、サービスの対応エリア内で衛星と通信できる環境を確保することで、現地の携帯電話網に依存せず連絡手段を確保できます。

そのため、海外出張や海外拠点での業務をはじめ、鉱山・資源開発、調査活動など、都市部から離れた地域で業務を行う際の通信手段として活用できます。

ただし、国によっては衛星電話の持ち込みや利用に制限があります。海外で利用する場合は、渡航先の規制や利用条件を事前に確認しておくことが大切です。

「Starlink+03plus」で衛星を使った電話環境を構築できる

衛星を利用した電話環境を構築する方法として、衛星インターネットサービス「Starlink」とクラウド電話サービス「03plus」を組み合わせる方法もあります。

Starlinkは人工衛星を利用してインターネットに接続するサービスであり、衛星電話そのものではありません。03plusと組み合わせることで、Starlinkの通信環境を活用した電話環境を構築できます。

ここからは、Starlink+03plusの仕組みやメリット、衛星電話との違いについて詳しく解説します。

Starlink+03plusとは?

Starlinkと03plusを組み合わせることで、衛星インターネット回線を利用した電話環境を構築できます。

Starlinkとは、SpaceXが提供する衛星インターネットサービスです。地球の低軌道を周回する多数の人工衛星を利用し、地上の通信回線が整っていない場所でもインターネットに接続できます。

一方、03plusは、インターネット回線を利用して会社番号で発着信できるクラウド電話サービスです。スマホやPCなどから固定電話番号を使って電話できます。

つまり、Starlinkが「インターネット回線」、03plusが「電話サービス」の役割を担う仕組みです。Starlink自体は衛星電話ではありませんが、両者の特性を組み合わせることで、衛星を活用した会社の電話環境を構築できます。

Starlink+03plusについて詳しくはこちら

Starlink+03plusのメリット

Starlink+03plusには、主に以下のメリットがあります。

・地上の通信インフラが使いにくい場所でも電話環境を構築できる

Starlinkでインターネットに接続できれば、携帯電話の電波が届きにくい山間部や海上、建設現場などでも、03plusを利用して電話やクラウドFAXを使えます。

・電話回線の引き込み工事やPBXの設置が不要

Starlinkによるインターネット環境を用意し、スマホやPCで03plusを利用するため、固定電話回線を新たに引き込んだり、PBXを設置したりする必要がありません。

・従来の衛星電話より通話料を抑えやすい

03plusからの発信や03plus宛の通話は、通常のIP電話として利用できます。そのため、従来の衛星電話と比べて通話コストを抑えやすい点もメリットです。

・内線通話を0円で利用できる

03plusでは、同じ社内グループ間の内線通話を通話料0円で利用できます。Starlinkを利用する拠点と別のオフィスの双方で03plusを利用していれば、離れた場所にいる社員同士でも通話料をかけずに連絡できます。

・BCP対策として活用できる

災害によって光回線や電話回線が利用できなくなった際も、Starlinkの通信環境を確保できれば、電話やFAXの通信手段を用意できます。災害時の予備回線としても活用しやすい構成です。

衛星電話とStarlink+03plusの違いを比較

衛星電話とStarlink+03plusは、どちらも衛星を活用して電話環境を確保できますが、通信の仕組みや必要な機器、料金などが異なります。

主な違いを比較すると、以下の通りです。

比較項目衛星電話Starlink+03plus
通信の仕組み衛星電話端末から人工衛星へ直接接続Starlinkでインターネットに接続し、その回線上で03plusを利用
必要な機器専用の衛星電話端末Starlink設備、スマホ・PCなど
電話番号衛星電話サービスの電話番号固定電話番号・050番号
音声通話○○
データ通信サービスによって異なるStarlinkによる高速データ通信が可能
通話料比較的高額国内通話料と同等
利用条件衛星電話端末が衛星と通信できる環境が必要Starlinkでインターネットに接続できる環境と電源が必要
向いている用途緊急連絡、山間部・海上・遠隔地などでの通話手段電話に加えてインターネットやFAXなども利用したい現場

電話だけでなくインターネットを含めた業務環境を構築したい場合はStarlink+03plusがおすすめです。

Starlink+03plusで音声通話を利用する方法

Starlink+03plusで音声通話を利用する場合は、主に以下の手順で電話環境を構築します。

・Starlinkを契約・設置する

まずはStarlinkを契約し、アンテナやルーターなどの必要機器を設置します。設置後は、スマホやPCからStarlink経由でインターネットに接続できることを確認しましょう。

・03plusを申し込む

次に03plusを申し込み、利用する固定電話番号や050番号を用意します。現在使用している会社番号を引き継ぎたい場合は、番号ポータビリティを利用できるか確認しておきます。

・スマホやPCに03plusを設定する

スマホに03plusアプリをインストールするか、PCに03plusソフトフォンを設定し、契約時に発行されたIDでログインします。

・Starlink回線に接続して発着信を確認する

03plusを設定したスマホやPCをStarlinkのインターネット回線に接続し、会社番号で問題なく発着信できるか確認します。

以上の設定が完了すれば、Starlinkの衛星インターネット回線を利用して03plusで音声通話ができるようになります。なお、Starlinkの契約や機器の設置は03plusとは別に行う必要があります。

Starlink+03plusについて詳しくはこちら

まとめ

今回は、主な衛星電話サービスの違いや活用される場面、Starlink+03plusで衛星を活用した電話環境を構築する方法について解説しました。

衛星電話は、人工衛星を経由して通信するため、携帯電話の圏外や地上の通信インフラが利用できない場所でも連絡手段を確保できます。サービスによって利用可能エリアや端末、データ通信、料金などが異なるため、利用する場所や目的に合わせて比較することが大切です。

また、衛星を活用した電話環境を構築する方法として、Starlinkと03plusを組み合わせる選択肢もあります。Starlinkでインターネット回線を確保し、その回線上で03plusを利用することで、会社番号による発着信や内線通話、FAXなどを利用できます。

災害時のBCP対策や山間部・海上・遠隔地などで会社の電話環境を確保したい方は、ぜひStarlink+03plusの導入をご検討ください。

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