インターネットが普及し1人1台スマホを持つのが当たり前になってきましたが、今もなおアナログ固定電話を利用している企業は少なくありません。しかしビジネスに効率化が求められる現代において、「使い勝手の悪さ」や「通話コストの割高さ」を感じている方も多いのではないでしょうか。
業務効率化や通話コスト削減を目指すなら、クラウドPBXの導入がおすすめです。
今回はクラウドPBXで本当に通話料が安くなるのか、通話料以外のお得なポイント、クラウドPBXを選ぶ際のポイントなどを解説します。
なお、本記事では通話料にフォーカスして解説しますが、クラウドPBXの全体的な料金体系については以下の記事でも紹介しています。
通話料のほかに必要となる「初期費用」「月額費用」や「オプション費用」について詳しくまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
目次
クラウドPBXとは
クラウドPBXはクラウド上に主装置を設置したPBXです。内線・外線・転送機能を利用でき、柔軟性・拡張性・利便性が高いためビジネスに有用なサービスとなります。
クラウドPBXでは従来型のPBXのように、主装置を物理的に設置しません。機器購入や工事の必要はありませんので費用・工数も少なく、導入ハードルは高くありません。
また、従来のPBXと異なり、アナログ回線ではなくインターネット回線をクラウドPBXでは使用します。インターネット環境さえあれば、アプリをインストールしたスマホやPCで通話が可能です。外出先でも会社番号を使って発着信できることがクラウドPBXの特徴です。
外線の発着信と同様に内線通話もオフィス内外問わず行えます。外出先のスタッフや遠方の拠点と無料で内線通話ができるため、通話コストを抑えやすいことがクラウドPBXのメリットです。
クラウドPBXは通話料が格安?
クラウドPBXは従来のアナログ回線を使用するよりも通話料が安くなる傾向にあります。具体的にどのくらい通話料を抑えることができるのか解説します。
クラウドPBXと固定電話の通話料を比較
固定電話・ビジネスフォン | クラウドPBX | |
通話料 | 9.35円/3分 ※2024年1月のIP網移行後の料金 | 相場は8.8円/3分 |
両者の通話料を表にまとめるとこのようになります。
固定電話・ビジネスフォンは従来、電話相手との距離や電話をかける時間帯によって通話料金が大きく変動していましたが、現在は「IP網への移行」が完了し、距離や時間帯にかかわらず一律料金となっています。
同様にクラウドPBXも、相手との距離や時間帯にかかわらず一律料金です。料金は固定電話より若干安くなっています。
それぞれの通話料についてより詳しく見ていきましょう。
固定電話やビジネスフォンの通話料
固定電話やビジネスフォンは、従来はアナログ回線を使用していたため、距離や時間帯によって通話料が変動していましたが、現在はIP網へと移行されたため、以下のように、距離と時間帯によって料金が変わることがない通話料となっています。
固定電話から固定電話への発信(税込) | 全時間帯 |
全国一律 | 9.35円/3分 |
従来は以下のように、距離や時間帯によって通話料が変動していました。これは固定電話で通話する場合、遠距離になればなるほど経由する基地局が増え、その分だけ通話料も増加するためです。距離が近く、時間帯が深夜〜早朝であるほど通話料は安く、反対に距離が遠い相手に対して日中に電話をかけた場合は最も高くなっていました。
※IP網移行前 | 昼間 | 深夜・早朝 |
区域内 | 9.35円/3分 | 9.35円/4分 |
隣接~20km | 22円/90秒 | 22円/2分 |
20~60km | 33円/1分 | 22円/90秒 |
クラウドPBXの通話料
クラウドPBXの通話はインターネット回線を利用します。
クラウドPBXでは、音声がデジタルデータ化されてインターネット回線を伝って相手方に届きます。そしてデジタルからアナログ音声に復元されることで通話が可能となるのです。
アナログ回線のように経由する基地局がないため、IP網移行後の固定電話と同様に、基本的には距離に関わらず一律料金となります。
全時間帯 | |
全国一律 | 相場は 8.8円/3分 |
通話料金はクラウドPBXサービスによって多少異なりますが、「全国一律8.8円/3分」がおおよその相場となります。
IP網移行前のアナログ固定電話の通話料と比較してみましょう。
区域内の昼間の通話料はそこまで差はありませんが、距離が遠い相手の場合は金額の差が顕著になります。県外通話で100km以上離れた相手と3分間通話した場合、アナログ回線では704円かかります。
一方クラウドPBXは距離によって金額は変わらず、一律で3分8.8円です。なんとアナログ回線の80分の1の通話料でかけることが可能となるわけです。距離が遠い相手であっても、通話料を気にせずに電話を掛けられるというのは、クラウドPBXの大きな強みと言えるのではないでしょうか。
ちなみに固定電話回線のIP網移行後も、サービスや利用内容によっては3分当たりの通話料はクラウドPBXのほうがやや安い傾向にあります。
また、後述のようにクラウドPBXには独自の特徴も多くあるため、固定電話がIP網へと移行した後であっても、引き続き大きなメリットがあることに変わりはありません。
クラウドPBXはさまざまなシーンの通話が安い
前述の通り、クラウドPBXの通話料はアナログ回線に比べてもお得であることが多いですが、実はそれ以外にも、クラウドPBXでの通話がお得なシーンがあります。
以下では、クラウドPBXで通話料がお得になるさまざまなシーンを解説します。
スマホやPCも内線扱いで通話料無料
クラウドPBXは、各従業員が使うスマホやPCなどの端末同士の通話が内線扱いとなり、通話料が無料になります。
従来型のビジネスフォンでも内線通話を無料で行えます。ただし、アナログ回線であるため、主装置が設置されているオフィス内かつ、対応している電話機器同士でなければ内線通話ができません。そのため、外出先またはテレワーク中の社員と通話する際には、外線で行うしかありませんでした。
クラウドPBXの場合は、インターネット回線を利用でき、さまざまな端末で通話が可能です。そのため、オフィス内はもちろん外出先や自宅などから、スマホやPCを用いて内線通話を行えます。内線通話なので通話料は無料です。
複数端末で内線通話を行えることで、社内コミュニケーションの活性化と通話コストの削減を行えることは、クラウドPBXの大きなメリットです。
オフィス不在でも転送料金ゼロ
クラウドPBXならば、転送料金ゼロでオフィス外のスタッフが電話対応できます。
従来型のビジネスフォンの場合、オフィス内でしか会社宛の電話に出ることができず、外出中や自宅にいる際にスマホで受電するには、転送機能を利用するしかありません。転送を利用すれば外出先でも電話対応できるため便利である一方、転送料金が発生するため、コストがかかります。
クラウドPBXならば、外出先でもスマホで会社宛の電話に出られます。転送そのものが不要なので、転送料金もかかりません。
海外からの利用もお得に
クラウドPBXは海外でもお得に利用できます。
国内通話に比べて、国際通話は料金が高くなるのが一般的です。そのため、海外出張や海外に拠点がある場合、以前までは通話を必要最小限に抑えることが当たり前でした。
クラウドPBXを導入している場合、現地のインターネット環境さえ整っていれば、スマホなどの端末から会社番号を使って発着信可能です。海外にいても、国内にいるときと同じように顧客からの電話に対応できます。
もちろん、社員同士の通話は国内外問わず内線通話となり、無料で行えます。そのため、単発の海外出張はもちろん、海外拠点とのやり取りも無駄なコストをかけることなくスムーズに行えるわけです。
ただし、現地のインターネット環境が整っていない場合や、法令により通信が規制されている場合などは海外利用ができないので注意しましょう。事前に確認することをおすすめします。
サービスによっては「かけ放題」も提供されている
クラウドPBXサービスによっては、通話料がさらにお得になるオプションが提供されていることもあります。
例えば、クラウドPBXサービスの03plusは「10分かけ放題」というオプションサービスを提供しています。月額1,000円で加入できるオプションで、1通話10分以内であれば、何度でも通話料が無料になります。時間の短い通話を何度もするようなケースであれば、この10分かけ放題オプションの追加がおすすめです。月の通話コストを大幅に削減できます。
クラウドPBXは通話料以外の料金も安い!?内訳や相場を解説
クラウドPBXは通話料以外にかかる費用や料金をお得にできます。ここでは、初期費用・電話機購入費用・月額料金・オプション料金について、その内訳や一般的な相場について解説します。
初期費用
クラウドPBXは従来型のビジネスフォン環境を構築する場合と比べて、初期費用がとてもリーズナブルです。
スマホなどの端末にインストールするアプリ型のクラウドPBXの場合、サーバーの初期設定のみで利用を始められます。初期費用はベンダーによって異なりますが、1~5万円くらいが相場です。
従来型のビジネスフォンの場合、主装置の購入・設置が必要で、それぞれに費用がかかります。ケースにもよりますが40万円前後が目安となり、クラウドPBXの場合と比べると金額に大きな差があります。
このように、クラウドPBXは初期費用が従来のビジネスフォンと比べて、圧倒的にリーズナブルです。また、端末にアプリをインストールするだけなので、将来的にオフィスレイアウトの変更や人員の増減があった際にも、時間や費用をかけずに対応できる点も、大きなメリットです。
電話機の購入費用
クラウドPBXならば、電話機を新たに購入する必要がありません。
従来型のビジネスフォンの場合、主装置に対応している電話機を必要台数分購入する必要があります。端末にもよりますが、1台1~2万円程度かかりますので、10台用意するのであれば、10~20万円の費用がかかります。
一方、クラウドPBXは自社ですでに使っているスマホやPCをそのまま利用できます。すでに社用スマホを貸与している場合は、追加のコストなしに運用を開始できます。一方、新たに社員に社用スマホを貸与する場合にはコストがかかります。この場合はビジネスフォンよりも費用負担は大きくなってしまうでしょう。
ちなみに、スマホの購入費を抑えるために社員の個人スマホを利用する方法もあります。BYODと呼ばれる方法で、これなら端末の購入コストがかかりません。メリットも多い手法ですが、運用上の注意点もあるため、気になる方はこちらの記事でチェックしてみてください。
月額料金
クラウドPBXの月額料金はアカウント数によって変動します。
ベンダーにより料金体系はさまざまですが、一般的には基本料金が1,500~2,500円前後、アカウント料金が1,000円~1,500円前後が相場です。例えば、社員数10人の企業であれば、「基本料金1,500円+(10人×1,000円)=1万1,500円」の月額料金がかかる計算です。
ただし複数人で運用するために必要な機能(代表電話機能など)が別料金のサービスの場合は、単純に基本料金×人数の計算式に収まらないケースもあります。
月額料金には、クラウドPBXシステムのメンテナンス料金やアップデート料金などが含まれています。自社で主装置の保守管理を行う手間が省けることを考えれば、長期的にはお得といえます。
ただし、ベンダーやプランごとに基本料金が異なりますので、自社に適したサービスを選ぶことが大切です。
オプション料金
クラウドPBXの大きな特徴といえば、さまざまなオプションを追加できることです。便利な機能を持つオプションが多くありますが、追加すればそれだけ料金がかかります。
いくつかの人気のあるオプション機能や料金について見ていきましょう。
「通話録音」は顧客との通話を録音して後で確認できるオプションで、料金相場は2,000~3,000円前後です。
「電話会議」は接続された端末同士で通話を行い会議できる機能で、3,000円前後の料金がかかります。
「IVR(自動音声対応)」は、着信時に自動音声で応答を行い、着信を振り分けられる機能です。料金は1,500~3,000円前後が目安となります。
このように、クラウドPBXには業務を効率化できる便利なオプションがたくさんあります。社員の負担を減らしたい、業績をアップさせたいといった目的があれば、料金を確認した上で導入を検討してみましょう。コスト削減を実現したい、という場合であれば先に紹介した03plusの「10分かけ放題」もぜひご検討ください。月額1,000円で、通話料金を大幅に削減可能です。
自動応答のIVRシステムについて詳しくはこちら
IVR(自動音声応答)で利用できる機能とは?効果的な活用例やおすすめサービスを紹介
通話の自動録音についてはこちら
クラウドPBXの「通話録音機能」メリット徹底解説!おすすめツールも紹介
クラウドPBXサービス選びで押さえておきたいポイント
従来の固定電話と比べると、クラウドPBXは通話料に限らずさまざまな費用の削減を実現できる魅力的な選択肢です。ただ、実際に利用するクラウドPBXサービスを選定する段階では、通話料などのコスト面だけでなく、その他の要素も加味しながら自社に合ったサービスを選ぶ必要があります。
そこで続いては、クラウドPBXサービスを選ぶ際に、コスト面以外で必ずチェックしておきたいポイントをご紹介します。
利用できる電話番号
クラウドPBXサービスを選ぶ際は利用できる電話番号を必ず確認しましょう。
実はサービスによっては「東京03」などの市外局番が使えず、「050」しか使えない場合があります。050だから悪いというわけではありませんが、社会的信用という意味では市外局番に劣るのも事実です。というのも、050はしつこい営業電話に利用されることが多くあり、地域番号がないため「どこからかけてきたかわからない」という理由で敬遠されることがあるのです。
末永く利用したいと考えているであれば、市外局番付き電話番号を取得・利用できるサービスを選びましょう。
利用できるオプション
クラウドPBXは従来型のPBXで利用できた内線・外線・転送機能だけでなく、さまざまな機能を利用できます。オプションのほとんどは業務効率のアップやコスト削減などを実現できる機能であるため、どのようなものが提供されるのか必ず確認しましょう。
たとえば03plusではクラウド上でFAXデータを受送信できるクラウドFAXをオプションで追加可能です。大阪市でも導入され、ペーパーレス化や業務効率アップを実現しています。
このように、クラウドPBXでは便利・必要なオプションがあるサービスを選ぶことが大切です。
無料トライアルができるか
これまでご紹介したように、クラウドPBXは従来型のPBXと比べて利便性が高くリーズナブルです。しかし、音声品質はサービスごとにかなり差があります。また、インターネット環境によっても音質が左右されるため、導入後に「失敗した」と感じるケースも珍しくありません。
クラウドPBXサービスの中には無料トライアルができるところも多くあります。本格的な使い勝手は契約後でないとわかりませんが、音声品質を確認したいというのであれば、無料トライアルを利用してみても良いのではないでしょうか。
おすすめクラウドPBXサービス「03plus」
03plusは使い勝手が良くて機能面も申し分なく、リーズナブルに利用できるクラウドPBXです。
03plusでは主要46局の市外局番に対応しており、「東京03」「大阪06」から始まる電話番号を取得できます。つまり、固定電話番号をスマホで安く使えるわけです。
「ビジネスフォンからの移行で既存の電話番号を使いたい」という場合もご安心ください。03plusは番号ポータビリティに対応しているため、条件が合えば既存の固定電話番号をそのまま使えます。
「通話コストを抑えたい」という方はぜひ「10分かけ放題」オプションをご利用ください。1通話10分までの通話がすべて無料になります。オプション料金は1IDあたり月額1,000円、年払いプランならば半年間0円で利用可能です。短時間で発信通話回数が多いという場合はかなりのコストダウンが見込めます。
ほかにも、大阪市で導入実績のあるクラウドFAXも人気のオプションです。FAXデータをクラウド上で確認・送受信することができます。たとえば、スマホで撮影した画像をクラウドに送ってFAXデータに変換して送信する、といったことも可能です。大阪市ではクラウドFAX導入によりペーパーレス化や業務効率アップを実現しています。
03plusの料金は1IDあたり初期費用5,000円、月額1,280円とリーズナブルです。30ID以上ならお得なエンタープライズ版もあります。ぜひ導入をご検討ください。
まとめ
今回はクラウドPBXの通話料やお得なかけ放題などについて解説しました。
従来のPBXと比べて、クラウドPBXは導入が手軽であり費用も抑えることができます。それでいて、アナログPBXよりも豊富な機能を利用できます。ビジネスにおいて業務効率化やコストダウンが重要視される時代、クラウドPBXは確実に主流のシステムとなることでしょう。従来のPBXが老巧化してきた、より便利な電話環境を構築したい、通話コストを下げたいといった場合は、ぜひクラウドPBXへの移行をご検討ください。