ビジネスに効率化やスピード感が求められる時代、従来の電話環境では業務効率化に限界を感じる場面が多くなってきました。PBX環境を持つ企業でも老朽化などをきっかけに、クラウドPBXへの乗り換えを検討するケースが増えています。また、起業・開店で新たに電話環境の構築を検討している場合も、クラウドPBXでスタートすることがほとんどです。
ここで疑問に思うのが、「クラウドPBXではどんな電話番号が使えるのか」「既存電話番号をそのまま引き継ぎできるのか」ということではないでしょうか。
今回はクラウドPBXで利用できる電話番号の種類と既存電話番号をそのまま引き継ぐ条件・方法、おすすめのクラウドPBXサービスについて解説します。
目次
クラウドPBXとは
クラウドPBXは主装置をクラウド上に設置し、PBXの機能をインターネット上から利用できるサービスのことです。主装置を物理的に設置する必要がないため、機器購入や工事における費用・工数の削減を実現できます。
従来のPBXと異なり、インターネット回線を通じてアプリをインストールしたスマホやPCで通話できます。外出先でも会社番号宛の着信をスマホで出ることができ、折り返し電話も会社番号で行うことが可能です。
もちろん内線もオフィス内外を問わず利用でき、コストを抑えつついつでもどこでも利用できるのがクラウドPBXのメリットとなります。
また、Web電話帳やクラウドFAXなどクラウドならではの機能も使えて、業務改善・効率アップを実現できることも、クラウドPBXならば可能です。
クラウドPBXで利用できる電話番号とは?
クラウドPBXにはさまざまなサービスがあり、提供している事業者ごとに利用できる電話番号に違いがあります。
市外局番
一部のクラウドPBXサービスでは市外局番が利用できます。
市外局番は「0AB-J型」と言われ「東京03」や「大阪06」などから始まる電話番号です。電話番号に地域情報が入っているため、社会的信頼が高い番号でもあります。特に高齢者を中心に信頼されやすく「050」などと比べて初めてかける営業電話でも出てくれる可能性が高い傾向にあります。
従来の固定電話の場合、電話加入権を購入しなければ市外局番付きの電話番号を取得することはできませんでした。電話加入権は36,000円のコストがかかります。
一方クラウドPBXであれば、電話加入権を購入することなく市外局番付きの電話番号を持つことができます。
050番号
「050」はIP電話で発番される番号です。多くの事業者で発番できるため、IP電話と言えば050というイメージを持つ人も多いことでしょう。
050の電話番号はエリアに紐づいていないため、オフィスを移転したとしても継続して利用できるという特徴もあります。ただし、通信事業者を変更する際は電話番号が変わってしまいます。
また、この050番号は比較的容易に取得できることから、営業電話や迷惑電話などに利用されるケースもあります。そのため、市外局番と比べて信頼性が低い傾向にあります。
着信課金の番号(0120・0800)
着信課金の番号である「0120」や「0800」も利用できる場合があります。これらはコールセンターなどで利用されるケースが多いです。
このように、クラウドPBXではさまざまな種類の電話番号を取得・利用することが可能です。ただし、提供事業者やサービス・プラン内容によっては使用できる番号が限定されますので、事前に確認しておきましょう。
クラウドPBXではどのように電話番号を取得する?
クラウドPBXではクラウド上のサーバーにPBXが設置されインターネット回線を通じて内線・外線・転送といったビジネスフォン機能を利用することができます。インターネット回線を利用するとはいえ、クラウドPBXの利用には電話番号が必要です。
クラウドPBXの電話番号取得にはふたつのパターンがあります。
- クラウドPBXを申し込む際に、事業者経由で電話番号を新規に取得する
- もともと使っている電話番号をそのまま継続して利用する
前者の場合は、クラウドPBX利用開始と同時に新たな電話番号を持つことになります。利用者側で手続き等は必要なく、クラウドPBXサービスの事業者が代行で電話番号を取得します。
一方、後者の場合は、新規電話番号の取得ではなく既存電話番号の引継ぎという形になります。この場合は「番号ポータビリティ」の利用、または「ゲートウェイの設置」を行わなければなりません。「番号ポータビリティ」の方が便利ですが、利用には一定の条件を満たしている必要があります。
では、次章にて「新しく電話番号を取得するケース」「既存の電話番号をそのまま使うケース」について詳しくご紹介します。
新しく電話番号を取得するケース
起業・開店やエリアをまたいだ事務所移転といったケースではクラウドPBXの導入と同時に新しく電話番号を取得することになります。
このとき取得できる電話番号は、前述の通り
- 市外局番付き電話番号(0AB-J型)
- 050番号
- 着信課金番号(0120や0800)
となります。このうち市外局番付きの電話番号や着信課金の番号は、取得に対応しているクラウドPBXサービスでのみ取得ができるため注意が必要です。
基本的に大半のクラウドPBXサービスは050番号に対応していますが、市外局番のつかない電話番号のため、社会的信用という意味ではやや見劣りするかもしれません。
また、市外局番付きの電話番号に対応しているサービスを利用する場合、会社の所在地と異なるエリアの市外局番を取得することはできません。例えば、東京以外のエリアに拠点があるにもかかわらず、「東京03」の市外局番を取得することは不可能です。
全国すべての市外局番に対応しているわけではなく、取得できる市外局番は限られています。どの地域に対応しているかは、各クラウドPBXサービスによって異なりますので、あらかじめ確認しておきましょう。
たとえば「03plus」は全国主要46都市の市外局番を発番可能です。「信頼性が低いので050番号を避けたい」という場合は「03plus」などの市外局番が取得できるクラウドPBXサービスを選びましょう。
既存の電話番号をそのまま使うケース
起業や開店など新規で電話環境を構築する場合は新しい電話番号でも問題はありません。しかし、移転や元々あった電話環境からクラウドPBXへ変更したい場合、できればそのまま使っていた番号を利用したいものです。
このときに活用できるサービスが「番号ポータビリティ」です。番号ポータビリティによって既存の電話番号をそのまま利用することで、以下のようなメリットがあります。
- 顧客や取引先への周知が不要になる
- ホームページや名刺の変更が必要ない
- 既存の固定電話番号=市外局番がそのまま利用できる
ここでは既存の電話番号をそのままクラウドPBXで使う場合にはどのような方法があるのかご紹介します。
番号ポータビリティとは
それまで使っていたNTT発番の電話番号を、他の事業者に乗り換えた後も利用できる仕組みが番号ポータビリティです。番号ポータビリティを利用することで、クラウドPBXを新しく利用開始する場合でも、これまで使っていた電話番号をそのまま利用することができます。
スマートフォンで通信キャリアを乗り換えるときに、番号ポータビリティという仕組みについて聞いたことがある方も多いかもしれませんが、そちらと同じものです。
ちなみに、スマートフォンの番号ポータビリティは「MNP(Mobile Number Portability)」であるのに対して、固定電話向けの番号ポータビリティは「LNP(Local Number Portability)」と異なる呼称が使われます。
番号ポータビリティの条件
クラウドPBXでの番号ポータビリティは、所定の条件を満たしている場合のみ行うことができます。具体的な条件は以下のとおりです。
- NTT東日本/西日本の「加入電話」「ISDN電話」の新規契約時に取得した電話番号である
- 移転する場合、移転先が市外局番のエリア内である
- クラウドPBXが番号ポータビリティに対応している
これらの条件を満たしていれば、NTT側とクラウドPBX事業者側に申請することで番号ポータビリティが可能です。不安な場合は、現在利用している通信事業者か、NTTへ問い合わせを行い、NTTで取得した番号かどうかを確認するとよいでしょう。
また、3点目に挙げたように、クラウドPBXサービス側が番号ポータビリティに対応しているかも重要です。クラウドPBXの中でも事業者によって対応の可否が異なりますので、事前にしっかりチェックしておくことをおすすめします。
ちなみに、「050」で始まるIP電話の電話番号を利用している場合は、番号ポータビリティは利用できませんのでご注意ください。
ゲートウェイを使用して電話番号を引き継ぐケース
番号ポータビリティ以外にも既存電話番号を引き継ぐ方法はあります。それはゲートウェイを使用した方法です。
ゲートウェイとは簡単に言うと、異なるネットワーク同士をつなぐ橋渡し的な機器のことです。アナログ電話網とIP電話網をつなぐ場合は「VoIPゲートウェイ」というものを利用します。
ゲートウェイを利用すれば、インターネット回線のクラウドPBXを、アナログ回線を残したまま利用できます。もちろん、アナログ回線が残っているため電話番号をそのまま利用可能です。ただし、ゲートウェイ機器を設置する必要があるため導入コストがかかります。また、クラウドPBXとアナログ回線それぞれの費用を毎月支払うためランニングコストも増大することを覚えておきましょう。
おすすめの移行方法は?
番号ポータビリティでもVoIPゲートウェイを設置しても、クラウドPBXで既存番号をそのまま利用することができます。ただし、ゲートウェイの場合はクラウドPBXの費用だけでなく、機器の購入に加えて毎月アナログ回線費用が必要です。つまり、2重に通信コストがかかるわけです。
「条件が合わず番号ポータビリティができないがどうしても既存番号を使いたい」というケースを除いて、VoIPゲートウェイはあまりおすすめできません。可能であれば番号ポータビリティで移行し既存番号を使えるようにしましょう。
電話番号を引き継げるクラウドPBXサービス
既存の電話番号をそのまま使いたい場合、移行条件を満たしているならばコスト面で考えて番号ポータビリティがおすすめです。ただし、クラウドPBX提供事業者によっては番号ポータビリティに対応していない場合もあります。
「電話番号を引き継げるPBXサービスを知りたい」という方のために、おすすめのクラウドPBXサービス「03plus」について解説します。
03plus
「03plus」は番号ポータビリティに対応しているクラウドPBXです。先ほどご紹介した、
- NTT東日本/西日本の一般加入電話である
- ISDN電話で取得した電話番号である
- 移転する場合、移転先が市外局番のエリア内である
という条件に合っていれば番号ポータビリティにより既存電話番号をそのまま利用できます。会社HPや名刺、登記変更などの手間をかけたくない場合におすすめです。
「03plus」は番号ポータビリティができることはもちろん、新規でも市外局番を取得できます。「東京03」「大阪06」といった全国主要46都市の市外局番を取得できるため、顧客からの信頼度も高めやすいでしょう。ただし、申し込み住所が提供エリア外の場合は市外局番が取得できず「050」発番となります。
他にも「03plus」ならではのサービスはたくさんあります。短時間で何度も電話する機会がある場合は「10分かけ放題」がおすすめです。こちらは1通話10分以内であれば何度でも無料になるサービスで、月額1,000円でオプション追加できます。短時間であっても何度も通話すれば毎月の通話コストは増大するものです。通話料を安く抑えたい場合はぜひご検討ください。
「Web電話帳」はクラウド上でリアルタイムに連絡先を閲覧・編集できる機能です。大切な顧客の連絡先を社内で共有できるため、業務効率化を図ることができます。また、データはスマホのローカル保存ではなく、クラウド上に保管されます。そのため、スマホ紛失・盗難やスタッフの退職などの際に、個人情報が漏洩するリスクがありません。社内の情報共有や情報漏洩リスクを避けるためにも、ぜひWeb電話帳の利用をご検討ください。
「クラウドFAX」もおすすめのオプションです。スマホやPCからクラウド上で送受信されたFAXデータを確認することができ、必要なデータのみアウトプット可能。スマホで撮影した画像データをFAXデータ化して取引先に送信することもできます。外出先でもFAX業務を行うことができ、印刷を最低限に抑えることができるためコストダウン・業務効率化を図れます。大阪市でも導入され、ペーパーレス化を実現しました。
1ID初期費用5,000円、月額料金1,280円から利用でき、30ID以上ならばエンタープライズ版をご用意しています。スモールスタートでき将来の拡張性も十分な03plusをぜひご検討ください。
まとめ
クラウドPBXはインターネット回線を利用するサービスですが、電話番号も必要となります。サービス利用時には、クラウドPBX提供事業者が新規で電話番号を取得してくれるため、利用者側は特に何もしなくて大丈夫です。ただし、事業者によって取得できる電話番号に違いがあるため、「市外局番がいい」「050は避けたい」という希望がある場合は事前に確認しましょう。
また、「既存番号を使いたい」場合は番号ポータビリティやゲートウェイの利用で実現可能です。費用面から考えると番号ポータビリティの方がおすすめです。条件を確認の上で実行可能であれば番号ポータビリティを行いましょう。
03plusは全国主要46都市の市外局番を取得でき、番号ポータビリティにも対応しているクラウドPBXです。10分かけ放題などお得なオプションもありますので、ぜひご検討ください。