【徹底解説】ビジネスフォンとは?基礎知識・導入手順・費用まとめ

企業にとって電話は顧客対応の窓口であり、電話対応はなくてはならない業務です。そのため、より便利な機能を持つビジネスフォンを導入している企業がほとんどです。しかし、「ビジネスフォンって結局何なの?」「どうやって導入するの?」「費用はどれくらいかかる?」と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ビジネスフォンの基礎知識から導入手順、費用相場まで徹底解説していきます。

ビジネスフォンとは

ビジネスフォンとは、オフィスや業務用で便利に利用できる機能を備えた電話システムのことです。ビジネスフォンを利用するには、固定電話機本体だけではなく、主装置と呼ばれる小型の装置が必要になります。主装置はPBXとも呼ばれ、外線や内線通話をつないで制御する小型の交換機のことです。

ビジネスフォンの機能は、この主装置をオフィス内に設置し、配線によって複数の固定電話機とつなぎ、ビジネスフォン環境を構築することで利用できるようになります。固定電話機は主装置によって制御されるため、主装置が故障した際にはつながっている全ての固定電話機も利用できなくなります。

一般的な家庭用固定電話との違い

一般的な家庭用固定電話とビジネスフォンではさまざまな違いがあります。

ビジネスフォンは電話回線と固定電話の間に主装置がありますが、家庭用の電話機は電話回線と直接つなぎます。主装置がないため、家庭用電話機で使える機能はとてもシンプルで、電話番号1つに対して1台の電話機によって発信・着信を行うことができます。ビジネスフォンの場合は主装置が複数の固定電話機を制御し、全ての端末で同じ電話番号で発着信を行えます。

また、ビジネスフォンの場合は、内線通話を行えますが、家庭用電話機ではできません。外部から着信を受けた際、ビジネスフォンなら担当者の電話に取り次ぐことができますが、家庭用電話の場合は取り次ぎの転送は不可です。

このように、一般的な家庭用固定電話とビジネスフォンではさまざまな違いがあります。

ビジネスフォンの種類

ビジネスフォンは主装置を設置することで、業務に活用できる幅広い電話機能を利用できます。電話端末と主装置の2つで構成されていますが、実は主装置には複数の種類があります。主装置の種類には「レガシーPBX」「IP-PBX」「クラウドPBX」の3種類があり、それぞれ異なる特徴がありますので、以下で解説していきます。

レガシーPBX

レガシーPBXとは、昔から使われてきた主装置です。オフィス内に設置し、固定電話機と配線でつなぐことで内線・外線・転送といったビジネスフォン機能を利用できるようにします。オフィス内に設置することから「オンプレミス型」とも言われます。

IP-PBX

IP-PBXはレガシーPBXと同様にオフィス内に設置する主装置です。ですが、レガシーPBXと異なり、電話回線ではなくインターネット回線を使用します。IP-PBXもオフィス内に設置する主装置なので「オンプレミス型」と呼ばれます。

クラウドPBX

クラウドPBXは、その名の通りクラウド型の主装置で、近年ではオンプレミス型から移行する企業が増えています。クラウドとは、インターネット上にてデータの保存・共有・管理を行えるようにしたサービスのことです。

クラウドPBXはオンプレミス型のレガシーPBXやIP-PBXと異なり、オフィス内ではなくインターネットのクラウド上に主装置を設置します。社内に主装置を設置することがないため、設置や配線のための工事が不要です。また、IP-PBXと同様にインターネット回線を利用して、内線・外線・転送といったビジネスフォン機能を使えるようにします。

クラウド上に主装置が設置されるため、インターネット環境さえあればどこからでも会社の代表番号を使って会社の電話システムを利用できます。他にも、保守管理が不要であるなどさまざまな特徴を持ちます。

ここからは、レガシーPBX=ビジネスフォンとして、その構成や申し込み方法などについて解説します。

ビジネスフォンの構成

ビジネスフォンは、複数の外線や内線を共有し制御する主装置と、複数の端末で構成されています。電話回線でつながるのは主装置のみです。

端末機は子機とも呼ばれ、固定電話機やコードレス電話機などが含まれます。

また、主装置はドアフォンや複合機とも接続でき、外線の共有・制御機能によりファックス送信やインターホン受付なども行えるようにします。

主装置とつながる端末は、全てが主装置によって制御されています。端末単体での利用ができないため、万が一主装置が故障してしまった場合は、全ての端末が利用できなくなります。

このように、ビジネスフォンは主装置を中心に構成され、電話に関する機能が全て制御されていると覚えておいてください。

以下では、ビジネスフォンを構成する主装置や子機についてより詳しく解説していきます。

主装置とは

主装置とは小型の交換機のことで、英語では「Private Branch Exchange(PBX)」と呼ばれます。内線番号の管理や外線の共有といった基本的な機能はもちろんですが、自動音声アナウンスやドアフォン機能といったオプションまで搭載されています。つまり、主装置はビジネスフォンにおける頭脳であり、主装置がなければビジネスフォンは機能しないわけです。

主装置にはサイズがあり、その大きさによって接続できる電話機の台数が異なります。最も小さいのはSサイズで、最大10台までの電話機を接続できます。小規模オフィスであれば十分すぎる機能性といえるでしょう。

レガシーPBXやIP-PBXなどのオンプレミス型は、この主装置をオフィス内に設置します。クラウドPBXについては、主装置がクラウド上に設置されて、ビジネスフォン機能を利用できるようにしています。

主装置の仕組み

ビジネスフォンの頭脳的な存在である主装置の仕組みは、NTT局舎内に設置されている電話交換機と同じです。過去には手作業で切り替え作業が行われ、発着信を制御していました。現在は自動化され、その小型版がビジネスフォンで使われている主装置というわけです。

主装置の中にはユニットと呼ばれる基盤が入っていて、その基盤によって主装置の機能や収容数を変えることができます。主装置のサイズによって収容できるユニットの数は決まっていて、規模によっては主装置のサイズをアップしなければなりません。ただし、主装置自体を増加させることで、ユニットをより多く収容できるようにすることは可能です。ユニットには、以下のようなものがあります。

・電源ユニット:主装置へ電力を取り込んで、各パーツに電力を供給するためのユニット。

・外線ユニット:アナログ回線、ISDN回線、光回線などの電話回線を収容するためのユニット。回線の種類ごとにユニットが異なるため、自社で使っている回線が変わる場合はユニットも変更または増設などを行う必要がある。

・内線ユニット:各電話機の内線接続や制御を行うユニット。ビジネスフォンの基本的な内線機能を担う。

・各種機能ユニット:ドアフォンや構内放送、その他各種機能を追加する場合、対応するユニットを挿入する。

主装置のメーカーや機種によって、ユニットの種類には違いがあります。電源・外線・内線ユニットはビジネスフォンの根幹にあたるため、どんな主装置にも備わっています。その他の各種機能のユニットについては、企業ごとに必要なものを事前に設定します。ユニットの組み合わせや接続する電話機の台数、ライセンスなどによってビジネスフォン全体の金額が大きく左右されます。

また、複数ユニットを挿せば多機能になりますが、常に多くのユニットが起動することになるため、動作不良を起こして基本機能である外線発着信や内線通話ができなくなるといった問題が生じることもあり、注意が必要です。

子機とは

「子機」というと、家庭用電話機のように電話回線とつながるメインの電話機を親機として、コードレスタイプを子機とイメージする方が多いのではないでしょうか。しかしビジネスフォンではそうではありません。ビジネスフォンにおいて子機とは、主装置につながっている電話端末全般を指します。この場合の親機とは、電話回線とつながり、ビジネスフォンの頭脳でもある主装置のことを指します。

電話機だけでなく、複合機やコードレス用のアンテナ、構内放送用のスピーカーなど、親機である主装置とつながる機器類全般を全て子機と言います。少しややこしいかもしれませんが、全ての中心である主装置を親機として、それ以外は全て子機であると考えればシンプルで分かりやすいのではないでしょうか。

ビジネスフォンの主な機能と使い方

ビジネスフォンには多くの機能があります。以下で、ビジネスフォンで主に使われている機能や使い方について解説します。

内線通話

内線通話とは、オフィス内の社員同士で通話を行う際に使う機能です。ビジネスフォンでは、主装置にて各電話機の内線番号が記録されており、手順通りにその番号にダイヤルすることで目的の電話機へ連絡できます。

小規模オフィスだとそれほど感じないかもしれませんが、規模が大きくなってくるとその恩恵を強く感じます。例えば、別の部署で離れた場所にいる社員に対してもスムーズに連絡をとれます。

また、内線通話はいくらかけても通話料がかからないことが大きな特徴です。内線通話を利用する機会が多いほど、このメリットの恩恵を感じやすいでしょう。

内線のかけ方や取り方はビジネスフォンの機種により若干異なります。一般的には以下の通りです。

・内線のかけ方:内線ボタンを押して連絡する固定電話番号を押す。相手が出たら通話を行う。

・内線の取り方:内線がかかってきたら受話器をあげる。または受話器をあげて内線ボタンを押す。

通常は内線と外線で着信音が異なりますので、使い分けてそれぞれにあった適切な対応ができるようにしておきましょう。

保留

保留とは、通話中に一時的に通話を保留する機能のことです。保留することで相手側にはメロディーが流れるため、こちらの話している声は聞こえなくなります。例えば、顧客からの問い合わせ内容について他の社員に確認する場合に活用します。

保留には「パーク保留」という特殊な保留機能もあります。これは、通話中にパーク保留を押すことで、設定した全ての電話機で保留中の通話を共有できるという機能です。パーク保留は設定したどの電話機からでも解除可能なので、保留後にそのまま取り次ぎすることもできます。社内に複数の担当者がいるケースや、複数グループに分かれているケースで活用できます。

転送

転送とは、外線からの着信を別の電話機に送る機能のことです。例えば、一次対応したものの問い合わせ内容に答えられる担当者が別にいる場合、その社員に取り次ぐ際に転送を利用します。

転送する場合は、転送ボタンまたはフックボタンを押します。転送ボタンはそのまま転送されますが、フックボタンはすぐに転送されずいったん保留状態になります。ケースに応じて使い分けましょう。

また、転送には内線転送と外線転送があります。内線転送は、取り次ぐ担当者が社内にいる場合に行う転送です。小規模オフィスであれば取り次ぐ相手が近くにいるので、保留ボタンを押して「外線◯番にお電話です」と口頭で伝えるだけでOKです。別の部屋に担当者がいる場合は転送ボタンを押した上で取次先の内線番号を押し、「◯◯様からお電話です」と伝えて受話器を置くことで転送完了となります。

外線転送とは、会社代表番号にかかってきた外線着信を、転送設定した携帯電話やスマホに転送する仕組みのことです。これはビジネスフォンの機能ではなく、電話回線側の転送サービスを利用することになります。

代表組み

代表組みとは、複数の回線をグループ化して1個の代表番号を設け、着信があった際に複数の電話機で同時に受電できるようにする機能のことです。ビジネスフォンの基本的な機能として多くの企業で使われています。

イメージとしては、名刺やホームページに書かれているような「(代03-1111-2222)」のような番号が代表番号です。ビジネスフォンで複数回線を使っているケースでも、この電話番号にかければ全ての電話機から出られるため、スムーズに一次対応できます。そのため、顧客からするとストレスが減ります。

また、複数回線使っていても発信時にはこの代表番号でかけることができるため、顧客は「あの会社からかかってきたのだな」と安心できます。

鳴り分け

鳴り分けとは、外線からの着信番号に応じて着信音を変更できる機能のことです。事前に設定して社員に周知しておけば、どこの部署にかかってきたのか着信音で分かるようになります。

例えば、同じフロアに複数の電話機があるとします。全部同じ着信音だとどの部署にかかってきた電話なのか判別しづらくなります。しかし、人事課は着信音A、営業は着信音Bと設定しておけば、どの部署の社員が出れば良いのか着信音で判別でき、担当者以外のコア業務を妨げることなくスムーズに電話対応できます。

ただし、ナンバーディスプレイなどのサービスに契約することが必要です。

自動音声応答

自動音声応答とは、外線からの着信時に、機械音声によりどのような内容で電話したのかを聞いて、その内容に合わせて着信先を振り分ける機能のことです。例えば、「◯◯の方は1を、△△の方は2を、その他の方は3を押してください」といった形で振り分けます。顧客側は、適切な部署にスムーズに取り次いでくれるためストレスを感じにくくなります。社員側も一次対応を自動音声に任せられる上に、適切な部署で対応できるようになるため、負担が減って業務効率を高めやすくなります。

従来はコールセンターで主に使われていたビジネスフォンの機能です。しかし、現在は多機能なクラウドPBXなどの導入が進んだこともあり、中小企業でも自動音声応答を活用して電話対応の負担軽減や業務効率化を図っています。

通話録音

通話録音とは、顧客との通話内容を録音する機能のことです。この機能を利用する場合、基本的に顧客との通話は全て録音されます。後から保存して聞き直したい内容だった場合、自動録音されているものを保存して聞き返すことができます。

通話録音機能を活用すれば、聞き逃しや聞き間違いといったミスを防ぎやすくなります。このようなミスがあると、後々クレームにつながることもあるため、電話業務が多い企業では導入して活用した方が良いでしょう。

また、コールセンターなどでは電話対応品質向上のために通話録音を行っています。保存した録音内容を評価し、オペレーターに改善点などを伝えて教育するためです。

リダイヤル

リダイヤル機能とは、着信履歴や発信履歴から電話番号を選び、電話番号をプッシュすることなく発信できる機能のことです。スマホでは当たり前のように使いますが、固定電話機でも使えます。業務上、かけ直しや折り返しなどの発信が多い企業では有用な機能です。都度電話帳から検索する必要がなくなるため、電話業務を効率化することができるでしょう。

ビジネスフォンでは、リダイヤルボタンや履歴ボタンが搭載されていることがあります。また、電話機の空いているボタンにリダイヤルや履歴ボタンを割り当てる場合もあるようです。

一般的なリダイヤル方法は以下の通りです。

・受話器を置いたままで、履歴からリダイヤルしたい電話番号を探す。

・リダイヤル番号が見つかったら外線ボタンを押して発信する。

ちなみに、履歴からはリダイヤル以外にも電話帳や着信拒否グループへも登録できます。

電話帳

ビジネスフォンにおいて汎用的で便利な機能、それは電話帳機能です。電話帳があれば、名刺の束や分厚い電話帳の中から顧客の連絡先を探す必要がなくなります。また、電話帳からそのまま発信できるためダイヤルする手間も省けます。

ビジネスフォンでは端末別電話帳と共有電話帳という2種類の電話帳が存在します。端末別電話帳は、電話機単体に登録されている電話帳のことです。社員が受け持っている顧客でよく電話をする場合に使用します。共有電話帳は、社員全員の電話機に電話番号情報を共有できる電話帳です。取引先企業など、社内全体で共有すべき電話番号がここに登録されます。クラウドPBXでは、WEB電話帳機能がこの共有電話帳機能にあたるものです。

電話帳の使い方はそれほど難しくありません。登録の場合は以下の流れで行います。

・電話帳ボタンを長押しする。

・端末別電話帳・共有電話帳のどちらに登録するかを選択する。

・名前・電話番号を入力する。

・グループ番号・メモリ番号を選択したら決定ボタンを押して登録完了。

電話帳から発信する場合は以下の通りです。

・電話帳ボタンを押す(長押しはしない)。

・名前・ふりがな・メモリ番号のいずれかを入力して決定ボタンを押す。

・番号を確認し、外線ボタンを押して発信する。

ビジネスフォンの導入方法

ビジネスフォンの導入方法には「新品の購入」「中古品の購入」「リース」「レンタル」の4種類があります。それぞれの方法にはどのような特徴やメリット・デメリットがあるのか、以下で解説します。

新品の購入

新品のビジネスフォンを一括で購入する方法です。一括購入すると、後述するリースよりも総額費用を安く抑えられます。リースには手数料が含まれていますが、一括購入であればその手数料がかからず、トータルで考えるとリーズナブルになるのです。

メンテナンスなどについては、ビジネスフォン業者でアフターサービスをしてくれるケースがありますので、リースするケースとさほど差はありません。長期的に見た場合は、手数料の分だけ費用面で大きなメリットがあるといえるでしょう。

しかし、ビジネスフォンの新品を購入する場合、初期費用がかなり高額になります。購入価格はもちろんですが、機器の搬入や設置・接続工事などに費用がかかってしまうためです。業者にもよりますが、自社から遠い業者の場合は出張費が上乗せになり、さらに費用がかかってしまう可能性もあります。事前に費用総額について確認しておきましょう。あまりに高額で、自社の経営に響くようであれば、その他の方法を選ぶことをおすすめします。

中古品の購入

ビジネスフォンを中古品で購入する方法もあります。全体的な費用を抑えたい、手数料を払いたくないといったケースに向いています。

中古ビジネスフォンは新品と比べれば圧倒的に安いのが特徴です。もちろん、リースやレンタルとは異なりビジネスフォンを「購入」していますので、手数料がかかることはありません。また、中古とはいってもビジネスフォンは企業で使われていたものですから、そこまで傷や汚れがないのが特徴です。もちろん、業者によっては状態が良いとはいえないものを用意することがありますが、信頼できる業者を選べば、使用感が明らかですぐに壊れるようなビジネスフォンを用意されることはほぼありません。中古品によっては、しっかりメンテナンスを行って新品に劣らない品質を保っていることもあります。機能性も新品のビジネスフォンとそこまで大きく変わることはありません。そもそも、内線・保留・転送などのビジネスフォンの基本的な機能は昔から使われているものであり、機種によって大幅に機能に差があるわけではないためです。

ただし、前述のとおり業者によってはビジネスフォンの品質が驚くほどに低いこともあります。電話は口元に近づけて使用するため、外側に汚れがあれば、きちんとメンテナンスされたものであるか不安になるだけでなく、内部クリーニングが行われていなければ早期故障につながります。そのため、中古品を購入する場合はより良い中古業者を見極めることが必要です。

リース

リースとは、リース会社が企業の希望するビジネスフォンを新品購入し、利用期間に合わせて貸し出す仕組みのことです。リース期間はリース会社や企業の希望によっても異なりますが、3~7年くらいの間で組まれることがほとんどです。企業はリース会社に一定額のリース料金を毎月支払います。

リースであれば新品を使えるため、機能性や安定性の面では安心感があります。それでいて、新品を一括購入するわけではないので初期費用を大幅に抑えられます。また、リース契約する場合、機器の所有権はリース会社にあります。そのため企業には固定資産税の支払い義務が生じません。さらに、リースの月額料金については、税務上で認められた期間であれば経費として処理できます。このように、初期費用や税務上のメリットがリースにはあります。

ただし、リースの場合は手数料が毎月の支払いに上乗せされます。利率はリース会社や契約期間によって異なりますが、2%程度多く支払うことになります。ビジネスフォンは決して安い金額ではありませんので、2%でもそれなりの支出となることでしょう。また、リース契約は期間満了まで解約できないのもデメリットです。やむを得ない場合は、違約金を支払った上で残ったリース料金の支払いや機器返却を行うことになります。

レンタル

ビジネスフォンの導入ではレンタルという方法もあります。レンタルはレンタル会社の中古のビジネスフォンを一定期間借りて使用するという仕組みで、リースと異なりいつでも解約できます。例えば、住宅展示場などで短期間だけビジネスフォンを利用したいというケースに向いています。お試しで使ってみたいという場合も良いかもしれません。もちろん、レンタル費用は経費として処理できますので税務上のメリットもあります。

ただし、月額料金はリースよりもレンタルの方が高額になります。これは、いつでも解約できるため、その分だけ手数料が高くなっているからです。また、リースはリース会社が購入した新品のビジネスフォンを使用できますが、レンタルの場合は中古品を利用することになります。機能面ではそこまで大きな差がないとはいえ、高額な月額料金を支払ってまで中古品を使うのは歯がゆさがあるのではないでしょうか。レンタルはあくまでもスポット利用で活用すると割り切った方が良いかもしれません。

ビジネスフォンを導入する際の流れ

ビジネスフォンを導入する際、一般的には以下のような流れで行います。業者によっても多少異なりますが、大まかな流れを掴むために参考にしてみてください。

・ステップ1:問い合わせ・ヒアリング

まずは、業者に電話やメールなどで問い合わせを行います。その際に担当者から必要なビジネスフォンの機能や予算、その他要望などを聞かれます。スムーズにヒアリングを進めるためにも、事前に自社にとってどのような機能が必要なのか、予算などについて洗い出しておきましょう。

ビジネスフォンの導入が初めてというケースであれば、担当者に聞きながら決めていっても良いでしょう。担当者に自社の業務内容やスタッフ数を伝えれば、適切な機能が搭載されたビジネスフォンを提案してくれるはずです。

初回の問い合わせ・ヒアリングで全てが決まるわけではありません。とりあえず話を聞いて形を決めたいという場合も、まずは問い合わせてみましょう。

・ステップ2:業者による現地調査

ヒアリング内容をもとに、担当者がオフィスに訪れて現在の利用状況や利用環境を確認します。確認の結果、問題なく工事ができるケースと、何らかの原因により希望している工事ができないケースがあります。その際は、ステップ1に戻り、再びプランを練り直していきます。

・ステップ3:見積もり確認と申し込み

ヒアリングによって最適なプランを組み、現地調査によって問題がないと判断されたら仮見積書が送られます。内容を確認して問題がなければ、正式な申し込みへと進みます。

申込時には、ビジネスフォン導入費用の支払い方法、機器の導入・設置工事の日取りを調整します。

・ステップ4:必要であれば電話回線の申し込みまたは乗り換え

必要であれば、NTTなどに電話回線の新規申し込み、または別の事業者に乗り換えることも可能です。ビジネスフォンの導入業者によっては、事業者と提携して回線申し込みをワンストップで行えることもありますので、必要であれば担当者に確認してみましょう。

・ステップ5:設置工事

申込時に調整した日程に合わせて、ビジネスフォンの設置工事を行います。設置工事当日は、自社社員の立ち会いが必要です。休日に工事を行う場合は、休日出勤することになりますので人員を手配しましょう。

工事自体は半日から1日で終了します。ビジネスフォンの初期設定も行うため、設置工事が終わればすぐにビジネスフォンを利用可能です。

ビジネスフォンを導入するメリット

ビジネスフォンを導入することで以下のようなメリットがあります。

・電話業務が効率化する

ビジネスフォンを導入すれば、会社代表番号を複数の電話機で使うことができます。

家庭用固定電話の場合、複数の着信があっても1つの機器でしか対応できません。しかし、ビジネスフォンであれば、回線が埋まらない限りは1つの電話番号に同時にかかってきても、顧客対応が可能です。発信についても同じで、複数の電話機から会社代表番号を使って同時に他の顧客に発信できます。

つまり、ビジネスフォンを導入すれば、受電の際には顧客を待たせることが減り、架電の際には社員それぞれがスムーズに取引を行えるようになります。その結果、電話業務の効率化に加えて、顧客にとっては待たされるストレスが減るため満足度を高めてもらいやすくなります。

・内線通話を行える

ビジネスフォンを導入すれば、電話機ごとに内線番号を設定できます。そのため、別の部署の社員にも簡単に用件を伝えることが可能です。社内コミュニケーションが活性化され、業務効率化につながることでしょう。

また、内線転送を使えるようになりますので、顧客からの電話を折り返すことなくスムーズに取り次ぐこともできます。

このように便利な内線通話を無料で使えることは、ビジネスフォンの大きなメリットといえるでしょう。

・通信コストを抑えられる

ビジネスフォンの導入は通信コスト削減にもつながります。

例えば、家庭用電話機を使う場合、電話機ごとにNTTなどとの回線契約をしなければなりません。電話機が3台あるとしたら通信コストも3倍かかるわけです。

しかしビジネスフォンであれば、複数の電話機で電話回線や電話番号を共有できます。そのため、電話機が3台あったとしても、通信コストは1台分で済みます。また、ビジネスフォンは内線通話もできますので、社内コミュニケーションを活発に行うケースでは通話料も抑えられます。

ビジネスフォンのデメリット・注意点

多くのメリットがあるビジネスフォンですが、以下のようなデメリットや注意点もあります。

・初期費用が高額である

ビジネスフォンは家庭用電話機にはない機能が豊富にあるため、初期費用もそれに応じて高額になります。例えば、購入費用として主装置は30万円程度、固定電話機は3万円程度かかります。さらに設置・配線工事費用も固定電話機の台数に応じてかかりますので、中規模の10台分のビジネスフォンだとしても70万円くらいかかります。小規模であっても30万円ほど、大企業の場合は初期費用だけで数百万円かかります。ビジネスフォンを導入する際には、見合った予算を組んでおくようにしましょう。

・同じメーカーでないと使用できない

意外と知られていないことですが、主装置に対応している電話機でないとビジネスフォンは基本的に動作しません。これは機器の仕様が異なることが理由です。ビジネスフォンを導入する場合は、必ず主装置と電話機が同じメーカーであることを確認しましょう。もし違うようであれば、買い替えが必要となりますのでご注意ください。

・台数の増減を柔軟に行えない

オンプレミス型のビジネスフォンは主装置によって接続できる台数の上限が決まっています。そのため、自社に設置する電話機をあらかじめ把握した上で、主装置を購入しなければなりません。

例えば、導入当初は規模が小さく少ない台数で良かったとしても、数年経ってから規模が大きくなれば台数を増やす必要があります。しかし上限に達している場合はそれ以上増やせないため、新たに主装置の購入と工事が必要となります。初期費用と同等の費用と時間がかかるため、これはなるべく避けたい事態です。

・社員が操作に慣れるのに時間がかかることがある

ビジネスフォンはシンプルな操作で利用できるのが特徴です。しかし、慣れないうちは押し間違えなどが多発することが予想されます。例えば、顧客からの電話を他の社員に転送しようとして切ってしまった、というミスはよくあることです。こうしたヒューマンエラーは笑い話で済まされず、大きな問題に発展することもあるため注意しましょう。

導入した場合や新入社員のために、マニュアルをビジネスフォンの近くに置いておくなどの対策をおすすめします。

ビジネスフォンの導入にかかる費用相場とは?

ビジネスフォンの導入にかかる費用はどれくらいなのでしょうか。以下では、大まかな費用相場について解説します。導入前のイメージを作るためにぜひご確認ください。

・電話機

電話機は新品・中古・リースでかかる費用や機能などの特徴が異なります。例えば、新品の場合は防犯センサーなどの高度な機能を搭載したものもあり高額です。中古はリーズナブルですが、最新機能が搭載されていないというデメリットがあります。しかし、ビジネスフォンの基本機能は最新モデルと変わりません。リースは月々の支払いとなるため初期費用を抑えられますが、支払総額が高くなります。

電話機1台あたりのおおよその費用相場は以下の通りです。

・新品:3万円程度

・中古:1万円程度

・リース:月額数千円程度(5年契約だと新品価格におよそ2%上乗せ)

・主装置

主装置は、ビジネスフォンを利用する際に必ず設置する機器です。機能性やサイズにもよりますが、単体価格は10~30万円くらいが一般的です。

・工事費用

ビジネスフォンを導入する際には必ず設置工事が必要です。主装置の設定費用・配線工事費用だけでなく、電話機の搬入・設置費用も必要です。状況により費用が変動しますが、目安としては電話機1台に対して1~2万円くらいかかると考えるとよいでしょう。例えば、10台の電話機を設置するのであれば、10~20万円くらいの工事費用がかかる計算です。ただし、業者によっては数十台規模での導入やリース契約の特典として、割引になることもあります。

ビジネスフォンの耐用年数は?買い替えの目安とは

ビジネスフォンは導入したら毎日使うものであり、使い続ければ機器は消耗していきます。故障してしまうと業務に大きな支障をきたすため、ビジネスフォンはメンテナンスとともに定期的な買い替えが必要です。

ビジネスフォンの耐用年数は法律により6年と定められています。6年は新品の場合の年数なので、中古品を購入した場合は計算方法が異なります。

ここで言う耐用年数は、固定資産を経済的に利用できる期間の目安のことであり、耐用年数が過ぎたからといってすぐに使えなくなるというわけではありません。実際に6年過ぎた後も使い続けることは可能です。メーカーや使い方にもよりますが、10年15年と使い続けている企業は意外と多くあります。

ただし、耐用年数を超えればメーカー保証が適用されなくなることも増えるため、6~10年程度で買い替えを検討しても良いのではないでしょうか。もし、ビジネスフォンを使っていて音声が途切れる、ノイズが入る、その他不具合を感じるようでしたら買い替えを検討しましょう。

ビジネスフォンの主な配線方法

ビジネスフォンの配線方法は3つあります。配線方法に対応したビジネスフォンや端末でないと増設時に利用できないため、注意しましょう。

・スター配線

主装置と端末を1本のケーブルでつなぐ方法です。それぞれの端末が個々に主装置とつながっているため、1つの電話機またはケーブルに異常が起きてもそのまま利用できます。また問題が発生している端末・ケーブルが分かりやすいです。ただし、ケーブル数が増えて配線が煩雑化することや、オフィスのスペースを圧迫するといったデメリットもあります。

・バス配線

各端末と主装置の間にいくつかのハブを経由させて分岐させる配線方法です。主装置につなぐケーブルを少なくできるため、省スペース化につながります。ただし、ハブが故障した場合はそれにつながる全ての電話機が利用できなくなります。

・LAN配線

IP-PBXで利用される配線方法です。LANケーブルで電話機に接続することで、電話回線が不要になり、スッキリします。

ビジネスフォンの増設は自分でできる?

ビジネスフォンの電話回線を増やしたい場合、費用を抑えるために「業者に頼まず自社で行いたい」と考えるケースもあるでしょう。自力で増設する場合、どのようなことを頭に入れておくべきか解説します。

増設時に確認すべきこと

まずは、主装置に空きがあるかどうか確認しましょう。主装置によって使用できる回線数が決められています。そのため、増設する前に主装置に回線数の枠があるのかどうかをチェックしましょう。もし空きがなければ、増設または主装置の入れ替えが必要です。主装置の対応回線数については、各機種のメーカーのホームページなどで確認できます。

また、ケースによっては主装置や電話回線の配線を増やしたり、取り回しを見直したりする必要があります。こちらについては難しくありませんが、オフィスレイアウトの変更が必要になることもあり、手間のかかる作業です。

増設に必要な工事

増設に必要となるのは「電話回線工事」と「ビジネスフォンの設定工事」です。電話回線は、現在使用している回線の種類によって工事内容が変わります。アナログ回線であれば、回線工事で銅線を増やします。光回線であれば、契約プランの見直しなどでそれほど大きな工事をする必要がないかもしれません。

増設する回線数に応じてビジネスフォンの設定も変更します。この工事については、有資格者のみしかできませんので、必ず業者に依頼しましょう。

ビジネスフォンを選ぶ際のポイントとは?

ビジネスフォンを選ぶ際には、自社にとって必要な機能があるかどうか、そして導入コストを確認しましょう。

ビジネスフォンは外線・内線・転送などの基本的な機能の他にも、さまざまな機能があります。ただし中古の電話機を利用する場合は、基本機能以外の機能はそこまで幅広く使えません。とはいえ、新品だと初期費用が高額になり、リースだと初期費用を抑えられるものの支払総額が高くなります。

費用対効果を考えつつ、新品・中古・リースどれにすべきか検討しましょう。

ビジネスフォンの主装置がクラウド上にあればさらに便利に

クラウドPBXであれば、ビジネスフォンの主装置がクラウド上にあるため、レガシーPBXと比べてより便利に活用できます。

レガシーPBXの最大の懸念点、それは初期費用が高くつくことです。クラウドPBXであれば、主装置の購入や設置・配線工事が不要になるため、初期費用を大幅に抑えられます。自社ですでに支給している端末、または社員個人のスマホ・PCをそのまま利用できますので、端末購入費用もかかりません。

またクラウドPBXは、社員数の増減や規模に合わせて柔軟に対応できます。レガシーPBXは主装置の設定や配線工事などが必要になるため、そう簡単に台数を増やせません。しかしクラウドPBXならば、特別な設定や工事は不要で、スマホから管理画面に入って契約台数を増やすだけで対応できます。しかも最短即日で対応できるため、スピーディーです。

他にも、クラウドPBXは外出先でもスマホを使って会社代表番号による発着信を行えますし、社外や離れた拠点間でも内線通話できます。レガシーPBXはオフィス内に縛られていましたが、クラウドPBXならば、いつでもどこでも場所の制限なく、社員に合わせた働き方を実現できます。

クラウドPBXなら「03plus」がおすすめ

クラウドPBXをお探しでしたら、「03plus」がおすすめです。「03」「06」を始め、全国主要46局の市外局番付き電話番号を取得できます。番号ポータビリティにも対応していますので、既存の市外局番付き電話番号をそのまま使いたいというケースにも対応可能です。

また、ビジネスに役立つ機能を豊富に取り揃えているのも03plusの特徴です。外線・内線・転送といったビジネスフォンの基本機能は、オフィス内外や場所を問わず利用できます。さらに、電話代行業者のように電話の一次対応を任せられる「留守レポ」、クラウド上に電話帳を保存してリアルタイムに共有できる「Web電話帳」、大阪市での導入実績がある「クラウドFAX」など業務改善に役立つ機能が盛りだくさんです。「通話コストを下げたい」という場合は「10分かけ放題」もおすすめです。1通話10分以内であれば通話料が無料になり、毎月の通話コストを大幅に削減できます。

操作画面は直感的で分かりやすくシンプル、導入はもちろん運用後のサポートも行っていますので、安心してご利用いただけます。クラウドPBXをお探しでしたら、ぜひ03plusをご検討ください。

03plus エンタープライズについて詳しくはこちら

まとめ

今回はビジネスフォンについて徹底解説しました。

企業にとって電話業務はなくてはならないものです。そのため、一般の家庭電話より多くの機能を持つビジネスフォンは役立つツールといえます。しかし、導入費用が高いことから、頭を悩ませている担当者の方も多いことでしょう。それならばクラウドPBXがおすすめです。レガシーPBX以上に多機能かつ利便性が高く、それでいて初期費用はほとんどかかりません。貴社の業務効率アップのためにも、ぜひ03plusをご検討ください。

電話回線一体型クラウドPBX 03plusエンタープライズ