起業・開店を予定している個人事業主の方で、電話環境を構築したいと考えているものの、「アナログ回線のPBXはコストが高くつく…」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。従来のPBXは導入コストが高く、配線工事などもあるため時間がかかります。
そこでおすすめなのがクラウドPBXです。コストや手間をかけずに導入でき、通話料金も全国一律でリーズナブルに利用できます。さらにビジネスに役立つ機能があるクラウドPBXもあるため、業務効率を高めたい個人事業主にも向いているサービスです。
今回は、個人事業主でもクラウドPBXを契約できるのか、クラウドPBXを契約するメリット、サービスを選ぶ際の注意点・ポイントを解説します。さらに、個人事業主におすすめのクラウドPBXサービスもご紹介します。
目次
クラウドPBXとは
クラウドPBXは、PBXの主装置をクラウド上に設置してビジネスフォン機能を利用するサービスです。
従来の固定電話回線の契約やPBXの設置とは異なり、初期費用が低く手間がかからないため、スムーズに導入できます。また、アナログ回線ではなくインターネット回線を使用するため、オフィス内だけでなく外出先でもスマホから会社代表番号を使って発着信できます。
さらに、ビジネスフォン機能以外にもさまざまな便利機能を搭載しているため、業務効率化やコスト削減などを実現できるのがクラウドPBXの特徴です。
個人事業主もクラウドPBXの契約が可能
基本的には個人事業主であってもクラウドPBXを契約することができます。
ただし、クラウドPBXはベンダーごとにサービス内容が大きく異なるため、最終的にはメーカーの規定によります。実際に契約を検討している場合は、各ベンダーに問い合わせましょう。
個人事業主がクラウドPBXを利用するメリット
クラウドPBXは従来のPBXとさまざまな点で異なっています。個人事業主がクラウドPBXを利用する場合どのようなメリットがあるのか、4つのポイントに絞って具体的にご紹介します。
導入が早い
クラウドPBXは短期間で導入することができます。
固定電話回線や従来のPBXは申込みから工事の日程調整、配線工事といった形でいくつかの段階を踏む必要があり、導入には時間がかかっていました。一方、クラウドPBXはクラウド上に主装置を設置するため工事は不要です。サービスを提供するベンダーにもよりますが、早ければ即日~2日程度で導入することができます。
個人事業主の場合、業務開始までにあまり手間をかけにくいことが多いため、短期間で導入できるクラウドPBXはメリットがあるサービスと言えるでしょう。
導入や利用にかかる費用が安い
クラウドPBXは初期費用が安く、ランニングコストも必要最低限に抑えることができます。
固定電話回線や従来のPBXの導入には、数万~数百万円のコストが必要です。また、PBXの場合、定期的なメンテナンスや故障時の修理・機器交換費用も必要です。アナログ回線を使用するため遠距離通話料金が高く、転送サービスなどオプションを追加するとランニングコストも高額になります。
一方、クラウドPBXはベンダーが管理するサーバーにPBXシステムを構築します。主装置の購入や設置・工事費用はかかりません。環境設定費用のみとなるため、導入費用は数千円~数万円程度で抑えられます。ベンダーによっては初期費用無料のケースもあります。
また、インターネット回線を使用するため通話料金は全国一律料金です。「03plus」の「10分かけ放題」のように、通話料がお得になるオプションもあるため、ランニングコストも低く抑えることもできます。
固定電話番号をスマホで使える
インターネット回線を使用するクラウドPBXは、スマホで固定電話番号を使って発着信することができます。
個人事業主の場合、プライベートのスマホをそのまま利用するケースが少なくありません。コストを抑えられるものの、仕事とプライベートを分けにくく、携帯電話番号のままでは顧客からの信頼を得にくいというデメリットがあります。
クラウドPBXならば、契約時に新たな電話番号を取得できます。「03plus」などのように市外局番つき番号を取得できるベンダーであれば、プライベートな携帯電話番号ではなく、信頼性の高い会社代表番号を利用可能です。しかも、アプリを導入したスマホであれば外出先でも会社代表番号で発着信できます。
便利な着信ルールを設定できる
クラウドPBXに搭載されている機能を活用すれば、便利な着信ルールを簡単に設定できます。ベンダーにより設定方法は多少異なりますが、「特定の日時は自動音声案内を流す」「着信の振り分け」など、業務内容に応じて設定可能です。
個人事業主の場合、一人または少人数で業務を行うことがほとんどです。24時間365日休みなく電話対応に追われてしまうと、他の業務に集中できません。鳴り分けや自動音声などを設定して業務の効率化を図れる点は大きなメリットです。
個人事業主がクラウドPBXサービスを比較するポイント
クラウドPBXを提供するベンダーはとても多く、サービス内容もそれぞれで全く異なります。そのため、どうやって選べばいいか悩まれる方も多いことでしょう。ここでは個人事業主がクラウドPBXサービスを選定する際に覚えておきたい比較ポイントをご紹介します。
契約の条件をチェック
クラウドPBXはベンダーごとに提供しているサービス内容が大きく異なります。そのため、契約前に必ず条件等をチェックしておきましょう。
例えば、ベンダーによっては最低利用回線数「5回線以上」のように条件が定められている場合があります。個人事業主の場合は、一人または少数で業務を行うため、必要ない回線数まで契約するのはコストの無駄になります。
個人事業主であれば、1回線からでも契約できるような小規模プランがあるベンダーがおすすめです。
搭載されている機能
従来の固定電話やアナログPBXは通話機能のみしか使えません。しかし、クラウドPBXはビジネスに役立つさまざまな機能があります。
基本搭載されている機能やオプション機能はベンダーごとに異なります。自動音声機能、自動録音機能、クラウド電話帳、ネットFAX、各種ITサービスやソフトとの連携など、さまざまです。まず、抱えている課題や必要としていることは何なのかを洗い出し、自社に必要な機能を搭載しているクラウドPBXを選ぶようにしましょう。
また、機能は必要最低限に絞ることも大切です。自社の業務に不要な機能ばかりあっても使うことはありませんし、無駄にコストがかかる可能性が高いためです。機能は後から追加できる場合もありますので、まずは必要なものだけに絞ることをおすすめします。
ベンダーによるサポート体制
電話は業種や会社の規模を問わず、ビジネスにおいて欠かせないツールです。そのため、何らかのトラブルが発生した場合にはすぐに対応することが大切です。そういった意味では、ベンダーのサポート体制もクラウドPBXを選ぶ際には重要なポイントとなることでしょう。
トラブルや不明点があった時にすぐ対応・回答してくれるか、アプリの更新は頻繁に行われているか、セキュリティ面は万全なのかなどは必ずチェックしましょう。確認する際はベンダーのホームページはもちろん、口コミなども合わせて見ることをおすすめします。特に利用者の声は、サポート体制のリアルな品質が分かりますので重要です。また、担当者の対応の善し悪しも見ておくと良いでしょう。
個人事業主がクラウドPBXサービスを利用する際の注意点
クラウドPBXは便利な電話サービスですが、実際に契約・利用する場合には気をつけるべきポイントもあります。個人事業主がクラウドPBXを利用する際の注意点を2つご紹介します。
セキュリティ対策
従来のPBXでは、主装置のメンテナンスや管理といったセキュリティ対策は自社で行う必要がありました。クラウドPBXの場合はシステムのメンテナンス・管理はベンダー側が行います。しかし、契約者である個人事業主側もセキュリティ対策は必要とされるので注意しましょう。
個人事業主がクラウドPBXを利用する場合、個人のスマホやパソコンを使用することがほとんどです。クラウドPBXシステムそのものはベンダー側が管理しますが、端末については契約者側が管理しなければなりません。セキュリティ対策を万全にしておかないと、ウイルス感染などにより、大切な顧客情報や機密事項の流出が発生する可能性があります。もしそのような事態が発生すれば、顧客からの信用を失ってしまいます。
クラウドPBXを利用する場合、使用端末のセキュリティ対策を万全にするよう心がけましょう。
既存の固定電話番号が引き継げるか
アナログ回線からクラウドPBXへ移行する場合は、既存の固定電話番号をそのまま使えるかどうかもポイントになります。
会社の電話番号は対外的な「顔」です。もし番号が変更になれば会社ホームページや名刺の記載も修正しなければなりませんし、顧客への周知も行う必要があります。それにはかなりの手間と費用がかかるため、できる限り避けるべきです。
「03plus」をはじめ、クラウドPBXのベンダーによっては番号ポータビリティに対応しており、既存の固定電話番号をそのまま引き継ぐことができます。番号ポータビリティには条件があるため、ベンダー側に引き継ぎできるかどうかを事前に確認しておきましょう。
個人事業主におすすめのクラウドPBXサービス
いまやクラウドPBXはさまざまなベンダーで提供されていて、どれを選んだらいいか迷うことでしょう。ここでは個人事業主や、スモールスタートしたい企業に向いているおすすめのクラウドPBXサービスを3つご紹介します。
03plus
「03plus」は1IDから契約でき、月額1,280円から利用できるクラウドPBXです。「東京03」や「大阪06」など全国主要46局の市外局番を取得できます。社会的に信用されやすい市外局番つき電話番号を使用したい場合は、おすすめのサービスです。番号ポータビリティに対応しているため、既存の固定電話番号をそのまま引き継ぎすることも可能です。
また、個人事業主に嬉しい通話コスト削減のサービスもあります。「10分かけ放題」オプションは月額1,000円で、1通話10分以内であれば通話料金が無料になるサービスです。毎日多くの顧客に電話をかける、毎回の通話時間は短い、そのような場合は大幅にコストを削減できることでしょう。
他にもクラウドFAXやWEB電話帳など、ビジネスに役立つ機能もあるため、個人事業主に使いやすいクラウドPBXと言えるでしょう。
ナイセンクラウド
「ナイセンクラウド」は1契約で月額2,000円から利用できるクラウドPBXです。「03」「06」「0120」を使用でき、番号ポータビリティにも対応しています。
留守番電話メールや対象・時間別のルール設定、電話会議やAPIによる外部サービス連携などを行えます。比較的リーズナブルな料金であり、個人事業主はもちろん、将来的に社員数を増やしていきたいがまずはスモールスタートしたいという方にもおすすめです。
clocall
「clocall(クラコール)」は1ユーザー月額980円から利用できるクラウドPBXです。サービス基本料金は月額最大4,900円で、6ユーザー以降は無料となるのが最大の特徴となります。使える番号は03を含むいくつかの市外局番や050、0120です。ただし、電話番号利用料として月額100~3,000円かかります。
搭載・オプション機能は電話業務に特化したもので、クラウドPBXを通話ツールとしてのみ使うのであれば十分と言えるかもしれません。スモールスタートして将来的に規模を大きくしたい個人事業主に向いているサービスです。
まとめ
今回は個人事業主にクラウドPBXはなぜおすすめなのか、その理由やメリットについて解説しました。
クラウドPBXは従来のPBXと異なり、コストや手間をかけずに導入することができます。そのため、資金力のない個人事業主にとっては導入しやすいサービスです。また、インターネット回線を使用するため通話料金も全国一律であり、ビジネスに便利な機能もあるため、コスト削減や業務効率化できる点も大きなメリットとなります。
ただし、クラウドPBXはベンダーによって提供される機能や契約内容が異なっています。契約時には自社に合ったサービス・契約内容なのかを確認することが失敗しないコツです。
クラウドPBXサービスは複数あり、「どれを選んだらいいか分からない」という場合は1IDから契約できて月額料金もリーズナブル、ビジネスに役立つ機能も搭載された「03plus」がおすすめです。契約台数は必要に応じて柔軟に増やせますので、将来的に規模拡大を目指す方にも向いています。