ビジネスにスピード感や柔軟な対応力が求められている昨今、クラウドPBXは注目を集めています。実際に導入している、導入を検討している企業は数多くあり、スタートアップ企業もクラウドPBXを活用するケースが増えています。
しかし、「クラウドPBXって何?」「サービスが多くてどれを選んだらいいかわからない」といった声も多くあります。
そこで今回は、クラウドPBXの特徴やメリット、クラウドPBXの選び方や導入時の注意点、そしておすすめのクラウドPBXサービス10社をご紹介していきます。
目次
クラウドPBXとは
クラウドPBXとは構内交換機(主装置)をクラウド上に設置して内線・外線・転送といった機能を利用できるようにするサービスです。
クラウドPBXの特徴
クラウドPBXは、従来の物理的な構内交換機を利用する場合とは異なり、クラウドならではのさまざまな特徴・メリットがあります。特におすすめの項目についてまとめました。
スマホで固定電話が利用できる
クラウドPBXはインターネット回線を使用しており、アプリを導入したスマホを用いてオフィス内だけでなく外出先でも会社の固定電話番号が利用できます。また、社内のメンバーに対しては電話料金のかからない内線での発着信が可能です。
スマホだけでなく、PC・タブレットなどの端末を利用できる点も特徴です。
導入コストが削減できる
従来のPBXはアナログ回線を使用し、オフィス内に主装置を設置して固定電話機とつなぐ必要があります。主装置の購入・設置工事・配線工事に費用がかかり導入コストは数十万~数百万円にものぼります。
一方、クラウドPBXはクラウド上に主装置を設置するため、設置コストを抑えることが可能です。さらに、工事不要であるため契約・申込みから導入までがスピーディーであることが特徴となります。
通話料の削減
クラウドPBXの通話料は、インターネット回線を使用するため距離に関わらず一律です。そのため、従来固定電話で遠方に電話をかけることが多かった企業の場合はクラウドPBXへの変更によって通話料金を抑えられる可能性があります。
さらに、前述のように外出先のスタッフや遠方の拠点への通話も「内線」で行えるため、社内コミュニケーションにおける通話コストも削減可能です。
業務効率化につながる
クラウドPBXは業務を便利にするさまざまなオプション機能を搭載しています。
たとえばクラウドPBXサービス「03plus」のオプション機能であるクラウドFAXは大阪市でも導入されており、コスト削減やペーパーレス化を実現しています。
テレワーク利用に向いている
クラウドPBXは個人のスマホでも利用でき、導入も手軽に行えます。会社の代表番号を複数人で共有できることから、オフィスに誰もいなくても外出先やテレワーク中のスタッフが電話対応できるのが強みです。
このように、クラウドPBXには他の電話システムにはないさまざまなメリットがあります。業務効率化やコスト削減を実現するなら、ぜひ導入を検討しましょう。
こんな会社はクラウドPBXがおすすめ
クラウドPBXはさまざまなメリットがあり、業務効率アップやコスト削減を果たせます。では、具体的にどのような企業が導入すると良いのでしょうか。以下で、クラウドPBXの導入がおすすめの会社について解説します。
拠点数が多い
拠点数が多い企業であれば、クラウドPBXの導入を検討しましょう。
従来のビジネスフォンの場合、主装置は拠点ごとに設置します。つまり、それぞれの拠点単位で電話環境が構築されるわけです。そのため、拠点間の通話は同じ会社でありながら、外線で行うしかありません。頻繁に連絡を取らなかったとしても、アナログ回線であれば距離が遠いと通話料金も割高になります。そのため、通話コストもそれなりにかかります。
クラウドPBXであれば、クラウド上に主装置を設置してインターネット回線を使って電話環境を構築できます。つまり複数の拠点があっても、まとめて一つの電話環境にできるわけです。そのため、離れた拠点同士であっても内線を利用でき、無料で通話できます。無料で通話できるようになれば、社内の情報共有や社員間のコミュニケーションはもっと活発化することでしょう。それでいて、通話コストは下げられますので、メリットばかりしかありません。
出張が多い
出張する社員が多いのであれば、クラウドPBXの導入がおすすめです。
従来のPBXの場合、オフィス内でしか会社代表番号を使った発着信ができません。出張中の社員はスマホで会社や顧客とやり取りするしかありません。これでは通話コストがかかります。
クラウドPBXを導入すれば、出張中の社員も会社代表番号を使って発着信できて便利です。例えば、出張中の社員宛の電話がかかってきた際に、会社側で一旦保留して、社員がスマホでそのまま出ることができます。電話対応がスムーズにできるため、顧客満足度も高まりやすいでしょう。また、前述の複数拠点の例のように、外出中の社員とのやり取りも内線で行える点もメリットです。
工場など敷地が広い
敷地が広いケースでもクラウドPBXは活躍します。
工場などで敷地が広いと、固定電話では限界があります。そのため、社員同士で連絡をする場合はスマホや構内PHSなどを利用するケースが少なくありません。しかし携帯電話では通話料が高くつきますし、PHSは公衆サービスが終了して需要が減少していることもあり、維持コストが高騰する可能性があります。
クラウドPBXであれば、インターネット環境さえあればどんなに離れていても社員同士で内線通話が可能です。また、会社宛にかかってきた電話にもスマホで対応できるため、わざわざ事務所にまで戻って電話に出る手間を省けます。このように、広い敷地のケースでもクラウドPBXはおすすめです。
在宅勤務者が多い
在宅勤務者が多いのであれば、ぜひクラウドPBXを導入しましょう。
従来のビジネスフォンの場合、会社代表番号を使えるのはオフィス内の固定電話だけです。そのため、在宅勤務している社員は電話対応できず、連絡が必要なときはメールや携帯電話番号で行うしかありません。これでは面倒でコストもかかりますし、社内勤務で電話対応に追われる社員からは不満の声があがることでしょう。
クラウドPBXであれば、在宅勤務中の社員もスマホで電話業務を行えるようになります。たとえオフィスに誰もいなかったとしても、スマホがあれば問題ありません。もちろん、社員同士の連絡は内線で行えますので、クラウドPBXを導入すれば在宅勤務であってもまるでオフィスにいるように働くことができるでしょう。
フリーアドレスを採用している
フリーアドレスを採用しているなら、ぜひクラウドPBXを導入しましょう。
従来のビジネスフォンは、固定電話機をアナログ回線でつながなければいけません。そのため、社員は決まった席について業務を行い、電話がきたら出るといった形を取るしかありませんでした。このままではとてもフリーアドレスを推進できません。
クラウドPBXならば、インターネット回線を使うので、いつでもどこでも電話対応できます。そのため、席を決める必要がなく、自由に移動できるようになります。邪魔な配線もなくなりますので、オフィス内をすっきりさせることもできるでしょう。クラウドPBXを導入すれば、部署を超えたコミュニケーションの活性化、省スペース化、業務効率アップなどフリーアドレスならではのメリットをしっかり享受できます。
人数や拠点の増減がある
電話を使用する人員の数が頻繁に変動するような場合にもクラウドPBXは向いています。クラウドPBXなら、管理画面から利用人数を設定するだけで、社内のユーザー数の増減が行えます。もちろん人数によって料金の変動はあるものの、従来のビジネスフォンなどとは違い、電話機を新しく購入したり、配線の工事を依頼したりする必要はありません。追加する社員が既に利用しているスマホやPCがあればOKです。
そのため、成長を続けている小規模な企業や、繁忙期と閑散期で電話対応に必要な人員の数が大きく変わるような企業において、クラウドPBXは最適といえるでしょう。
また、拠点や支店が増えた際にも柔軟に対応できるのもクラウドPBXのよいところです。拠点にインターネット回線がひかれていれば、設備面の準備は万端。新しい電話番号の取得も簡単に行えるので、あとはスタッフの端末にアプリをインストールするだけで使えます。
おすすめクラウドPBXサービス10選
便利なクラウドPBXですが、サービス提供する会社が数多くあり悩む方も多いことでしょう。ここではおすすめのクラウドPBXサービスをご紹介します。
03plus
「03plus」は株式会社グラントンが提供するクラウドPBXです。
「東京03」など主要46局の市外局番付き電話番号を取得できます。既存の固定電話番号も条件が合えば引き継ぎ可能です。
基本的なPBXの機能はもちろん、顧客の連絡先を一元管理できるWeb電話帳や、大阪市でも導入されているクラウドFAXなどの機能を利用可能です。また、「10分かけ放題」オプションに加入すれば、月額1,000円で1通話10分まで何度でも無料で通話することができます。通話コストを削減したい企業にとっては嬉しいオプションと言えるでしょう。
料金は1IDあたり初期費用5,000円、月額料金は1,280円です。30ID以上向けのエンタープライズ版もあります。個人事業主や小規模オフィスだけでなく、スタッフ数の多い企業にも対応できるのが魅力です。03plusについて詳しくはこちら
MOT TEL
「MOT TEL」は株式会社パルテックが提供しているクラウドPBXです。
スマホの内線化やソフトフォン利用といったクラウドPBXの基本的な機能はもちろんのこと、複数人が利用できる音声通話や勤怠管理機能などを無料で利用できます。また、iPad受付システムで担当スタッフの内線につながるシステムもあるなど多機能です。
料金は初期費用32,780円からで月額費用は4,378円からとなっています。
トビラフォン Cloud
「トビラフォン Cloud」はトビラシステムズ株式会社のクラウドPBXです。
内線・外線・転送といったクラウドPBXの基本機能はもちろん無料で利用できます。さらに、トビラフォン Cloudのアプリを利用している企業間であれば、外線通話も24時間無料であるため通話料金を抑えることが可能です。
通話録音やWeb電話帳機能など便利な機能も搭載されています。
料金は初期費用33,000円から、月額料金は3,300円からです。
BIZTEL ビジネスフォン
「BIZTEL ビジネスフォン」は株式会社リンクのクラウド型IPビジネスフォンです。
03・06・050・0120番号で発着信できナビダイヤル機能もあるなどビジネス利用に向いています。また、APIを利用して外部システムを連携することができ、拡張性が高い点も特徴です。
料金は初期費用55,000円からで月額料金は23,100円となっています。
ひかりクラウドPBX
「ひかりクラウドPBX」はNTTのクラウドPBXです。
代表番号発着信やグループ着信、鳴り分けや保留転送といったPBXならではの機能を利用できます。また、独自サービスである「まるらくオフィス」では導入から運用まですべてのサポートを行います。
料金はまるらくオフィスの場合は初期費用16,610円から、月額16,500円(10IDパック)です。さまざまなオプションがあるため料金は大きく増減する可能性があります。
モバビジ
「モバビジ」はクラウドテレコム株式会社のクラウドPBXです。
最大の特徴は「音声品質確保型サービス」である点です。データセンター網とNTTのNGN網が直結していて音声データがインターネット網を通らないため高品質を実現しています。クラウド電話帳やテキストチャットを利用できます。
料金は非公開となっていますので、お問い合わせください。
Arcstar Smart PBX
「Arcstar Smart PBX」はNTTコミュニケーションズのクラウドPBXです。
Web上で通話ログや利用チャネル数を確認できるなど、管理面で優れた機能を搭載しています。また、各種設定もWeb上で簡単に行える点も特徴です。
料金は工事費11,000、月額基本料金5,500円から、1IDにつき550円かかります。また、VoIP端末をレンタルする場合はレンタル料がかかります。
INNOVERA PBX
「INNOVERA PBX」のクラウドPBXサービスです。
基本的なPBX機能はもちろん、6ヶ月分の全通話録音を行うことができます。大切な内容を長期間保存したい場合に有用です。また、APIによりシステム連携ができ、緊急時に従業員全体に通知する一斉音声発報機能もあります。
料金は非公開ですので、お問い合わせください。
GoodLine
「GoodLine」は株式会社グッドリレーションズのクラウドPBXです。
PBXの機能に加えて通話録音や通話内容メモ、稼働状況通知など電話業務の管理に役立つ機能が豊富です。連携できるシステムも数多くあるため、自社に合わせた運用ができます。
2端末までの小規模プラン、3端末以上のスタンダードプラン、1席から導入できるコールセンター構築用プランから選ぶことができます。
小規模プランの場合は初期費用20,000円、月額費用3,000円です。
iスマートBiz
「iスマートBiz」は株式会社アイルネットのクラウドPBXです。
20年前からサービスを提供している老舗であり、災害時にも安定稼働した実績と信頼があります。自社運用できる専用サーバーと導入時はもちろん導入後も手厚いサポートがある共有サーバーの2タイプあります。
料金は非公開です。
クラウドPBXサービスの選び方
クラウドPBXサービスは数多くあるためどのサービスを導入すべきか迷ってしまうのも仕方ありません。ここでは自社に合ったクラウドPBXを選ぶために覚えておきたいポイントをご紹介します。
費用面で比較
クラウドPBXはまず費用面で比較しましょう。クラウドPBXの導入を検討する最大の理由はコスト削減であるためです。
クラウドPBXでかかる主な費用は初期費用と月額料金です。自社で必要な場合はオプション料金も確認しましょう。また、サービス提供会社によっては料金が非公開の場合もあります。その場合は資料請求・見積もり請求を行ってください。
料金を比較するとき、必ず自社で必要な回線数・ID数(ユーザー数)を大まかに決めておきましょう。
回線数とは、必要となる電話番号の数。ID数はアカウントの数です。例えば目的別に2つの電話番号を取得し、それをそれぞれ5人のメンバーで利用したい場合、回線は2つ、IDは合計10個となります。
クラウドPBX各社は、利用する回線数やID数に応じて費用が異なります。料金表を見て安いサービスと思っても、自社の回線数・ID数を当てはめると実は他のサービスよりも割高、といったことも十分にあり得ますので、料金比較をする際は回線数・ID数に注意しましょう。
通話品質で比較
電話業務で利用するわけですから、通話品質も重要なポイントとなります。
近年はどのクラウドPBXも安定した音声品質です。ただ、あまりに安いところやリーズナブルさだけを売りにしているところは注意した方がいいかもしれません。
無料トライアルできるサービスもありますので、試して検討してみましょう。
取得できる電話番号で比較
取得できる電話番号も重要なポイントです。企業にとって電話番号はひとつの顔であり、信頼の証にもなるためです。
たとえば、050しか取得できないようなサービスはできれば避けた方が良いでしょう。というのも、050番号はしつこい営業電話で利用されるケースが多くどこからかかってきたかわかりにくいため、高齢者を中心に信頼性が低いためです。03plusのように市外局番を取得できるサービスならば、どこからかかってきたかわかりやすく、安心されやすいでしょう。
また、アナログ固定電話からの乗り換えの場合は、番号ポータビリティできるサービスをおすすめします。番号が変わってしまうとHPや名刺の書き換えや顧客へお知らせする手間がかかります。たとえば03plusなら番号ポータビリティに対応していますのでおすすめです。
便利な機能で比較
クラウドPBXは基本のPBX機能だけでなく、業務効率をアップさせるさまざまな機能があります。選ぶ際には自社に合った機能があるかどうかを確認することが大切です。
たとえば03plusは顧客の連絡先をWeb上で一元管理できるWeb電話帳やクラウド上でFAXの送受信を行えるクラウドFAXなどの機能があります。特にクラウドFAXは大阪市でも導入され、ペーパーレス化や業務効率アップといった実績を出しています。
外部システムとの連携で比較
クラウドPBXは従来型のPBXと異なり、拡張性が高いことも特徴です。そのため、外部システムと連携できるかどうかも比較ポイントとなります。
ただし、クラウドPBXサービスにもよりますが、外部連携はサポート対象外となり運用に手間がかかる可能性もありますのでご注意ください。
セキュリティの面で比較
クラウドPBXを選ぶなら、セキュリティ面も比較しましょう。
インターネット回線を用いるクラウドPBXは、サイバー攻撃などのリスクがあります。もちろん、ほとんどのベンダーはそのことを理解していて、セキュリティ専門の部署を置いてしっかり対策を講じています。とはいえ、ベンダーごとにセキュリティにどれくらいの力をかけているかわからないのが現状です。
外から比較する場合は、自社でシステム開発をしているか、OSの更新に対応できているかなどがポイントになります。例えば03plusの場合は、専門のエンジニアがシステム開発をしていて、スマホのOS更新時もすぐに対応しているため、セキュリティリスクが低いのが特徴です。
サポート体制で比較
サポート体制もクラウドPBX選びでは重要なポイントです。
クラウドPBXは多機能ですが、それだけに年配の社員だと使い方がわからなくて困ってしまうかもしれません。また、自社の業務と相性の良い機能はどれなのか迷うということもあるでしょう。そうしたときに相談できて、すぐに解決できるかどうかは重要です。
導入時に設定や機能説明などのサポートはあるか、トラブル発生時にどのような対応があるのか、自社の業務とマッチする機能を提案してくれるか、などを事前に確認しましょう。ベンダーによっては、サポートが別料金になっていることもありますので、それも含めてチェックして比較しておきましょう。
クラウドPBXサービス導入時に注意すべきポイントとは?
クラウドPBXはアナログ固定電話や従来型のPBXと比べてさまざまな点で有用なサービスと言えます。業務効率アップやコスト削減を目指すならば、導入をぜひ検討すべきでしょう。
ですが、クラウドPBXならではのデメリットもいくつかあります。導入前に知っておきたい注意点をご紹介します。
利用するインターネット環境を整えておく
クラウドPBXは通話にインターネット回線を利用するため、導入の際には自社のインターネット環境を整えておきましょう。
クラウドPBXの通話品質はインターネット環境に大きく影響されます。自社の環境が良くない場合、複数人で同時接続した際に遅延や音質の低下が発生する可能性もあるでしょう。
また、外出先で利用する際には不安定な公衆WiFiを利用しないなどといったルールをスタッフ内で周知しておくことも大切です。
一部電話への発信ができない
クラウドPBXはアナログ電話と異なり特殊番号への発信ができません。発信者の位置情報を確認することができないことがその理由です。
たとえば、クラウドPBXサービスでは「110」「119」といった緊急通報にかけることができません。万が一何かあった場合は、携帯電話の音声回線を利用するようにしましょう。また、最寄りの警察署や消防署等の連絡先を追加しておくことも有効な対策です。
まとめ
今回はクラウドPBXの中でもおすすめのサービスをまとめてご紹介していきました。
インターネットが普及し一般化した現代において、アナログ回線は時代遅れになってきました。また、それに伴いビジネス環境も変化し、スピード感や柔軟な対応力なども求められる時代になっています。そうした背景から、多くの企業でクラウドPBX導入が検討されています。
現在あるクラウドPBXサービスはかなり多く、しかもサービスごとに特徴や料金が異なります。今回の記事を参考に自社のニーズに合ったクラウドPBXをお選びください。