
電話業務の効率化を実現するCTIシステムで近年注目されているのが「音声認識機能」です。通話内容を自動でテキスト化できる機能で、情報共有や研修などで活用されています。「音声認識って本当に便利?」「どんなものを選べば良い?」という疑問をお持ちの方もいることでしょう。
今回は、CTIの音声認識機能を利用するメリット、システムを選ぶ際のポイントや注意点について解説します。
目次 [非表示]
CTIの「音声認識機能」とは?
CTIの音声認識機能とは、通話内容を認識してテキスト化と保存を行う機能のことです。
CTIは、電話業務の効率化やオペレーターの負担軽減、対応品質の均一化や向上などを実現します。オペレーターや管理者はもちろん、顧客にとっても有益となる機能を利用できるため、コールセンターなど電話業務をメインに行う企業ではとても重要なツールです。
音声認識機能はそんなCTIシステムで利用できる機能の一つです。リアルタイムまたは録音データから音声を認識してテキスト化して保存できます。人が使う言葉を自然言語処理(NLP)という技術によってAIが分析・認識することでテキスト化を実現しています。
保存されたテキストデータはオペレーターや管理者で共有でき、改善点の発見やオペレーター教育などに活かせられます。
CTIの音声認識を利用するメリット
CTIの音声認識機能は比較的新しい機能であるため、どのような特徴を持っているのか分からない方も多いことでしょう。ここでは、音声認識機能を利用するメリットについて解説します。
通話内容を確認しやすい
音声認識機能を利用すれば、通話内容を確認しやすくなります。
コールセンターなどでは、対応品質を向上するために通話内容を録音し、それを後から聞き返してオペレーターにフィードバックします。また、録音は聞き逃しなども防げるためクレームや訴訟対策としても有効です。しかし、音声データは必要な箇所の特定に手間がかかり、聞き返しにも時間がかかるのがデメリットです。
音声認識機能によりテキストデータに変換されていれば、聞き返しの手間がかかりません。テキストならば、ざっと読んだりキーワードを検索したりすることで、必要な箇所を視覚的に簡単に見つけ出せます。そのため、通話内容の確認時間を短縮可能です。また、音声では聞き取りにくかった言葉も確認しやすくなります。そのため、聞き間違いを減らして、顧客との認識の齟齬も減らせるようになることでしょう。
対応内容の共有がしやすい
対応内容を共有しやすいのも音声認識機能のメリットです。
コールセンターではスムーズな顧客対応のために、顧客情報や事例などを共有することが必要です。しかし前述の通り、録音データだと聞き直すのに時間がかかります。そのため、せっかく録音してもその内容を社内で共有することが困難です。また、録音データから手入力でテキスト化して共有する場合、書き間違いや抜けなどにより伝達ミスが起こる可能性があります。
しかし、CTIの音声認識機能によってテキスト化されていれば、情報共有や引き継ぎもスムーズかつ正確に行うことが可能です。リアルタイムにテキスト化されれば速やかにオペレーター間で共有できますので、スムーズな取り次ぎもできることでしょう。管理者にとっても、状況把握しやすくなるため便利です。
研修に利用できる
音声認識機能によりテキスト化されたデータは、研修にも利用できます。
オペレーターの対応品質を向上させるためには、効果的な研修や育成を行うことが大切です。しかし、音声データはそのままだと教材として使いにくいものです。
音声認識機能でテキスト化すれば、可視化できるようになるため教材として活用しやすくなります。例えば、オペレーターごとにフィードバックする際にも、課題点をテキストで抽出しておけばオペレーターもそれを理解しやすくなるでしょう。研修の際にもテキスト化されていれば資料として配布しやすくなります。また、テキストを活かしてマニュアル作成も行いやすくなるでしょう。
このようなことから、音声認識機能の活用や、新人育成やオペレーターの対応品質の底上げなどに役立ちます。
データ分析に活用できる
音声認識機能は、データ分析にも活用可能です。
コールセンターには顧客からさまざまな問い合わせがきます。その内容は細かい部分では一人ひとり異なりますが、大きな視点で見ると一定の傾向を見いだせることもあります。その傾向を把握して分析することは、対応品質向上や業務効率化などに役立つものです。
音声認識機能を活用すれば、通話内容が可視化されることでそうしたデータ分析を容易に行えます。データ分析が効率よく行えれば、よくある問い合わせの傾向を見つけ出して、FAQに盛り込んで顧客の自己解決を促すことも可能です。また、顧客の隠れたニーズを発見できれば、新たな商品やサービスの開発にもつなげることができるでしょう。
コンプライアンスの強化につながる
CTIの音声認識機能は、コンプライアンス強化にも貢献します。
例えば、通話内容をテキスト化することで、「言った・言わない」のトラブルを防ぎ、適切な対応を維持できます。また、オーバートーク(過剰な説明や誤解を招く勧誘)を防ぐのにも役立ちます。営業やサポートの現場では、意図せず誇張表現を使ってしまうことが少なくありません。しかし、音声認識機能を活用すれば、適切な説明が行われているかを後から確認・指導できます。
このように、音声認識機能付きCTIは、コンプライアンス違反の早期発見・改善を実現し、顧客対応の透明性確保に役立ちます。特に金融・保険業界など厳格な法規制のもとで事業を進める業界においては、CTIの音声認識機能は不可欠な機能です。
音声認識機能付きのCTIを選ぶ際に注意すべきこと
音声認識機能は業務効率化やオペレーターの負担軽減などに役立つものです。そのため、音声認識機能付きのCTIシステムを提供しているところも増えています。「どのシステムを選べば良いか分からない」という方も多いことでしょう。
ここでは、音声認識機能付きCTIを選ぶ際の注意点を紹介します。
自社の課題の解決策となるか
まず、音声認識機能が自社の課題解決に必要かどうかを考えましょう。
音声認識機能は通話内容の確認や共有、研修やデータ分析への活用などさまざまなメリットがあるツールです。これを使いこなすことができれば、業務効率改善や対応品質向上などを実現できることでしょう。
しかし、自社においてこうしたメリットが必ずしも課題解決になるとは限りません。まずは導入を検討する前に、音声認識機能が現状抱えている課題の解決策となり得るのかを見極めましょう。課題を洗い出し、導入によりそれらを解決できると判断できるのであれば、導入を検討してみてください。
音声認識の精度は十分か
音声認識機能を導入するのであれば、音声認識の精度を確認することが大切です。
音声認識機能は比較的新しい技術です。そのため、サービスを提供しているベンダーによって精度にはかなりの差があります。たとえ音声認識できる機能があったとしても精度が悪ければテキスト化が正しく行われません。そのような場合、むしろテキストの修正作業に時間が取られてしまい業務負担が増える可能性があります。
まずは、無料トライアルなどを活用して音声認識の精度を確認してみましょう。ある程度の精度があって修正もほとんどない状態であれば問題なく活用できます。また、音声認識機能によっては、音声認識の精度をチューニングできるものもあります。例えば、データを読み込ませたり、通話内容を学習させたりすることで精度を高められるのです。こうしたチューニング機能が付いているものであれば、自社に合った精度のツールを利用できる可能性があります。
サポート体制は万全か
サポート体制が万全であるかどうかも、音声認識機能付きのCTI導入では重要なポイントです。
CTIは音声認識機能以外にもさまざまな機能を利用できます。それらを適切に活用できれば、業務効率を高められることでしょう。しかし、システム導入後に使い方が分からない、トラブルが起きるといった可能性もあります。そうなれば、せっかくシステムを導入しても業務が止まってしまい効率を低下させてしまいます。
サポート体制が整っているベンダーであれば、そのようなケースでも迅速に対応してくれます。トラブル対応はもちろん使い方のサポートや定期的なアップデート、さらなる業務効率アップのためのアドバイスなどをしてくれるようなベンダーを選びましょう。
音声認識以外の機能も必要なものが揃っているか
音声認識機能以外の機能も、自社にとって必要なものが揃っているかどうかも必ず確認しましょう。
CTIシステムは音声認識をはじめ、録音・分析・顧客管理など電話業務を効率化するさまざまな機能を利用できます。しかし、どんなに豊富な機能が揃っていてもそれが自社にとって不要であれば活用できません。また、自社で必要としている機能だけがない、そんな状態であれば導入する意味がなくなります。
このようなことから、音声認識機能付きのCTIを選ぶ際には、音声認識以外の機能も必ずチェックしましょう。
価格は適正か
音声認識機能付きCTIシステムを導入するならば、価格についてもこだわりましょう。
もちろん、安ければ良いというわけではありません。リーズナブルすぎるツールは必要最低限の機能しかなかったり、音声認識の精度が低かったりなど機能面で満足できない可能性があります。
まずは、上記で挙げたポイントを満たしているかどうかが大前提です。導入により自社の課題を解決できる効果が期待できるものをピックアップしていきましょう。そのうえで、費用対効果として適正であるかどうかを比較していくことで、自社にあったツールを絞り込めるようになります。
他のシステムとスムーズに連携できるか
他のシステムやツールと連携できるかどうかもチェックしておきましょう。
CTIシステムの導入を検討しているような企業であれば、すでに他のさまざまなシステムやツールを利用しているはずです。コールセンターであれば顧客管理システムは間違いなく利用していることでしょう。CTIは顧客管理システムと連携することで、さらに使い勝手が良くなります。さまざまなツールなどと連携しつつ管理している顧客情報をスムーズに確認できれば、さらなる対応品質向上を見込めるためです。
他にも、現在使用しているシステムやツールと連携できるのか、連携した場合にどのような効果が見込めるのかをベンダーの担当者に相談しながら検討していきましょう。
セキュリティ対策は十分か
CTIシステムを導入する際は、セキュリティ対策の充実度も重要な選定ポイントです。顧客との通話内容や個人情報を扱うため、適切な対策が講じられていなければ情報漏えいや不正アクセスのリスクが高まります。万が一、情報漏えいなどのトラブルが発生すれば、企業の信頼が失われてしまいます。そのため、ベンダー側で十分なセキュリティ対策が行われているか否かはとても重要なのです。
例えば、通話データの暗号化やアクセス権限の管理が適切に設定されているかを確認することが大切です。また、クラウド型CTIを導入する場合は、提供事業者のセキュリティ対策や運用実績をチェックし、信頼できるサービスを選ぶことが求められます。
特に、金融・医療・公的機関などの機密性が求められる業界では、より高度なセキュリティ対策が必要となるため、定期的なセキュリティ監査や認証取得の有無も確認すると良いでしょう。
音声認識以外にも注目したいCTIの機能
CTIシステムは、音声認識以外にもさまざまな機能があります。例えば、以下のような機能は対応品質や顧客満足度向上につなげることができるでしょう。
・着信ポップアップ機能
CTIの基本機能の一つとして、着信時に顧客情報を画面上に表示するポップアップ機能があります。これにより、オペレーターは電話に出る前に顧客の名前や過去の対応履歴を確認でき、スムーズかつ的確な対応が可能になります。
・IVR(自動音声応答)機能
IVRは、顧客が電話をかけた際に、自動音声案内によって適切な担当部署やオペレーターに誘導する機能です。営業時間外の対応や、シンプルな問い合わせの自動処理にも活用でき、オペレーターの負担軽減につながります。
・ACD(着信自動分配)機能
ACDは、オペレーターの稼働状況やスキルに応じて、着信を自動で振り分ける機能です。混雑時でも最適な担当者につなぐことで、顧客対応の効率を向上させ、待ち時間の短縮にも貢献します。
・通話録音機能
CTIには、通話を自動で録音する機能も搭載されています。通話内容を後から確認できるため、クレーム対応やサービス品質向上に役立ちます。また、録音データを教育ツールとして活用することで、オペレーターのスキル向上も期待できます。
・チャット・メールとの連携機能
近年では、電話対応だけでなく、チャットやメールとの連携が可能なCTIシステムも増えています。複数のコミュニケーションチャネルを一元管理できるため、問い合わせ対応の幅が広がり、顧客満足度の向上につながります。
・通話履歴のデータ分析機能
CTIシステムの中には、通話データを分析し、オペレーターの対応傾向や改善点を可視化する機能を備えたものもあります。顧客満足度の向上や営業成果の最適化に役立つため、データ活用を重視する企業にとって有効です。
音声認識機能付きCTI5選
音声認識機能を搭載したCTIシステムは、通話内容の記録や分析を効率化し、業務改善や顧客満足度向上に役立ちます。ここでは、人気のある5つのサービスを紹介します。
BIZTEL コールセンター
BIZTELコールセンターは、クラウド型CTIシステムで、柔軟な運用と高い拡張性を備えています。音声認識機能により、通話内容の自動文字起こしが可能で、対応履歴の検索や共有がスムーズに行えます。また、録音機能やIVR(自動音声応答)、リアルタイムモニタリングなどの機能も充実しており、コールセンター業務の効率化に最適です。クラウド環境で提供されるため、導入コストを抑えつつ、BCP対策(事業継続計画)にも対応可能です。小規模から大規模なコールセンターまで幅広く活用されています。
CallConnect
CallConnectは、シンプルな操作性と手軽な導入が特徴のクラウドCTIシステムです。ブラウザ上で動作し、専用機器の設置が不要なため、スタートアップや中小企業でも導入しやすい点がメリットです。音声認識機能により、通話内容を自動でテキスト化し、対応履歴をスムーズに管理できるため、リモートワークにも適しています。また、HubSpotなどの外部ツールと連携が可能で、カスタマーサポートや営業支援にも活用できる柔軟性の高いサービスです。
CTI-One
CTI-Oneは、音声認識による通話データの可視化と高度な分析機能を備えたCTIシステムです。通話内容をリアルタイムでテキスト化し、対応履歴の検索や顧客対応の品質向上に役立ちます。また、感情分析機能を搭載し、顧客の声のトーンや言葉遣いを解析することで、クレーム発生のリスクを軽減できます。クラウド型でありながら、高度なカスタマイズ性を持ち、多様な業種・業態に適応可能。コールセンター運営の効率化や営業支援に適したCTIサービスです。
MiiTel
MiiTelは、AIを活用した通話解析機能を搭載したCTIシステムで、営業支援やカスタマーサポートに最適です。音声認識機能により、通話の自動文字起こしや、話速・被せ率(話の被り)・沈黙時間の分析を行い、応対品質の向上を支援します。さらに、トークスクリプトの改善やフィードバックが自動化され、営業成績向上につながるのが特徴です。クラウド型のため、PC・スマートフォンからのアクセスも可能で、リモート環境でも高い利便性を発揮します。
Omnia LINK
Omnia LINKは、在宅コールセンターから大規模なコールセンターの構築までできるクラウド型PBXシステムです。リアルタイムの文字起こしにより、対応履歴の自動保存や検索が可能で、品質管理の向上に貢献します。また、IVR(自動音声応答)やACD(自動着信分配)などの機能を搭載し、大量の入電を効率的に処理できる点が強みです。高い拡張性を持ち、複数拠点のコールセンター運営やテレワーク環境にも適応できるシステムとして評価されています。
CTIを利用する際はクラウドPBXとの併用がおすすめ
CTIを導入・運用するならば、クラウドPBXとの併用がおすすめです。クラウドPBXとは、クラウド上にPBXを設置してインターネット回線を使用して通話を行うサービスで、スマホやPCで通話でき外出先や自宅からでも電話対応を行えます。電話業務を効率化する機能も豊富でツールとの連携もしやすいことから、CTIと併用することでさらに高い効果を期待できます。
CTIとの併用にも適したクラウドPBX「03plus」

03plusはCTIとの併用に適しているクラウドPBXです。全国主要46局の市外局番付き電話番号を取得でき、番号ポータビリティにも対応しています。また、電話業務を効率化して社員の負担を軽減できるさまざまな機能を利用できます。
IVR:着信に自動音声で対応し、着信先の振り分けも行える機能。シナリオ設定次第でよくある質問への回答も可能です。
通話録音:通話を自動録音してサーバ保管する機能。録音内容を後から聞き返したり共有したりできます。
Web電話帳:顧客の連絡先をクラウド上で管理・共有できる機能。クラウド上に保管するため、スマホを紛失した際にも流出の恐れがありません。
このように豊富な機能を持つ03plusは、1ID月額1,280円からお申し込みできます。30人以上の法人契約も可能です。CTIと組み合わせれば、リーズナブルかつ効果的にコールセンター業務の効率化を図れますので、ぜひご検討ください。
まとめ
今回は、CTIの音声認識機能について解説しました。
CTIの音声認識機能は、通話内容をリアルタイムまたは録音からテキスト化できる便利な機能です。通話内容の確認や共有、研修やデータ分析への活用など、さまざまなことに利用できます。導入の際には、本記事で紹介したポイントを参考に十分に検討したうえでお選びください。
また、CTIをより効果的に活用するならクラウドPBXとの併用がおすすめです。両者を併用して御社にあった電話環境を構築していきましょう。