ビジュアルIVRでできること・メリットを徹底解説!選ぶ際のポイントとは?

問い合わせに対する対応の良し悪しは企業の評判や業績に大きく影響することから、対応業務の品質向上が重要視されています。そうした背景から、ビジュアルIVRの導入を検討されている企業も少なくありません。しかし中には「ビジュアルIVRとIVRで何が違う?」「ビジュアルIVRで何ができるの?」「うちにも導入すべき?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

今回は、ビジュアルIVRでできること、導入するメリットと導入が向いている企業の特徴、そして選ぶ際のポイントを解説します。

ビジュアルIVRでできること

ビジュアルIVRとはどのようなものなのか、そして一体何ができるのかをここで解説します。

ビジュアルIVRとは

ビジュアルIVRとは、ウェブサイトやアプリの画面上にて視覚的なメニューを用いて案内を行うシステムです。従来のIVR(自動音声応答システム)は自動音声による応答のみが流れ、顧客が音声案内に従ってプッシュ操作をすることで振り分けが行われました。一方、ビジュアルIVRはスマホなどの画面に問い合わせ内容が項目ごとに表示され、顧客は自分に合った項目をクリックすることで目的のページや窓口に移動できます。

ビジュアルIVRは問い合わせ先やFAQコンテンツをひと目で把握しやすく、顧客の自己解決率を高めてオペレーターの負担軽減や業務効率アップを図れるシステムです。

ビジュアルIVRの誘導タイプ

ビジュアルIVRへ誘導する方法には3つの種類があります。

・Webサイトにアクセスボタンを設置する

一つは企業のWebサイト上の問い合わせ先として、ビジュアルIVRへのアクセスボタンを設置する方法です。

従来ではWebサイトにて問い合わせ先を掲載する場合、コールセンターの電話番号やメールアドレスが記載されていました。そのため顧客はメールでのやり取りを行ったり、従来のIVRにてプッシュ操作を行ったり、オペレーターと会話をするのが一般的でした。それに加えてビジュアルIVRへのアクセスボタンを設置することで、顧客は自分に合った問い合わせ先を選ぶことができます。また、Webサイトからそのまま操作しているデバイスを変えずに誘導も可能です。

・SMSでビジュアルIVRのURLを送信する

顧客の電話番号が分かる場合は、SMSにてスマホなどの端末にビジュアルIVRのURLを送信できます。顧客は、SMSに記載されているURLにスマホからそのままアクセスできるため、利便性が高まります。固定電話からの問い合わせの場合も、顧客が希望すればSMSの送信先を入力することで同様にSMSにてURL送信が可能です。

・専用アプリに内に設置する

顧客が企業の専用アプリをインストールしている場合、アプリ内にビジュアルIVRを問い合わせ先としてそのまま設置することも可能です。Webサイトにアクセスボタンを設置するのと同様の効果があり、顧客は自分に合った問い合わせ方法(電話・メールなど)を選べます。また、企業アプリはリピーターやファンを作りやすいことから導入する企業も増えています。

ビジュアルIVRとIVRの違い

IVRとビジュアルIVRは、どちらも顧客からのお問い合わせに自動で応対するシステムです。ただ、IVRは自動音声による案内であり、ビジュアルIVRは画面表示により視覚的に案内するシステムであるという違いがあります。

どちらも自動案内により顧客が選択して自分に合った窓口を選ぶことができ、待ち時間を削減できます。しかしIVRは音声案内を全て聞かないとどのボタンを押せば良いのか分からず、人によってはイライラする可能性があります。一方、ビジュアルIVRは各項目が一覧で表示されているため、顧客はひと目でどれを選んだら良いかが直感的に分かります。

また、IVRに接続するということは、顧客がわざわざ電話をしなければならないということです。しかしビジュアルIVRの場合、例えばWebサイトにアクセスボタンが設置されていれば、そのまま案内に遷移できるためストレスがありません。

さらにビジュアルIVRは、FAQページやチャットボットなどを選んで顧客自身で問題解決しやすいため、顧客満足度の高いシステムです。

このようにIVRとビジュアルIVRは、自動案内という点では似ているものの、細かく見ると大きな違いがあることが分かります。どちらが優れているというわけではなく、両者の違いを把握した上で自社の顧客はどのような案内を求めているのか、自社サービスとマッチするのはどちらかを検討した上で導入・運用することが大切です。

ビジュアルIVRのメリット

ビジュアルIVRは自動音声のみのIVRと異なり、案内内容を視覚的に表示するシステムです。ここではそんなビジュアルIVRならではのメリットをいくつか解説します。

オペレーターの負担軽減

顧客からの問い合わせ内容によっては問題解決までにかなりの時間がかかり、オペレーターにはその分だけ負担がかかります。例えば、商品の注文を受ける場合は住所・氏名・電話番号を聞き取り、間違いがないか復唱し、その上でパソコンに入力するという作業が必要です。こうした個人情報はどんなに確認しても、聞き間違いや入力ミスといった人為的ミスが発生する可能性があります。そのせいで作業時間が増えますし、オペレーターへの心理的負担もかかってきます。

ビジュアルIVRであれば、顧客自身が画面上で必要事項を記入できます。入力内容や注文内容の入力とチェックを顧客自身が行うため、スタッフの負担は大幅に減ることでしょう。その分、オペレーターは他の問い合わせ対応に時間を割けるため、業務効率も高まります。

顧客の利便性向上

ビジュアルIVRを導入すれば、電話での問い合わせ以外の方法を顧客に提案できます。電話、メール、Web、FAQなど、複数の選択肢があれば、顧客は自分の都合に合わせて問い合わせ先を選べます。例えば「電話は待たされるから嫌だ」と思う顧客は、FAQで自ら問題を解決するかもしれません。

また、移動中で通話できない方や耳が聴こえない方などでも、時間や場所を問わず気軽に問い合わせできるのもビジュアルIVRのメリットです。電話以外の選択肢としてビジュアルIVRを用意しておくことは、顧客一人ひとりのニーズに対応でき、顧客満足度の向上につながることでしょう。

営業時間外の対応を実現

窓口が電話対応のみの場合、顧客は営業時間内に電話するしか問い合わせ方法がありません。そうなると電話は営業時間内に集中し、多くの待ち時間が発生してしまいます。顧客によっては待ちきれずに途中で電話を切ったり、そもそも電話するのを諦めてしまったりすることでしょう。「電話しか窓口がないのにつながらない」そのようなイメージを持つと、顧客は問い合わせをしてくれなくなります。それは企業にとって大きな機会損失です。

ビジュアルIVRは視覚的に自動応答するシステムであるため、24時間365日稼働でき、営業時間外でも顧客の問い合わせに対応できます。時間に余裕がない顧客も気軽に利用できるため「時間を問わずボタン操作ですぐに解決できる」というイメージを持ってもらいやすくなるでしょう。結果的に機会損失が解消され、業績アップにつながる可能性があります。

問い合わせに対する回答の標準化

オペレーター対応ではマニュアルはあるものの、一人ひとりの言い回しやニュアンスの違いなどにより、回答に揺らぎが生じる恐れがあります。そのため、「前と言っていることが違う」とクレームが入ることも少なくありません。

ビジュアルIVRの場合は、FAQやチャットボットなどへ誘導することができます。例えば、顧客がよくある質問への回答や閲覧数の高いFAQコンテンツに移動してくれれば、回答は標準化されて揺らぐことはありません。また、オペレーターと話す手間が削減されるため、顧客はストレスなく問題解決できます。実際に、近年は顧客自ら検索することに慣れており、話す手間を省いて自己解決したいという方も増えています。そういった意味では、ビジュアルIVRは回答を標準化するとともに、サービス面での向上も図りやすいシステムと言えるでしょう。

ビジュアルIVRの導入が向いている条件とは

ビジュアルIVRはIVRとは違い、視覚的なメニューで案内できるのが大きな特徴です。そのため、企業によってはなるべくビジュアルIVRを導入すべきケースもあります。ビジュアルIVRの導入が向いているのはどのような企業なのか、以下で解説します。

複数のチャネルを用意している

顧客からの問い合わせ対応にチャットやFAQ、Eメールなど複数チャネルを導入している企業であれば、ビジュアルIVRはとても向いています。

もし複数のチャネルがあったとしても、各チャネルに誘導する方法がなければ、電話にのみ問い合わせは集中してしまうことでしょう。もちろん、複数チャネルの問い合わせ先をIVRの音声のみで案内するのはとても困難であり、現実的ではありません。

しかし、ビジュアルIVRならば各チャネルを視覚化して顧客に案内できます。そのため、用意した複数チャネルを最大限に活用できるようになります。もしすでに対応先として複数チャネルを用意されているのであれば、ぜひビジュアルIVRの導入をご検討ください。

問い合わせの内容がシンプルで定型化している

提供しているサービスによっては、問い合わせ内容が定型化している場合があります。このような場合も、ビジュアルIVRの導入が向いています。定型化している問い合わせに対して、チャットボットやFAQに回答を登録しておくと、そこに誘導しやすくなるためです。顧客自身が解決できるようになり、オペレーターの負担軽減や業務効率アップ、顧客満足度向上などが見込めることでしょう。

例えば、「営業時間の案内」「サービスや商品の説明や使い方」「サービスの予約」などはシンプルで定型化されやすいため、FAQやチャットボットに回答に登録しやすいです。このような問い合わせが多いのであれば、ぜひビジュアルIVRの導入をしてみましょう。

顧客層がスマートフォンやウェブサイトの操作に慣れている

顧客層が若い世代であったり、日常的にスマホなどを利用していたりするようであれば、ビジュアルIVRの導入が向いています。このような顧客層の場合、音声対応よりもスマホやパソコンの操作の方が慣れているためです。

若い世代の端末操作に慣れている顧客たちは、スマホやパソコンを利用するのが当たり前で、基本操作はもちろん自分から検索することに慣れています。逆に、オペレーターと会話をして問い合わせをすることにはあまり慣れておらず、人によっては面倒に感じる場合もあります。

このように自己解決能力が高い顧客が多いケースであれば、FAQやチャットボットなどに回答を登録しておき、ビジュアルIVRで誘導する方がスムーズです。自分で解決できる満足感や電話をする手間がなくスムーズと感じられるため、顧客満足度も高まりやすいでしょう。

ビジュアルIVRを選ぶ際のポイント

ビジュアルIVRはサービスを提供するベンダーも多いため、どれを選ぶべきか迷うことでしょう。ここではビジュアルIVRサービスを選定する上でのポイントを4つ解説します。

カスタマイズは簡単か

カスタマイズを容易に行えるか否かは重要なポイントです。自社サービスや顧客の反応に合わせて最適化することが、業務効率を高めるには大切であるためです。

ビジュアルIVRは導入したらすぐに運用できるかと言えば、そうではありません。ベンダーから提供されるのはビジュアルIVRのテンプレートのようなものであり、そこから自社のサービスなどに合わせて適切にカスタマイズしなければなりません。カスタマイズにはPDCAを回して最適化していきます。しかし、変更が必要になるたびにベンダーに依頼しなければならないようでは、PDCAはスムーズに回せません。システムそのものをいじるような変更は仕方ありませんが、ちょっとした変更やサービス内容に合わせたカスタマイズなどは、ある程度自由に行える製品を選ぶようにしましょう。

外部システムと連携可能か

ビジュアルIVRが外部システムと連携できるものかを確認しましょう。自社ですでに稼働しているシステムと連携できなければ、導入してもそのメリットを最大限に活かしにくいためです。

すでに自社で運用しているCRMやチャットボット、FAQなどと連携できれば、ビジュアルIVRとの相乗効果が生まれます。例えば、自社のFAQとビジュアルIVRを簡単に連携させられるのであれば、定型化した回答の多い企業では、問い合わせ対応業務がスムーズになることでしょう。CRMと連携できるのであれば、オペレーターが対応した際にビジュアルIVRの操作履歴を閲覧して質の高い対応が可能となります。

サポート体制は十分か

ベンダー側のサポート体制も重要なポイントです。何かしらのトラブル発生や疑問点が出たときに、すぐ相談できて対応してもらえるのであれば安心感があるためです。

ビジュアルIVRサービスにもよりますが、基本操作自体はそこまで複雑ではありません。とはいえ、細かい設定や自社に合わせた変更を行いたい場合は、専門的な知識が必要になるケースもあります。そういった場合に、導入から運用までサポートしてくれるベンダーであれば安心です。

また、導入直後は試行錯誤の連続であり、トラブルも発生しがちなものです。何かあったときにすぐ対応してくれる、24時間電話・メール受付があるといったベンダーを選ぶと良いでしょう。

分析機能があるか

分析機能のあるビジュアルIVRを選ぶと、効率よく最適化できます。

顧客からの問い合わせは定型化されたものもあれば、思いもしなかった意外な内容のものもあります。それぞれの問い合わせ内容や顧客の行動履歴、そして問題解決にかかった時間などを分析できれば、より質の高い対応を行えるため、顧客満足度は向上することでしょう。

また、分析によって運用上の問題が見つかる場合もあります。その際にベンダー側が分析結果を基に、より良い運用へ向けた提案をしてくれるサポート体制があると万全です。

まとめ

今回はビジュアルIVRでは何ができるのか、導入のメリットやサービスを選ぶ際のポイントを解説しました。

ビジュアルIVRは、案内内容を画面上で視覚化して表示できる自動案内システムです。IVRとは違い、顧客はひと目で案内内容を確認でき、自分が必要とする窓口へすぐに移動できます。そのため、顧客の利便性・満足度が向上しやすく、企業にとってもオペレーターの負担軽減や機会損失の解消などが期待できます。

問い合わせ窓口として電話以外に複数チャネルを用意している、定型化した問い合わせが多い、スマホなどの操作に慣れている顧客が多いといった企業には特に向いているため、ぜひ導入をご検討ください。

実際に導入する場合は、記事中でご紹介したようにカスタマイズの容易さやサポート体制、分析機能の有無や運用中のシステムとの相性などを確認した上でサービスを選定しましょう。

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