電話番号を引き継げる「番号ポータビリティ」について知っていても、「双方向番号ポータビリティ」について知っている方は少ないのではないでしょうか。従来の片方向番号ポータビリティとは違い、NTT東西以外の事業者間でも番号を引き継げるようになる仕組みのことです。
今回は、双方向番号ポータビリティとは何なのか、いつからスタートするのか、メリットや番号ポータビリティの流れについて解説します。
目次
固定電話の双方向番号ポータビリティとは
「固定電話の双方向番号ポータビリティ」とは一体何なのでしょうか。まずは、双方向番号ポータビリティがいつから始まるのか、メリットは何なのか、さらに対象番号や対応事業者についても解説します。
従来の番号ポータビリティ
番号ポータビリティとは、携帯電話や固定電話の事業者を変更する際にそれまで使っていた電話番号をそのまま使えるようにする仕組みのことです。携帯電話であればMNP(Mobile Number Portability)と呼ばれ、固定電話であればLNP(Local Number Portability)と呼ばれます。
従来の固定電話の番号ポータビリティは、NTT東日本・西日本で取得した電話番号でしか行えず、それ以外の方法で取得した電話番号については引き継ぎできませんでした。つまり、NTT東西から他の事業者に変更する際にしか利用できなかったわけです。
このようにNTT側からの片方向のみ適用であることから、従来の番号ポータビリティは「片方向番号ポータビリティ」と呼ばれることもあります。
双方向番号ポータビリティとは
双方向番号ポータビリティとは、一部を除く各事業者で取得した固定電話番号を引き継ぎできる仕組みのことです。従来の片方向番号ポータビリティとは異なり、NTT東西ではなく他の事業者で取得した電話番号であっても、事業者乗り換えの際に電話番号を引き継げます。例えば、以下のような際も電話番号の引き継ぎが可能です。
- NTT東西やひかり電話から他の事業者へ移行
- 他の事業者からNTT東西やひかり電話へ移行
- NTT東西やひかり電話以外の事業者間での移行
このようなことから、双方向番号ポータビリティがスタートすれば、事業者の移行に伴う電話番号の引き継ぎに関して頭を悩ませることがなくなります。
双方向番号ポータビリティのメリット
双方向番号ポータビリティには、片方向番号ポータビリティでは実現できなかったさまざまなメリットがあります。
そもそも、片方向番号ポータビリティの利用は「NTT東西で取得した電話番号から他の事業者への移行のみ」という制限がありました。そのため、ある事業者で割安な料金プランがあったとしても、「電話番号が変わってしまうから…」と乗り換えをためらうケースが多くありました。
しかし、双方向番号ポータビリティがスタートすれば、その制限がなくなります。そのため、利用者は制限なく自由に通信事業者やサービスを選べるようになるというメリットが生まれます。割安サービスに気兼ねなく移行できるようになれば、コスト削減も実現できることでしょう。
また、事業者やサービス変更に伴う電話番号の変更リスクを回避しやすくなるため、顧客に新たな電話番号を伝える手間やコストがかかりません。
他にも、移行ハードルが下がることで、事業者間で適切な競争が生まれやすくなり、より良いサービスが生まれやすくなることもメリットといえるかもしれません。
双方向番号ポータビリティはいつから?
双方向番号ポータビリティは、2025年の1月から受付が開始されます。総務省の電気通信番号計画(令和元年総務省告示第6号)によれば、2025年1月末日までに全ての事業者間で相互の番号ポータビリティができるようにすると規定されています。現在(2024年12月)においては、双方向番号ポータビリティ実現のために各事業者でシステム連携や改修を進めているようです。
双方向番号ポータビリティの対象番号
双方向番号ポータビリティで対象となる電話番号は「0AB-J番号」、つまり「03」「06」などの市外局番付き電話番号です。「050」から始まるIP電話番号については対象外となります。050番号は市外局番付き電話番号と違い、事業者の認識番号が含まれています。そのため、事業者変更が前提である番号ポータビリティの仕組みとはマッチしないことがその理由であると考えられます。
双方向番号ポータビリティの対応事業者
NTTの「固定電話サービス提供事業者間における双方向番号ポータビリティの開始について」によれば、双方向番号ポータビリティに対応する事業者は以下の通りです。
- 株式会社アイ・ピー・エス・プロ
- アルテリア・ネットワークス株式会社
- 株式会社STNet
- NTTコミュニケーションズ株式会社
- 株式会社エネコム
- 大江戸テレコム株式会社
- 株式会社オプテージ
- 株式会社QTnet
- KDDI株式会社
- Coltテクノロジーサービス株式会社
- 株式会社三通
- ZIP Telecom 株式会社
- ソフトバンク株式会社
- 中部テレコミュニケーション株式会社
- 株式会社トークネット
- 楽天モバイル株式会社(楽天コミュニケーションズ株式会社)
- 東日本電信電話株式会社
- 西日本電信電話株式会社
なお、対応事業者であっても、一部エリアでは番号ポータビリティに制限がある場合もありますので、実際に移行をする前に事業者に確認しましょう。
番号ポータビリティの仕組みの変化
従来の片方向ではなく双方向が実現できるようになった背景には、番号ポータビリティの仕組みが変化したことが関係しています。
片方向番号ポータビリティでは、「リダイレクション方式」というものが使用されています。従来のPSTN(公衆交換電話網)では、番号取得事業者であるNTT東日本・西日本しか番号データベースを持っていません。番号を引き継いだ場合、一度そのデータベースへ接続して移転先を確認したうえで移転先に再接続するというのがリダイレクション方式です。このデータベースにはNTT東西で取得した番号のみが登録されていて、他の通信事業者は接続できません。そのため、従来の片方向番号ポータビリティでは制限があったわけです。
しかし、双方向番号ポータビリティでは「ENUM方式」が採用されます。これは、各事業者の番号データベースがシステム連携する仕組みで、NTT以外のどの事業者でもNTTのデータベースに接続できます。そのため、「ENUM方式」を採用した双方向番号ポータビリティでは、どの事業者で取得した電話番号であっても電話番号を引き継げるのです。
双方向番号ポータビリティに対応する光回線の種類
双方向番号ポータビリティがスタートすれば、さまざまな事業者で取得した電話番号を引き継げるようになります。さらに、光回線のIP電話で取得した市外局番付き電話番号も、他のIP電話サービスに引き継ぐことが可能です。
フレッツ光
フレッツ光はNTT東西の光回線サービスです。サービス開始は2001年8月からで、市外局番付き電話番号を取得できるIP電話サービスである「ひかり電話」も提供しています。信頼されているNTTブランドであり歴史もあることから、多くの企業で利用されているサービスです。
しかし、フレッツ光は光回線とプロバイダーをそれぞれ契約しなければいけません。そのため、一体型の光回線サービスと比べるとコストが高い傾向にあります。また、片方向番号ポータビリティでは制限があったため、取得した市外局番付き電話番号を他のIP電話サービスに引き継ぐことができませんでした。
双方向番号ポータビリティがスタートすればその課題は解決します。ひかり電話で取得した市外局番付き電話番号も、他のIP電話サービス移行時にそのまま引き継ぐことが可能となります。
光コラボレーション
光コラボレーションは、事業者がNTT東西から光回線を借り受け、独自サービスと組み合わせて提供している光回線サービスです。プロバイダーが光回線サービスを提供している一体型であるケースが多く、NTTのフレッツ光よりもコストを抑えやすいのが特徴です。
光コラボレーションはフレッツ光と同じ回線・設備を利用していることから、提供エリアは全国規模で、ひかり電話も利用できます。そのため、フレッツ光や光コラボレーション同士の引き継ぎは従来も可能でした。ただし、独自回線については番号ポータビリティができませんでした。
双方向番号ポータビリティがスタートすれば、フレッツ光や光コラボレーションだけでなく、独自回線への番号ポータビリティも可能になります。
独自回線
独自回線とは、事業者がNTTだけでなく、鉄道会社や電力会社の光ファイバーの未稼働回線を借り受けて提供している光回線のことです。
安定性の高いフレッツ光や光コラボレーションとは違う光回線を利用することから、回線が混雑しやすいなどの課題があります。その一方で、独自の通信技術により高速な通信速度を実現している事業者もあります。
前述の通り、片方向番号ポータビリティの場合、フレッツ光や光コラボレーションから独自回線への乗り換えでは番号の引き継ぎはできませんでした。しかし、双方向番号ポータビリティがスタートすれば、制限がなくなり独自回線も選択しやすくなります。
固定電話の番号ポータビリティの申し込み方法・手順
番号ポータビリティは、事業者を変更後も既存の電話番号を使い続けられる仕組みです。双方向番号ポータビリティがスタートすれば、より自由に事業者を選べるようになります。ここでは、固定電話の番号ポータビリティの申込方法・手順について解説します。
移行先の通信事業者に申し込む
まずは移行先の通信事業者に、番号ポータビリティの申し込みを行いましょう。申し込む際には、移行先となる通信事業者に以下のような情報を伝えます。
- 契約中の事業者名
- 契約している名義人
- 設置場所住所
- 契約サービス内容
- 現在使っている固定電話番号
同じ事業者を長期間利用していた場合、契約内容について忘れていたり契約書をどこにしまったか忘れてしまったりすることもあり得ます。契約中の事業者に確認するなどして、事前に契約内容の情報を集めておきましょう。
また、事業者によっては市外局番付き電話番号を使用できない、使用する住所のエリアに対応していないという場合もあります。そのため、事前に必ず詳細を確認することをおすすめします。
移行の日時を決める
番号ポータビリティを申し込んでから数日後に、移行先の通信事業者からLNPの可否について連絡が届きます。番号ポータビリティが可能であれば、実施する日時について担当者と相談しましょう。
回線を切り替える
相談して決定した日時にて、電話番号はそのままで回線が切り替わります。回線の切り替えは、移行先となる通信事業者側で行いますので、利用者側で特別なことをする必要はありません。切り替え後、担当者から連絡が入るのが一般的です。
お得に電話を使うなら03plus
お得で便利な電話サービスなら03plusがおすすめです。
03plusは番号ポータビリティに対応しているクラウドPBXです。全国の主要46局の市外局番付き電話番号に対応していますので、乗り換えもスムーズに行えます。引き継いだ電話番号は、スマホを使って外出先からでも利用できますので、オフィスに縛られることなく機動力あるビジネスを実現可能です。新たなサービスに移行したいとお考えなら、ぜひご検討ください。
また、03plusは電話業務を効率化しコスト削減を実現できるさまざまな機能が搭載されています。
- Web電話帳:クラウド上に会社共有の電話帳を持てる機能です。スマホを紛失した際も、顧客の電話番号などが流出する恐れがありません。
- クラウドFAX:クラウド上でFAXの送受信を行える機能です。スマホやPCから受信データを確認でき、外出先でもスマホで撮影した画像をそのまま送信できます。
- 通話録音:通話を自動で録音しクラウド上に保存する機能です。録音データは30日間保存され、その間はいつでもダウンロードできます。対応品質向上や聞き逃し防止などに役立ちます。
- IVR:着信時にあらかじめ設定した音声で対応する機能です。音声による案内だけでなく、プッシュ番号により着信先を適切な部署・担当者に振り分けることもできます。
- 10分かけ放題:1通話あたり10分までであれば通話料が無料になるオプションです。短時間の通話が多い場合、大幅なコストダウンが見込めます。
まとめ
今回は、双方向番号ポータビリティについて解説しました。
従来の片方向番号ポータビリティと異なり、双方向番号ポータビリティならばさまざまな事業者で取得した電話番号を引き継げます。「サービスを変えたいけど番号が変わるから…」と悩んでいた企業も、双方向番号ポータビリティがスタートすれば自由に移行可能です。
双方向番号ポータビリティを活用して、自社にあった電話サービスを選びましょう。使いやすくてお得な電話サービスをお探しなら、ぜひ03plusをご検討ください。