スターリンク(Starlink)は、山間部や離島、海上など、通信インフラの整っていない場所でも使える、高速な衛星インターネット回線として注目されています。そのため、「スターリンクで音声通話はできるの?」「スターリンクを使って電話のように会話したいけど、実際はどうなの?」という疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
今回は、スターリンク(Starlink)の概要や利用シーン・料金、音声通話を行う方法、スターリンク(Starlink)×IP電話の活用事例について徹底解説します。
スターリンク(Starlink)を導入し、音声通話を行いたいという方は、ぜひご覧ください。
目次
そもそもスターリンクとは?
スターリンク(Starlink)は、アメリカのスペースX社が提供する衛星インターネットサービスです。数千機の小型人工衛星を地球の低軌道に多数配置し、高速で低遅延のインターネット接続を実現しています。
従来の衛星通信は高軌道のため遅延や速度に限界がありました。しかし、スターリンクは低軌道の衛星を活用することで、その弱点を大きく改善し、高速・低遅延通信を実現しています。これにより、山間部や離島、船舶、災害現場など、通信インフラがない場所でも専用アンテナと端末を設置するだけで、安定したインターネットが利用できます。
個人・法人・緊急時問わず、さまざまなシーンで導入が進んでいます。以下で、スターリンクの具体的な利用シーンや料金について見ていきましょう。
スターリンクの利用シーン
スターリンクは、従来の通信インフラが整っていない場所や移動体でも、安定したインターネット接続が可能な点が大きな強みです。例えば、以下のようなシーンで利用されています。
・山間部・離島・過疎地
光回線や携帯電波が届かないエリアでの代替回線として、自治体や企業の業務用途に利用されています。
・船舶・海上・漁業
洋上や港湾、航海中でも安定した通信を確保できます。そのため、漁船、クルーズ船、商船などでの導入も進んでいます。
・災害対策・BCP(事業継続計画)
地震や台風などで地上回線が断たれた場合の緊急通信手段として、自治体や企業が活用しています。
・イベントや建設現場
仮設オフィスや移動拠点での一時的なインターネット利用、リモートワーク拠点の整備に適しています。
・農業や林業などの一次産業
農薬・肥料散布の自動化や森林の災害・生育監視など、最新技術を活用したスマート農林業の推進に役立っています。
・建設業
通信インフラが届きにくい土木現場や、高層建設中のビル内などでインターネット接続を確保し、作業効率の向上を支えています。
このように、スターリンクは「どこでもネットを使いたい」「地上のインフラに頼れない現場」など、柔軟性と即時性が求められるさまざまな場面で活用が広がっています。
スターリンクの料金
スターリンクの料金は、プランや用途(家庭用/ビジネス/モバイル/海上利用など)によって異なりますが、ビジネス用途でよく使われる日本国内の主なプラン例は以下の通りです。
| プラン | 月額 | 通信量 | 備考 |
| ローカル優先50GB | 8,800円 | 50GB | 日本国内・陸上利用向け |
| ローカル優先500GB | 22,400円 | 500GB | 日本国内・陸上利用向け |
| ローカル優先1TB | 39,400円 | 1TB | 日本国内・陸上利用向け |
| グローバル優先50GB | 40,000円 | 50GB | 海外・海上・多用途向け |
※金額はすべて税込
このように、スターリンクのビジネス向けプランは、月額8,800円から利用可能です。
なお、初期費用としてハードウェア(専用アンテナ・端末)代が55,000円かかります。
スターリンクでは音声通話はできない?
結論から言うと、現在のところ、スターリンクは直接音声通話することはできません。
スターリンクは衛星を使った高速なインターネット接続サービスですが、音声通話機能を直接搭載しているわけではありません。そのため、スターリンク単体では電話をかけたり受けたりすることはできないのです。
スターリンクはあくまでデータ通信専用のインターネット回線であり、音声通話をしたい場合は、スターリンクのインターネット回線を利用して、IP電話サービスやスマホの通話アプリを使う必要があります。
例えば、「03plus」などのIP電話サービスを組み合わせることで、スターリンクの高速インターネット回線を介した音声通話が可能になります。このように、スターリンクは音声通話を直接提供するのではなく、通信のインフラとして活用されるものと理解しておきましょう。
スターリンクで音声通話するなら「IP電話サービスの併用」がおすすめ
「スターリンクを活用して音声通話をしたい」とお考えなら、IP電話サービスとの併用で実現可能です。
前述の通り、スターリンク単体では音声通話機能がありません。しかし、高速で安定したインターネット回線として利用できるため、IP電話サービスを併用することで音声通話が可能になります。通信インフラが整わない地域でも通常の電話と同様に音声通話を実現できるため、多くの現場で採用が進んでいます。
なぜIP電話を併用すれば音声通話ができる?
ではなぜ、スターリンクとIP電話を組み合わせると音声通話ができるのでしょうか。仕組みを分かりやすく解説します。
IP電話は、インターネット回線を使って音声の送受信を行います。電話の声をデジタルデータに変換し、小さなデータのかたまり(パケット)にしてインターネット回線で相手に届けることで、音声通話を可能にしているのです。つまり、電話回線ではなくネットワーク回線を利用して通話しています。
スターリンクは高速インターネット回線を提供するサービスです。スターリンクの回線を使ってIP電話のパケットをやり取りすれば、音声通話も可能になります。分かりやすく言うと、スターリンクは「音声データを送る高速道路」の役割を果たし、IP電話サービスが「電話機」の役割を担っているということです。
このため、スターリンクの高速なネット環境があれば、スマホやパソコンからインターネット経由でIP電話アプリを使い、固定電話や携帯電話と同じように電話の発着信ができるのです。
スターリンクとの組み合わせにおすすめのIP電話「03plus」
03plusは、スマートフォンで利用できるクラウド型IP電話サービスです。専用アプリを使えばスマホから簡単に電話をかけたり受けたりでき、場所を問わず利用可能です。さらにクラウド基盤で運用されているため、サーバー管理は不要で常に安定した通信環境を提供します。インターネット接続があれば外出先からでも通話や管理ができ、非常に柔軟な使い方が可能です。
主要46局の市外局番付き電話番号を取得できるため、固定電話と同じ感覚で利用でき、取引先や顧客からの信頼も損ないません。
その他の主な特徴・機能は以下の通りです。
・WEB電話帳:複数の電話番号や連絡先を一元管理できる機能。使いやすいインターフェースで迅速に発信や着信履歴の確認が可能です。
・通話録音機能:通話内容を自動で録音しサーバーに安全に保管。後から内容を確認でき、顧客対応の質向上やクレームリスクの軽減に役立ちます。
・IVR:着信に対して自動音声で対応して案内を行う。プッシュボタンによる振り分けで転送やSMS送信などを自動で行えます。
クラウドFAX:インターネット上でFAXの送受信を行える機能。スマホで撮影した画像をFAX用に最適化して、そのまま送信できます。
料金・費用の概要は以下の通りです。
・初期費用:5,000円
・月額基本料:1,280円(1番号1ID)
・通話料:スマホアプリ発信の場合、20円/30秒
・10分かけ放題オプション:月額1,000円(1通話あたり10分以内の通話料無料)
このように03plusは導入しやすく、ビジネスに必要な機能も充実しているため、スターリンクの衛星回線と組み合わせて安定した音声通話環境を実現できます。
活用事例を紹介!音声通話の品質は十分!
スターリンクと03plusなどのIP電話サービスを組み合わせた通信環境は、さまざまな場所で活用されています。例えば、通信インフラが整っていない山間部や離島、災害現場など、さまざまな過酷な環境でも、安定したインターネット接続と高品質な音声通話を実現しています。
ある漁業会社では、沖合での通信手段確保とコスト削減を目的にスターリンクを導入しました。これまでは通信が途切れがちで、連絡や情報共有に支障がありましたが、スターリンクの高速衛星インターネット回線を活用することで、安定したネット接続を確保。加えて、IP電話サービスを組み合わせることで、従来の船舶電話よりも安定した通話品質も実現し、途切れにくく遅延もほとんど感じないクリアな音声通話が可能となりました。また、LINEなどのアプリも気軽に利用できるようになり、家族とのコミュニケーションも気軽にとれるようになったとのことです。
スターリンクとIP電話の導入により、通信の安定化だけでなく、従来かかっていた高額な通信コストの大幅な削減にも成功しています。また、スマホから簡単に通話できるため、現場の操作負担も軽減され、業務効率の向上にもつながっています。
このように、スターリンクとIP電話サービスの組み合わせは、過酷な環境でも快適な通信環境を実現し、多くの現場で有効な通信手段として注目されています。
スターリンク+IP電話の注意点とは?
スターリンクとIP電話サービスの組み合わせは利便性が高く、さまざまな現場で活用されています。しかし、運用にあたってはいくつか注意すべきポイントがあります。ここでは、電源、緊急通報、設置場所という3つの角度から注意点を解説します。
電源の確保が必須
スターリンクの通信には安定した電源の供給が不可欠です。
スターリンクの端末は常に電力を必要とし、電源が途切れれば通信も停止してしまいます。そのため、安定してインターネット回線を利用するには、電源の確保が必須となります。また、停電や災害時の備えも重要なポイントです。非常用バッテリーや発電機などのバックアップ電源を用意する対策を講じておきましょう。
緊急通報(110/119)はできない
スターリンク+IP電話の場合、緊急通報番号への発信ができない点にも注意が必要です。
IP電話はインターネット回線を経由して通話を行うサービスです。発信者の正確な位置情報を自動的に警察や消防に伝えることができない仕組みになっています。そのため、緊急通報番号への発信ができないのです。
現場においては、緊急通報が必要な場面が起きることもあります。そのため、IP電話以外の通信手段も用意する、または最寄りの緊急通報の連絡先(警察署や消防署など)を控えておき、いつでも連絡できるようにしておきましょう。
見通しの良い場所が必要
スターリンクを利用する際は、上空に遮るものがない、見通しの良い場所に設置しましょう。
スターリンクは衛星と直接通信を行うことで、インターネット通信を行います。そのため、木々や建物、山などの障害物があると、衛星との通信が妨げられる恐れがあります。こうしたことから、スターリンクを設置する際は、空が広く開けた場所に設置し、安定した通信環境を確保することが重要です。
まとめ
今回は、スターリンクで音声通話はできるのか解説しました。
スターリンクはあくまで高速なインターネット接続用のサービスです。そのため、スターリンクそのものに音声通話機能は搭載されていません。しかし、03plusなどのIP電話サービスを組み合わせることで、スターリンクのインターネット回線を使って高品質な音声通話を実現できます。
実際、紹介した漁業での事例をはじめ、山間部や離島、海上などの通信インフラが整っていない場所でも、スターリンク+IP電話サービスの組み合わせは活用されています。クリアな通話と安定した通信環境が確保されることで、業務はもちろん社員同士や家族とのスムーズな通話を実現しています。また、通話コストの削減や業務効率化にもつながっている点も大きなメリットです。
一方で、スターリンクとIP電話の組み合わせには注意点もあります。紹介した注意点を理解したうえで、適切な対策を講じておけば、より快適で実用的な通信環境を構築できることでしょう。
スターリンクと03plusをはじめとしたIP電話サービスの活用は、今後も多様な現場でますます広がっていくと考えられます。導入を検討中の方は、ぜひ本記事を参考に、ご自身の環境や用途に合った最適な組み合わせを選んでみてください。

