外出の機会や在宅勤務が多い企業では「スマホをビジネスフォン化したい」と考えているケースは少なくありません。実現できれば場所を問わず働けるため、働き方改革の推進にもつながります。しかし、具体的にどうすればスマホをビジネスフォン化できるのかわからない方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、スマホをビジネスフォン化する方法、そのメリットやデメリット、ビジネスフォン化する方法ごとの費用相場について解説します。
目次
スマホをビジネスフォンとして利用する方法
現在アナログ回線によりビジネスフォン環境を整えている企業が、スマホをビジネスフォン化して内線を使えるようにするには、3つ方法があります。具体的にどのような方法なのか、以下で解説していきます。
専用アダプタを使用する
従来型のビジネスフォンの主装置に専用アダプタを接続すれば、スマホをビジネスフォン化することが可能です。
ビジネスフォンはオフィス内にPBXという装置を設置して、電話環境を構築します。そのままだと内線は主装置が設置されたオフィス内でしか行えません。しかし、スマホビジネスフォン化用の専用アダプタを設置すれば、スマホをビジネスフォン化できます。アダプタを設置するだけなので大掛かりな工事は必要なく、主装置をそのまま活用できます。
工事費用や手間を最小限に抑えつつ実行できるため、ビジネスフォンを導入していて、すぐにスマホをビジネスフォン化したい場合は便利な方法といえるでしょう。
ただし、利用できるスマホ端末に制限がかかる場合があるため、専用アダプタのメーカーに事前確認することをおすすめします。
Fixed Mobile Convergenceを利用する
Fixed Mobile ConvergenceはFMCと呼ばれるもので、スマホをビジネスフォンとして利用できるようにするサービスのことです。インターネットによってスマホを連携し、既存のビジネスフォンの子機にします。
FMCは大手スマホキャリアが提供するサービスで、自社内に特別なシステムを設置しなくてもスマホの内線化を実現します。面倒な工事などをする必要がないため、導入もスムーズです。
ただし、FMCサービスは契約したキャリアと異なるキャリアのスマホをビジネスフォン化することはできません。たとえば、ソフトバンクのFMCサービスを利用する場合、ドコモやKDDIの端末はビジネスフォン化の対象外です。そのため、企業側でソフトバンクのスマホを購入し、社員に配布する必要があります。端末購入には費用がかかりますので、コスト面ではデメリットがあります。また、FMCはスマホを子機にすることでビジネスフォン化するため、会社代表番号を使って外線発信することはできない点も注意しましょう。
クラウドPBXを利用する
クラウドPBXとは、主装置をクラウド上に設置して、インターネット回線によって電話環境を構築する電話システムのことです。インターネットによってスマホ端末をつないでビジネスフォンにし、内線通話や会社代表番号を使っての発着信も行えるようになります。
クラウドPBXは導入時に、主装置の設置や固定電話への配線など大掛かりな工事をする必要がありません。そのため、工事費用を抑えられますし、導入スピードも速いのが特徴です。ベンダーによって異なりますが、申込みから1~2日、最短で即日導入できるところもあります。
主装置のメンテナンスが不要、ビジネスに役立つ機能を利用できる、コストカットしやすいなどさまざまなメリットがあります。詳しくは以下で解説していますのでご確認ください。
スマホをビジネスフォン化する方法の費用を比較
スマホをビジネスフォン化する方法は3つあります。以下でそれぞれの費用相場を紹介します。
専用アダプタを使用する場合
専用アダプタを主装置に設置する場合、内線登録200番号までだと導入に6万円ほど、月額費用は3万円ほどかかります。内線登録番号が増えるほど、導入費用や月額費用が高くなりますので、自社の規模と費用のバランスを考えて導入を検討しましょう。また、オプションによってもかかる費用が変動することも覚えておいてください。
Fixed Mobile Convergenceを利用する場合
FMCを利用してスマホをビジネスフォン化する場合、導入費用は7万円ほどで、回線が増えるごとに1,000円程度プラスされていきます。月額費用は300回線で30,000円ほどです。
導入費用だけ見ると、専用アダプタを使用する場合よりも高くなります。しかし、月額費用は安く抑えやすいため、ランニングコストを抑えたいならば検討してもよいでしょう。
キャリアごとに実際にかかる費用が異なりますので、事前に担当者へ確認することをおすすめします。
クラウドPBXを利用する場合
クラウドPBXを利用してスマホをビジネスフォン化する場合、導入費用は数千円から10万円ほどかかります。月額費用は1アカウントあたり1,000円~5,000円ほどです。
クラウドPBXはベンダーごとに料金体系が大きく異なります。リーズナブルで中小企業向けのところもあれば、費用はかかるものの大企業に対応しているサービスもあります。また、月額料金は1アカウント増えるたびに増加するため、社員数が多い場合はランニングコストもそれなりにかかることを覚えておきましょう。
スマホのビジネスフォン化は「クラウドPBX」がおすすめ
スマホをビジネスフォンとして使うなら、クラウドPBXがおすすめです。
クラウドPBXなら、インターネットにつながる場所であれば、スマホやPCから会社の代表番号で発着信できます。さらに、オフィス外や離れた拠点同士でも内線通話が可能です。
さらに、クラウドPBXではさまざまな機能を利用できます。例えば、代表番号への着信を自動振り分けできるIVRや時間外アナウンス、保留転送・グループ着信、通話録音と通話ログ管理、ネットFAX、着信時に顧客情報を表示するCTIやCRM連携などがあります。これらを拡張すれば、電話業務の効率化やコスト削減、社員の負担軽減などを実現できることでしょう。
また、クラウドPBXはクラウド上にPBXを設置するため、物理主装置や大掛かりな配線が不要です。小規模から導入しやすく、拠点やユーザーの増減にも柔軟に対応できるのも特徴といえます。
このように、クラウドPBXにはさまざまな機能を利用できることから、多くのメリットがあります。スマホをビジネスフォン化するならば、クラウドPBXが最有力候補といえるでしょう。
スマホをビジネスフォン化するメリットとは?従来のビジネスフォンと比較
解説したように、スマホのビジネスフォン化はそれほど難しいことではありません。しかも、従来のビジネスフォンと違ってさまざまな恩恵を受けることができます。スマホをビジネスフォン化するメリットを解説します。
ビジネスフォン化したスマホと従来のビジネスフォンの比較表
ビジネスの電話環境を見直す中で注目されているのが、「スマホのビジネスフォン化」です。
従来のビジネスフォンと比べて、スマホを業務電話として活用することで、場所にとらわれない柔軟な働き方やコスト削減が実現できます。
まずは、ビジネスフォンとスマホをビジネスフォン化した違いを比較してみましょう。
| 比較項目 | 従来のビジネスフォン | スマホをビジネスフォン化した場合(クラウドPBX利用) |
|---|---|---|
| 内線通話 | オフィス内の固定電話同士のみ可能。外出中の社員へのスマホ宛て、離れた拠点への通話は外線扱い。 | オフィス内外を問わず、スマホ・PCでも内線通話が可能。離れた拠点間の通話も内線で対応できる。社員間通話のコストを削減。 |
| 外出先での対応 | 外出中は社員のスマホから発信・着信を行う。そのため、会社番号での対応はできない。 | スマホからでも会社の電話番号で発着信可能。外出中でも取引先との対応をスムーズに行える。 |
| 拡張性 | 機能追加や拠点拡張には主装置の増設・工事が必要。 | Web管理画面からユーザーや拠点を即時追加・削除できる。そのため、業務内容や企業の成長に合わせて柔軟に設定変更が可能。 |
| BCP・テレワーク対応 | オフィス設備依存のため、災害時や在宅勤務では利用不可。 | 主装置がクラウド上にあるため、在宅・出張先でも業務継続が可能。突然の災害でオフィスに出社できなくても、対応できる可能性がある。 |
| 業務効率 | 外出中の社員への取り次ぎや折り返しが必要で、対応に時間がかかる。 | 担当者が直接対応可能。通話録音やIVRなどの機能で応対品質も向上。 |
| コスト面 | 主装置の購入・保守・配線工事が必要。ランニングコストも高い。 | 機器不要で導入・維持コストを大幅削減。通話料も内線化で削減可能。 |
このように、スマホのビジネスフォン化は、従来の固定型ビジネスフォンに比べて「柔軟性」「効率性」「コスト削減」の全てを両立できるのが大きな特徴です。
クラウド上で運用できるクラウドPBXを活用すれば、オフィスにいなくても会社代表番号での発着信や内線通話が可能となり、テレワークや出張時の電話対応もスムーズになります。さらに、通話録音や自動応答(IVR)、通話ログ管理などの便利な機能も標準で利用できるため、単なる「電話」ではなく、業務全体の効率化ツールとして機能します。
そのため、スマホをビジネスフォン化するなら、クラウドPBXが最もおすすめであるといえます。
次の章では、こうしたクラウドPBXの特長や、スマホのビジネスフォン化による具体的なメリットを詳しく解説していきます。
スマホを内線化できる
スマホを内線化できることは大きなメリットとなります。
従来のビジネスフォンでは主装置が設置されたオフィス内の固定電話同士でしか、内線通話は行えませんでした。
しかし、スマホをビジネスフォン化すれば、オフィス内はもちろん外出先の社員とも内線通話できます。たとえば、会社から出張中の社員に連絡を取る場合、従来であれば外線通話で通話料をかける必要がありましたが、スマホがビジネスフォン化されていれば無料の内線で通話できます。そのため、社員間の通話コストを大幅に下げることができます。
外出中でも会社の電話番号を利用できる
スマホをビジネスフォン化すれば、外出中の社員が会社の電話番号を利用できるようになります。
従来のビジネスフォンの場合、会社の電話番号はオフィス内にある固定電話だけしか使えませんでした。もちろん、外出先の社員は携帯電話から顧客へ電話するしかありません。
しかし、スマホをビジネスフォン化すれば、外出先の社員も会社の電話番号を使って発着信できるようになります。たとえば、中小企業で社員が全員出払ってしまったタイミングで会社の電話番号に着信があった場合でも、外にいる社員がそのまま出ることができます。また、外出先から顧客へ折り返し電話する際も、会社の電話番号で発信可能です。
このようなメリットから、スマホをビジネスフォン化すれば機会損失を減らして、ビジネスチャンスをつかみやすくなります。
拡張性が高い
クラウドPBXは、企業の成長や働き方の変化・多様化に柔軟に対応できる拡張性の高さが大きな特徴です。
従来のビジネスフォンでは機能を拡張する際に、社員数や拠点が増えるたびに主装置の増設・入れ替えや専門業者による工事が必要で、時間もコストもかかりました。そのため、業務内容の変化に伴った柔軟な対応は困難でした。
しかしクラウドPBXでは、Web管理画面上でユーザーや拠点を簡単に追加・削除できます。事業拡大による人員増加や新拠点の開設にもスピーディーに対応でき、テレワークやハイブリッドワークなどの勤務体制変更にもスムーズに適応可能です。設定変更は社内の管理者でも簡単に行えるため、業者への依頼やダウンタイムも発生しません。
例えば、キャンペーンや繁忙期などで一時的に着信数が増加することが見込まれる際も、管理画面からユーザー数をすぐに増やせます。キャンペーン終了後は、管理画面からスムーズにユーザー数を元に戻すことが可能です。無駄なコストをかけずに柔軟な対応をできることは大きなメリットです。物理的な設備に縛られないため、クラウドPBXはスモールスタートから段階的に規模を拡大したい企業にも適しています。
働き方改革やBCP対策に有効
スマホをビジネスフォン化することは、BCP対策や働き方改革にも有効です。
BCP対策とは、自然災害やテロといった緊急時に、事業を継続させて早期復旧するための計画のことです。事前にBCP対策をしておけば、トラブルがあっても早期に業務を復旧でき、事業へのダメージを最小限に抑えることができます。たとえば、オフィスに甚大な被害が出たとしても、クラウドPBXによってスマホをビジネスフォン化していれば、主装置はクラウド上にあるため、電話業務を止めずに済みます。
また、近年はテレワークが普及しオフィス以外で働く社員も増えています。従来のビジネスフォンでは社員同士で連絡を取り合うのが難しかったのですが、スマホがビジネスフォン化されていれば、内線通話でコミュニケーションをとれます。また、会社の電話番号を利用できるため、外出先や出張先、自宅や喫茶店など、場所にとらわれず働くことができます。そのため、スマホのビジネスフォン化は働き方改革の推進につながります。
業務効率の改善につながる
スマホをビジネスフォン化することで、業務効率が改善されやすくなります。
従来のビジネスフォンはオフィスの中だけでしか、会社宛ての電話対応業務は行えませんでした。そのため、担当者が外出している際には取り次ぎや、携帯電話からの折り返し電話など、業務効率は悪くなります。
しかし、スマホをビジネスフォン化すれば、外出中の担当者が直接電話対応できます。折り返しも会社の電話番号からなので、顧客もスムーズに受けてくれることでしょう。
また、クラウドPBXを活用する場合、さまざまな機能を利用できます。たとえば、通話録音機能を利用すれば、外出先でメモが取れないような状況でも、通話を録音して後で確認できます。顧客対応力向上やクレームや訴訟リスクの低減などのメリットがあります。他にも、IVRを活用すれば着信を適切に振り分けられるため、取り次ぎの手間を省けます。
このように、スマホをビジネスフォン化することが業務効率化につながることは間違いありません。
結果的にコストを大幅カットできる
コストカットできることも、スマホのビジネスフォン化のメリットです。
従来のビジネスフォンは主装置をオフィス内に設置するため、保守管理やメンテナンスも自社で行う必要があります。機器の修理や不具合対応もしなければならず、場合によっては買い替えも必要です。そうなると、コストはかなりかかってしまいます。
しかし、クラウドPBXでスマホをビジネスフォン化すれば、メンテナンスはベンダー側で行ってくれます。主装置の不具合があってもすぐに対応してくれますし、システムのアップデートも任せられるため、ランニングコストを削減しやすいでしょう。
また、スマホをビジネスフォン化することで外出中の社員や離れた拠点間のやり取りをすべて無料の内線通話で行えます。そのため、社員同士の通話料が一気に削減できます。外出する社員やテレワークする社員が多い企業であれば、その恩恵はかなり大きくなることでしょう。
スマホをビジネスフォン化するデメリット
スマホをビジネスフォン化するとさまざまなメリットがあります。しかしその一方で、以下のようなデメリットも存在します。
仕事とプライベートの切り分けが難しい
スマホをビジネスフォン化すると、仕事とプライベートの境界があいまいになりやすくなります。
社員個人のスマホをビジネスフォン化に活用する場合、業務時間外や休日であっても顧客からの問い合わせがくる可能性があります。社員にとって、これは大きなストレスとなることでしょう。
このようなデメリットを回避するためには、会社のルールでプライベート中は電話に出なくてよいと定めたり、業務時間外は留守電や時間外応答で対応したりといった対策を取ることが必要です。
セキュリティリスクがある
スマホをビジネスフォン化する場合、セキュリティリスクがあることも覚えておきましょう。前述と同様に、社員個人のスマホをビジネスフォン化する場合は特にそのリスクがあります。会社で支給したスマホであれば、一括でセキュリティ対策を行えます。しかし、個人のスマホの場合はそうはいきません。万が一、スマホにウイルスが入ってしまえば、情報漏洩のリスクがあります。
また、スマホは紛失や盗難、覗き見といったリスクもあります。こうした事態が起きた場合、機密情報や顧客情報が漏洩する可能性があります。スマホをビジネスフォン化する場合は、十分にセキュリティ対策を講じましょう。
通信品質の影響を受ける
通信品質の影響を受けてしまうことは、クラウドPBXのデメリットの一つです。
従来のビジネスフォンは専用回線で電話環境が構築されているため、通話品質は安定しています。オフィスの通信品質の影響を受けることはなく、基本的にクリアです。
しかしクラウドPBXはインターネット回線を利用して通話を行います。そのため、通信環境の影響を受けやすいのです。例えば、回線が混雑していたり、電波の弱い場所で利用したりすると、音声の遅延や途切れが発生する場合があります。特に、共有Wi-Fiやモバイル通信を利用している場合は、同時接続数の増加や電波の弱さが品質に影響することがあります。
安定した通話品質を保つためには、業務用の光回線を利用したり、VPNなどを活用して通信経路を最適化したりすることが有効です。さらに同時データ送信数を一定内に収めるなどの社内ルールがあると、回線の圧迫による通信の乱れを抑えやすくなります。
また、企業によってはネットワーク構成や使用環境が異なるため、導入するクラウドPBXによっては通話品質が安定しなくなることもあります。そのため、導入前に無料トライアルやデモ環境で通話品質を確認しておくと安心です。実際の業務シーンを想定して検証することで、導入後のトラブルを防ぎやすくなります。
スマホをビジネスフォンとして利用するなら「03plus」

電話環境を見直したい、業務効率やコスト削減をしたいなら、クラウドPBXの「03plus」をご検討ください。
03plusは「03」「06」など主要46局の市外局番付き電話番号を取得できます。番号ポータビリティにも対応しているため、既存の固定電話番号をそのまま利用することも可能です。
ビジネスに役立つ機能も豊富にあり、業務効率を高めたい企業におすすめです。たとえば、「クラウドFAX」は、クラウド上でFAXの送受信を行える機能で、大阪市でも導入されています。「10分かけ放題」は、10分までの通話であれば無料になるオプションです。コストを削減したい企業に向いています。他にも、電話の一次対応を任せて社員の負担を減らせる「留守レポ」や、自動音声で着信を振り分ける「IVR」など業務効率アップを実現する機能が豊富にあります。
1IDあたり導入費用5,000円、月額料金1,280円とリーズナブルなので、「とりあえずクラウドPBXを使いたい」「スマホをビジネスフォン化したい」という企業に向いています。ぜひご検討ください。
まとめ
今回は、スマホをビジネスフォン化・内線化する方法について解説しました。
記事でもご紹介したように、スマホのビジネスフォン化には大きくわけて3つの方法があります。それぞれ特徴は違いますが、かかる手間や費用、将来的なことを考えた場合はクラウドPBXを利用するのをおすすめします。
スマホをビジネスフォン化すれば、場所にとらわれることなく会社の電話番号を使えるため、業務効率化やコスト削減、働き方改革の推進などを実現できます。会社の電話環境を一新してスマホをビジネスフォン化したいとお考えなら、ぜひクラウドPBXの03plusの導入をご検討ください。
