衛星電話の新常識！衛星インターネット＋IP電話アプリが便利

衛星電話は、山間部や離島、海上、災害現場など、通信インフラが整っていない場所での重要な連絡手段として長年使われてきました。しかし、高額な端末や通話料、FAX・ビデオ通話への非対応といった課題もあり、選び方に迷う人も多いのではないでしょうか。

そこで注目されているのが「衛星インターネット」と「IP電話アプリ」を活用した新しい通信手段です。普段使うスマートフォンやパソコンが、衛星インターネットを通じて安定した通話やFAX、ビデオ通話まで可能になります。

今回は、衛星電話の概要、メリット・デメリット、さらに衛星インターネット＋IP電話アプリとの比較まで解説します。

衛星電話とは？

衛星電話とは、地上の基地局を使わずに、人工衛星を経由して通話や通信ができる電話サービスです。山間部や離島、洋上、災害現場など、携帯電話の電波が届かない場所でも利用できるため、非常時やインフラ未整備地域の重要な連絡手段として活用されています。

ここでは、衛星電話の仕組みや代表的なサービス、さらにスマホでの利用について解説します。

衛星電話の基本的な仕組み

衛星電話は、地上の基地局を利用せず、人工衛星を経由して通話や通信を行う仕組みです。端末からの信号は直接人工衛星に送られ、そこから地上局や相手の衛星電話端末に中継されます。地上インフラに頼らず通信できるため、山間部や離島、洋上、災害現場など、通常の携帯電話が使えない場所でも利用できます。

衛星電話の通信方法には、地上局を経由して電話網やインターネットと接続する方式と、衛星電話同士が衛星を直接中継して通信する方式があります。また、使われる人工衛星には、広範囲をカバーできる静止衛星（GEO）と、低遅延で高速通信が可能な低軌道衛星（LEO）の2種類があり、サービスごとに使い分けられています。

代表的な衛星電話サービス

衛星電話は、地上の基地局ではなく人工衛星を経由して通信を行う電話サービスです。日本で利用できる代表的な衛星電話サービスには、「イリジウム（Iridium）」と「ワイドスター（Wide Star）」があります。

イリジウムは、低軌道衛星（LEO）を使い、地球全体をカバーできるのが大きな特徴です。世界中どこでも通信が可能で、船舶や航空、山岳、砂漠など、地上インフラが整っていない場所で幅広く利用されています。日本国内ではKDDIがサービスを提供しています。

ワイドスターは、静止衛星（GEO）を利用し、日本全国と周辺海域をカバーするシステムです。広いエリアを対象に、高速データ通信も可能なのが特徴です。主に船舶や防災、建設現場などで活用されており、NTTドコモが提供しています。

このほかにも、インマルサット（Inmarsat）やスラーヤ（Thuraya）など、用途や通信エリアに応じたさまざまな衛星電話サービスがあります。

スマホでも衛星通信できる時代に

最近では、iPhone 14シリーズ以降やGoogle Pixel 9シリーズなど、スマートフォンにも衛星通信機能が搭載されるようになってきました。ただし現時点では、「緊急SOSメッセージの送信」や「位置情報の共有」など、限定的な機能にとどまっており、通常の音声通話までは対応していません。

一方で、楽天モバイルをはじめ国内キャリア各社も衛星通信サービスの導入を進めており、今後はさらに衛星通信が身近で使いやすいものになっていくと期待されています。

衛星電話のメリット・デメリット

衛星電話は、地上の携帯電話では通信できない場所でも利用できる非常に便利な通信手段です。しかし、一方でコストや利用環境などに関する注意点もあります。ここでは衛星電話の主なメリットとデメリットを整理します。

メリット

衛星電話のメリットは以下の通りです。

・地上の電波圏外やインフラが整っていない地域でも使える

・山間部、離島、洋上、災害現場でも通信が可能

・大規模災害時などで地上通信網が寸断されても利用できる

・緊急時の連絡手段として高い信頼性がある

衛星電話の最大の利点は、地上インフラの有無に関わらず広範囲で通信ができる点です。特に災害時や遠隔地での利用では、命を守る重要な連絡手段となります。

デメリット

衛星電話のデメリットは以下の通りです。

・端末価格や通話料が高額である

・一般的なスマホなどの携帯電話に比べると端末が大きく、重量もある

・屋内やビルの影、トンネルなど衛星との見通しが悪い場所では通信障害が発生しやすい

・FAXや一部データ通信には対応していない場合がある

・通信の遅延や音質の低下が起こることがある

このように、衛星電話にはコスト面や利用場所に制約があり、普段使いには不向きな場合も多いです。利用する際は、メリットとデメリットをよく比較し、目的やシーンに合わせて適切に活用することが大切です。

新しい衛星電話の手段！衛星インターネット＋IP電話アプリ

近年は、衛星電話だけでなく、衛星インターネットとIP電話アプリを組み合わせる新しい通信手段に注目が集まっています。両者を組み合わせることで、普段使っているスマホやパソコンといった端末も利用できるようになり、より快適な音声通話が可能になっています。

ここでは、衛星インターネット＋IP電話アプリの仕組みやFAX・ビデオ通話についても解説します。

衛星インターネット＋IP電話アプリで通話ができる仕組み

衛星インターネットとIP電話アプリを組み合わせることで、なぜ音声通話ができるのか、その仕組みから分かりやすく解説します。

IP電話は、音声をデジタルデータに変換して小さなデータのかたまり（パケット）にし、インターネット回線を使って相手にそれを届けることで通話を行います。従来の固定電話のように電話回線を使わず、ネットワーク回線を利用して通話ができるわけです。

このため、衛星インターネットのような高速インターネット環境があれば、IP電話アプリを使ってスマートフォンやパソコンから、通常の電話と同じように音声通話を行うことができます。

ただし、IP電話では、緊急通報（110/119/118）へ発信できません。災害時は携帯電話など他の手段を確保する必要がありますので、この点は、ご注意が必要です。

音声通話のほか、FAX・ビデオ通話も可能

衛星インターネットを利用すれば、単に音声通話だけでなく、FAXの送受信やビデオ通話、チャット、ファイル共有なども可能になります。これは、インターネット回線が「さまざまなデータ」をやり取りできる仕組みであるためです。

IP電話アプリの多くは、音声通話以外にもFAXやビデオ通話などの機能を備えています。衛星インターネットは、通常のインターネット回線と同じようにこれらのデータもやり取りできます。そのため、スマホやパソコンがあれば、IP電話の機能を活用してFAXやビデオ通話もできるわけです。

スターリンク＋03plusで実現する衛星電話

衛星インターネットとIP電話アプリの代表的な組み合わせとして、近年注目されているのが「スターリンク（Starlink）」と「03plus」です。この2つを組み合わせることで、従来の衛星電話では実現できなかった、より便利で多機能な通信環境を構築できます。

ここでは、スターリンクと03plusそれぞれの特徴と、組み合わせた場合の料金について解説します。

スターリンクとは・特徴

スターリンク（Starlink）は、アメリカのSpaceX社が提供する衛星インターネットサービスです。数千機の小型人工衛星を地球の低軌道（LEO）に展開し、山間部や離島、船舶、災害現場など、従来の通信インフラが届かない場所でも高速・低遅延なインターネット接続を実現しています。

主な特徴は以下の通りです。

・地上インフラに依存しない広いカバーエリア

・従来の静止衛星型インターネットよりも遅延が少なく、高速通信が可能

・専用アンテナと端末を設置するだけで利用でき、設置や初期設定も比較的簡単

・山間部、離島、船舶、災害現場、建設現場、農業・林業など幅広いシーンで導入が進んでいる

このように、スターリンクは「どこでもネットが使える」新しい時代の通信インフラとして注目されています。

03plusとは・特徴

03plusは、スマートフォンから「03」や「06」など主要46局の市外局番付き番号を取得でき、専用アプリを使ってどこでも発着信が可能なクラウド型IP電話サービスです。

主な機能は以下の通りです。

・WEB電話帳：複数の電話番号や連絡先を一元管理できる機能。使いやすいインターフェースで迅速に発信や着信履歴の確認が可能です。

・通話録音機能：通話内容を自動で録音しサーバーに安全に保管。後から内容を確認でき、顧客対応の質向上やクレームリスクの軽減に役立ちます。

・IVR（自動音声応答）：着信に対して自動音声で案内し、プッシュボタンによる振り分けも自動で行えます。

また、03plusは「クラウドFAX」機能にも対応しています。インターネットを利用してFAXの送受信ができ、スマホで撮影した画像をそのままFAXデータとして送信することも可能です。ペーパーレス化や業務効率化に役立ち、多くの自治体や企業でも導入が進んでいます。実際に、大阪市でも03plusのクラウドFAXが導入されており、実績と信頼性も高いサービスです。

03plusについて詳しくはこちら

スターリンク＋03plusの料金

スターリンクと03plusを組み合わせた場合の料金はどれくらいになるのでしょうか。まずは、それぞれの料金を表でまとめますのでご覧ください。

スターリンク（Starlink）の料金（ビジネスプラン）

※金額はすべて税込

03plusの料金

※金額はすべて税別

続いて、ドコモの衛星電話サービスである「ワイドスター」の料金を表でまとめます。

なお、ワイドスターの通話料は2025年4月1日に以下のように改定されました。

※金額はすべて税込

これらの内容をもとに、スターリンク＋03plusと、ワイドスターの比較を行います。

なお、比較におけるスターリンクのプランは「ローカル優先50GB」としています。

これは、03plusが使用するデータ通信量が、

・1分間の通話：250KB（4分間の通話で1MB消費）

・バックグランドで24時間待機状態：150KB

となっており、最も容量が少ない「ローカル優先50GB」でも十分に利用できるためです。

1日30分通話をする場合

●スターリンク＋03plus

・スターリンク（ローカル優先50GB）：8,800円（税込）／月

・03plus（1番号）：1,408円（税込）／月

・10分かけ放題オプション：1,100円（税込）／月

（10分×3回（計30分）の通話が毎日無料、超過分のみ追加課金）

合計：11,308円（税込）／月＋通話超過分のみ追加課金

●ワイドスター タイプMの場合

・ワイドスター タイプM　基本使用料：5,390円（税込）

・衛星発の通話料（タイプM：297円／30秒）：297円×60＝17,820円（税込）／日

　1か月（30日）→ 17,820円×30＝約534,600円（税込）／月

・無料通話/SMS分　2,200円（税込）／月

合計：537,790円／月

●ワイドスター タイプLの場合

・ワイドスター タイプL　基本使用料：16,500円（税込）

・衛星発の通話料（タイプM：148.5円（税込）／30秒）：148.5円×60＝8,910円（税込）／日

　1か月（30日）→ 8,910円×30＝約267,300円（税込）／月

・無料通話/SMS分　3,300円（税込）／月

合計：280,500円／月

このように、毎日30分だけの通話であっても、衛星電話サービスであるワイドスターでは、月額数十万円かかります。一方、スターリンクと03plusの組み合わせなら、10分かけ放題プランを活用することで、大幅に通話コストを抑えることが可能です。さらにスターリンクと03plusでは、インターネット通信やFAXなどの機能も活用できる点が大きなメリットといえます。コスト管理のしやすさや多機能性を重視するなら、スターリンク＋03plusが非常におすすめです。

03plusについて詳しくはこちら

まとめ

今回は、衛星インターネット＋IP電話アプリの利便性について解説しました。

衛星電話サービスは、地上インフラがない場所でも使えるのが大きなメリットです。しかしその反面、端末や通話料が高額で普段使いしにくいというデメリットがあります。

そこで注目されているのが、スターリンクのような高速な衛星インターネットと03plusのようなIP電話アプリの組み合わせです。両者を組み合わせれば、いつも使っているスマホから安定した音声通話やFAX、ビデオ通話など、さまざまな機能を手軽に利用できるようになります。

衛星インターネットとIP電話のタッグは、通信環境の柔軟性や多様なビジネスニーズへの対応力といった点で、従来型の衛星電話サービスに比べて大きなメリットがあります。特に、コスト面では、従来の衛星電話サービスと比べると、大幅に削減できる点も注目です。

今後も、こうした新しい通信手段は、山間部や離島、海上、災害現場など、幅広いシーンで活用が進んでいくでしょう。

03plusについて詳しくはこちら