2025年、固定電話の全国一律提供義務が廃止され、固定電話の利用環境が大きく変わってきています。これまで当たり前のように全国どこでも利用できていた固定電話ですが、法改正によって地域や事業者によるサービスの差が出てくる可能性があります。
こうした変化の中で、「自社の電話環境を見直すべき?」「乗り換え先はどうしたら良い?」とお悩みをお持ちの方も多いことでしょう。また、「そもそも、全国一律提供義務って何?廃止されたら何が起きる?」と疑問をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、全国一律提供義務廃止の背景や今後の影響、そして新たな選択肢として注目されている「クラウドPBX」について、分かりやすく解説します。
目次
固定電話の全国一律提供義務が廃止!
長年、日本では「全国一律提供義務」によって、どこに住んでいても同じように固定電話を利用できていました。固定電話は高齢者を中心として、いまでも生活の中で欠かせない連絡手段となっています。
しかし2025年、この全国一律提供義務が廃止されることになりました。これから先、固定電話を取り巻く環境や利用の仕方にどのような変化が起こるのか、分かりやすく解説します。
固定電話の全国一律提供義務とは
全国一律提供義務とは、NTT東日本とNTT西日本が、全国どこでも公平に固定電話サービスを提供することを義務付けていた制度です。
NTTにはこれまで、都市部だけでなく採算の合わない過疎地や離島も含めて、全国で同じ条件のサービスを維持することが求められていました。これは、固定電話が地域社会や暮らしを支えるインフラとして長年位置付けられてきたためです。
この義務があったため、NTTは多くのコストをかけて全国に電話網を整備してきたわけです。
固定電話の全国一律提供義務の廃止とは
しかし2025年5月、「全国一律提供義務」は、改正NTT法の成立によって廃止されました。これにより、NTTは全国全ての地域で固定電話サービスを提供し続ける法的な義務を負わなくなりました。
もちろん、義務がなくなったからといって、すぐにさまざまな地域で固定電話サービスが打ち切られるわけではありません。全国一律提供義務の廃止後は、他の通信事業者が存在しない地域に限り、NTTが『最終保障提供責務』としてサービスを維持する仕組みに変わります。
また、NTTの通信インフラは災害時のセーフティネットとしても重要な役割を持つため、通信環境の確保については引き続き配慮されています。
一方で、都市部や競合事業者が存在する地域では、NTTの提供義務がなくなります。そのため、今後はサービスのあり方が変わる可能性があります。
全国一律提供義務が廃止される背景・理由
全国一律提供義務が廃止された背景には、固定電話の利用者が大幅に減少し、NTTの事業採算が悪化していたことがあります。
近年、携帯電話やインターネットの普及で固定電話の需要は年々減り続けていました。さらに、過疎地や離島を含めた全国でのサービス維持には多くのコストがかかっていました。
こうした背景から、国はNTTに課していた全国一律の固定電話提供義務の見直しを決定。全国一律提供義務を廃止し、他の通信事業者がいない地域だけNTTがサービスを維持する仕組みへと変更することになったのです。
全国一律提供義務の廃止の影響
全国一律提供義務が廃止されても、すぐに固定電話が使えなくなるわけではありません。前述のとおり、廃止後は他の通信事業者がいない地域に限り、NTTがサービスを維持する仕組みに変わります。
ただし、都市部や複数の通信事業者が存在する地域では、NTTがサービスを継続しないケースも考えられます。さらに将来的には、固定電話の利用環境やサービス内容が地域によって異なる可能性があります。そのため、今後は固定電話に代わる新しい通信手段への移行も検討しておくことが望ましいでしょう。
全国一律提供義務の廃止に伴う詐欺に注意
全国一律提供義務の廃止は、大きな制度変更です。こうした変更があった際は、それに便乗した詐欺には十分に注意しなければなりません。
例えば、「固定電話が使えなくなる」「新しい契約や機器が必要」「いまなら無料で交換できる」といった内容で個人情報の収集や契約を迫るケースが増える可能性があります。
また最近では、NTTやNTT東日本を名乗って自動音声やSMSで「料金未納」を理由にボタン操作や折り返し電話を誘導する手口も確認されています。NTTでは未納料金や回線停止を自動音声やSMSで連絡することはありません。
こうした不審な連絡には決して応じず、必ずNTTの公式窓口や警察に相談してください。
全国一律提供義務の廃止で検討したい「クラウドPBX」とは
全国一律提供義務の廃止によって、今後はオフィスでも従来の電話環境を見直す必要が出てくるかもしれません。こうした中、個人事業主や企業などで新たな選択肢として注目されているのが「クラウドPBX」です。
従来のビジネスフォンでは固定電話を利用し、オフィス内に専用の電話交換機(PBX)や配線設備を設置し、内線や複数回線の管理、転送などを行ってきました。しかしクラウドPBXは、PBXがインターネット上(クラウド上)に設置されるため、専用機器の準備や複雑な工事が不要でスムーズに導入できます。さらに、スマホやパソコン、既存の電話機でもオフィスの番号で通話や転送ができ、いつでもどこでも電話業務を行えます。
クラウドPBXは従来のビジネスフォンと異なり、現代の働き方にも柔軟に対応できることから、次世代のオフィス電話サービスとして注目を集めています。
クラウドPBXをビジネス利用するメリット
クラウドPBXは、従来の固定電話にはなかった柔軟性や利便性を持つ電話サービスとして、企業や個人事業主に広がっています。ここでは、クラウドPBXを導入することで得られる主なメリットについて解説します。
コストを抑えられる
クラウドPBXを利用する最大のメリットは、通信インフラにかかるコストを大きく抑えられることです。
従来のビジネスフォンでは、オフィス内に電話交換機(PBX)や配線設備を設置し、初期費用や保守管理費など多くのコストが発生していました。また、設備の老朽化や拠点の増減に応じた工事も必要でした。
しかしクラウドPBXなら、PBX機能がクラウド上で提供されるため、専用機器の購入や大規模な工事が不要で初期費用を大きく削減できます。また、通話料も固定電話に比べて安価なサービスが多く、さらには03plusの「10分かけ放題」のような一定時間の通話が無料になるサービスもあります。そのため、毎月の通話コストも削減可能です。
全国どこでも利用できる
クラウドPBXの大きなメリットは、全国どこからでも同じように利用できる点です。
従来のビジネスフォンは、オフィスや拠点ごとに設備や回線の工事が必要で、移転や増設のたびに大きな手間がかかっていました。また、外出先やテレワークでは会社の番号で発着信できないことが課題となっていました。
一方、クラウドPBXならインターネット環境があれば、スマホやパソコンを使って場所を選ばずに、発着信できます。出張先や自宅でもオフィスの番号で通話できるため、業務の効率化や柔軟な働き方に対応可能です。
便利な機能で業務効率を改善できる
日々の業務効率を高める多彩な機能が利用できることも、クラウドPBXの大きなメリットです。従来のビジネスフォンでは、IVR(自動音声ガイダンス)や着信の自動振り分けなどを利用するには、追加の機器購入や設定が必要でした。さらに、管理にも手間がかかることが一般的でした。
しかしクラウドPBXでは、ベンダーごとにさまざまな便利な機能が用意されていて、新たに機器を購入する必要はありません。また、インターネット上の管理画面から簡単に設定できるため、利用には手間がかかりません。IVRや通話録音、Web電話帳やクラウドFAXなどさまざまな機能を、業務に合わせて柔軟に利用できるため、電話対応の効率化や担当者ごとの負担軽減に役立ちます。これらの機能を活用すれば、少人数のオフィスや電話対応の多い現場でも、業務全体の生産性向上が期待できます。
出張先や在宅勤務でも内線通話できる
クラウドPBXの大きなメリットのひとつが、出張先や在宅勤務など、オフィス以外の場所でも内線通話が利用できることです。
従来のビジネスフォンはPBXが設置されているオフィス内での利用が前提でした。そのため、社内の電話機同士でしか内線が使えず、出張や在宅勤務の社員とは、携帯電話などで通話するしかありませんでした。これでは、毎月の通話コストが高くついてしまいます。
しかし、クラウドPBXならインターネット環境があれば、スマホやパソコンからでも社内のスタッフと内線通話が可能です。クラウドPBXを活用すれば、出張先や自宅からでもオフィスにいるのと同じように連絡できるため、社内のコミュニケーションが円滑になることでしょう。
複数の拠点の電話を一括管理できる
複数拠点の電話を一括で管理できるのも、クラウドPBXの大きなメリットです。
従来のビジネスフォンでは、拠点ごとにPBXや電話回線を設置し、それぞれで保守や運用管理を行う必要がありました。そのため、拠点が増えるほど設備投資や管理コストがかさみ、運用の手間も増えるといった課題がありました。
しかしクラウドPBXであれば、全国にある複数の拠点や事業所の電話環境をインターネット上で一括管理できます。新しい拠点の追加や、内線番号の設定変更も、管理画面から簡単に行えます。これにより、拠点ごとに機器を導入したり現地で設定作業をしたりする必要がなくなり、管理負担やコストの大幅な削減を実現可能です。
このように、クラウドPBXなら多拠点展開する企業でも、効率的かつ柔軟に電話環境を整えられます。
クラウドPBXの選び方
クラウドPBXには多くのサービスがあり、それぞれ特徴や強みが異なります。自社の業務に最適なサービスを選ぶためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。ここでは、クラウドPBXの選定時に確認しておきたい代表的なポイントを紹介します。
音声の品質
クラウドPBXを導入するうえで、まず重視したいのが音声の品質です。いくら多機能でも、通話が聞き取りづらかったり、遅延や途切れが頻発したりするようでは、業務に支障をきたしてしまうためです。
クラウドPBX各サービスによって音声品質には若干差があります。低価格でも音声の乱れがあれば業務に支障をきたしますので、導入前には無料トライアルやデモで実際の通話品質を確かめておくと安心です。また、インターネット回線の種類や通信環境によっても品質が変わります。そのため、導入前に自社のネットワーク状況も確認しておくのがおすすめです。
機能性
自社の目的に合った機能が搭載されているかどうかは、クラウドPBXを選ぶうえで重要なポイントです。
例えば、「通話コストを下げたい」「顧客への電話対応を効率化したい」など、導入目的は企業ごとに異なります。まずは、自社がどのような目的でクラウドPBXを導入するのかを明確にし、その目的を達成できる機能が備わっているかを確認しましょう。
また、クラウドPBXを選ぶ際は、将来的な拡張性も大きなポイントになります。事業の拡大や働き方の変化に応じて、テレワーク対応や拠点追加など新たな機能やサービスが必要になることもあります。当初は必要最低限の機能だけでも、将来的に柔軟に機能を追加できるクラウドPBXを選んでおくと安心です。
操作のしやすさ
管理画面や各種設定の操作が分かりやすいかどうかも、クラウドPBX選びで重要なポイントです。
たとえどんなに多機能なクラウドPBXでも、設定や操作が複雑だと現場の社員にとって負担になってしまいます。サービスを選ぶ際は、ITに詳しくない担当者でも直感的に操作できるか、必要な機能にすぐアクセスできるかなど、実際の画面や操作感を事前に確認しておくと安心です。無料トライアルやデモ画面を活用して、使いやすさを体感してから導入を検討しましょう。
サポート体制
クラウドPBX選びでは、導入後のトラブルや疑問に迅速に対応できるサポート体制が整っているかどうかも重要です。
設定変更や万が一のトラブルが起こった際、サポート体制が不十分だと、業務に大きな支障をきたしてしまいます。そのため、ベンダー側のサポート体制はとても大切なのです。
電話やチャット、メールなど問い合わせ窓口の種類、対応時間、マニュアル・FAQの充実度など、事前にチェックしておきましょう。
クラウドPBXなら03plus

クラウドPBXを導入するなら、多機能・リーズナブルな「03plus」がおすすめです。03や06など主要な市外局番付き番号を取得でき、スマホで会社番号の発着信や内線通話ができます。テレワークや外出先からでもオフィスと同じように電話業務を行えて、業務効率向上・コスト削減を実現します。
【主な機能】
・IVR(自動音声応答):着信時に自動音声で案内し、発信者の選択に応じて担当部署や担当者へ自動で振り分けます。
・通話録音:通話内容を自動で録音し、後から内容を確認できます。
・Web電話帳:連絡先をクラウドで一元管理でき、発信・着信履歴も簡単に確認できます。
・クラウドFAX:FAX機器なしでインターネット経由のFAX送受信が可能です。スマホで撮影した書類も送信できます。
・着信ポップアップ:着信時に発信者情報や通話履歴を自動表示し、迅速な対応をサポートします。
このほか、内線通話や転送、番号ポータビリティ対応など、柔軟な働き方を支える機能もそろっています。
料金は、電話番号1つ付きの1 IDで月額1,280円(税抜)から。10分かけ放題オプション(月額1,000円)を利用すれば、1通話10分以内の国内通話が何度でも無料です。
オフィスの通話を固定電話からクラウドPBXへ移行したいとお考えなら、ぜひ03plusをご検討ください。
まとめ
今回は固定電話の全国一律提供義務廃止と、乗り換え先としておすすめのクラウドPBXについて解説しました。
従来のビジネスフォンには、オフィスへの縛りや高額な設備コスト、管理の手間といった課題がありました。しかし、クラウドPBXならスマホやパソコンで会社の電話番号が使え、どこからでも柔軟に電話業務を行えます。さらに、IVRや通話録音、Web電話帳、クラウドFAXなどの機能も充実しており、業務効率化やコスト削減に役立ちます。
中でも03plusは、導入の手軽さとコストパフォーマンス、多機能性を備えたクラウドPBXサービスです。これからの働き方や電話環境の見直しを考えている方は、ぜひ選択肢のひとつとして検討してみてください。
