IP電話アダプタとは、従来のアナログ電話機をインターネット回線につなぎ、IP電話として利用できるようにするための機器です。既存の電話機をそのまま使いながら、IP電話サービスを導入できます。
一方で、IP電話アダプタが本当に必要なのかどうかは、利用環境や目的によって異なります。電話機の構成や回線の種類によっては、別の方法のほうが手間やコストを抑えられるケースもあります。
そこで今回は、IP電話アダプタの基本的な仕組みやできること、PBXやVoIPゲートウェイなどの似た機器との違いを整理します。そのうえで、どのようなケースでIP電話アダプタが必要になるのか、また代替となる選択肢についても解説します。
目次
IP電話アダプタとは?
IP電話アダプタとは、インターネット回線を使ったIP電話サービスを、従来の固定電話機で利用できるようにするための機器です。アナログ電話機とネット回線の間に接続することで、インターネット経由の通話を可能にします。
IP電話は、パソコンや専用アプリを使って通話するイメージを持たれがちですが、IP電話アダプタを使えば、これまで使用していた電話機をそのまま活用できます。通話の操作感を大きく変えずにIP電話環境へ移行できるため、利便性が高いといえるでしょう。
そのため、IP電話アダプタは「新しい電話の使い方に切り替えたいが、電話機や運用はできるだけ変えたくない」というケースで選ばれることが多い機器です。
IP電話アダプタでできること
IP電話アダプタを利用することで、従来のアナログ電話機を使ったまま、IP電話サービスでの通話が可能になります。新たに専用の電話機やアプリを導入しなくても、インターネット回線を通じた発着信を行える点が特徴です。
主な機能は次の通りです。
・契約しているIP電話サービスの電話番号(0ABJ番号/050番号など)での発信・着信
・インターネット回線を利用した通話
・一般的な固定電話機と同じ操作感での利用
・通話料金の削減(IP電話サービスを利用する場合)
IP電話アダプタは、あくまで「通話をIP化するための変換機器」です。そのため、電話の基本的な機能は利用できますが、内線管理や着信制御などの高度な電話管理機能は備えていません。これらの機能が必要な場合は、PBXやクラウドPBXといった別の仕組みが必要になります。
このように、IP電話アダプタは「シンプルにIP電話を使いたい」「電話機や運用を大きく変えずに導入したい」といったケースに適した機器といえるでしょう。
似た機器との違い
IP電話アダプタは、PBXやVoIPゲートウェイ、ひかり電話など、役割が似ている機器やサービスと混同されやすい存在です。ただし、それぞれ目的や位置づけが異なります。
・PBX
PBXは、社内の電話環境全体を管理するための仕組みです。内線通話や着信の振り分け、複数回線の制御などを行い、電話運用そのものを統括します。IP電話アダプタが通話方式をIPに変換するための機器であるのに対し、PBXは電話環境を管理・制御することが目的であり、役割が異なります。
・VoIPゲートウェイ
VoIPゲートウェイは、アナログ回線とIP回線、あるいは異なる通信方式を相互に接続する装置です。複数回線の接続や業務システムとの連携など、用途は比較的広くなります。IP電話アダプタと比べると機能は多いものの、構成や設定が複雑になりやすく、シンプルにIP電話を利用したい場合にはオーバースペックとなることもあります。
・ひかり電話
ひかり電話は、光回線を利用して提供される電話サービスで、利用時にはホームゲートウェイ(HGW)などの専用機器を使用します。インターネット回線と電話をまとめて利用できる点が特徴です。IP電話アダプタは特定のIP電話サービスを利用するための機器であるのに対し、ひかり電話は回線契約とセットで提供されるサービスであり、利用できる設定や自由度には違いがあります。
このように、IP電話アダプタは、電話環境全体を管理する仕組みや回線サービスではなく、IP電話を利用するための比較的シンプルな機器という位置づけになります。目的や利用規模に応じて、適した選択肢を選ぶことが重要です。
IP電話アダプタの基本的な仕組み
IP電話アダプタは、インターネット回線を使って電話をかけるための中継役となる機器です。これを使うことで、従来の固定電話機をそのまま利用しながら、IP電話サービスで通話ができるようになります。
固定電話機は、もともと音声をそのまま回線に流す仕組みで作られています。一方、IP電話では、音声をデータに変換し、インターネットを通じてやり取りします。IP電話アダプタは、この違いを埋める役割を果たす機器です。
具体的には、電話をかけると電話機からの音声はいったんIP電話アダプタに送られます。IP電話アダプタは、その音声をインターネット送信可能なデータに変換し、IP電話サービスへ転送します。相手側では逆の流れで、届いたデータが音声に戻され、通話が成立します。
ユーザー側の操作は、通常の固定電話とほとんど変わりません。受話器を取って番号を押すだけで通話でき、特別な操作や設定を意識する必要はありません。仕組みは変わっていても、使い方が変わらない点がIP電話アダプタの特徴です。
IP電話アダプタが必要になるケースとは?
IP電話アダプタが必要になるのは、主に次のようなケースです。
・既存のPBXやビジネスフォンをそのまま使いながら、IP電話を利用したい場合
・アナログ電話機を買い替えずに、IP電話サービスへ切り替えたい場合
・電話機や配線など、現在の電話環境をできるだけ変更したくない場合
・小規模な拠点や一時的な利用など、シンプルな通話環境で十分な場合
・初期コストを抑えてIP電話を導入したい場合
このように、IP電話アダプタは「既存設備を活かしながら、最低限の構成でIP電話を使いたい」ケースで選ばれやすい機器です。一方で、内線管理や着信制御など、電話環境全体の管理が必要な場合は、IP電話アダプタ以外を検討する必要があります。
失敗しないIP電話アダプタの選び方
IP電話アダプタは機種によって対応範囲が異なるため、用途に合わないものを選ぶと、導入後に使いづらさを感じることがあります。以下のポイントを事前に確認しておくことが重要です。
・ポート数
接続できる電話機や回線数は機種ごとに異なります。複数台の電話機を接続する場合や、将来的に増設する可能性がある場合は、ポート数に余裕のある機種を選ぶと安心です。
・音声の品質
IP電話はインターネット回線を利用するため、音声品質は機器の性能や対応コーデックの影響を受けます。業務利用の場合は、通話が途切れにくく、安定した音質を確保できるかを確認しておく必要があります。
・セキュリティ面
IP電話はインターネット回線を利用するため、不正利用や設定の乗っ取りなどへの対策も重要です。通信の暗号化に対応しているか、セキュリティ機能が備わっているかを確認しておくと安心です。
・運用性の高さ
設定や管理が複雑な機器は、導入後の運用負担が大きくなりがちです。管理画面の分かりやすさや、設定変更のしやすさなども選定時のポイントになります。
・FAXを利用するかどうか
FAXを継続して利用する場合は、FAX対応の可否を必ず確認する必要があります。IP電話では、機種やサービスによってFAXが正常に動作しないケースもあるため注意が必要です。
・国内でのサポートや保守体制
トラブル発生時に迅速に対応できるかどうかは、業務利用では重要な要素です。国内サポートの有無や、問い合わせ方法、保守体制が整っているかも確認しておきましょう。
これらのポイントを押さえて選ぶことで、導入後のトラブルやミスマッチを防ぎやすくなります。
IP電話アダプタの主な導入手順
IP電話アダプタの導入は、電話システムの中では比較的シンプルです。一般的には、次のような流れで進みます。
・利用するIP電話サービスを決める
まず、どのIP電話サービスを利用するかを選びます。IP電話アダプタは、サービスごとに対応・非対応が分かれる場合があるため、事前に対応機種を確認しておくことが重要です。
・IP電話アダプタを用意する
選んだIP電話サービスに対応したIP電話アダプタを準備します。電話機の台数や利用方法に応じて、必要なポート数や機能を確認したうえで機種を選びます。
・IP電話アダプタと電話機・ネットワークを接続する
IP電話アダプタに既存の電話機を接続し、あわせてインターネット回線(ルーターなど)と接続します。配線自体は比較的シンプルですが、利用するIP電話サービスのSIPアカウント情報やネットワーク設定などの初期設定が必要です。
・初期設定を行う
管理画面にアクセスし、IP電話サービスから提供されるアカウント情報や回線設定を入力します。設定内容はサービスごとに異なりますが、マニュアルに沿って進めれば難しい作業は多くありません。
・発信・着信テストを行う
設定完了後、実際に発信や着信ができるかを確認します。通話品質や音量などもこの段階でチェックしておくと安心です。
このように、IP電話アダプタの導入は、大掛かりな工事を必要とせず、比較的短時間で完了します。既存の電話機を活かしながらIP電話を利用したい場合、導入のハードルが低い点も特徴といえるでしょう。
IP電話アダプタ以外にも電話には便利な選択肢がある
IP電話アダプタは、既存の電話機を活かしながらIP電話を利用できる手段の一つです。しかし、電話環境の選択肢はそれだけではありません。近年は、専用機器を設置せずに電話機能を利用できるクラウドPBXサービスが注目されています。利用目的や事業規模によっては、IP電話アダプタよりも、運用しやすくコストを抑えやすいのでおすすめです。
ここでは、IP電話アダプタ以外の代表的な選択肢である、クラウドPBXサービスについて解説します。
おすすめは「クラウドPBX」
IP電話アダプタは、既存の電話機を活かしてIP電話を利用したい場合に有効な手段ですが、より柔軟な運用を求める場合には、クラウドPBXがおすすめです。
クラウドPBXは、従来オフィス内に設置していたPBXをクラウド上で提供するサービスです。物理的な機器を設置する必要がなく、インターネット環境があれば利用できます。そのため、初期設定や保守の負担を抑えやすい点が特徴です。
また、クラウドPBXでは、スマホやPCを端末として利用できるため、場所に縛られない電話対応が可能になります。テレワークや外出先での対応が多い事業者にとっては、運用面でのメリットが大きいといえるでしょう。
さらに、クラウドPBXでは、IP電話アダプタ単体では対応が難しい内線通話、着信の振り分け、営業時間外対応などさまざまな機能を、追加機器なしで利用できます。
このように、電話環境全体の管理や拡張性、運用の柔軟さを重視する場合には、クラウドPBXが有力な選択肢といえます。
手軽に電話番号取得・番号ポータビリティができる「03plus」

IP電話アダプタを使わずに電話環境を整えたい場合、クラウドPBXは有力な選択肢です。03plusは、機器の設置や配線工事を行わず、インターネット環境とスマホだけで固定電話番号を利用できるサービスです。全国の主要46局の市外局番付き電話番号を取得でき、スマホから発着信できます。電話環境の構築から運用までをオンラインで完結できるのが大きな特徴です。
また、番号ポータビリティに対応しているため、現在使用している固定電話番号をそのまま引き継ぐこともできます。ただし、対象となる番号・回線種別・提供元など条件があるため、利用中の番号が移行可能か事前に確認が必要です。
03plusで利用できる主な機能は以下のとおりです。
・IVR(自動音声応答):着信時に音声ガイダンスを流し、問い合わせ内容ごとに振り分けられる
・通話録音:通話内容を自動で記録し、後から確認できる
・クラウドFAX:紙のFAX機を使わず、データでFAXの送受信ができる
・留守レポ:着信に自動応答し、用件を録音、録音内容をテキストや音声でチャットやメールに通知して確認できる
・10分かけ放題:オプション加入により、通話料を抑えた運用が可能
これらの機能により、IP電話アダプタやPBX機器を管理せずとも、ビジネス用途に必要な電話対応をカバーできます。電話設備の構成や保守をできるだけシンプルにしたい場合、03plusのようなクラウドPBXは、IP電話アダプタの代替手段として現実的な選択肢といえるでしょう。
まとめ
今回は、IP電話アダプタの概要や仕組み、必要になるケース、選び方について解説しました。
IP電話アダプタは、既存の電話機を活かしながらIP電話を利用できる手段ですが、機器の設置や設定、保守が必要になる点には注意が必要です。
「設置や保守の手間をかけずにIP電話を使いたい」とお考えなら、クラウドPBXがおすすめです。クラウドPBXを利用すれば、専用機器を用意することなく、固定電話番号の取得や番号ポータビリティ、ビジネス向けの通話機能をまとめて利用できます。
電話環境に求める条件は、事業規模や運用体制によって異なります。既存設備を活かしたいのか、できるだけシンプルに運用したいのかを整理したうえで、IP電話アダプタとクラウドPBXのどちらが適しているかを検討しましょう。
IP電話へのスムーズな移行、使いやすくビジネス用途に向いているIP電話の利用をお考えなら、ぜひ03plusをご検討ください。
