「迷惑な営業電話に出るのが面倒…」と感じている方は多いことでしょう。実は近年、AIが代わりに応答して発信者の名前や用件を確認してくれる「通話スクリーニング」という機能が注目されています。電話に出る前に相手の目的を知ることができるため、迷惑電話や営業電話への対応を減らし、重要な連絡を逃さずに済むのが特長です。
しかし、スマホ単体の機能であるため、会社代表番号のように複数人で電話を受けるケースでは、不十分な場面もあります。
そこで今回は、通話スクリーニングの仕組みやスマホでの対応状況、Google PixelやiPhoneでの設定、ビジネスシーンでの代替案について解説します。
目次
通話スクリーニングとは?
通話スクリーニングとは、AIがユーザーの代わりに着信へ応答し、発信者の名前や用件を確認する機能のことです。
AIが発信者と短い会話を行い、その内容をリアルタイムで文字起こしして画面に表示します。ユーザーはテキスト化された内容を見ながら「通話に出る」「拒否する」または「AIに応答を任せる」かを判断できます。
通話スクリーニングを利用することで、電話に出られない状況でも発信者の用件を確認できるほか、迷惑電話や詐欺電話を事前に見分ける対策としても活用できます。
また、AIが発信者情報をもとにスパム判定を行い、迷惑電話の疑いがある場合には自動でブロックしたり、企業名を特定して表示したりすることも可能です。
通話スクリーニングを活用すれば、電話に出る前に「誰から」「用件の内容」などを把握できます。そのため、無駄な着信への対応を減らし、日常や業務の効率化にもつながる機能として注目されています。
近年スマートフォンで普及が広がっている
通話スクリーニング機能は、もともとGoogleがPixelシリーズに導入したことをきっかけに注目され始めました。着信時にGoogleアシスタントが発信者へ自動音声で応答し、用件を尋ねて内容を文字起こしする仕組みで、ユーザーはその内容を見て通話に出るかどうかを判断できます。
現在、日本ではユーザーが着信時に「スクリーニング」を選択してAI応答を開始する「手動スクリーニング」のみ利用できます。一方、アメリカではAIが自動で応答する「自動スクリーニング」が提供されており、迷惑電話の判定や自動ブロックなども行われています。こうした背景から、国やOSのバージョンによって機能範囲に違いがあるのが現状です。
Appleも2025年9月16日に正式リリースされた「iOS 26」で通話スクリーニング機能が搭載されました。iPhoneが未知の番号からの着信に自動で応答し、発信者に名前と通話の目的を尋ね、回答内容をテキスト化してユーザーに表示します。デフォルトでは機能がオフになっており、通話スクリーニング設定を有効にすることで利用できます。Google Pixelと同様に、迷惑電話対策として注目されています。
このように、Google PixelやiPhoneを中心に、AIが着信に対応する通話スクリーニング機能はスマートフォンの標準機能として広がりつつあります。今後は日本国内でも、自動スクリーニングの導入やビジネス用途への応用が進むと考えられます。
通話スクリーニングを利用するメリット
通話スクリーニングは、AIが応答を代行してくれることでさまざまなメリットがあります。以下で、主なメリットについて解説します。
・不要な通話を避ける
通話スクリーニングを利用する最大のメリットは、不要な電話に時間を取られずに済むことです。
AIが発信者の名前や用件を確認してくれるため、電話に出る前に相手や内容を把握できます。知らない番号や不審な電話にいちいち応答する必要がなく、心理的なストレスを軽減できます。
・迷惑電話や詐欺電話の対策になる
迷惑電話・詐欺電話の対策としても通話スクリーニングは有効です。
AIが発信者の情報をもとにスパムの可能性を判定し、危険性の高い通話を自動的にブロックします。詐欺や営業目的の電話を事前に排除できるため、安心してスマートフォンを利用できます。
・通話の用件を記録・確認できる
通話スクリーニングを利用することで、通話の用件を記録・確認できる点もメリットといえるでしょう。
AIが応答した内容は文字起こしされ、履歴として確認できます。重要な着信を逃しても、用件を後から確認できるため、折り返し対応がスムーズになります。外出中や会議中など、すぐに電話に出られない場面でも役立ちます。
・プライバシーを守れる
通話スクリーニングはプライバシー保護の観点からもメリットがあるといえます。
通話スクリーニングの処理は端末内で完結するため、会話内容が外部サーバーに送信されることはありません。自分の声や周囲の音を相手に知られずに用件を確認できる点も安心です。個人利用はもちろん、ビジネスシーンでもプライバシー確保に有効です。
・聞き取りが苦手な人にもやさしい
会話内容がリアルタイムで文字化されるため、聴覚に不安がある人や電話での聞き取りが苦手な人にとってやさしいという点もメリットです。通話の情報を視覚的に確認できる点は、アクセシビリティの面でも評価されています。
このように、通話スクリーニングは不要な通話を減らすだけでなく、情報管理やプライバシーの保護にも役立つ多機能な仕組みです。日常の連絡だけでなく、ビジネスでの電話対応にも活用できる機能として注目されています。
Google Pixelの通話スクリーニング
Google Pixelに搭載されている通話スクリーニングは、AIアシスタントが着信に応答し、発信者の名前や用件を尋ねる機能です。相手の応答はリアルタイムで文字起こしされ、画面上に表示されます。ユーザーは内容を確認したうえで、電話に出るか、拒否するか、あるいはAIに応答を任せるかを選択できます。
電車内や会議中など、すぐに応答できない状況でも相手の用件を確認できるため、無駄な着信を減らし、業務効率の向上にもつながります。
設定方法
Google Pixelで通話スクリーニングを利用するには、あらかじめ「電話」アプリの設定で機能を有効にする必要があります。日本では手動スクリーニングのみ利用可能で、ユーザーが着信時に操作してAI応答を開始します。設定と利用の流れは次のとおりです。
- 最新の「電話」アプリがインストールされていることを確認します。
- 電話アプリを開き、右上のメニューから「設定」を選択します。
- 「スパムと通話スクリーニング」→「通話スクリーニング」をタップします。
- 通話スクリーニングの設定を有効にします。
- 着信時に「スクリーニング」ボタンが表示されるようになります。
- 着信があった際に「スクリーニング」をタップすると、AIが発信者に「お名前とご用件を教えてください」と応答します。
- 相手の返答はリアルタイムで文字起こしされ、画面に表示されます。
- 内容を見ながら「折り返します」「少しお待ちください」「スパムとして報告」などの応答を選択できます。
通話スクリーニングで取得された文字起こしデータはスマートフォン内に保存され、後から確認することも可能です。なお、音声処理は端末内で完結し、会話内容がGoogleのサーバーに自動送信されることはありません。
他のAndroid機種での対応は?
通話スクリーニング機能は、現時点ではGoogle Pixelシリーズに標準搭載されている機能であり、他のAndroidスマートフォンでは原則として利用できません。Google公式サポートによると、次のように記載されています。
「米国とカナダでは、手動での通話スクリーニングも一部のAndroid デバイスでご利用いただけます。」
(出典:Google公式サポート「通話を応答前にスクリーニングする」)
つまり、日本国内で通話スクリーニングを利用できるのはPixelシリーズのみで、他のAndroid機種では対応していません。
一方、国内のAndroid端末では、メーカーや通信キャリアが独自に提供する「迷惑電話ブロック」「着信前ガイダンス」などの機能を使えば、通話スクリーニングに近い形で着信を管理できます。ビジネス用途では、クラウドPBXやIVR(自動音声応答)機能を活用することで、通話スクリーニングと同様の仕組みを実現することも可能です。
iPhoneの通話スクリーニング
iPhoneでは、iOS 26から通話スクリーニング機能が新たに搭載されました。
まず未知の番号からの着信にiPhoneが自動で応答し、発信者に名前と通話の目的を尋ねます。発信者の回答内容はテキスト化され、ユーザーの画面に表示され、ユーザーはその情報を確認したうえで、通話に出るか、拒否するかを判断できます。
この機能により、知らない番号や営業電話などにいきなり応答する必要がなくなり、不要な通話を避けながら、重要な連絡を逃さず確認できます。また、Appleの自動判定機能やキャリア提供の迷惑電話データベースと連携することで、スパムや詐欺の可能性が高い番号を検出して通知する仕組みも備わっています。通話応対の負担を減らし、プライバシーと利便性を両立できる点が特徴です。
設定方法
iPhoneの通話スクリーニングの設定手順は次のとおりです。
- 設定アプリを開きます。
- 「アプリ」→「電話」を選択します。
- 「通話スクリーニング」をタップします。
- 次のいずれかのモードを選択します。
・「なし」:機能をオフにします。全ての着信で通常どおり呼び出し音が鳴ります。
・「通話の理由を尋ねる」:未知の番号からの着信時に、iPhoneが自動で応答して発信者に通話目的を尋ねます。
・「消音」:未知の番号からの着信を無音にして留守番電話に転送します。 - 設定を閉じると、次回の着信から有効になります。
このように、iPhoneの通話スクリーニングは、最初に設定さえしてしまえば、後はAIが自動で発信者に応答してくれます。重要な電話を逃さず、不審な通話を避けたい場合に有効な機能といえるでしょう。
ビジネスシーンにおいて通話スクリーニングを利用することはできる?
通話スクリーニングは、個人のスマホ利用においては非常に便利な機能です。しかし、会社代表番号や部署ごとの電話対応など、ビジネスシーンでの運用には制限があります。スマホ単体の機能では、企業の代表番号や複数人での電話対応をカバーすることが難しく、全体の業務フローに組み込みづらいのが実情です。
例えば、営業部門やサポート窓口などでは、1本の代表番号に複数の社員が着信対応するのが一般的です。個人端末の通話スクリーニング機能を使っても、会社全体の着信を効率化することはできません。そのため、ビジネスの現場では、通話スクリーニング以外で、着信を共有・振り分け・記録できる仕組みが求められます。
こうした理由から、企業電話においては、スマホの通話スクリーニングよりも、クラウドPBXなどのシステムを活用するのが現実的といえるでしょう。
クラウドPBXを使うことで近いことが可能
クラウドPBXを導入すれば、通話スクリーニングに近い仕組みを実現できます。クラウドPBXは、インターネットを通じて電話の着信・発信を管理するシステムで、代表番号を社内外の複数デバイスで共有できるのが特徴です。
クラウドPBXで利用できる「IVR(自動音声応答)」や「着信前ガイダンス」機能を組み合わせることで、スマホの通話スクリーニングと同じように、発信者に対して用件を尋ねたり、適切な担当者へ振り分けたりすることが可能になります。例えばIVRで「お電話ありがとうございます。営業へのお問い合わせは1番、サポートは2番を押してください」といった音声ガイダンスを設定すれば、不要な着信を減らしつつ、業務効率を高められます。
さらに、通話履歴や録音データをクラウド上で一元管理できるため、社内での情報共有や顧客対応履歴の確認も容易になります。
このように、クラウドPBXを活用すれば、スマホ単体の通話スクリーニングでは対応しきれない、「組織としての着信管理」や「応対品質の可視化」を実現できます。
03plusの「通話前ガイダンス」、「IVR」「留守レポ」が便利

ビジネスの電話対応では、代表番号への着信や複数人での応対など、スマホの通話スクリーニングだけでは対応しきれない場面も多くあります。そんなときに役立つのが、クラウドPBXサービス「03plus」の「通話前ガイダンス」、「IVR(自動音声応答)」、「留守レポ」です。これらの機能を使えば、通話スクリーニングのように電話に出る前に内容を把握したり、出られないときでも用件を確認したりすることができます。
・通話前ガイダンス
「通話前ガイダンス」は、着信時に自動で音声メッセージを流し、「この通話は録音される場合があります」「営業目的のお電話はご遠慮ください」といった注意喚起を行うことで、不要な電話の多くを抑止できます。
・IVR(自動音声応答)
IVRは、電話がつながる前に自動音声で案内を流し、発信者に選択操作を促す機能です。例えば、「お電話ありがとうございます。営業へのお問い合わせは1を…」といった音声ガイダンスを設定できます。この機能を活用すれば、発信者の目的に応じて適切な担当部署へ自動的に振り分けられます。電話に出る前に発信者の意図を把握できる点で、スマホの通話スクリーニングに近い使い方が可能です。
・留守レポ
「留守レポ」は、電話に出られないときに自動音声で応答し、発信者の用件を録音・テキスト化して通知する機能です。録音内容は自動的に文字起こしされ、Slack、Chatworkなどのビジネスチャットにリアルタイムで共有されます。これにより、外出中や会議中でも発信者の用件をすぐに確認でき、対応漏れを防ぐことができます。テキスト化された内容をすぐに確認できる点は、通話スクリーニングの「用件の可視化」と同等の効果があるといえるでしょう。
これらの機能を組み合わせることで、電話を取る前に内容を把握し、出られないときでも用件を確認できる仕組みを構築できます。03plusを活用すれば、代表番号の着信を自動で案内・記録できるため、電話対応の手間を減らしながら、顧客対応の精度を高めることができます。
まとめ
今回は、通話スクリーニングの仕組みと、スマホでの利用状況、ビジネスでの代替方法について解説しました。
通話スクリーニングとは、AIが着信に応答して発信者の名前や用件を尋ね、その内容を文字で確認できる機能です。電話に出る前に相手の目的を把握できるため、不要な通話を避けたり、重要な電話を逃さず対応したりすることができます。
Google Pixelでは手動スクリーニング(日本の場合)、iPhone(iOS 26)では自動スクリーニングが利用できます。どちらも着信対応の手間を減らせる便利な機能ですが、現状では個人利用が中心であり、会社の代表番号など複数人での電話対応には対応していません。
ビジネスシーンでは、クラウドPBXを活用することで通話スクリーニングと同様の仕組みを実現できます。例えば、03plusの「通話前ガイダンス」や「IVR(自動音声応答)」、「留守レポ」を利用すれば、通話スクリーニングのように電話に出る前に用件を把握し、出られないときでも内容を確認可能です。
「迷惑電話対策をしたい」「電話対応を効率化したい」とお考えなら、ぜひ03plusの導入をご検討ください。
