営業電話や迷惑電話が頻繁にかかってくると、本来対応すべき顧客からの電話にすぐ出られない、社員の業務が中断される、といった問題が生じます。それは結果として業務効率や顧客満足度の低下を招く原因にもなるものです。
こうした状況を防ぐために役立つのが、ビジネスフォンに搭載されている着信拒否機能です。
今回は、ビジネスフォンでの着信拒否の仕組みや限界、そしてより柔軟に対応できるクラウドPBXの活用について解説します。
目次
ビジネスフォンにおける「着信拒否」とは?
業務に関係のない営業電話や迷惑電話を受け続けると、本来対応すべき顧客からの着信を逃し、社員の対応時間や業務時間を奪う原因となります。それは業務効率や顧客満足度の低下を招くものです。
そこで活用したいのが、着信拒否機能です。ここでは、着信拒否機能とは何なのか、利用すべき背景について解説します。
特定の番号・非通知などからの着信をブロックする機能
ビジネスフォンの着信拒否機能とは、あらかじめ登録した電話番号や番号非通知の着信を自動的に遮断する機能です。
着信拒否を設定しておけば、対象の番号から電話がかかってきても呼び出し音が鳴らず、着信履歴にも残らないようにできます。そのため、業務に不要な電話を受ける手間が省かれ、本来対応すべき顧客からの着信にのみ集中できる環境を整えられます。
着信拒否設定を行うべき背景
近年、営業電話や迷惑電話だけでなく、電話を悪用した特殊詐欺や嫌がらせ行為が深刻化しています。そのため、企業では着信拒否設定を適切に活用することが求められています。
警察庁の「令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等」によると、令和5年の特殊詐欺による被害総額は452億円を超え、そのうち実に77.5%が電話を利用した犯行であるとされています。また、資産状況や在宅状況を探る「予兆電話(アポ電)」も13万件以上確認されており、企業や個人を問わず脅威が拡大しています。
さらに、法人を対象とした迷惑電話も後を絶ちません。しつこい営業電話や大量の嫌がらせ電話、行政機関を装った個人情報の聞き出し、さらには架空請求・振り込め詐欺といった手口が横行しています。これらは業務効率を妨げるだけでなく、情報漏えいや金銭的な被害をもたらすリスクも高めます。
このような背景から、企業にとって着信拒否機能を活用し、不要な電話を遮断することは、業務効率の確保とセキュリティ強化の両面で欠かせない対策といえるでしょう。
従来型のビジネスフォンで着信拒否する方法
ビジネスフォンで着信拒否を行う場合、主装置や電話機側の機能を利用します。特定の番号や非通知からの着信をブロックできるように設定すれば、業務に不要な電話を減らし、社員が本来の業務に集中しやすくなります。
ここでは、従来型ビジネスフォンでの代表的な方法を紹介します。
主装置側での番号ブロック設定
従来型のビジネスフォンでは、オフィス内の通話を管理する「主装置」に番号ブロックの設定を行うことで、特定の番号や非通知からの着信を一括して拒否することが可能です。主装置で管理するため、全ての内線電話に対して一律でルールを適用できます。
ただし、主装置の設定には専門知識が必要です。そのため、この方法は設定変更や追加を行う際に専門業者に対応を依頼しなければなりません。このことから、コストがかかることや柔軟な運用が難しいという課題があります。
また、主装置の性能や契約内容によっては、登録できる拒否番号の件数に制限がある場合もあります。そのため、事前に確認して必要に応じた対応をしなければなりません。
電話機ごとの着信拒否機能
従来型ビジネスフォンの専用電話機では、着信拒否機能を搭載しているモデルもあります。このモデルであれば、利用者が自分の電話機を操作して特定の番号や非通知を登録することで、個別にブロックが可能です。社員ごとに不要な営業電話や迷惑電話を避けられるため、業務のストレスを軽減できる点がメリットといえます。
しかし、この方法では電話機ごとに設定が必要となり、全体を統一的に管理することはできません。また、電話機の機種によっては登録できる件数が限られているケースもあるため、運用には注意が必要です。
ビジネスフォンで着信拒否する際の課題・限界
ビジネスフォンの着信拒否機能は迷惑電話対策として有効ですが、導入すれば全ての課題が解決するわけではありません。機能面や運用面での限界があり、業務効率化やセキュリティ確保の観点からは不十分なケースもあります。
ここでは、代表的な課題や注意点について解説します。
着信拒否件数の制限
多くのビジネスフォンでは、登録できる着信拒否番号の件数に上限があります。機種によって具体的な上限の件数はさまざまですが、前述の通り迷惑電話の件数は増加傾向にあり、迷惑電話の発信元は番号を変えて繰り返し連絡してくることも多いため、すぐに上限に達してしまい、十分な対策ができなくなるリスクがあります。
また、新たな番号を登録する際は古い番号を削除しなければならず、継続的な迷惑電話対策としては限界があるといえるでしょう。
設定変更時に業者対応が必要な場合も
従来型のビジネスフォンでは、着信拒否の設定変更を行う際に専門業者への依頼が必要となるケースがあります。
前述の通り、主装置を介して設定する場合、専門知識が必要になります。番号の追加・削除やブロックリストの編集を社内で行ったうえで業者に依頼するため、非常に手間がかかりますし、コスト負担もあります。迷惑電話が頻発するたびに業者へ依頼することになれば、さらに手間・コストがかかりますし、対応の遅れが目立つことでしょう。
結果として、迅速な対策ができず業務効率が落ちるほか、長期的には業務効率やコスト面でも大きな負担となってしまいます。
非通知や頻繁に変わる営業番号への対応が困難
ビジネスフォンの着信拒否機能は、あらかじめ特定の番号を登録してブロックします。ところが、実際の迷惑電話や営業電話は、非通知でかかってくることや、発信元の番号を頻繁に変えてくることが少なくありません。
このようなケースでは、拒否リストに登録しても効果が限定的で、結局は電話を取らざるを得ない場面が出てきます。その結果、従業員の業務が中断されてしまい、本来の顧客対応に支障をきたす恐れがあります。
複数拠点・複数端末での共有が困難
従来型ビジネスフォンの着信拒否設定は、基本的に1台の電話機または1つの主装置に依存しています。そのため、本社と支店など複数拠点を展開している企業や、フロアごとに複数の端末を利用している企業では、拒否リストを一括で共有することができません。
例えば、着信拒否設定をしたとしても、ある拠点では拒否できている迷惑電話が、別の拠点では着信してしまう、といった不統一が発生することがあるわけです。
拠点数や利用端末が多い企業では、番号管理や情報共有に大きな手間がかかり、効率的な迷惑電話対策が難しくなってしまうことでしょう。
正当な問い合わせを誤って拒否してしまうリスクも
着信拒否機能を利用する際は、正規の取引先や顧客からの電話まで誤って遮断してしまうリスクも考慮しなければなりません。番号の登録や判別を誤ると、本来受けるべき重要な問い合わせを逃してしまい、商機の損失や顧客満足度の低下につながる恐れがあります。
また、営業担当者が個人の携帯電話などから折り返し連絡をしてくる場合、その番号が一時的に不明なものとして拒否リストに入ってしまうケースもあり得ます。こうした誤判定は、ビジネス上の信頼関係にも影響を及ぼしかねません。したがって、着信拒否機能を導入する際は、定期的な見直しや管理体制の整備が欠かせないといえるでしょう。
クラウドPBXなら着信拒否も柔軟に対応できる
従来型のビジネスフォンでは、着信拒否できる件数や設定方法に制約が多く、複数拠点での共有や詳細な制御が難しいという課題がありました。しかし、クラウドPBXを利用すれば、インターネットを介して柔軟かつ高度な着信拒否を実現できます。
ここでは、クラウドPBXによる着信拒否について解説します。
管理画面から着信拒否の番号設定が可能
クラウドPBXは、着信拒否の設定を専用の管理画面から簡単に行えます。
従来型のビジネスフォンでは、主装置や電話機ごとに操作しなければならず、手間がかかって対応の遅れが発生することも少なくありませんでした。しかしクラウドPBXならば、管理者がWeb上で対象番号を登録するだけで全社的に反映されます。これにより、迷惑電話や営業電話への対応がスピーディかつ効率的になります。
また、番号の追加や削除も即時に反映できるため、状況に応じて柔軟に設定を変更可能です。設定作業を業者に依頼する手間や費用も不要となり、社内での管理が容易になる点が大きなメリットです。
非通知・国際電話・時間帯別の着信制御など多機能
クラウドPBXでは、着信拒否の対象を番号単位に限らず、非通知や国際電話、時間帯別といった多様な条件で制御することができます。
従来のビジネスフォンでは、番号を一件ずつ登録する方式が一般的で、設定できる件数にも制限がありました。そのため、非通知や頻繁に番号を変えてかけてくる営業電話には対応しきれないことが課題になっていました。
一方、クラウドPBXであれば「非通知は全て拒否」「営業時間外は自動で着信拒否」など、条件を柔軟に設定できます。そのため、不要な電話を効率的に排除しながら、必要な顧客からの連絡は確実に受けられる仕組みを比較的容易に構築できます。結果として、業務効率を維持しつつセキュリティ面でも安心して運用できることでしょう。
番号共有/一元管理でチーム対応にも便利
クラウドPBXでは、着信拒否設定を拠点や端末ごとに分けて行う必要がなく、全ての設定を一元的に管理できます。
従来のビジネスフォンでは、各電話機や主装置ごとに操作が必要で、複数拠点を持つ企業では設定のばらつきや対応漏れが発生するリスクがありました。
クラウドPBXなら、管理画面で設定した内容が全社に即時反映されるため、社員全員が同じルールで電話対応できます。迷惑電話や営業電話のブロックが統一されれば、チーム全体で効率的かつ安心して業務に臨めることでしょう。さらに、管理者が履歴や設定状況をまとめて確認できるため、セキュリティと利便性の両面で優れた仕組みを実現できます。
拒否だけでなくアナウンスを行うことも可能
クラウドPBXの着信制御は、単に着信を拒否するだけではなく、発信者に対して自動アナウンスを流すこともできます。
例えば「この番号からの着信は受け付けておりません」や「営業時間外のため折り返し対応いたします」といったメッセージを設定可能です。迷惑電話への対策としてはもちろん、顧客への丁寧な対応にもつなげられます。
また、メッセージを工夫することで、誤って正当な問い合わせを拒否してしまった場合にもフォローが可能になります。
このように、クラウドPBXならではの柔軟な制御機能によって、業務効率と顧客対応品質の両立を実現できるのです。
着信制御もできるクラウドPBX「03plus」とは?

迷惑電話対策をお考えなら、着信制御もできるクラウドPBX「03plus」がおすすめです。
03plusは、市外局番付きの番号をオンラインで取得して、スマホから会社の代表番号を利用できるクラウドPBXサービスです。地域性や信頼性を重視した法人電話環境を手軽に整えるのに役立ちます。
また、03plusは迷惑電話対策の面でも強みのあるサービスです。従来のビジネスフォンでは難しかった着信制御や柔軟な運用をクラウド上で実現できます。例えば、「通話前ガイダンス」を利用すれば、着信時に「この通話は録音される場合があります」「営業・勧誘のお電話はご遠慮ください」といったガイダンスを自動再生できます。このガイダンスが流れるだけで、最大56%の迷惑電話の削減(社内検証によるデータ)を実現できます。
ほかにも、着信履歴の番号をワンタップで検索し、危険な電話かどうか確認できる「Web検索ボタン」、発信者の情報がPCの画面上に表示される「着信ポップアップ」などを活用することで、効率的かつ柔軟に迷惑電話対策が可能です。
まとめ
今回は、迷惑電話対策として、ビジネスフォンでの着信拒否機能やクラウドPBXの活用について解説しました。
従来型のビジネスフォンでも、着信拒否機能を利用すれば特定番号のブロックは可能です。しかし、登録件数に制限がある、複数拠点で共有できない、非通知や頻繁に変わる番号には対応しづらいといった課題があります。そのため、迷惑電話を完全に防ぐのは難しく、業務効率や従業員の負担に悪影響を及ぼすことも少なくありません。
一方、クラウドPBXを利用すれば、管理画面から柔軟に番号設定を行えるほか、非通知や国際電話の制御、時間帯別の振り分けなども可能になります。さらに、番号の一元管理やガイダンス再生機能、通話録音などを組み合わせることで、迷惑電話対策と業務効率化を同時に実現できます。
迷惑電話に困っていて対策をしたいとお考えなら、ぜひ03plusをご検討ください。
