企業には顧客や取引先から毎日多くの電話がかかってきます。電話は企業にとって大切な窓口ですから、電話対応は大切な業務であるといえます。しかし、企業には営業電話などの不要な電話もかかってきます。「仕事が中断させられる」「なかなか切らせてくれない」と、営業電話に対して不満を抱く社員は数多くいます。また、営業電話が多くかかってくれば生産性が低下し、企業の業績にも影響することもあります。
そこで今回は、営業電話をスマートに断る方法や見極め方、システム側で対策する方法について解説します。
目次
企業には多くの営業電話・迷惑電話がかかってくる
企業には顧客からの問い合わせだけでなく、営業電話や迷惑電話なども数多くかかってきます。規模の大きな企業になればなるほど、その数も増加する傾向にあります。また、業種によっては毎日営業電話がくるようなケースもあります。
営業電話への対応によって業務に悪影響が出る
企業にかかってくる電話には、顧客からの商品やサービスに対する問い合わせ、取引先との打ち合わせなど業務に欠かせないものも数多くかかってきます。企業にとって電話は顧客や取引先とつながるための大切な窓口であることから、電話対応は重要です。
しかし、営業電話や迷惑電話は企業の業務においては不要なものです。そのような不要な電話に対応すれば、社員は業務の手を止めなければなりません。そのため、面倒な営業電話は社員にとってストレスや負担になりますし、企業にとっては業務効率の低下につながります。
営業電話に対する心構え
営業電話は、慣れていないと困惑してしまってスムーズに対応できないこともあります。まずは、「企業には営業電話がかかってくる」ことを前提として頭に入れておきましょう。その上で、以下の心構えを持っておくと、毅然とした対応ができるようになります。
相手は「断られる前提」で電話している
営業電話をかける側は、そもそも多くの企業から断られることを前提にしています。そのため、1件ごとに断られること自体は気にしていません。むしろ効率良く数をこなすことを目的としており、1日に何十件、場合によっては何百件と電話をかけているケースもあります。断られた場合も「次に行けば良い」と割り切っているため、実際は深く落ち込むことはなく、粘り強く食い下がる必要性を感じていないのです。
だからこそ、こちらがはっきりと「不要です」「検討の予定はありません」と伝えれば、意外とすぐに引き下がってくれることが少なくありません。
しかし、詳しくは後述しますが、反対に曖昧な返答をしてしまうと「可能性がある」と思われ、再度の着信につながることがあります。
断る理由を明確にする必要がある
営業電話を断るときには、単に「結構です」「不要です」と答えるだけでは不十分なことがあります。理由を示さずに断ると、相手に「まだ可能性がある」と受け取られ、会話を引き延ばされたり、後日改めてかけてこられたりする原因になってしまうのです。
そのため、断る際は明確な理由を添えることが効果的です。例えば、
・現在、新しいサービスを検討する予定はありません
・すでに別のシステムを導入しており、乗り換える予定はありません
・取引先が決まっておりますので、今回は見送りいたします
といった形で、相手が納得できる根拠を示すことで、余計なやり取りを減らせます。
一方で「担当者が不在です」「検討してみます」といった曖昧な返答は避けるべきです。こうした答えは、相手に「またかければつながるかもしれない」「可能性が残っている」と思わせてしまい、結果的に何度も着信が続くことにつながります。
断る理由を明確にすることは、相手にとっても自分にとっても時間の節約になり、無駄なやり取りを防ぐ上で非常に有効です。
営業電話を見分けるチェックポイント
企業には顧客や取引先からの電話に混ざって営業電話がかかってきます。そのため、業務上必要な電話なのか不要な営業電話なのかを判断できないこともあることでしょう。以下で、営業電話かどうかを判断するポイントを紹介します。
担当者の名前を知らない・言わない
担当者名を知らない・言わない場合、営業電話の可能性があります。
普段からやり取りのある取引先からの電話であれば、担当者名は把握しているものです。しかし、営業電話では、法人企業リストを用いて電話をかけてきています。そこに担当者名は記載されていないため、「マーケティングのご担当者様はいらっしゃいますか?」のように伝えてくることが少なくありません。場合によっては、「社長様はいらっしゃいますでしょうか?」のように、いきなり社長への取り次ぎを要求するような電話もあります。会社のHPに記載されている社長の名前を見て「◯◯社長」ということもあるようです。いずれにしても、いきなり社長へつなごうとする電話は営業電話の可能性が高いといえます。
また、担当者名だけでなく部署名を把握していないケースもあります。取引のある会社であれば把握しているはずですので、営業電話と判断しやすいことでしょう。
用件をなかなか話さない
具体的な用件をなかなか話してこない場合、営業電話かもしれません。
取引先であれば、「◯◯の件でお電話いたしました。◯◯様はいらっしゃいますか?」のように担当者の名前などと一緒に用件も伝えてくれます。そうすることで、お互いに業務が円滑に進むためです。
しかし、営業電話の場合、具体的な用件を伝えてしまうと営業であることが気づかれてしまうため、用件をなかなか話さないことが多いです。こちらから用件を聞いても曖昧に答え、とにかく担当者への取り次ぎを優先しようとする場合は、営業電話であると判断しても良いでしょう。
社名を名乗ってこない
相手が社名を名乗ってこない場合、営業電話の可能性が高いです。
取引先からの電話であれば「◯◯社の◯◯ですが…」とまずは社名と自分の名前を伝えるのが一般的です。社名を聞けば取引先であると判断できますので、社員も安心して取り次ぎできることでしょう。
しかし、営業電話では社名を伝えると取引先でないことがバレるため、社名を名乗らないことが多いです。社名を聞いてもはぐらかしてくるようであれば、営業電話と判断して良いでしょう。
ちなみに、商品やサービスを利用している顧客からの問い合わせや社員の家族からの電話の場合は社名を名乗ることはありません。しかし、これらの場合は用件が明確にあります。具体的な用件を聞いて、営業電話であるかどうか見極めましょう。
一方的に話してくる
こちらに話す隙を与えずに一方的に相手が話を進めるような電話の場合、営業電話の可能性があります。
取引先との電話であれば、会話のキャッチボールをしながら相手の名前や用件の確認ができます。しかし、営業電話の場合はまくし立てるように自分だけ話をする傾向にあります。そのため、電話の主は誰なのか、社名は何なのか、どのような用件なのかを聞けずに無駄な時間を取られてしまうのです。
より迷惑で悪質な営業電話の場合、「早めに◯◯しないと危険です」のように、不安を煽って担当者につなぐように促してくることもあります。一方的に会話を進めてくる相手は、迷惑な営業電話と判断しても良いでしょう。
電話口が騒がしい
取引先からの電話であれば、オフィスや外出先からかけてきていますので多少の雑音はあっても騒がしいとまでは感じることはほぼないでしょう。しかし、営業電話の場合は、電話口が騒がしいことが少なくありません。
営業電話をしてくる会社では、1日にたくさんの企業に電話をかけるためにコールセンターのような状況の中で何人もの営業マンが電話をかけています。そのため、電話口の相手の周囲でも、営業電話をかけているような声がして騒がしくなりやすいのです。
電話の向こう側から聞こえてくる音がオフィスや外出先とは違う、明らかに何人もの人が電話をしているような音がするといった場合は、営業電話の可能性がかなり高いといえるでしょう。
【例文付き】営業電話をスマートに断る方法
営業電話は業務と関係ないものであるため、断ることに問題はありません。しかし、電話対応は会社のイメージにつながるものですから、不快感を与えるような断り方をするのはおすすめできません。以下で、なるべくスムーズかつスマートに営業電話を断るコツを紹介します。
具体的な用件を聞く
営業電話をスマートに断るためには、まず具体的な用件を聞きましょう。営業電話かどうかを早い段階で見極め、担当者や社員に無駄な負担をかけないようにすることがその目的です。
営業電話では、最初に担当者への取り次ぎだけを求めて、肝心の用件を伝えないケースが少なくありません。そのまま取り次いでしまうと、担当者に余計な負担をかけ、業務の妨げになってしまいます。最初に用件を確認すれば、営業電話なのか、それとも業務上必要な電話なのかを早い段階で見極められます。
・「恐れ入りますが、まずはご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか」
・「差し支えなければ、ご要件をお聞かせいただけますか」
このように最初に用件を確認すれば、不要な取り次ぎを避け、効率的に対応できるようになります。
必ず担当者に確認する
営業電話をスマートに断るためには、取り次ぎを求められた際に必ず担当者に確認しましょう。相手が本当に関係者かどうかを見極め、担当者の無駄な負担を防ぎ、断る準備時間を確保するためです。
営業電話の中には、「◯◯さん(◯◯担当の方)はいらっしゃいますか?」と名指ししてくるものもあります。しかし、実際は担当者と面識がない場合が多く、そのまま取り次ぐと担当者の業務を中断させてしまう原因になります。
そこで、まずは「担当者に確認いたしますので、少々お待ちください」と伝え、直接つなぐ前に内容を確認する時間を作りましょう。
・「担当者に確認いたしますので、少々お待ちください」
・「ご用件について担当に確認してまいりますので、しばらくお待ちいただけますか」
このようにワンクッション置くだけで、不要な取り次ぎを防ぐことができ、営業電話かどうかを見極める余裕が生まれます。結果として、担当者への負担を減らし、効率的に対応できます。
早い段階ではっきりかつ丁寧に断る
営業電話をスマートに断るためには、できるだけ早い段階で、はっきりかつ丁寧に断ることが大切です。
営業電話は、相手が一方的に話を進め、こちらに断る隙を与えないことがよくあります。対応が長引けば長引くほど断りづらくなり、最終的に資料送付やアポイントにつながってしまうこともあります。そのため、不要と判断できた時点で早めに意思を伝えることが効果的です。
断る際の表現は、曖昧にせず、丁寧ながらもきっぱりと伝えましょう。例えば、以下のように断ると、丁寧でありながらはっきりとした断りの意思を伝えられます。
・「恐れ入りますが、弊社では現在、新規のお取引は控えておりますので、今回は失礼いたします」
・「申し訳ありませんが、今後このようなご案内は一切お断りしております」
・「営業のお電話は全てお断りしております。申し訳ございません」
このように、相手に余地を残さず、明確に断ることで、再度の着信や長引く対応を避けられます。早い段階ではっきり伝えることが、時間と労力を守る最も効果的な方法といえるでしょう。
話を引き伸ばすようであれば迅速に切る
営業電話の中には、相手が一方的に話を続けて断る隙を与えないケースがあります。こうした場合、無理に最後まで聞く必要はなく、早い段階で切り上げることが大切です。
相手の営業トークに対して感想を述べたり、曖昧な返答をしたりすると、「まだ可能性がある」と思われて会話が長引いてしまいます。不要だと判断した時点で、きっぱりと区切りをつけましょう。
例えば、以下のように伝え、電話を切りましょう。
・「恐れ入りますが、必要ありませんので、失礼いたします」
・「申し訳ございませんが、対応できませんので、ここで失礼いたします」
・「今後はお電話をいただいてもお受けできませんので、失礼いたします」
このように、短く丁寧に切り上げれば、相手に余計な期待を持たせず、無駄な時間を取られることもなくなります。話が長引きそうな場合は、「失礼いたします」と伝えて速やかに切ることも有効な対応です。
企業側でできる営業電話対策
面倒な営業電話は対応する社員に負担がかかりますし、企業にとっても業務効率の低下などマイナス面が多いものです。しかし、企業として電話番号を公開している場合、どうしても営業電話はかけられてしまいます。社員が業務に集中できるようにするためには、営業電話への対策が必要です。
IVRの導入
営業電話対策としてIVRの導入は有効な手段の一つです。
IVRとは、あらかじめ設定しておいた音声ガイダンスを流して電話の一次対応をする機能のことです。「◯◯の方は1を、◯◯の方は2を、その他は3を…」のように選択肢を設けて、適切な担当者に着信を振り分けることもできます。
IVRは着信数の多いコールセンターで利用されている機能ですが、実は営業電話対策として導入する企業も増えています。
営業電話をする会社では、何十社にも電話をかけて1件のアポを取り付けることを目的にしています。つまり、数打って当てるという考え方です。そのため、有人対応であればなんとか担当者に取り次いでもらうために努力するわけです。
しかし、IVRによる自動音声が流れた時点で電話を切ることが少なくありません。これは、ガイダンスに従ってプッシュボタンを押す必要があり、担当者につながるまでに時間や手間がかかると判断しているためです。
このようなことから、IVRは迷惑電話対策として有効といえます。
着信拒否設定の導入
迷惑電話対策として着信拒否設定を利用するのもおすすめです。
営業電話は数打てば当たるという考え方でさまざまな企業に電話をかけます。1社1回で終えることもありますが、曖昧な断り方をすると「見込みがありそう」「強く押せばいけそう」と思われてしまいます。その結果、何度もしつこく営業をかけてくるというケースも少なくありません。しつこい営業電話は社員に負担をかけますし、業務効率低下にもつながるためなんとか防ぎたいものです。
このような場合は、相手の電話番号を着信拒否するのがおすすめです。しつこい営業電話の番号をブラックリスト化して登録しておけば、面倒な対応をしなくて済むようになります。また、非通知拒否設定にしておけば非通知でかけてくるような迷惑電話もブロックできます。
電話代行の導入
電話代行の導入も営業電話対策に活用できます。
電話代行とは、会社の代表番号にかかってきた着信を外部のオペレーターに対応してもらうサービスのことです。業務に必要な電話はもちろん、面倒な営業電話も電話代行業者側で対応してくれますので、社員の電話対応における負担を軽減できます。
また、電話の内容はメールやチャットなどに報告されます。社員はそれを見て業務に必要なものにだけ折り返しを行えます。電話対応に割ける社員数が少ないようなケースでも、効率よく業務を進められることでしょう。
社内マニュアルによる統一対応
営業電話へスムーズに対応するには、社内で統一したマニュアルを用意しておくのがおすすめです。
社員ごとに判断が異なると、対応が不統一になり、営業側に「この会社は押せばいける」と思われてしまう可能性があります。ある社員は曖昧に対応し、別の社員はきっぱり断るといった差があると、繰り返し電話を受ける原因になりかねません。
そのため、あらかじめ社内で対応ルールを定め、全員が同じように応対できる体制を整えておきましょう。
例えば、マニュアルには以下のようなことを含めるのがおすすめです。
・会社名・担当者名・用件を必ず確認する
・営業電話と判明したら、理由を添えてきっぱり断る
・不在を理由にせず、必要があれば折り返す旨を伝える
・丁寧な断り例文も盛り込む
このようなルールをマニュアル化して共有すれば、経験の浅い社員でも落ち着いて対応でき、企業全体として一貫した姿勢を示せます。結果として、無駄なやり取りを減らし、営業電話対策をより効率的に行えるようになります。
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03plusとは
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営業電話への対策に使える機能
豊富な機能が揃っている03plusには、面倒な営業電話対策にも使える機能があります。
・IVR:営業電話対策として有効なIVR機能を搭載しています。もちろん、顧客満足度向上も実現できる便利な機能です。
・着信拒否:営業電話対策で使える着信拒否設定も標準搭載しています。番号指定のほか非通知の場合に着信を拒否する設定もできます。
・留守レポ:会社にかかってきた電話の一次対応を任せられる機能です。着信に対して設定した自動音声で対応し、用件の録音を促します。録音メッセージはテキスト化されたメールやチャットにて社内へ通知します。リーズナブルに電話代行のような使い方ができる機能です。
・通話録音:通話内容を録音する機能です。着信時に「品質向上のため録音しています」といったアナウンスを流せるため、営業電話をかけてきた業者を牽制できるため、営業電話対策としても有効です。
まとめ
今回は、営業電話の見極め方やスマートな断り方について解説しました。
企業には顧客や取引先から、多くの電話がかかってきます。これらは業務上必要な電話であり、適切に対応しなければなりません。しかし、営業電話は業務上不要な電話です。電話に出た社員に負担をかけますし、業務を停滞させてしまうのでなるべくその数を減らし、スマートに断りたいものです。
本記事で紹介した見極め方や断り方、対策を参考に不要な営業電話に適切な対応をしていきましょう。面倒な営業電話を減らせれば、社員のストレスもなくなり業務効率もアップします。
03plusは迷惑な営業電話対策に使える機能が豊富に揃っているクラウドPBXです。営業電話でお困りでしたら、ぜひご検討ください。
