大企業は中小企業に比べて人員が増えてできることも多くなることから、業績をアップさせやすくなります。その一方で、大規模企業になるほど、それまでになかった課題も出てきてしまうものです。「電話機が多すぎる……」「通話にかかるコストを削減したい……」「電話業務を改善できれば良いのに……」そういったお悩みを持っている大企業は多いのではないでしょうか。実はこうした大企業ならではの電話周りのお悩みは、クラウドPBXの導入で解決することができます。
今回は、大企業が抱えがちな電話の課題、大規模企業がクラウドPBXを導入するメリット、大企業がクラウドPBXを導入する際のポイントについて解説します。
目次
大規模企業が抱える電話周りの課題点
大企業になると、中小企業よりも社員数が増えて業績をアップさせやすくなります。その一方で、大規模企業になることで、電話機の数や電話対応業務が増えてしまい、中小企業とは違った電話周りの課題を抱えがちです。大企業において課題となりやすい電話周りの悩みや課題点について解説します。
必要な電話機が多い
大企業になると中小企業に比べて社員数が格段に増えます。そのため、必要な固定電話機の数が多くなり、それが課題になることが少なくありません。
大規模企業になると社員数が増え、顧客や取引先からの問い合わせも増えます。そのため、どうしても固定電話機を数多く揃え、問い合わせに対応できる体制を整えなければいけません。もちろん、大企業にとって電話対応業務は大切な業務の一つではありますが、電話機を企業規模に合わせて揃えるとなるとかなりの購入費用がかかります。さらに、メンテナンス費用や買い替え時期には導入時と同じくらいのコストや手間をかけなければいけません。
また、固定電話機が多いということはそれにともなって多くの電話回線をオフィス内に走らせる必要があります。これは、オフィスの快適度を下げてしまうことにつながりますし、オフィスレイアウトの変更がしにくくなるなど別の問題を引き起こしてしまいます。
このように、大企業にとって電話機が多いということは、さまざまなデメリットをもたらすものなのです。
拠点数が多く拠点間通話でコストがかかる
全国展開するような大企業になれば、各地に拠点を構えることになるでしょう。全国各地で業務を行って業績を高められる反面、拠点間での情報共有に多大な通話コストがかかることにもつながります。複数拠点のない中小企業であれば内線通話のみで社内の情報共有は完結しますので、コストはかかりません。しかし大規模企業になれば各拠点間で外線通話による情報共有を行うことになります。また、日本だけではなく、海外にも拠点を構える大企業ともなれば、国際通話料金もかかるため、通話コストはさらに高くなってしまうことでしょう。
通話コストを抑えるために拠点間の通話を抑えようと思っても、メールやチャットだけでは限界があります。そのため拠点数が多くなればどうしても通話コストは高くなってしまい、それが大企業にとっては頭の痛い話となるわけです。
拠点の増減に対し電話設置や管理に時間もコストもかかる
大企業であれば、拠点を新たに追加することもあるでしょう。そして新たに拠点を増やすのにともなって、電話環境も構築しなければなりません。電話環境の構築は、PBX装置や電話機の購入、機器の設置費用などが必要です。大規模企業の拠点ともなれば、中小規模クラスの企業と同じくらいの規模になることも少なくないため、膨大なコストがかかることが予想されます。もちろん、電話環境を構築した後はその管理やメンテナンスが必要ですし、定期的に買い替えも視野に入れなければいけません。そのため、大企業が新たに拠点を構築する場合、まとまった予算を確保しなければならないわけです。
また、大企業といえど売上やコストの関係から拠点を統廃合することもあります。その場合は、構築した電話環境を撤去しなければなりません。業者に撤去作業を依頼しますので、その費用がかかりますし、電話環境を整えるためにリース契約している場合は違約金が発生することもあります。違約金は契約内容によって異なりますが、大規模企業になればリースしている機器が大量にあるはずなので、かなりのコストがかかってしまうことが予想されます。
複数システムを利用していて連携が困難
大企業では、中小企業と違って予算をしっかりかけて業務効率化のためにさまざまなシステムを導入できます。それは大企業にとって大きなアドバンテージとなりますが、ディスアドバンテージになることもあります。予算をかけて整えた複数システムが連携できないことがあるためです。
大規模企業で導入されているシステムは、予算をかけられる分だけ機能性が高いものが少なくありません。実際に業務効率化に役立ち、業績アップに貢献してきたことでしょう。しかし、それぞれのシステムが連携できずに稼働してしまっていることも珍しくありません。そして各システムの間を取り持つために、人的リソースが割かれてしまっていることが大企業ではよくあります。
優秀なシステムによって1つの業務が効率化できたとしても、無駄な人的リソースが使われていては本当の意味での効率化は実現できていないといえます。むしろ、人件費を考えたらマイナスを生み出すリスクすらあるといえるでしょう。こうした無駄は、企業規模が大きく細部が見えにくい大企業ならではの課題といえます。
クラウドPBXが大規模企業の電話の課題を解決する
大規模企業では、電話に関してさまざまな課題が発生しやすいものです。しかし、クラウドPBXを導入すれば、そうした課題を解決できるかもしれません。
クラウドPBXとは
クラウドPBXとは、クラウド上にPBXを設置し、電話環境を構築して通話を行うシステムのことです。インターネット回線を使用して通話を行うシステムであり、固定電話機だけでなく、スマホやパソコンなどさまざまな端末を利用できます。そのため、従来のビジネスフォンでできていた会社代表番号による発着信を、スマホでいつでもどこでも行えるようになります。つまり、インターネット回線さえあれば、オフィスに縛られることなく、外出先やリモートワーク中であっても電話対応できるようになるわけです。
また、クラウドPBXではビジネスに役立つさまざまな機能を利用できます。業務効率化やコスト削減に役立つものが数多くあるため、大規模企業の電話に関する課題を解決できることでしょう。
大規模企業におけるクラウドPBXの導入傾向
クラウドPBXは近年、個人事業主や中小企業、さらには大企業まで幅広く利用されているサービスです。調査・経営コンサルティングサービスを提供するアメリカの企業「Global Market Insights社」によると、クラウドPBXの市場規模は加速度的に拡大していくと予想されています。将来的には中小規模企業や大規模企業を含む、ほとんどの企業でクラウドPBXが使われるとのことです。
現在も「マルコメ株式会社」「株式会社メルカリ」「カルビー株式会社」などの大企業では、業務効率化・コスト削減・顧客満足度向上などを目的として、クラウドPBXが導入されています。クラウドPBXは目新しい最先端のツールではなく、中小企業・大企業すべてが当たり前のように使う、必須ツールにこれからなっていくといっても過言ではありません。
大規模企業がクラウドPBXを導入するメリット
将来的にクラウドPBXが従来のビジネスフォンに取って代わることが予想されています。では、大規模企業がクラウドPBXを導入した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下で解説します。
導入費用・運用コストの削減
クラウドPBXは導入・運用コストの削減を実現します。
従来のビジネスフォンではオフィス内への主装置の設置や機器の購入・工事費用がかかります。大規模企業の場合は主装置も大規模になりますし、導入工事が大掛かりになることもあることから、かなりのコストが必要です。しかし、クラウドPBXならば主装置の購入や工事は不要です。そのため、導入コストを大幅に削減できます。
また、スマホを内線化できるのがクラウドPBXの特徴です。この特徴により、外出先の社員はもちろん、海外出張中の社員との通話も無料の内線通話で済ませられます。そのため、社員数が多い・海外出張することが多いといった大規模企業において、運用コストを大幅に削減可能です。
複数拠点の電話の一括管理が可能
従来のPBXは拠点ごとに主装置を設置するため、それぞれで管理しなければなりませんでした。しかし、クラウドPBXではクラウド上で電話環境を構築します。そのため、複数拠点あってもインターネット上で複数拠点がつながっており、オフィスの電話を本社にて一括管理可能です。インターネット上で管理できるため、たった1人の担当者でも複数拠点を管理できます。電話環境に関する管理工数を削減したい大規模企業にとっては大きなメリットといえるでしょう。
拠点間内線の構築
クラウドPBXがあれば、拠点間の通話も内線で行えます。
従来のビジネスフォンでは、各拠点に主装置を設置します。そのため、電話環境は拠点ごとに構築されています。つまり、拠点間の通話は外線で行う必要があり、通話コストがかかってしまうことがデメリットでした。
しかし、クラウドPBXはインターネット上で電話環境を構築するため、拠点間の通話も内線で行えるようになります。メールやチャットでのやり取りだけでなく、音声通話も気軽に行えるようになることで、社内コミュニケーションが高まることはもちろん、情報共有もスムーズになることでしょう。
外線の通話料削減
クラウドPBXはインターネット回線を使用します。通話料はIP電話と同等であり、固定電話回線と比べると安くなる傾向にあります。固定電話は2024年1月からIP網になり、距離によって通話料金が高くなることはなくなりました。しかし、IP電話と比べるとやや高い傾向にあります。クラウドPBXの場合は、全国一律で8.8円/3分が相場であるのに対して、固定電話はIP網移行後で9.35円/3分かかります。そのため、クラウドPBXであれば外線通話料の削減を実現できるでしょう。
柔軟な働き方が可能
柔軟な働き方が可能になるのもクラウドPBXのメリットです。
大規模企業では、リモートワークを導入するところが少なくありません。しかし、従来のビジネスフォンのままである場合、自宅で作業する社員は会社代表番号を使って電話対応することができません。そのため、オフィスにいる社員に負担がかかったり、折り返し電話の手間がかかったりします。
クラウドPBXならば、スマホで会社代表番号を使った発着信が行えます。そのため、オフィスに縛られることなく、どこでも電話対応が可能です。自宅でのリモートワークはもちろん、気分転換にカフェで仕事をすることもできます。
また、クラウドPBXはオフィス内にも変化をもたらします。固定電話機に縛られることがないため、フリーアドレスを導入することができます。このように、クラウドPBXを導入すれば柔軟な働き方を実現でき、社員の満足度を高めやすくなります。
電話機の増減やオフィス移転、レイアウト変更が容易
クラウドPBXは、大規模企業のさまざまな変化に柔軟に対応できます。
例えば、キャンペーンなどで一時的に電話対応業務が忙しくなりそうな場合でも、端末数をすぐに増やせます。管理画面から契約台数を増やすだけなので、最短即日で増台可能です。キャンペーン終了後も管理画面から契約台数をすぐに減らせるので無駄がありません。
また、主装置を物理的に設置しませんので、オフィス移転時も特別な工事などは不要ですぐに電話業務を開始できます。同一の市外局番のエリア内であれば電話番号を変更することもありません。
さらに、クラウドPBXは配線工事が不要で、固定電話機を設置するスペースもいりません。そのため、デスクを自由に配置できてオフィスレイアウトを柔軟に変更できます。
BCP対策の一環
クラウドPBX導入は、BCP対策の一環にもなります。
災害やテロ、サイバー攻撃などがあった場合、公共の交通機関が使えずに出社できなくなるかもしれません。しかしそのような場合でも、クラウドPBXならばインターネット環境さえあれば電話対応を行えます。顧客対応はもちろんのこと、内線による社内情報共有もスムーズに行えるため、クラウドPBXはBCP対策の一つとして優秀といえます。
大規模企業がクラウドPBXを導入する際のポイント
大規模企業にとってクラウドPBXの導入は多くのメリットがあります。では、クラウドPBXを導入する際はどのような点に留意すべきなのでしょうか。導入時のポイントを解説します。
回線数・ユーザー数の上限
クラウドPBXは、ベンダーによって最大回線数やユーザー数の上限が異なります。簡単にいえば、小規模オフィス用と大規模オフィス用があるわけです。
大規模企業の場合、社員数が多いため最大回線数・ユーザー上限数も多くなければ意味がありません。自社でどれくらいの人数がクラウドPBXを利用するのかを洗い出し、その数に見合ったベンダーを選ぶようにしましょう。
ナンバーポータビリティへの対応可否
クラウドPBXを導入するなら、ナンバーポータビリティに対応しているベンダーを選びましょう。
大規模企業の場合、抱えている顧客数や取引先数がかなりの規模になります。そのため、クラウドPBX導入により電話番号変更となれば、ユーザーへの周知に多くの時間と費用がかかることでしょう。また、周知までに時間がかかれば多くの顧客や取引先を不安にさせたり混乱させたりしてしまいます。
そのような事態を避けるためにも、ナンバーポータビリティに対応しているベンダーを選ぶべきです。
外部システムとの連携可否
大規模企業では業務効率化のために、さまざまなシステムを導入していることが少なくありません。それらの機能を将来的にも活用するのであれば、外部システムとの連携をしやすいクラウドPBXを選ぶべきです。
連携しやすいクラウドPBXであれば、業務効率のさらなるアップや、コスト削減につながるでしょう。
海外での利用可否
大規模企業では、国内だけでなく海外出張も増えることでしょう。連絡を取り合う際に国際電話ばかり使っていては、コストがかなりかかってしまいます。そのため、海外利用できるクラウドPBXサービスを選んでおくことをおすすめします。海外利用可能なサービスであれば、出張中の社員と連絡をとる際も、無料の内線通話で行えるためコスト削減につながります。
通話品質
通話品質が低いとノイズが入ったり途切れたりしてしまい、ユーザーとの重要な会話を聞き逃してしまう可能性があります。ちょっとした聞き逃しだと思っても、将来的にクレームや訴訟トラブルに発展することがあるため、通話品質は高く保つことが大切です。
無料トライアルなどを活用して、通話品質を事前にチェックしておきましょう。
セキュリティ体制
大規模企業で最も恐ろしいこと、それは顧客情報の流出です。もしそのようなトラブルが発生すれば、企業の信用は失墜してしまうことでしょう。クラウドPBXを選ぶ際は、サーバーのセキュリティが十分であるか、アプリは定期的に更新されているかなどを必ず確認しましょう。
サポート体制
大規模企業における電話環境の管理は、思った以上に大変なことです。また、社員たちから多くの要望を受けることもあるかもしれません。しかし、担当者だけでそれらを理解して解決方法を見出すことは困難です。そんなとき、ベンダー側の担当者が頼れる人材だと安心できます。親身になって相談に乗ってくれる、自社の課題を理解して適切な提案をしてくれるなど、きめ細やかなサポートができるかどうかも、クラウドPBX選びでは重要です。
全体コスト
上記のポイントをチェックしたうえで、最終的にコストを確認しましょう。クラウドPBXは導入コストや運用コストを抑えやすいとはいえ、必要な機能を付けていくとそれなりに費用がかかることもあります。サービス面、機能面、セキュリティ面、サポート面などを考慮したうえで、コストパフォーマンスの良いところを選ぶようにしましょう。
大規模企業におすすめのクラウドPBX「03plus」
03plus エンタープライズは、社員数の多い企業に向けたクラウドPBXサービスです。「03」などの全国主要46局の市外局番付き電話番号を取得でき、番号ポータビリティにも対応しています。既存の電話番号をそのまま使いたいケースでも対応可能です。導入実績は50,000回線以上で、多くの地方自治体や大企業への導入実績もありますので、信頼性もあります。
また、「0120」などの着信課金番号での発着信、クラウドFAX、時間外アナウンス、通話録音、IVR(自動音声応答)、iPad受付など、大規模企業で便利に使える機能も豊富に取り揃えています。
導入前の相談から運用まで、専任コンシェルジュがワンストップで対応いたしますので、どんなことでもご相談ください。
まとめ
今回は、大規模企業ほどクラウドPBXがおすすめである理由について解説しました。
大規模企業ほど、社員数が増えてしまい通話コストの増大など電話に関する悩みは多くなるものです。クラウドPBXはスマホで会社代表番号を使えるサービスであり、社員数の多い大規模企業の業務効率化や、コスト削減に役立つさまざまな機能を豊富に取り揃えています。
03plus エンタープライズでは、専任コンシェルジュが親身になってお話を伺い、大規模企業向けの機能についても分かりやすくご説明します。クラウドPBXを導入したいとお考えでしたら、まずはお気軽にご相談ください。