クラウドPBXでは緊急通報できない?3つの規制をしっかり把握

クラウドPBXはさまざまな企業で導入が進んでいる新しい電話システムです。しかし実は、総務省によりさまざまな規制がされているのをご存知でしょうか。決して大きな規制ではありませんが、クラウドPBXを申し込む際には必ず関係するので、利用時に注意する必要があります。

そこで今回は、クラウドPBXの3つの規制について、緊急通報の対処法、審査をスムーズに進めるポイントなどを解説します。

クラウドPBXに関する3つの規制とは

クラウドPBXはインターネット回線を利用し、スマホ等の端末を使っていつでもどこでも固定電話番号で発着信できる便利なツールです。しかし、便利であるからこそ規制もされています。ここでは、総務省が強化した3つの規制について解説します。

緊急通報ができない

クラウドPBXは緊急通報への発信ができません。緊急通報とは、警察機関の「110」や消防機関の「119」などのことです。

クラウドPBXから緊急通報へ発信できない理由は、総務省により、いくつかの機能を有するものでなければ発信できないとされているためです。

  • 管轄の警察・海上保安庁・消防などの緊急通報受理機関へ接続できる機能
  • 発信者の位置情報を通知できる機能
  • 回線を保留または呼び返しなどを行える機能

これらの機能を有していないクラウドPBXは、総務省の定めたルールにより緊急通報へ発信できません。

そのため、クラウドPBXを利用する場合は、万が一のトラブル等に備え、事前に近隣の警察署や消防署の連絡先を控えておくことをおすすめします。または、発信時に最寄りの基地局情報が通知される携帯電話等で緊急通報を行いましょう。

固定電話番号の取得は該当地域の住所が必要

該当地域の住所がない場合、クラウドPBXでは固定電話番号を取得できません。たとえば、「東京03」を取得するならば、会社住所が東京23区内でなければいけないわけです。

クラウドPBXはインターネット回線を使用し、スマホなどの端末からいつでもどこでも発着信を行えます。そのような便利な面があるため、迷惑な営業や詐欺などで悪用されることが多く、固定電話番号の取得における規制が強化されました。そのため、クラウドPBXでは該当地域の住所がなければ固定電話番号を取得できず、「050」番号などしか取得できません。

導入には審査を受ける必要がある

クラウドPBXを導入するには、審査を通過しなければなりません。審査内容はさまざまですが、公的な書類を提出して本人確認を行うことが必須となっています。そのほか、たとえば以下のような審査を通過する必要があります。

  • 申込者である法人または個人事業主に実態があるか
  • 自己破産をした過去がないか
  • 未払いの借金の有無

上記以外にも、ベンダーごとにさまざまな審査内容があります。ベンダーから信用調査会社に書類が提出され、調査が行われます。審査通過までの時間は、早ければ数時間、長くても1週間程度で完了し通知されます。

審査というと不安を感じる方も多いことでしょう。しかし、スタートアップ企業や自己破産経験のある個人事業主であっても、審査に通ることは珍しくありません。審査に通りたいからといって虚偽の情報を伝えると、逆に信用を失うことになり審査に落ちる可能性もあります。そのため、審査では嘘偽りなく正直に情報を伝えるようにしましょう。

緊急通報したい場合は?

前述の通り、クラウドPBXは緊急通報できません。では、万が一のトラブルが起きたときはどのように対処すればよいのでしょうか。緊急通報したい場合の方法を以下で解説します。

スマートフォンや携帯電話を使う

緊急通報したい場合は、クラウドPBXではなく、お手持ちのスマホや携帯電話を利用して発信しましょう。ドコモ、au、ソフトバンク、UQモバイルであれば、携帯電話番号から緊急通報の発信が可能です。

注意点もあります。格安SIMの場合はインターネット通信網を利用していることがあり、その場合は緊急通報を行えません。もし緊急通報を行えない格安SIMであれば、以下で紹介する方法をお試しください。

最寄りの警察署や消防署の固定電話番号にかける

最寄りの警察署や消防署の電話番号へかけるのも方法の一つです。

警察署や消防署はそれぞれ固定電話番号があります。クラウドPBXでも固定電話番号であれば発信できますので、緊急の際は直接かけましょう。事前にWeb電話帳などで社内に共有しておけば、社員全員が使えるので便利です。

アプリを活用する

クラウドPBXで緊急通報できない問題は、アプリを導入することでも解決できます。

「緊急通報ナビ」を導入すれば、最寄りの交番や警察署の住所や電話番号がマップに表示されます。マップをタッチすることですぐに最寄りの警察署に連絡でき、そのまま音声通話が可能です。場合によっては110にかけるよりスムーズかもしれません。また、出張先で最寄りの警察署の電話番号を登録していないというケースでも役立ちます。現在位置もわかるため、見知らぬ土地でもスムーズに案内しやすいのもメリットです。消防署については、「火事・緊急通報ナビ」を導入しましょう。

注意点としては、これらのアプリはあくまでも民間企業が製作したものであるという点です。情報の正確さ、動作の安定性などは保証されていませんので、適度に更新することをおすすめします。

クラウドPBXの規制が強化された理由

便利なクラウドPBXがなぜ総務省から規制を受けることになったのでしょうか。その理由を2つここで解説します。

緊急通報には位置情報の特定が必要だから

クラウドPBXはインターネット回線を使用して通話を行うため、発信者の位置情報の特定ができません。そのため、正確な救助が困難であり、緊急通報を行えません。

たとえば、イタズラや嘘または間違いの緊急通報が増えれば、本当に救助すべき人たちに救助の手が行き届かなくなります。実際に、発信者の位置情報が正確に特定できず、救助が遅れたケースもあります。クラウドPBXは比較的簡単に申し込めるため、混乱の輪は一気に広がる恐れがあり危険です。

そのようなことから、発信者の位置情報が特定できないクラウドPBXは規制が強化されました。

犯罪を未然に防ぐ必要があるから

詐欺などの犯罪に悪用される可能性を未然に防ぐため、クラウドPBXは総務省で規制が強化されました。

固定電話番号は「050番号」よりも社会的信用が高い傾向にあります。たとえば、「03」であれば東京、「06」であれば大阪と、発信されている地域を判断できるためです。また、古くから市外局番付きの電話番号には馴染みがあり、不信感を懐きにくいという心理的な要素もあります。

しかし、クラウドPBXの場合はインターネット回線を使って通話でき、どこからでも発信可能です。会社住所が該当地域でないのに固定電話番号を表示させることができてしまうと、怪しい勧誘や詐欺などの犯罪に利用される可能性が高まります。電話番号からの住所特定が難しいため、捜査も混乱してしまいます。

このように、固定電話番号を詐欺などに悪用させないため、総務省では規制を強化しました。

クラウドPBX導入時にどのような審査を受ける?

クラウドPBXは総務省により規制を強化されたため、審査が必要となりました。では、クラウドPBXを申し込む際にはどのような審査を行うのか、その期間や内容、必要書類について解説します。

審査期間

クラウドPBX導入時の審査は一般的に1~2営業日程度で終了します。ただし、ベンダーによって違いがあり、数時間という短い場合もあれば、1週間程度かかるところもあります。事前に審査期間がどれくらいなのか確認しておきましょう。

審査内容

クラウドPBXの審査内容はベンダーによってさまざまです。たとえば、「過去数年以内に自己破産歴はないか」「未払いの借金はないか」「申込者(個人・法人)の実態はあるか」といったことをチェックします。

審査をする際には、申込者から受け取った必要書類を信用調査会社に提出し、それを基に調査します。ベンダーによってチェックの厳しさには差がありますが、大きなマイナスの経歴がなければそこまで心配する必要はありません。立ち上げたばかりの法人、個人事業主でも審査を通過できるのが一般的です。ただし、詐称などがありそれを見抜かれた場合は一発アウトとなることが多いでしょう。必要書類は必ずすべて用意し、情報は嘘や間違いがないように記しましょう。

必要書類

総務省の規制強化により、クラウドPBXを申し込む場合、利用者の身分を証明するための書類をベンダー側に提出が必要です。必要書類が提出できない場合は、審査で落ちる可能性が高いため必ず準備しましょう。

個人事業主、法人、それぞれのケースで必要な書類を紹介します。

個人事業主の場合

個人または個人事業主がクラウドPBXを申し込む場合、以下のような身分証明書が必要です。

  • 運転免許証
  • パスポート
  • 在留カード(海外からきた中長期滞在者のみ)
  • 顔写真付きの住民基本台帳カード
  • マイナンバーカード
  • 身体障害者手帳

ベンダーによって異なりますが、基本的にはこれらのうち一つを用意して提出しましょう。健康保険証のような証明書は、住民票などの補助書類が必要になる場合があります。また、一部のベンダーでは銀行の推薦状などの、特殊な書類が必要となるケースもありますのでご注意ください。

法人の場合

法人がクラウドPBXを申し込む場合は、以下2点の書類が必要です。

  • 法務局にて登録された、会社情報を確認できる「履歴事項全部証明書」
  • 法人代表の身分証明書

個人や個人事業主の場合、書類によっては1種類のみで審査できます。しかし法人の場合は、上記2種類の書類どちらも必要です。

履歴事項全部証明書については、法務局に申請しなければなりません。直接赴いてもいいですが、オンラインで申請して郵送してもらう方が、手間がかからず便利です。ただし、履歴事項全部証明書は公的書類であり、発行日から3ヶ月以上経過すると無効になる可能性があるためご注意ください。

スムーズに審査を受けるには?

せっかくクラウドPBXを導入したくても、審査で躓いてしまっては面倒です。ここでは、クラウドPBXの審査をスムーズに受けるためのポイントを解説します。

必要な情報や書類をあらかじめ用意する

審査をスムーズに進めるために、必要情報や書類はあらかじめ用意しておきましょう。

書類については、個人であれば身分証明書だけなのでそれほど問題はありません。しかし、法人の場合は代表の身分証明書に加えて、履歴事項全部証明書が必要です。オンラインで申請する場合、数日~1週間程度かかることもありますので、なるべく早めに準備を進めましょう。

また、自社の状況が審査に支障はないか確認しておくことも大切です。たとえば、過去の信用実績に問題がある場合、審査をしても通らない可能性があります。契約をスムーズに進めるためには、事前にベンダー側の担当者に相談することをおすすめします。

導入実績の確かなベンダーを選ぶ

審査をスムーズに進めるためには、実績のあるクラウドPBXベンダーを選ぶことも大切です。

必要書類を集め、自社の信用に問題がなかったとしても、ベンダー側の実績がなくて信頼性が低い場合、契約後にトラブルになる可能性があります。たとえば、リーズナブルであるもののベンダーには実績がなく、実は総務省の規制を守っていない、そんなケースもありえなくはありません。そういったベンダーのサービスを利用していたとなれば、自社の信用に傷が付くことも考えられます。そのため、クラウドPBXのベンダー選びは、信頼や実績を重視することが大切です。

クラウドPBXを導入するなら「03plus」

03plusは全国主要46局の市外局番付き電話番号を取得できるクラウドPBXサービスです。サービス付きシェアオフィスオプションに加入すれば、該当地域に会社住所がなくても、「東京03」の固定電話番号を取得できます。番号ポータビリティに対応していますので、「既存の固定電話番号をそのまま使いたい」というケースでも便利です。

03plusは新しいサービスですが、これまでにユーザー数6万を突破し、継続率も97%の実績を誇ります。また、大企業や公的機関での導入もあり、信頼性の高さも十分です。実際に、大阪市では03plusを導入し、クラウドFAXを活用して業務効率化やコストダウンを実現しています。

通話録音やIVR、留守レポなどビジネスに役立つ便利な機能も豊富に揃っていますので、クラウドPBXでビジネスを拡大したい、業務効率アップやコストダウンを実現したいという企業に向いています。1ID月額1,280円からなので、「まずはクラウドPBXを使ってみたい」というスタートアップ企業にもおすすめです。

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まとめ

今回は、クラウドPBXの規制について解説しました。

クラウドPBXはインターネット回線を使用してビジネスフォン機能を使える便利なシステムです。しかしその便利さゆえに、迷惑な営業電話や詐欺などで悪用されやすい面がありました。そのため、総務省では緊急通報・固定電話番号の取得・審査に関する規制を強化しました。

ご紹介した事前の準備や対策を行えば、こうした規制は問題なくクリアできます。スムーズに審査を通過して、クラウドPBXの利便性を体験してみてください。その際は、ぜひリーズナブルに市外局番付き電話番号を取得できる03plusをご検討ください。

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