テレワークにおける社内ルールの必要性と設定ポイントとは?

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2019年の働き方改革法施行に加えて、2020年3月より本格的に感染が拡大し、日本社会でも企業に対するテレワークの導入が推奨されています。2021年になってもまだ収束の兆しが見えない新型コロナウイルスの影響で、今後もテレワークの働きが中心になるでしょう。

テレワークを導入した企業の中には、環境やルールなどが十分に整っていないところもあるのではないでしょうか。

自宅で作業をするようになると、通勤に費やす時間が減るため、ストレスや疲労を減らすことができます。しかし一方で、上司や部下、従業員同士のコミュニケーション不足の課題が浮き彫りになってしまうことも。今後、ますますワークスタイルの主流となるかもしれないことを考慮すると、テレワークを導入を開始して間もない企業にとって、今こそ環境を整えてきちんとしたルールを作成する時期であるといえるのです。

今回は、テレワークにおける社内ルールの必要性と設定ポイントについて紹介します。

 

テレワークにおける社内ルールの必要性とは?

しかし、2019年に「働き方改革」が施行されたことや、2020年の春から感染が拡大が止まらない新型コロナウイルスの影響を受けて、これまで対象ではなかったオフィスワーカーに対してもテレワークを推奨する必要性が出てきたのです。

東京商工会議所中小企業部が、2020年6月17日付で発表した「テレワークの実施状況に関する緊急アンケート」では、企業がテレワーク実施した割合は、2020年3月に実施した時と比べて41.3ポイント増加の67.3%になりました。

また、緊急事態宣言発令以降に実施したという企業は、テレワークを導入している企業のうち52.7%と、企業のおよそ半分がつい最近導入しており、日本では2020年のコロナ禍によって導入に踏み切った企業が少なくありません。

ところが、そんなテレワークは以前から導入していた企業にとっても、未だに課題が複数存在していることも事実です。平成27年6月に独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した「情報通信機器を利用した多用な働き方の実施に関する調査結果」では、2020年よりも以前から下記のような課題があったことを示しています。

<終日在宅勤務の場合>

  1. 進捗状況などの管理が難しい(36.4%)
  2. 労働時間の管理が難しい(30.9%)
  3. コミュニケーションに問題がある(27.3%)
  4. 情報セキュリティの確保に問題がある( 27.3%)
  5. 評価が難しい(18.2%)

 

<1日の一部が在宅勤務の場合>

  1. 労働時間の管理が難しい(42.0%)
  2. コミュニケーションに問題がある(28.0%)
  3. 情報セキュリティの確保に問題がある( 28.0%)
  4. 進捗状況などの管理が難しい(26.0%)

この結果から、テレワークは業務の進捗状況が把握しにくいことや労働時間などの勤怠管理がしづらいこと、従業員同士がコミュニケーションを取りづらいことなどが課題であると言えるでしょう。

さらに同調査において、実際にテレワークで作業をしている従業員の回答を見ると、テレワークのデメリットとして下記の4つが挙げられています。

  1. 仕事と仕事以外の切り分けが難しい(38.3%)
  2. 長時間労働になりやすい(21.1%)
  3. 仕事の評価が難しい(16.9%)
  4. 上司や同僚などとコミュニケーションが難しい(11.4%)

テレワークの課題やデメリットを解消するには、自社のルールをきちんと作成し、従業員が少しでもスムーズに作業しやすくなるよう配慮することが重要です。

 

テレワークの社内ルールに必要な要素

企業は労働者に対し、労働基準法の施行規則第5条によって、少なくとも下記の6つの労働条件を明示することが義務づけられています。

  1. 労働期間
  2. 労働場所
  3. 始業・終業の規則
  4. 時間外労働の有無
  5. 休憩時間
  6. 休日・休暇

これから企業が新卒採用をする際には、テレワークに関するこの6つの条件を就業規則に盛り込んでおきましょう。

すでに自社で働いている従業員に対しては、就業規則にテレワークに関する内容が記載されていない場合にはその内容を加筆し、該当する従業員に内容の変更を知らせなければなりません

企業がテレワークに関してルールを作成する場合に、どんなことに配慮し、どのように設定するとよいかについて検討する必要があります。後から従業員との間でトラブルの原因となることがないよう、テレワークを導入した早い段階でお互いが納得できるルールを決めておくことが大切です。

 

労働時間に関するルール

企業が検討すべきこととして、テレワークでの労働時間に関するルールがあります。自宅などで作業するようになると、オフィス内で働いていた時と同じように従業員が実際にどのように働いているか把握できません。

しかし、テレワークになったとしても従業員が業務に応じて残業したり、休日出勤したりすることが必要となる場面が出てきます。その際の手当をどうするかということも含め、企業がどんな形で従業員の労働時間を管理するのかを事前に決めて周知しておくと、後からトラブルを回避できるでしょう。

たとえば、従業員の労働時間を確認するために、テレワークで作業を開始する際に開始と終了時間に報告を行うようにしたり、情報端末にカメラを設置して在籍を確認したりすることが考えられます。

また、オンライン会議などで、随時作業の進捗状況を確認してどの程度の時間がかかったのかを把握することも必要になるかもしれません。

とはいえ、従業員に対して必要以上に状況を報告をさせたり、プライバシーの侵害となるようなカメラの設置を要請すれば、従業員の労働生産性や働くことへのモチベーションを減少させてしまいます。

従業員の立場になって考え、長期にわたって無理なく続けられるようなルールを作成する必要があるでしょう。

 

労働場所に関するルール

テレワークにおける労働場所に関するルールについても検討しましょう。今後、従業員がテレワークで作業を行う労働場所としては、下記の3つが考えられます。

  • 自宅でインターネット・電話・FAXなどを使った「在宅」
  • 本社・支社などとは別の小規模なオフィスでの「サテライトオフィス」
  • 移動中や出張先・出先などでの「モバイルワーク」

企業は今後、この3つを全て労働場所として認めるべきなのか、それとも何らかの条件をつけておく必要があるのかについても吟味する必要があるでしょう。

 

コミュニケーションに関するルール

企業はテレワークについて、コミュニケーションに関するルールを考えておく必要もあるでしょう。

複数の従業員がオフィス外で作業することになれば、オフィスで働いていた時のように従業員同士が気軽にコミュニケーションをとることが難しいかもしれません。

仕事ではチームワークが求められることも多く、テレワークになった途端にコミュニケーションが減ってしまっては、仕事のパフォーマンスに悪い影響が出てしまいます。

部署やチームごとにどのようにコミュニケーションを図る必要があるのか、オフィス全体としてどのコミュニケーションツールを活用し、どんなことを決めておくと業務がスムーズになるのかについて検討することが大切です。

 

情報共有に関するルール

テレワークに関する情報共有に関するルールも、企業が検討すべきことのひとつでしょう。自宅で作業するようになると、チームや部署内でお互いに着手している業務の進捗状況が見えにくくなります。

チームや部署のプロジェクトなどで協力して仕上げなければならない時に、お互いにやりづらいと感じるかもしれません。

もし何らかの変化が生じた場合にはすぐに情報を共有する」「毎日、社内日報を更新するなどをルールとして決めておき、従業員同士がお互いに最新の情報を共有できるようにしておくとよいでしょう。

 

人事評価に関するルール

テレワークに関し、人事評価に関するルールを検討することも、企業にとって必要なことです。これまではオフィスで作業していれば、管理職や上司・先輩が従業員の勤務態度を確認していました。

しかし、自宅などオフィス外での作業は、従業員の勤務態度を把握できなくなるため、これまでとは違う人事評価を考えなければなりません。

テレワークでの勤務とオフィスでの勤務とで評価があまりに違うようだと、従業員のテレワーク勤務へのモチベーションが下がりますし、反感をかってしまうリスクもあります。

後からトラブルにならないようにするためにも、テレワークでどのように人事評価を行うかに関するルールを決め、従業員の理解を深めておきましょう。

 

経費に関するルール

テレワークでの経費に関するルールについても、検討すべきことのひとつです。自宅での作業は、通勤や出張などによる交通費がかからなくなる一方、IT環境を整えるために電子機器を購入する費用がかかったり、送信するデータのファイルサイズが大きくて通信費が高くなったりすることも考えられます。

企業はどの程度まで費用を負担するのか、どんな機能や用途であれば従業員がIT機器を購入することを容認するかなどについて事前に決めておくとよいでしょう。

 

テレワークの社内ルールを設定するときのポイント

ここからは、どのようなことがルール設定のポイントになるのかを考えてみます。最近になってテレワークを導入した企業であるなら、なおさら現時点でポイントをしっかり押さえたルール作りを心がける必要があります。

 

社内でしっかり周知する

企業が就業規則を含めてテレワークについて設定すべきルールを決定したのであれば、自社の従業員に概要をしっかりと周知することが1つ目のポイントです。

せっかく企業側が、さまざまな点に配慮して有効なルールを定めても、従業員に十分に周知されなければ意味がありません。

一部の従業員だけがルールをわかっているという状況も、後から従業員たちの間でトラブルとなる可能性もありますので避けるべきです。

また、周知した後も必要に応じて従業員がすぐにルールの内容を確認できるようにするとよいでしょう。

その際、どんな意図があってテレワークに関するルールが作成されたのか、就業規則のどこが、どのように修正されたのかを従業員が理解できるような形で情報を提供します。

社員の意見も取り入れる

企業が、テレワークに関するルールを自社に設定するのであれば、従業員の意見を取り入れることも忘れてはなりません。

なぜなら、企業のトップが独断でルールを決めてしまうと、企業サイドからの視点に偏ってしまうこともあるからです。

特にテレワークで作業するようになって間もない従業員は、出社や退社という概念がなくなる分、残業代や休日手当がきちんと支給されるのかなどについて不安に思っているかもしれません。

一方、企業が従業員に対して、頻繁にチャットで業務報告することや、常にカメラをオンにすることを要請すれば、従業員の仕事へのモチベーションが下がる原因になりかねません。

他にも、ある従業員にはヒアリングを行い、他の従業員にはヒアリングを行わないなどの不公平があれば、従業員がルールに対して反感を抱くだけでなく、企業そのものに対して不信感を持つ可能性もあります。

後からトラブルになるリスクを避ける意味でも、従業員の意見もきちんと聞きましょう。やむを得ず従業員の意見にそぐわない内容を盛り込む必要がある場合には、時間をかけて従業員に意向や経緯を説明して納得してもらいましょう。

 

まとめ

企業がテレワークにおける自社のルールを設定する際には、事前に従業員の意見を聞き、設定後は十分に周知を行うのが大切です。

従業員に意見を聞いたりルールの設定後に周知したりする際に、従業員から詳細や質問を求められるかもしれません。

企業が従業員としっかりコミュニケーションを図る上でおすすめなのが、テレワーク電話の「03plus」サービスです。このサービスは、電話機やアプリごとに直接番号が付帯されるため、テレワークで作業をする複数人の従業員を共有したい代表電話番号に追加できます。

テレワークで労働生産性を向上させるためには、従業員のモチベーションを高めるのが大切です。そのためには、従業員が納得した上で作業できるようにすることが必須となります。

企業が「03plus」サービスを導入し、従業員に対してルールを十分に説明し、仕事へのモチベーションを高めることができれば、結果として労働生産性も向上するでしょう。

複数の従業員がスマートフォンによって固定電話番号を安く使用できる「03plusを導入し、テレワークのルール作りのために積極的に従業員とコミュニケーションを図っていきましょう。

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