日本社会は、2019年の「働き方改革」によって、テレワークを導入する企業が増え始めています。
そんな中、2020年のコロナ禍によって2度の緊急事態宣言が発令されました。政府から7割以上のテレワーク勤務が推奨されたこともあり、テレワークの導入が一気に増加傾向を見せています。
これまで様子を見ていた中小企業や地方企業においても、本格的にテレワークの導入を検討し、これまでとは違う働き方にシフトしていく必要があるでしょう。
そこで今回は、「テレワーク環境下で起こり得るマネジメント課題とその解決策とは?」と題し、テレワークにおけるマネジメント課題とそれを解決するためのポイントについて解説します。
目次
そもそもマネジメントとは?
企業でマネジメントというと、「経営管理」や「組織管理」などのことを言います。具体的には、企業が生産性を上げるために目標を達成したり、ミッションを遂行したりする際にリスク管理を行い、社内の「人財・物・お金」など、企業の資産を効率よく運営することです。
このような企業におけるマネジメントという概念は、アメリカの経営学者であるピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏が執筆した「マネジメント」という書籍が起源であるとされています。
ドラッカー氏は「マネジメント」のなかで、マネジメントを「組織に成果を上げさせるための道具・機能・機関」であり、企業における目標やミッションなどを実現するためには、マネジメントを管理する責任者としてマネージャーの存在が必須であるとしています。
そんなマネジメントは、マネージャーが示す方向性に合うよう設定した目標を達成するため、組織を管理することが目的です。
つまり、マネジメントはサービスの内容を考えて実施するなど、設定した目標に応じて組織を運営するための手段を示すものと言えるでしょう。
マネジメントをテレワークでどのように活用して行くべきかを考えるのであれば、これまで自社で実施してきたマネジメント管理とは異なる性質であることを認識する必要があります。
と言うのも、テレワークでの作業においては、オフィスに出勤するワークスタイルとは異なり、上司や管理職が部下を直接管理できないため、テレワーク特有のマネジメントを検討しなければならないからです。
テレワーク環境下で起こり得るマネジメント課題
テレワークという環境下であっても、部下がオフィスで働くのと同じように成果が上げられるようマネジメントをしなければなりません。
具体的に、テレワーク時にどのようなマネジメントの課題が考えられるのかを見ていきましょう。
コミュニケーションが取りづらい
テレワークにおけるマネジメントの課題として最初に考えられるのは、コミュニケーションが取りづらいということです。
オフィスにいれば、たとえ何か問題が起こったとしても、どのような状況で起きたのか、その時に部下がどのような気持ちなのかなども、すぐに自分の目で確認できます。
また、物理的に離れた場所でトラブルが起きたとしても、すぐに部下や関係者のところに駆けつければ比較的スムーズに解決できたでしょう。
しかし、テレワークでお互いに離れているところで作業している以上、仕事で質問があるときや会議以外で気軽にコミュニケーションを取ることができず、すぐに相手の気持ちや状況を把握できません。
勤怠管理が難しい
テレワークでのマネジメントの課題として、勤怠管理が難しいということもあるでしょう。
オフィスに出勤していた時のようにタイムカードがあるわけではありませんし、基本的には自宅での作業になります。
リアルタイムで勤務している様子を確認できず、実際にきちんと働いているのかを疑い出すと疑心暗鬼になってしまう恐れがあります。
モチベーション維持が難しい
テレワークにおけるマネジメントの3つ目の課題としては、モチベーション維持が難しいことです。
「仕事=チームワーク」とも言うように、オフィスに出勤していれば、同じ部署の従業員や上司・管理職とともにプロジェクトやミッションに関わっている一体感を感じることができました。
ところが、1週間のほとんどを自宅で作業するテレワークでは、オンライン会議があったとしても、チームとして仕事をしているという意識は薄れてしまいます。仕事に対するモチベーションを維持することが難しくなってしまう可能性もあるでしょう。
人事評価が難しい
テレワークにおけるマネジメントの4つ目の課題としては、人事評価が難しいことです。
テレワークでは自宅で作業になるので、これまでオフィスにいれば把握できていた従業員の勤務態度をテレワーク時に同じように把握することは困難です。
従業員を評価する際には、形となった成果物や、数値として見えるものに対する評価に限られることになります。
今後、上司や管理職はテレワークでの人事評価をどうするかについて検討する必要があるでしょう。
教育がしづらい
テレワークにおけるマネジメントの5つ目の課題は、教育がしづらいということです。
と言うのも、テレワークではお互いが離れているところで作業するため、何か新しいことや複雑なことを従業員に教えたいと思っても、横について直接教えることができません。
「百聞は一見にしかず」というように、作業を実際に見ながら確認ができないため、教育がしづらいという課題が挙げられます。
テレワーク環境下でのマネジメントポイント
テレワークでマネジメント管理を行ううえで、主に5つの課題があることがわかりました。
ここからは、テレワークという環境下で、マネジメントをうまく機能させるためのポイントについて説明します。
定期的に面談を実施する
定期的に従業員との面談を実施し、コミュニケーションを図ることです。リモートによって画面上で間接的に接するだけでは、従業員の本音は見えてきません。
従業員と定期的に面談を行い、テレワークにおける業務の進捗状況を聞いたり、何らかの相談を受けた場合にはどのように解決できるかを話し合ったりするなど、積極的にコミュニケーションを図ることが大切です。
従業員のなかには、入社や異動したばかりで仕事に慣れる前にテレワーク勤務になってしまった人もいるかもしれません。
従業員のポテンシャルをうまく引き出し、企業の資産として成果を上げてもらうためには、その従業員がどのような不安を抱えているのか、どのようなことをやりづらいと思っているのかなどを把握するための細やかなケアを心がける必要があります。
KPIを設定する
テレワークにおけるマネジメントの2つ目のポイントは、KPIを設定することです。KPIとは「重要業績評価指数」のことで、「Key Performance Indicator」の頭文字を取ったものを言います。
企業が目標やミッションを達成する際、マネジメントの一貫として達成の度合いについて計測し、監視するための指標のことです。
たとえば営業職であれば、訪問件数や受注件数などをKPIとすると、KPIを達成することで売上や売上検討などの目標を達成できます。
従業員個人や組織が業務を行う場合に、具体的な数値で達成の度合いを測定することで、企業は現段階でその作業がどの程度まで進捗しているのかを把握できます。
ちなみに、KPIは、重要目標達成指数を指すKGIの中間指標として、数値で指標化するという役割を担っています。
評価制度を見直す
テレワーク環境下でマネジメントをうまく機能させるための3つ目のポイントは、評価制度を見直すことです。これまで、オフィスに出勤している従業員を実際に見て、その勤務態度を評価すれば済みました。
お互いにオフィスにいれば、実際に作業をする際に従業員がどのようなプロセスを踏んでいるのか、どのように段取りしたのかなど、途中経過の把握もできました。
しかし、テレワークの場合は、上司や管理職は部下である従業員の作業を目視できないため、これまでと同じように評価することは難しくなります。
とは言え、オフィスで働いていた時とテレワークで作業している時とで評価が大きく異なれば、従業員の働くためのモチベーションは下がってしまうでしょう。そこで、テレワークに適切な評価方法を検討することが必要です。
成果物が基準になりますが、日時管理表などによって部下の作業の進捗状況を確認し、最低でも週に1度はオンライン面談などを設定するとよいでしょう。
そんなマネジメント管理の一貫として、テレワークに適した評価方法には、下記の3つがあります。
- MBO(個人またはグループで設定する目標の達成度を管理する)
- バリュー評価
- ノーレイティング
「MBO」では、その目標における部下の動機付けを中心に行い、目標とそれを達成するためのプロセスを具体化することが重要です。
MBOで評価することによって、従業員もどんなタスクにどのくらい時間を要し、どんな成果を出すことができたのかを可視化して把握できます。業務を効率的に進めることができ、モチベーションの維持につながります。
「バリュー評価」では、企業の価値観を理解してどのように行動できたかを評価します。
テレワークというワークスタイルにあるからこそ、企業の経営理念や経営方針などをしっかり理解し、それを体現できているかということを評価することで、従業員は組織の一員であるという一体感を得ることができます。
昨今、日本マイクロソフト株式会社やP&Gjapan合同会社などが導入しているノーレイティングという評価方法を用いるのもよいでしょう。
ノーレイティングは、従業員を数値や記号などのランク付け(レイティング)で評価するのではなく、上司が部下に対してフィードバックを行い、1対1の面談によって評価・育成するという方法です。
具体的には、テレワークでは成果物によって評価することが基準となるため、マネジメント管理をしている各業務のマネージャーが原資を基に部下への報奨金を設定します。成果に応じて従業員の賃金を評価するのです。
このような報奨金を設定するという方法は、評価の内容がわかりやすいため、従業員の働くモチベーションを向上させることができるでしょう。
情報共有を徹底する
テレワーク環境下でのマネジメントにおける4つ目のポイントとして、情報共有を徹底することも大切です。
テレワークという離れた状況にあるからこそ、遂行する業務に関する情報やナレッジなどをお互いに共有することが必要不可欠となります。
ナレッジを共有することができれば、業務に慣れていない新入社員がテレワークになっても、それを確認しながら業務を遂行できるでしょう。
ITツールをうまく活用する
テレワーク環境下でのマネジメントにおける5つ目のポイントは、ITツールをうまく活用することです。
オンライン会議のためのツール環境を整えるだけでは、テレワークにおけるコミュニケーションを図るためには十分ではありません。
企業全体でコミュニケーションを図るためのツールだけでなく、部署やプロジェクトなどのグループに分け、さらに詳細な内容を連絡する際に活用できるツールを準備しておくとよいでしょう。
テレワークという見えない状況で効率的に作業を進めるためにも、従業員同士のコミュニケーションを円滑にし、リアルタイムでチャットができるツールやファイルの送受信などが迅速に行えるようなツール活用が大切です。
テレワークで導入したい「03plus」
このようなテレワーク環境下において、しっかりとマネジメント管理を行うためにおすすめしたいのが「03plus」です。
従業員の働くモチベーションを維持し、労働生産性を高めるためには、上司や管理職と従業員とが互いに意思の疎通を図り、マネジメントを行うことが大切です。
そのためには、電話で週に1回程度の面談が必須となりますが、それぞれの従業員が個人の電話でやり取りすることは現実的ではありません。
そのため、テレワークという環境下で従業員が自由に電話に対応できるような環境を整える必要があります。
多くの企業では、ひとつの電話番号への転送しかできないため、従業員が複数いる場合の電話でのやり取りは簡単なことではありません。
しかし、「03plus」はアプリを導入するだけで複数の従業員が電話での対応や、FAXで送受信などができます。
全ての申込に関する手続きをWebサイト上でできるので、コロナ禍でも外に出る必要はありません。
アプリなので特別な環境も必要としませんし、インターネット環境を通じて利用できるのでワークスペースも自由です。
月額1,280円から利用でき、利用形態に応じたオプションを組み合わせて、企業内でまとめて支払うこともできます。
今後、日本社会がテレワークを導入するうえで、従業員の働くモチベーションを維持し労働生産性を向上できるかどうかは、企業がしっかりと自社のマネジメント管理にかかっていると言えるでしょう。
そのためには、企業が必要に応じて電話などで面談を行って従業員を正当に評価し、何を求めているのかを正確に把握することが必要です。
そんなテレワーク環境下でのマネジメントをスムーズに行うために、複数の従業員がスマートフォンで固定電話番号を使用できる「03plus」の導入をおすすめします。