コロナ禍でテレワークを実施する企業が急速に増加しました。
テレワークが普及していく中で、普段の勤務形態と異なる働き方が功を奏した場合と、思わぬデメリットが出てきてしまっている場合があるようです。
本記事では、従業員・企業が注意するべきテレワークのデメリットについてお伝えします。
テレワークとは?
テレワークについてメディアでよく発信されるのは在宅勤務の様子です。
しかし、「テレワーク=在宅勤務」ではありません。
テレワークと呼ぶ勤務形態は大きく分けると3つ存在します。
- 在宅勤務:社員が自宅で就業する
- モバイル勤務:会社の取引先のオフィス内、移動途中のカフェなどで業務に取り組む
- サテライトオフィス勤務:コワーキングスペースやサテライトオフィスで仕事をする
在宅勤務だけがテレワークではないのです。
ちなみに、テレワークは造語で、「Tele (遠隔)」と「Work (働く)」という2つの英語を組み合わせたものです。
テレワークには多くのメリットがある
テレワークを始めるきっかけは新型コロナウィルス感染症予防対策だったかもしれませんが、急速に拡大している背景には、従来のオフィス勤務ではかなえられなかったことが実現できているということが挙げられます。
株式会社リクルート住まいカンパニーが20歳から64歳までの男女1,098人に調査した「テレワーク(リモートワーク)に関する意識・実態調査」(2020年5月22日発表)によると、 テレワークを実施した理由は「通勤時間の減少」を挙げる割合が29%と高く、続いて「仕事の集中度向上」が14%、「家事と仕事の両立」が13%に上っています。
子どものいるファミリー層に絞ってみると「子育てと仕事の両立」が女性では1位、男性でも2位に上りました。
通勤時間が短くなることによって自分の使える時間が長くなると同時に、通勤時間がない分、子どもと接する時間が長くなり、子育てと仕事の両立ができるようになるということです。
ワークライフバランスを上手に保つことができるのがメリットということですね。
従業員視点でのテレワークのデメリット
従来のオフィス勤務では得られなかったメリットを受けるだけでなく、テレワークを実際にやってみると、デメリットを感じることも多々あります。
従業員の視点でテレワークのデメリットについて迫ります。
オンとオフの切替
まずは、オンとオフの切り替えが難しいという点がデメリットとして挙げられます。
電車通勤をしている人であれば、電車に乗りながら新聞や雑誌、スマートフォンでニュース検索をして情報収集をしているという方もいます。
テレワークの中でも在宅勤務となった場合には、そうした情報収集の時間がまるごとなくなってしまうことがデメリットです。
例えば、在宅勤務では朝、目覚めてから一歩も外に出ることなく仕事が始まるので、いつからが仕事で、いつまでやればいいのか分かりづらくなり、メリハリを感じにくくなってしまいます。
長時間労働になりがち
意外なことに、テレワークは長時間労働になりがちになるというデメリットもあります。
通勤時間がない分、時間に余裕が出てきて、本来ならワークライフバランスのために使うべき時間を仕事に費やしてしまうこともあり得るのです。
また、ランチを自宅で済ませた場合、外出の必要がありませんので、昼休みに自由に使える時間がオフィス勤務時よりも長くなります。
もし、その時間も作業を進めたいからと仕事に充ててしまうと、結果的に長時間労働となってしまうのです。
また、コロナ禍では保育施設や学校関係が休業してしまい、子どもが自宅にいる中で在宅勤務を行う必要があった従業員もいました。
子どもが寝ている時や家事の手が空いた時に仕事をすることになるので、業務時間が早朝や深夜になって長時間労働になってしまいがちだったようです。
コミュニケーション不足
テレワークをした場合、従来のオフィス勤務よりもコミュニケーションをとる量が大幅に減ってしまうことがデメリットです。
オフィスで働いていれば、あいさつを頻繁に交わします。人と顔を合わせる機会も多いので、二言三言、交わすことが普通でした。
しかしテレワークでは、誰かと顔を合わせる機会はなくなります。
ちょっと誰かに相談したい、というようなことがあれば、コミュニケーションツールを使って意見交換を行うので、人と言葉を交わさなくても済んでしまいます。
こうしたことから、コミュニケーションは従来のオフィス勤務と比較すれば、大幅に不足してしまうことがデメリットです。
完全テレワークが難しいことも
そもそもテレワークには向いていない職種も存在します。
例えば、工場内で機械を操作するオペレーターの方などは、その機械がないと仕事ができません。
接客業や販売業はお店、医療・福祉に携わる方は施設と、その場所でしかできない仕事もテレワーク向きではありませんね。
オフィス内の仕事の中にも、会社にかかってきた顧客からの電話を受ける営業事務の方や、取引先と連絡を密に取り合う調達関係の部署の方、上司の押印をもらわないと業務が承認されない事務職の方などは、テレワークをしたくともできないといった状況ではないでしょうか。
テレワークとオフィス勤務の人が混在している場合、どうしてもオフィス勤務の方に業務の負担が重くなりがちになってしまいます。
顧客からテレワーク中の社員に電話が掛かってくれば、電話があったことを伝えてどんな対応を取るか確認する必要がありますし、郵便物の荷物の受け取りや仕分けなど、雑多な業務も集中しがちに。
テレワークができない人に掛かる負担が大きくなってしまうこともデメリットといえるでしょう。
企業視点でのテレワークのデメリット
これまで、従業員視点からのデメリットをお伝えしましたが、今度は企業視点でのテレワークのデメリットを挙げます。
社員の仕事ぶりや労働時間の管理が難しい
テレワークでは社員の仕事ぶりを監督するのがとても難しくなるのがデメリットです。
サテライトオフィス勤務の場合は、定期的に様子を見に立ち寄ればいいですが、在宅勤務やモバイル勤務の場合はそうはいきません。
上司が部下にマメに連絡を取ると、かえって仕事の邪魔をしてしまうことにもなりかねないのです。
また、労働時間の管理が難しいことがデメリットです。
単に労働時間を測るためにタイムカードが打刻できないというだけでなく、在宅勤務の場合、特に子どもと同居している場合は、従業員は時間通りに働けなくなります。
チームの連帯感や会社の求心力が弱まる可能性
テレワーク中は、簡単にコミュニケーションが取れないことがデメリットですが、その状態はチームの連帯感や会社への求心力が弱まる可能性を含んでいます。
気軽に質問をしたり、業務と関わりのない雑談をしたりする機会がなくなってしまうので、毎日顔を合わせていたチームのメンバーの存在感が薄くなってしまうのです。
会社で普通に行っていた全体の朝礼や部署ごとのミーティングもなくなってしまうので、目の前の業務をこなすことに集中してしまい、会社全体のことへ目が行かなくなってしまいます。
教育が難しい
テレワークでWeb会議などに取り組む機会が増え、「ウェブ(Web)」と「セミナー(Seminar)」を組み合わせた「ウェビナー(Webinar)」という言葉も一般的になりました。
ウェビナーで最新情報を入手したり、技術を学んだりと、在宅でも学べる環境が普及しました。
従業員にいつでも好きな場所で教育を受けさせることができる環境が充実したことで、企業にとってはメリットが大きいことでしょう。
とはいえ、コロナ禍の真っただ中の2020年4月は、新しく入社した社員への教育は難しい状況でした。
通常なら、研修期間を経て、部署へ配置されるような毎年の流れを踏襲することができないのです。
OJTで先輩の仕事ぶりを見ることもできませんから、会社員としてどう振る舞うべきか知ることもできません。
ウェビナーなどの手段はあるとはいえ、従業員への教育の中でも特に、新入社員への教育が難しいことが非常に大きいデメリットといえるでしょう。
セキュリティのリスク
テレワークのデメリットの中でも、大きな影響を及ぼしかねないのがセキュリティのリスクです。
通常のオフィス勤務であれば、部外者が立ち入ることができる範囲は決められていること、機密情報は特定の場所に格納していることなどから、セキュリティは保ちやすい状態です。
しかし、テレワークは、オフィス外から情報を持ち出して仕事をすることですから、情報漏えいの危機に常にさらされる状態になります。
これは、重大なデメリットです。
テレワーク中は、業務とは関係のない人がいる中で仕事をすることになります。
業務に集中してしまうと、周囲への警戒心も薄まってしまいがちですので、注意が必要です。
具体的には、自宅以外の場所でPC作業をする時には、肩越しに画面の内容やキーボードのタッチを盗み見る(通称:ショルダーハッキング)が起こり得ます。
PCやUSBフラッシュメモリーなどのデジタル機器が盗難されて情報が漏れる恐れもあります。
デメリットの解消のために行うべきこと
テレワークを実施することによって生じるさまざまなデメリットを紹介しました。
デメリットにただ困ってしまうのではなく、解消するために行えることがあります。
3つか紹介しますので、デメリットを感じている方は、ぜひご検討ください。
デメリット解消法1:テレワークに関する就業規則や評価制度の見直し
通常業務から必要に迫られてテレワークを導入した企業では、テレワークに関する就業規則や評価制度が整っていない可能性があります。
社内でテレワークの位置づけをはっきりさせ、従業員がテレワークで勤務しやすい環境を制度面からバックアップしていきましょう。
その際、実際にテレワークをした従業員にヒアリングなどを行い、実際の状況に則った制度設計をすることが重要です。
制度がきちんと整えられれば、企業の働きやすさが向上し、離職を防ぐことができ、新規採用もしやすくなるでしょう。
労働時間の管理が難しいこともテレワークのデメリットですが、今はタイムカードのクラウドサービスも登場しています。
ホームページにアクセスしてタイムカードを打刻する以外にもスマートフォンのGPSやSNS上で打刻ができるのです。
デメリット解消法2:コミュニケーション不足の解消
従来から利用しているメールや電話に加えて、新たに社内SNSの導入などを検討してみましょう。
たわいもない話であっても発信できるような、簡単で扱いやすい機能を持ったものがおすすめです。
デメリット解消法3:セキュリティ対策
情報漏えいのリスクについて検討し、秘密保持規程を定めましょう。
すでにルールが設けられている場合には、テレワークでも適用できるものか見直し、従業員がしっかり守ることができるような体制づくりができているかにも目を向けてみましょう。
固定電話のデメリットはアプリで解消!「03plus」とは?
先述した完全テレワークが難しい理由の1つに会社の電話の応対をすることができないということを挙げました。
会社で固定電話を使っていることがデメリットになってしまっているのです。
そのような場合にはスマートフォンで普段の番号とは別に、固定電話の番号が利用できるアプリケーション「03plus」(ゼロサンプラス)の利用をおすすめします。
「03plus」は、社員が所有するスマートフォンに市外局番入りの固定電話番号を付すことができます。
アプリケーション経由で社外の人に連絡すれば、相手先のディスプレイに携帯電話番号ではなく固定電話番号が表示されるので、相手先に携帯電話番号を知られることはありません。
もしも複数で契約する場合には、代表番号のオプションを追加すれば、複数人で代表番号を使って発着信ができます。
複数契約していれば、通常の電話のように応対している電話をいったん保留にしてほかの人のスマートフォンに取り次ぐことも可能です。
通常の電話と同じ対応なので、電話の相手に何ら負担を掛けないことはもとより、テレワーク中とは気付かれないでしょう。
さらに、複数契約をしていれば、アプリケーションの電話帳から内線相手を選択するだけで、内線電話機能も使用できるので、テレワーク中であってもコミュニケーションを円滑に図ることができます。
Web会議のような場では伝えられないことも、内線電話で気軽に話すことができます。
アプリケーションの機能とは別の話になりますが、電話の経費精算が簡単なことも魅力の1つです。
会社はアプリケーションの利用料金を負担すればいいので、携帯電話料金表を従業員から取り寄せて按分する必要もありません。
まとめ
テレワーク中のデメリットについてお伝えしました。
従業員と企業の視点でもさまざまなデメリットがありましたが、今はITを使ったさまざまなサービスがありますので、それらを上手に利用することで、デメリットの解消につなげることができます。
テレワークを実施してデメリットを感じている方は、新たなツールを導入し、解消に努めてみませんか。