社会全体でテレワーク化が推進されるなかで、会社の固定電話の扱いについて悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ICTによるコミュニケーションが一般化してきたとはいえ、広く外部に向けた問い合わせ窓口である固定電話を廃止するのは難しいでしょう。
会社としての信頼性や安心感を担保する目的からも、テレワーク移行後も会社の固定電話を維持しておきたいと考える企業は多いはずです。
しかしながら、完全にテレワーク体制に移行したからといってとりあえず留守電にしておくわけにもいきませんし、社員全員ではなく一部社員に限ってテレワークに移行する場合などでは、出社する社員がすべての電話応対をしなければなりません。
この場合、当然ながら本来のその社員の業務以外の仕事が増えますし、テレワークだからといって用件伺いや掛け直しでの対応となることは、電話をかけてきた取引先や顧客にとっても手間となり心象が良くありません。
そういったテレワーク時の電話応対対策の一つとして挙げられるのが、転送電話を利用する方法です。
今回は、NTTが提供している転送電話サービス「ボイスワープ」と、アプリで使える電話サービス「03plus」の2つを具体例として比較しながら、テレワークにおいて最適な電話サービスについて考えてみましょう。
目次
テレワークで高まる転送電話の需要
転送電話とは、会社や自宅などにかかってきた電話を他の固定電話や携帯電話に転送することによって、不在時でも応答できるようにするサービスです。
これまでも様々なシーンで活用されてきましたが、テレワークの推進によってあらためて転送電話のサービスが注目されています。
ただこれまでと異なるのは、「テレワーク中の複数の社員で転送電話を受けられる体制にしたい」など、新たな機能やサービスが求められている点です。
こういったテレワーク特有の転送電話へのニーズに対応できるサービスのひとつとして、固定電話番号がスマートフォンで使える「03plus」があります。
NTTの転送電話(ボイスワープ)と03plusの違い
NTTの転送電話(ボイスワープ)は、会社の固定電話番号にかかってきた電話を、あらかじめ指定しておいた電話番号で受信することができる転送電話サービスです。
一方03plusはインターネット回線を利用した電話サービスで、いわゆるIP電話と同様の仕組みになります。
このようにNTTの転送電話と03plusは全く違うタイプのサービスになりますが、テレワークのための転送電話として活用するうえではどちらが最適なのでしょうか。
それぞれの特徴と料金面から比較してみましょう。
NTTの転送電話(ボイスワープ)の特徴
NTTの転送電話(ボイスワープ)は加入電話の契約にオプションとして付けるサービスです。
通常の加入電話の利用料金に加え、転送電話サービスの月額料金と転送時の通話料が加算されます。
以下にご説明する機能によって転送の仕方を細かく設定することができますので、完全テレワークの日と出社する社員がいる日で設定を変更するといった使い方もできます。
共通しているのは「あらかじめ指定した一つの番号へのみ転送が可能」という点です。
自動転送機能とセレクト転送機能
NTTの転送電話サービスには、自動転送機能とセレクト転送機能の2つの機能があります。
【自動転送機能】
「ボイスワープ」申し込み手続きをすることで利用可能になります。
かかってきた電話を、転送元の電話機等を鳴らすことなく直接希望の番号に転送する「無条件転送」、いったん転送元のベルを鳴らしたあとに転送する「無応答時転送」の2種類が設定できます。
【セレクト転送機能】
「ボイスワープセレクト」のサービスに申し込むことで利用可能になります。
あらかじめ登録した番号だけを指定の番号へ転送し、他の着信は通常どおりに着信させる「登録番号転送」、あらかじめ登録した番号だけ着信させ、他の着信は指定の番号へ転送する「登録番号着信」の2種類が設定できます。
相手先によって対応を変えられるので、テレワークへ移行する際に会社の電話をすべて転送するのではなく、相手を限定して転送するといったかたちで活用することも可能です。
料金
「ボイスワープ」と「ボイスワープセレクト」で月額使用料が異なります。
・ボイスワープ(アナログ回線)月額使用料(事務用):800円(税抜)、工事費なし
・ボイスワープセレクト月額使用料(事務用):950円(税抜)、工事費なし
・通話料(共通):
発信者から転送元までの通話料金は、通常通り発信者の負担となります。
一方、転送元から転送先までの通話料金は、受信者の負担となります。(転送先が話中・応答しない場合は課金なし)
つまり、かかってきた電話について、通常は発信者のみに課金されるところ、転送電話を利用した場合受信者側でも一部料金が発生することになります。
それまでと同じ頻度で受発信していていも、テレワークに移行した結果、転送電話料金のコストが大きくなる可能性がある点に注意が必要です。
03plusの特徴
インターネット回線があれば利用できる03plusの導入時における特徴は、固定電話のように電話加入権や電話回線の敷設工事を必要としないことです。
コストをかけずにテレワークへ移行したい企業だけでなく、個人事業主やこれから起業するスタートアップ企業にとっても、初期費用を抑えながら簡単に固定電話番号を取得できることは大きなメリットです。
基本的には03plusにて新たに番号を取得して利用するため、テレワークにおける転送電話として使いたい場合、会社の固定電話の転送先として利用するか、番号移転をして利用することになります。
03plusでは、他にもテレワーク時に役立つ機能が充実しています。
ビジネスフォンのように複数人で1番号利用可能
ある程度の規模の企業であれば、電話はビジネスフォンを採用しているでしょう。
ビジネスフォンであれば会社の代表番号にかかってきた電話を複数の電話機に着信させることができるほか、社内での転送や内線の利用も可能になるため非常に便利です。
しかしながら、NTTの転送電話を利用する場合、転送先電話番号は1番号のみ指定可能となっているため、テレワークの際に転送電話応対をする社員が1人に固定されることになってしまいます。
その点03plusであれば、代表番号と追加IDのオプションを利用することによって、社員全員がテレワークへ移行してもビジネスフォンのように1電話番号を複数人で共有して利用することができます。
さらに番号移転サービスを利用すれば、発着信ともに複数の社員で会社の番号を利用できます。
テレワーク前とほとんど変わらない感覚で電話を使える、理想的なテレワーク環境に近づけることができるのです。
料金
ベースとなる料金プランは以下の通りです。
【基本料金プラン】(基本ID・1番号目)
・月払いプラン: 初期費用5,000円、基本料金1,280円/月
・年払いスタートプラン: 初期費用3,800円、基本料金15,360円/年(月払いより1200円お得)
・通話料: アプリからの発信:20円/30秒
専用IP電話機、宅内機器からの発信:市外局番宛 8円/3分
その他携帯宛など 17.5円/1分
テレワークにおいて会社の番号を転送または移転する場合、以下のオプションを必要に応じて追加しましょう。
・代表番号(1番号): 300円/月
・追加ID(1直通番号/1回線): 初期費用:5,000円 利用料:900円/月
・番号移転(番号ポータビリティ): 初期費用:3,000円 利用料:1,100円/月
なお、03plusを番号移転で利用する場合は、転送電話ではないため、通話料が発生するのは発信時のみになります。
また、部門別グループ番号を追加することもできます。
そのほか、0円スタートプランを利用すれば申し込み日から次の25日までの間の最大31日間、1通話上限3分間、通話回数50回までという制限はありますが無料で利用ができますので、テレワーク導入に先駆けて実際の使用感を試していただくことも可能です。
NTTボイスワープと03plusの併用
NTTの転送電話と03plusについて、各サービスの全体像が見えてきました。
ここまでの内容から、自社がテレワークへ移行する場合に最適な電話サービスがどちらになるか判断できた方もいらっしゃるかと思いますが、どちらにしても懸念事項が残ると迷われる方もいらっしゃるかと思います。
そこで、テレワークの際にいずれか一方のサービスを利用するのではなく、NTTの転送電話と03plusを併用する方法についてもご紹介しましょう。
その前提として、それぞれのサービスが適しているのはどういったケースになるのか確認しておきます。
【NTTの転送電話(ボイスワープ)が適しているケース】
・転送電話を受ける社員は1人でよい(転送先は1番号で問題ない)
・受発信ともに電話の利用頻度が低い(転送電話料金が高額になる心配がない)
・折り返し発信をすることはほとんどない、または個人の携帯電話などから折り返しても問題ない(発信者として個人の携帯電話番号が相手に表示されても問題ない)
・インターネットやスマートフォンに不慣れ、または所持していない社員もいる
NTTの転送電話の場合、基本料金だけで比較するとわずかに安価であるものの転送電話料金が発生することや、転送先の携帯電話などから折り返し電話をする場合にはその携帯電話の番号が通知されることが問題になることがあります。
【03plusが適しているケース】
・複数の社員で1つの会社用電話番号を共有したい
・頻繁に受発信するため、転送電話料金がかさむのは困る
・折り返し連絡することも多く、通知される番号が個人の携帯電話番号になるのは困る
・利用する社員は各自スマートフォンなどを所持している
・番号移転が可能な電話番号である
このように、テレワークのために03plusを利用する場合、会社の電話番号を番号移転サービスによって移行することが前提となります。
ただし、番号移転サービスの利用は一部条件がありますので、もしサービスが利用不可だった場合は、NTTの転送電話サービスを利用し、その転送先電話番号として03plusで取得した電話番号を設定するという方法で解決することができます。
これが、「NTTの転送電話と03plusの併用」が適しているケースです。
この方法によって以下に挙げる2つのメリットがあるうえ、03plusの豊富な機能も活用することができますので、NTTの転送電話だけでテレワーク対応できそうなケースであっても検討する価値はあるかと思います。
番号移転できない番号でも複数端末で着信可能
番号移転が可能なのは、03plusの対応エリア内で、NTT東日本/西日本の加入電話、ISDNで発番された番号に限られています。
この条件に該当せず移転できない番号だった場合でも、NTTの転送電話サービスと併用することでテレワーク利用ができるようになります。
さらに「代表番号」のサービスと、その代表番号を複数人で使える「複数ID」のオプションを設定しておくことによって、複数端末での着信が可能になります。
発信時も信頼ある固定電話番号から
先ほど、テレワークにおいてNTTの転送電話が適しているケースとして「折り返し連絡の際に個人の携帯電話番号などの通知でも問題がない」ことを挙げました。
しかしながら、実際のところはできれば通知されない方がいいと考える方が多いのではないでしょうか。
NTTの転送電話と03plusを併用する方法の場合、03plusアプリからの発信時は03plusの電話番号が相手に通知されます。
会社の電話番号の通知ではないものの、個人の携帯電話番号ではなく固定電話番号が通知されますので、テレワーク移行前に相手にあらかじめこの番号を伝えておくという対応も可能になります。
テレワーク中の折り返し連絡時に不審がられる「知らない携帯電話番号」より、「信頼ある固定電話番号」である方がお互いに安心であることは明白でしょう。
他にもスマホアプリによる固定電話サービスは各社から提供されていますが、「03」や「06」など市外局番から始まる固定電話番号が取得できることによって、こういったメリットもあるのが03plusのサービスです。
まとめ
テレワーク環境を整備するにあたり、自社に最適な電話サービスはどういったものかイメージできましたでしょうか。
柔軟な働き方としてのテレワークのはずが、かえって電話応対が大変になって負担が増えてしまったということのないよう、自社の電話利用スタイルや社員のニーズを踏まえて吟味したいですね。
03plusでは、今回紹介した点以外にも多彩な機能やサービスが用意されておりますので、よりよいテレワーク環境の実現のために一度導入を検討いただければ幸いです。
会社の固定電話を転送して、テレワークで活用する方法については、以下の記事もおすすめです。