【中小企業向け】突然のテレワーク、電話はどうする?出社せずに対応する方法

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働き方改革が推進されるなか、一般の企業においても従来の働き方とは異なる多様な働き方が徐々に広がってきました。在宅勤務に代表されるテレワークもその一つと言えるでしょう。

特に2020年は、新型コロナウイルスの影響で出社を控えるよう政府からの要請もあるため、これまでテレワークの導入に消極的だった中小企業においても、否応なく導入を検討せざるを得なくなっています。

中小企業がテレワークの導入に壁を感じる一つの理由に、電話対応をどうするかという問題があります。多くの従業員が出社していない状態でオフィスに電話がかかってきた時には誰が対応するのか、もしくは、電話相手が取り次ぎを求める当の従業員がテレワークのために出社していない場合にどうするのかといった問題です。

ここでは、中小企業にとってのテレワーク導入の問題点や、テレワーク中の担当者への電話に対処する方法などについて詳しくお伝えします。

 

テレワークに変更する企業が急増

働き方改革自体は2017年ごろから推進されており、テレワークも新しい働き方の一つとして徐々に導入する企業が増えていました。

ただ、テレワークの導入企業は圧倒的に大企業が多く、中小企業の大多数は導入どころから検討すらされていなかった状態がこれまで続いてきたと言えます。

総務省が発表する情報通信白書(令和元年度)を見ても、その傾向は明らかです。従業員数が2,000を超えるような大企業の場合、全国で46.1%もの高いテレワーク導入率を示しています。全国でおよそ2社に1社に近い割合ですから、都心ではもっと高い導入率だったことは確実です。一方、令和元年度の調査時点では、中小企業におけるテレワーク導入率は14.5%に過ぎません。大企業と比べて30ポイント以上の差があります。

ところが、2020年に入り、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るうようになって、状況に大きな変化が生じました。全国的に外出自粛が叫ばれ、なるべく出社せずにリモートワークで対応するよう政府からの要請もあったため、テレワークの導入率が急激に上昇したのです。

東京商工会議所が2000年6月に実施した調査では、東京都という範囲の限定はあるものの、調査に回答した中小企業のうち67.3%がテレワークを導入していることが明らかになりました。この数字は、前回の3月調査時点と比べて41.3ポイントもの急激な増加です。また、テレワーク導入企業のうち、緊急事態宣言の発令後に導入した企業がそのうち52.7%を占めます。

なお、東京商工会議所の調査では、従業員の規模別のテレワーク導入率もわかっており、それによると、従業員300名以上の企業が90.0%と非常に高い一方で、従業員30名以下の企業でのテレワーク導入率は45.0%と低くなっています。従業員規模が大きいほどテレワークの実施が進んでいることがわかりました。

 

中小企業のテレワーク準備で抱える問題点

先ほど挙げた東京商工会議所の調査では、テレワークを未実施の企業にその理由を尋ねたところ、社内体制が未整備との回答が多数得られたことがわかっています。

社会情勢を鑑みてもテレワークの必要性は高く、また、テレワークを実施することでビジネスにもさまざまなメリットがもたらされますが、それでもいまだに中小企業の多くはテレワークの導入に問題を感じているのです。では、具体的にどんなポイントが問題なのでしょうか。

 

テレワーク可能な仕事の切り分け

テレワーク未実施企業にその理由を尋ねたところ、社内体制がテレワークに対応できるまでに整っていないとの回答と並んで、「自社にはテレワークに適した業務がない」との回答も多数に上ることが先の調査で明らかになっています。

実際、生産業や製造業など業種によってはテレワークが難しい仕事は少なくありません。製品を大量製造するには広い土地に大きな工場を構え、専用の大型機械を稼働させる必要がありますから、当然ながら自宅ではできませんし、実際に誰かがその作業に携わる必要があります。ロボットやAI技術を活用することでリモート対応できる部分もありますが、それでも完全にテレワークに移行することが困難な業種の一つです。

ただ、たとえそのような製造業企業でも、なかにはテレワークで対応できる業務もあるはずです。たとえば事務や人事、クライアントとの連絡調整などは、在宅勤務でも十分対応できるでしょう。要は、テレワークの導入が進んでいない企業は、どの業務がテレワークに対応可能かどうかの切り分けまで進んでいない状況と言えます。

たとえば、以前なら顧客との対面が必須だと思われていた営業でも、現在はテレワークを駆使した営業手法も活用されています。一見、テレワークに向いていないと思えるような業務についても、本当にできないかどうか、一部でもテレワークを活用することができないだろうかなどと、じっくり検討することが必要です。

 

環境の整備

もう一つの大きな要素が、テレワークの環境整備のためのコストの問題です。

まず、従業員個人にとっても、テレワークで在宅勤務を行うためにパソコンとインターネット環境が求められます。今どきどの家庭にもネット環境はありそうですが、必ずしも全員がテレワークに適した環境を整えているとは限りません。最近の若い世代には、すべてスマホやタブレットで事足れりとして自宅用のパソコンを持っていない人もいるぐらいです。

そうなると、会社がテレワークを命じてやらせる場合は、必要な機器を支給するか、機器の購入費のための特別手当を支給するかなど、いずれにせよ会社が費用を負担しなければなりません。

会社にとっても、テレワーク環境を整備するために解決しなければ問題は山積みです。たとえば、セキュリティ対策のため、社内ネットワークに外部からアクセスできなくなっている場合、テレワーク導入にあたって外部からのアクセスにもセキュリティレベルを落とさずに対応しなければなりません。また、現状のままでは、社内ネットワークの帯域が十分でないために、複数のウェブ会議を同時に行えないというようなケースも考えられるでしょう。

こうした問題を解決するにはコストと時間をかけるほかありません。ただ、テレワークの導入に関しては、助成金や補助金を活用できることもありますので、テレワークの環境整備は継続的に進めていくべきです。今すぐに全社で対応できないという場合でも、テレワーク対象の従業員や職種を限定することで一部だけでも対応させることが可能なこともあります。

なお、従業員のテレワーク環境の整備に必要なコストには、在宅勤務なら自宅で使用する通信費や光熱費についても考慮しておかなければなりません。週に1~2日などテレワークの頻度が低いうちは従業員負担でも理解が得られるかもしれませんが、毎日フルタイムで在宅勤務となるとすべてを負担させることはできないでしょう。従業員に負担させる場合でも、事前に就業規則において定めておかなければなりません。就業規則の整備も、テレワークのための環境整備の一つです。

 

テレワーク中の担当者に電話、対処法4つ

次に考えるべきなのが、テレワークで担当者が在宅勤務をしており、会社にかかってきた電話に対応できない時の対処法です。社内のみでコミュニケーションが完結するのであれば、テレワークの実施はそれほど難しくないでしょう。しかし、取引先や顧客など外部とコミュニケーションを取ることはあらゆる企業にとって欠かせないことです。

これまでなら、取引先やお得意様などから会社の代表電話に担当者宛ての電話がかかってきた場合、本人が直接受けるか、そうでなくても他人が受けて本人に取り次げば済むことでした。ところが、テレワークで本人が不在ではこうもいきません。テレワークを導入する前に電話の対処法を考えておくべきでしょう。

 

担当者の携帯で折り返し

最も基本的、というより、原始的な方法ですが、テレワークで不在の従業員宛てに会社に電話がかかってきた時に、その旨をすぐに会社から本人に伝えて、本人が改めて自身の電話でかけ直すという方法があります。この方法なら、在宅勤務者と会社にかけてきた相手をつなぐということに関しては、特別なツールや環境も必要なく、個人の携帯電話一つですぐにできる簡単な方法です。

しかし、在宅勤務者宛ての電話に対して、常にいったん会社で受けてから本人に連絡し、本人が改めて先方に連絡を取るという迂遠な方法を取らなければならないのは不便です。先方に対しても、急を要する用件であってもスムーズに当人につなげられないため不満を与えるという問題があります。

 

転送の利用

転送電話サービスを利用すれば、会社にかかってきた電話を従業員の携帯電話やスマホに転送できます。事前に番号を指定しておくことで、本人が自宅に限らずどこにいたとしても、会社にかかってきた電話を直接受けることができるのです。先ほどの折り返して連絡する方法より格段にスムーズですので、ビジネスも円滑に進むでしょう。

しかし、転送電話サービスは料金が発生します。転送電話を着信するたびに料金が発生するため、着信が多いとそのコストだけでもかなり大きな負担になってしまうでしょう。

 

IP-PBX/クラウドPBXの利用

「PBX」とは「Private Branch Exchange」のことで、日本語では「構内交換機」と言う装置のことです。この装置を会社内の電話につなげることで、外線や内線をコントロールできるようになります。

「IP-PBX」とは、「IP」、つまり「Internet Protocol」が付いていることからもわかるように、PBXのIP電話版のことです。PBXの持つ同じ機能をIP電話機でもできるようにしたもので、社内にネットワーク環境があれば、固定回線のように電話線を引かなくてもIP電話機と接続することで社内の電話を自由にコントロールできるようになります。

もう一つの「クラウドPBX」とは、PBXのクラウド版です。クラウド上のソフトウェアを使ってコントロールするため、PBXの物理的な装置が必要ありません。インターネットのつながる場所なら、ネット経由でクラウドPBXのソフトウェアにつなぎ、外出先でもPBXの機能を利用できるというものです。物理的な装置が必要ないということは、導入のための工事も不要であり、当然ながら装置のメンテナンスも必要ありません。従来のPBXよりも低コストで導入できるのが魅力です。

また、クラウドPBXの場合、個人のスマホにアプリをインストールするだけで使えるため、会社が端末を支給しなくてよいところも予算の限られる中小企業にとって大きな魅力でしょう。在宅勤務中の社員宛てに会社の代表電話にかかってきた場合でも、すぐに当人に取り次げます。

 

アプリの利用

先ほどのクラウドPBXもアプリを利用しますが、ここで紹介するのは、固定電話番号をスマホで発着信できるようにするためのアプリのことです。

こうしたアプリを使えば、スマホから電話をかけても、03や06から始まる市外局番の電話番号で相手に通知されます。そのため、テレワークで社外にいても、相手にとっては社内からの電話と同じ感覚で通話ができるということです。利用はアプリのインストールだけなので、誰でも簡単に始めることができて、導入コストも低いので中小企業に向いています。

 

中小企業にオススメの電話サービス【03plus】

上で紹介したスマホで使える固定電話サービスの一つが「03plus」です。市外局番を取得して、スマホでその固定電話番号での発着信ができます。スマホのアプリでも使えますし、電話機でも利用可能です。

また、転送電話サービスと違って、着信のたびに通話料が発生する心配もありません。転送電話サービスの場合、着信が多いほどコストがかさむのが問題でしたが、03plusがあればコストを気にせず無制限に着信を受けられます。

 

まとめ

新型コロナウイルスの影響で急速に広がるテレワークですが、予算や環境に限りがある中小企業にとって、クリアしなければならない問題は多いです。そのため、導入したくてもなかなか進展しないという企業は少なくないのではないでしょうか。しかし、少なくとも電話の対処に関しては便利なアプリがあるため、テレワーク化はすぐにでも可能です。予算の限られる中小企業の方も、ぜひ検討してみてください。

 

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