多様な働き方を認めて生産性を向上する、あるいはライフワークバランスの向上を図るといった動きが近年進んでおり、その一環として注目されているのがテレワークです。
現代のビジネスシーンではこのテレワークをいかにうまく導入できるかが理想的な業務環境の構築において重要な鍵を握るといっても過言ではないでしょう。
インターネットの普及によって業種を問わずテレワークを導入しやすい状況になっており、まさに「今導入しなければいつ導入するのか」と言ってもよいほどの環境になっているわけですが、一方で本格的な導入にはいくつかのハードルもあります。
そのうちのひとつ、例えば担当者相手に取引相手やカスタマーから電話が来たときにその担当者がテレワークをしていた場合、あるいは電話を受けた人と担当者の両方がテレワークをしていて遠く離れた場所にいた場合、どのような形でスムーズに取り次ぎができるのでしょうか?
この問題に関してはいくつかの解決方法がありますが、どれを選択するかによって必要な設備などが異なります。あらかじめ慎重に検討して判断する必要があるのです。
目次
テレワークとは?
テレワークとは「tele(離れたところ)」と「work(働く)」を組み合わせて作られた言葉です。つまり簡単に言えば「職場だけに捉われずさまざまな場所で働ける柔軟な働き方」といった意味です。
現在ではもっぱら在宅ワークと同じような意味で使われている傾向が見られますが、実際にはそれ以外も含まれます。
例えば出張先や旅行先で仕事をするケース。「work」と「vacation」を組み合わせた「ワーケーション」という言葉も存在しますが、これも広い意味でのテレワークです。
また現在では複数の企業が共有する形で使用するサテライトオフィス、あるいはレンタルオフィスなどを用意するケースも増えており、こうした場所で業務を行う状況もテレワークの一環です。
ですから単に「テレワークや在宅勤務く=出勤などの手間が省ける」といったメリットだけにとどまらず、より柔軟な環境を構築することによってさまざまなロスを省き、生産性全体を向上させることもできるわけです。
テレワーク中の担当者に電話が!4つのやり方
そんなテレワークの大きな問題点がオフィスに出勤していない担当者に電話が来た場合です。
勤務はしているものの、その場にはいないため、「担当者にメールなどでご連絡していただいてもよろしいでしょうか」と伝えることもできますが、これでは相手に余計な手間をかけさせてしまい、あまり適切な方法とは言えません。
ではどうすればよいのでしょうか。
技術の進歩は素晴らしいものでこの問題にも複数の解決方法が用意されています。
ただそれぞれメリット・デメリットがあるためテレワークの環境、それぞれの担当者の勤務状況なども考慮しながら最適なやり方を選択していくことになります。
具体的な方法は4つ。
担当者が直接携帯で折り返し連絡する方法、転送電話を利用する方法、さらにインターネットを活用したIP-BPX/クラウドBPXの利用、そしてアプリケーションの利用です。
それぞれの内容や特徴について確認していきましょう。
担当者の携帯で折り返し
もっともシンプルな方法が、担当者による携帯電話からの折り返しです。従業員すべてに携帯電話もしくはスマホを用意させ、取引相手やカスタマーから連絡が来たときにはそのことをまず連絡し、本人から直接改めて連絡させる方法です。
この方法のメリットは、テレワークを導入する従業員に仕事用の携帯電話かスマホを支給すればすぐに導入できる点です。
ただ、電話を着信した時に、その場ですぐに取り次ぎができない点がデメリットです。
急ぎの要件の場合、改めて掛け直すのでは手遅れになってしまう恐れも出てきます。
そうでなくても掛け直すとなると改めて先方に時間をとってもらう形になるのであまり歓迎されない方法になってしまうでしょう。
「あの会社はなかなか担当者と連絡が取れないな」と相手に思われてしまう可能性もあるでしょう。
転送の利用
テレワークでの電話応対において、以前から用いられているのが転送機能です。
つまり会社宛に来た電話を、担当者の携帯電話に直接着信させるサービスで、これならどんな形のテレワークだろうと、担当者がどこにいようとその場で担当者につなげることができます。
これも携帯電話かスマホさえ持たせていればすぐに導入できるので便利な方法ではあります。
ただこの方法は2つの大きな難点を抱えています。
ひとつは、転送先の電話番号は1つしか設定できない点。
主に電話の宛先が特定の担当者だけに絞られる場合であれば問題ありませんが、それ以外のケースであれば、かなり不便な環境を作ってしまうことになります。なぜなら、会社宛の電話がすべてその番号へ転送されてしまうためです。
転送先の従業員が電話に出たものの、別の従業員宛の電話だった場合、結局また取り次ぎの問題が発生してしまいます。
そしてもう1点は、転送にコストがかかる点です。
転送サービスの利用には、基本的に月額費用と、転送元の番号から転送先の番号へと通信を行う際の通信費を負担する必要があります。
一回一回の負担はそれほどではありませんが、電話の件数が多い場合はかなりの負担になってしまいます。
IP-PBX/クラウドPBXの利用
インターネットのメリットを活かした方法として挙げられるのがPBX(private branch eXchange)をクラウド化することで利用できる「IP-PBX/クラウドPBX」の活用です。
このPBXは「構内交換機」とも呼ばれるもので、インターネット上で電話環境を構築したうえで通話ができるのがポイントです。
かつてはハードウェアを社内に構築したうえで利用する必要がありましたが、現在ではクラウドを利用することでそのような導入の負担もなく比較的容易に導入しやすくなりました。
簡単に言えばクラウド上にサーバーを設置したうえで外線・内線を振り分けた電話環境を構築することができ、利用の際にはインターネットを通じてそのサーバーに接続することで通話を行うことができます。
最大のポイントは社内と社外だけでなく従業員の自宅や携帯電話など場所を問わずに電話環境を構築できる点です。ネットにつなげる環境さえあれば事実上すべてが社内回線になるといっても過言ではないでしょう。
サテライトオフィスやレンタルオフィスを利用している場合、すべてのオフィスをIP-PBXのもとで統合したうえで電話環境を構築することもできるようになります。
現在このサービスを利用している企業が増えており、その需要の増加もあって多くのサービスが登場しています。
当然利用料金もかかるため、会社・テレワークの導入規模やサービスの内容と照らし合わせたうえでもっとも理想的と思えるサービスを選ぶことになります。
アプリの利用
そしてもうひとつ、スマホの普及の影響で注目を集めているのが、アプリケーションの活用です。
最近では、個人のスマホや携帯電話を固定電話・内線電話のように使うことができるアプリケーションも登場しているのです。
ですから自宅やレンタルオフィスなどでテレワークをしている場合でも、問い合わせが来たときに会社にいる場合とほとんどかわらない環境で電話の対応ができます。
とくにスマートフォンの機能を最大限に活かしインターネット環境を利用することでさまざまな機能を使うことができるのがアプリケーションの大きな特徴です。
とくにユニークなのがスマホを使っていながら市外局番付きの固定電話番号で発着信することができる点です。つまりオフィスの固定電話からかけているのと表面上はほとんどかわらない状況で電話のやりとりを行うことができます。
取り次ぎはもちろん、折り返し掛け直すとき、あるいはこちらから連絡をするときに携帯電話からだと相手がその番号を登録してくれている場合はともかく、掛けたときに受けてくれない可能性も出てきます。
どうしても「どこの誰から来たのかわからない」という気持ちがあり、忙しい仕事の合間にそのような電話の相手をしている余裕はないと判断されてしまいがちなのです。
しかし市外局番で電話をかけることができればその場で電話に出てもらえる可能性も高くなりますし、信頼性もアップします。
アプリケーションなのでコストの点でも優れており、小規模の事業者はもちろん、テレワークが大前提の個人事業主でも導入しやすい点も特徴として挙げられるでしょう。
スマホで利用可能な03plus
そんなスマホのメリットを活かした電話アプリケーションが03plusです。
03plusのポイントはスマートフォンさえあればすぐに導入できるので、余計な投資が一切必要ない点です。
企業が複数の従業員に導入する場合にはスマホ1台につき1アカウントで使用する形になります。
つまりこの03plusのアプリを入れればスマホの電話番号に追加して固定電話の番号を持つことができるわけです。
もちろん、アプリを使って発信した電話の通話料金は、利用者個人ではなく企業に対して請求されます。
さらに、03plusでは複数人で電話番号を共有することもできます。
会社としての代表番号を追加しておく、あるいは支店の番号を追加しておくことで担当者に連絡がきたときにはよりスムーズに対応が可能になります。
クラウドで利用するからこそのメリットもあります。
例えば転居した場合でも、同じ市外局番の範囲内に拠点があるなら番号を変える必要がありません。
また、FAX機器を使わずとも03plusからFaxの送受信が可能です。まだまだビジネスの分野で利用される機会も多いFax。会社には機器を設置していても従業員の自宅やサテライトオフィスに導入している余裕はないところがほとんどでしょう。
そんな場合でも03plusさえあればFaxでの連絡にも簡単に導入できるのです。
ユニークな機能では勤務時間外に連絡が来て対応できない場合には自動応答させることができる点が挙げられます。会社の営業時間に合わせて応答できるオリジナルの音声を作ることもできますし、応答するスケジュールの登録も可能です。
そしてスマホに搭載されている電話帳機能とは別に、業務用のWeb電話帳を持つことができ、その情報を社内で共有することができます。
サービスエリアは都市部が中心になりますが、全国主要46の局番でサービスを展開しており、幅広いエリアで利用が可能です。また専用のIP電話機と連携して使用することもできますから、社内のインターネットと接続することでオフィスの固定電話機代わりに活用することも可能です。
まとめ
このようにテレワークの導入に関しては「担当者に電話が来た時にどうすればいいのか?」の問題に対して、できるだけ効率のよい対策を用意しておくことが必須となります。
テレワークは従業員の負担を減らすのも大きな目的・メリットですが、電話の取次ぎがうまくできないばかりに、かえって負担を増やしてしまうことにもなりかねません。
一方テレワークは出勤手当や残業手当を減らす点で会社にメリットをもたらします。しかし電話転送サービスなどコストがかかる取次ぎ方法を利用しているとせっかくの経費削減のメリットが損なわれてしまう可能性もあります。
そもそもテレワークが普及したのはインターネットやスマホ・携帯電話などの技術の進歩によるところが大きいです。それだけにテレワーク環境においてもこうした通信技術のメリットを最大限に活用したうえで最小限のコストで最大限の効果を上げられるような環境づくりが欲しいところ。
とくにクラウドPBXやアプリケーションは「知らないと損をする」面もあるだけに、よく情報を収集し、それぞれのサービスを比較検討したうえでよいものを選ぶようにしたいものです。
会社の固定電話を転送して、テレワークで活用する方法については、以下の記事もおすすめです。