テレワークにおける人事評価制度の課題点と見直しのポイントとは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

新型コロナウィルスによる緊急事態宣言を機に、テレワークが急速に普及しました。

人事評価制度をはじめとする企業のさまざまな制度は、社員がオフィスに出社して働く従来のスタイルをベースに作られていることが多いでしょう。

そのため、テレワークなど新しい働き方では、人事評価において「どのように評価されているのかわからない」といった不満がさらに大きくなってしまうかもしれません。

今回は、テレワークにおける人事評価制度の課題点と見直しのポイントをお伝えします。

 

テレワークでの既存の人事評価制度の課題

新型コロナウィルスの流行に伴い、多数の企業がテレワークを導入しました。

東京都が発表した「テレワーク導入実態調査結果」によると、テレワークを導入している企業は全体の58.6%とのことです。

今後テレワークを導入する予定の企業を含めると、全体の約70%以上になります。

1年前の調査結果と比較すると、大企業だけではなく中・小企業でもテレワーク実施率が大幅に上昇しています。

 

テレワークとは

ここで一度、テレワークについておさらいしておきましょう。

一般社団法人日本テレワーク協会では、テレワークを「情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義しています。

オフィスに出社する従来の働き方ではなく、在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス勤務などがテレワークに含まれます。

先に紹介した「テレワーク導入実態調査結果」によると、テレワークを導入したことにより、下記のメリットがあることがわかりました。

  • 通勤時間の削減
  • 新型コロナウイルスの流行など、非常時の事業継続
  • 育児・介護対応

このようにさまざまなメリットがあるテレワークですが、一方で弊害もあるようです。

 

テレワークで人事評価制度に問題が起きる理由

株式会社あしたのチームが行った「テレワークと人事評価に関する調査」では、「テレワーク時の人事評価は難しい」と回答した人が全体の73.7%でした

オフィス出社時と比べると、テレワーク時の人事評価はなぜ難しいのでしょうか。

3つの視点から考えてみましょう。

 

①勤務態度などの評価が困難

上記の調査によると、テレワーク時の人事評価が難しいと感じる主な理由は以下の3点でした。

  • 勤務態度が見えないから…72.6%
  • 成果につながる行動を把握しづらいから…67.1%
  • 正確な勤務時間を把握しづらいから…45.2%

従来の出勤型の働き方は、マネージャーが部下の顔を毎日見ながら仕事をするため、コミュニケーションも密だったのではないでしょうか。

テレワークだと物理的に離れている分、コミュニケーションの量が減ってしまいがちです。

その分、部下の勤務態度や行動などを把握するのが難しくなります。

そのため、社員を評価するための材料も減ってしまい、従来の人事評価のままだと難しいと感じる人も多いようです。

 

②評価方法・基準が不明確

日経BPコンサルティングが行った『人事評価制度』に関する意識調査によると、人事評価が不明確であると感じている人は62.8%もいます

企業が人事評価の方針や基準を設けていても、管理職に浸透していないこともあるのではないでしょうか。

このような状態だと、上司と部下が対面で接する機会が減るテレワークでは、人事評価にさらなるばらつきが生じてしまいます。

 

③人事評価プロセスの遅延

人事評価は1人の人間が行うのではなく、上司や人事部の担当者などが組織的に行うことが多いのではないでしょうか。

以前は会議室などで顔を突き合わせて評価を行っていた企業も、3密を避けるために違う方法を取っていることもあります。

人事評価をする立場の人が、テレワークをしていることもあるでしょう。

そのため、人事評価に携わる人の組織的なコミュニケーションが減っている場合があります。

そして、人事評価のために集約される情報自体も減ってしまい、人事評価プロセスが遅延することも考えられます。

 

テレワークに適した人事評価制度にするために

以上のように、従来型の人事評価制度はテレワークには適さないこともあります。

それでは、テレワークにも適した人事評価制度にするためには、どのようにすればよいでしょうか。

 

現状の課題を詳しく分析する

公正に評価できる人事評価制度について考える前に、現状の課題を詳しく分析しましょう。

先にご紹介した『人事評価制度』に関する意識調査によると、人事評価制度に不満を感じる理由として、以下のものが挙げられています。

  • 人事評価の基準が不明確
  • 人事評価をする人の価値観や業務経験によって評価にばらつきが生じる
  • 人事評価の結果の説明やフィードバックが不十分
  • 人事評価の結果が昇給や昇進に結びつかない

上記の調査はテレワークとは関係のないもので、人事評価制度の課題はテレワークとは関係していない可能性もあります。

業務内容や働き方が時代と共に変化しているにも関わらず、人事評価制度の変革が遅れ、ギャップを感じている人が多いとも考えられます。

 

評価項目を明確にする

人事評価制度の現状課題を分析したら、評価項目を明確にしましょう。

評価項目を明確化することで評価のばらつきをなくすことができ、納得のいく評価結果に社員の信頼を得ることができます。

大切なのは、「飾りだけの評価項目にしてはいけない」ということです。

評価項目を作ったら、管理職に浸透するような仕組みを作りましょう。

ある金融機関では、ライン長向けに人事評価の研修を毎年必ず実施しています。

研修ではマニュアルや事例を示しながら、どのような目線で評価を行うべきか丁寧に説明しています。

また、すでに評価項目を設定している企業も、現在の評価項目が時代の流れと合っているか再度見直す必要があるかもしれません。

時流に合った評価項目を設定することで、仕事の生産性をより上げられることもあります。

 

成果とプロセスを適切に評価

日本は長年、年功序列・終身雇用を維持してきましたが、若い有能な人が評価されない不公平も生じてきました。

そのため、徐々に成果型の人事評価制度が広まってきました。

アメリカで主流の「ジョブ型」の評価がその一例でしょう。

成果型といっても、最終的なアウトプットのみを評価する制度や、結果に辿り着くためのプロセスも評価の一部とするなどさまざまです。

最終的なアウトプットのみの成果型評価に偏ると、問題も生じやすくなるといわれています。

皆が納得できるように、成果とプロセス両方のバランスをとれる人事評価制度にする工夫が必要ではないのでしょうか。

 

目標管理制度の導入

目標管理制度(MBO)をご存知でしょうか。

経営思想家ピーター・ドラッカーが提唱した人事評価制度です。

目標管理制度では、個人またはグループで目標を設定し、その到達度で評価を決めます

自分がどんなに努力して成果を上げても、会社が重視している方向性と一致していなければ評価されません。

目標管理制度では、目標やその実現に向けてやるべきことをあらかじめ擦り合わせられるため、企業と個人のベクトルを合わせることができます。

また、同制度では、何度もコミュニケーションを取りながら目標達成に近づいているか確認するので、部下の仕事ぶりのプロセスも評価しやすくなります。

目標を達成できたかできないかが明確になるため、評価される側も納得がいくのではないでしょうか。

 

働き方や業務内容にも工夫を

テレワークでも人事評価がしやすいように、働き方や業務内容も工夫していく必要があります。

ここでは一例をご紹介します。

 

業務の報告などアウトプットを義務化

テレワークで人事評価がしにくい理由として、勤怠管理ができない点が挙げられました。

勤務時間だけではなく、部下が今日1日でどのような業務を行ったかを把握しにくい点もあるでしょう。

そこで、勤務開始時に今日行うことを上司に報告する、業務終了時に今日1日の業務内容を報告することを義務化することをおすすめします。

勤務開始時に報告した業務内容が終了しなかった場合、業務終了時に「何を」「なぜ」できなかったのか併せて報告するのもよいでしょう。

上司から適切なアドバイスを受けられるかもしれません。

このようにアウトプットを義務化することで、毎日上司とコミュニケーションをとることができます。

双方の信頼だけでなく、勤務態度なども把握でき、人事評価もしやすくなるのではないでしょうか。

また、人事評価面談は年に2回程度行う会社が多いようですが毎月行っている企業もあります。

テレワークが基本となっても、オンラインで生じがちな上司と部下の認識のズレを埋める機会を多く持つことを目的としているのでしょう。

部署では複数の人とチームになって働いているところも多いでしょうが、上司と部下があえて1対1で話合う時間を持つことも、大切かもしれません。

 

モチベーションの低下を防ぐ

マイボイスコム株式会社が実施した『在宅勤務・テレワーク』に関するインターネット調査で、「テレワークだとモチベーションの維持が難しい」と回答した人が4割弱いると結果になっています。

テレワークにより孤立して、俯瞰的に自分を見られなくなることが原因かもしれません。

また、困ったときに質問できる相手がすぐそばにいないことも原因の1つと考えられます。

社員のモチベーションが低下することにより、生産性が低下したり離職につながるリスクもあります。

モチベーションを維持するために、密なコミュニケーションをとる習慣を仕組化してみてはいかがでしょうか。

また、モチベーションが低下しているように見える部下がいたら、すぐに相談に乗れるマネジメント力も必要です。

 

まとめ

社員の人事評価をするにあたり、日頃のコミュニケーションが重要であることをお伝えしてきました。

現在、国を挙げて男性の育児休業取得が推進されています。

そして今年、男性の国家公務員に育児休業の取得を促す取り組みが始まりました。

子供が生まれる予定の男性公務員に、上司が育児休業を勧め、取得計画書を作成します。

この計画書の作成が、上司の人事評価に反映されます。

テレワークに限らず、上記のようにその時代に合った人事評価制度を取り入れることが今後はますます重要になります

今後、テレワーク中の人事評価を見直すためにも、下記のようなツールも導入することを検討してみてください。

03plus」は、固定電話番号をスマートフォンで使えるIP電話サービスです。

以下に03plusの2つの特徴をご紹介します。

①社内間の通話が無料

社内は内線も外線も全て無料です。

そのため、テレワーク中の社員とも無料で通話ができます。

電話代を気にしなくてもよいので、頻繁にコミュニケーションを取ることができます。

現在はチャットのようなコミュニケーションツールを導入している企業もありますが、文字情報だけではなく相手の声を聞くことで、上司と部下の信頼関係も生まれやすくなります。

②代表電話番号の着信をスマートフォンで誰でもとれる

会社用のスマートフォンを社員に配布していても、会社の代表電話番号に電話がかかってくる企業も多いのではないでしょうか。

部署のメンバーが皆オフィス内にいれば、手が空いている人が受電すればよいでしょう。

しかし、部署の一部の人がテレワークをしている場合、オフィスで仕事をしている人だけが代表電話の対応をしなければいけません。

これでは、テレワーク中の人は一切代表電話の対応をしなくて済むので、不公平が生じます。

このようなことが積み重なると、人事評価の不満につながるかもしれません。

03plusを利用すれば、誰でもスマートフォンで代表電話を受けることができます。

そのため、社員の不満を減らすことができます。

人事評価を公正に行うために、このようなツールの活用も検討してみてはいかがでしょうか。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加