ITが進む現在でも、さまざまな情報を紙で管理している企業は多いのではないでしょうか。紙の書類はテレワークを阻害する壁のひとつだといわれています。
逆にいうと、テレワークを進めるあたり、ペーパーレス化(紙媒体の資料の削減)は不可欠ともいえるでしょう。
本記事では、テレワークに欠かせないペーパーレス化の進め方について解説します。テレワーク阻害の壁を打ち崩すための一助となれば幸いです。
目次
テレワークの実施に必要な「ペーパーレス化」
テレワークが拡するにつれ、うまく活用できている企業とそうでない企業の進展に大差があったことが明らかになりました。その理由のひとつとして、テレワークに必要なインフラや制度が整っていたかどうかが考えれます。
テレワークの環境の整備不足や運用方法の認識不足があるにもかかわらず、見切り発車のような状態でテレワークの導入に踏み切ってしまった企業もあるのではないでしょうか。
ペーパーレス化もテレワークに必要な環境のひとつです。テレワークのようにオフィス以外で仕事をする場合、社内に保管されている紙文書すべてを持ち帰るのは現実的ではありません。
また、テレワーク中に作成した資料が紙であれば、違う場所で働いている社員と即座に共有することも難しいでしょう。このように、紙はテレワークには適していません。テレワークを効率的におこなうためには、ペーパーレス化が必須といえるでしょう。
ペーパーレス化を実施するメリット
そもそも、ペーパーレス化にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、ペーパーレス化の主な利点を4つお伝えします。
業務効率の改善につながる
テレワークの有無にかかわらず、ペーパーレス化は業務効率を上げることが可能です。
必要な情報を紙の資料から探す際、記憶を元に保管場所や記載ページなどを探すことになります。そのため、必要な情報を探すために時間と手間がかかってしまいます。
保管場所が近くにあるとは限らず、違うフロアや支店に取りに行くケースもあるかもしれません。
一方でペーパーレス化により資料をデジタル化すれば、必要な情報を「手で探す」代わりに、「検索」できるようになります。紙よりも簡単に必要な情報にたどりつけるでしょう。
さらにペーパーレス化により、いつでもどこからでも必要な情報にアクセスできるようになります。テレワーク中はもちろん、営業パーソンが顧客先で急遽資料を閲覧する必要が生じた場面などにも対応が可能です。
コスト削減につながる
ペーパーレス化により、これまでかかっていた用紙代、印刷代、保管切れ文書の処分代などを削減できます。
「用紙代」や「印刷代」と聞くと小さい金額に感じる人もいるかもしれません。そこで、ペーパーレス化により大きな経費削減が見込める取り組み例を2つご紹介します。
- ある旅行代理企業が年間570万枚以上の紙文書を削減すると発表しました。これは7億円以上の営業経費削減に相当します。コロナ禍で業績が悪化するなか、ペーパーレス化で経営のスリム化を目指す目的です。
- ある大手メーカーでは、テレワーク中の出社要因の1つとなっていた押印業務の削減と併せて、紙の使用を5億枚削減することを発表しました。5億枚のコピー用紙を積み上げると、スカイツリー71本分の高さに相当します。
たかが「用紙代」や「印刷代」と思っていても、企業として本気でペーパーレス化に取り組めば、大きな経費カットが見込めることでしょう。
また、紙の資料はオフィスに保管場所を確保しなければなりませんが、ペーパーレス化が進めば保管場所を縮小できます。オフィス面積そのものを縮小でき、オフィス賃料を削ることも可能です。
BCP対策になる
自然災害・交通網の麻痺・テロ・そして今回の新型コロナウイルスのような感染病などに遭遇した場合でも、損害を最小限にとどめながら事業を継続させる対策のことを、「BCP(事業継続計画)」といいます。
紙の場合、地震や火災などにより文書を喪失してしまうリスクがあります。一方、ペーパーレス化されていればバックアップをとることも可能なため、文書喪失のリスクを低減できるでしょう。
また、日頃からテレワークのように出社を必要としない形で業務を遂行しておくと、自然災害などで出社が困難な場合でも、自宅などで業務を継続できる体制を整えることができます。
セキュリティ強化につながる
必要なセキュリティ対策を講じることで、ぺーパーレス化はセキュリティを強化できます。紙の場合、保管場所で全ての文書を閲覧できますが、ペーパーレス化で資料が電子化すれば文書ごと・人ごとにアクセスの制限が可能です。
必要最小限の社員しか文書にアクセスできないため、社内から外へ情報漏洩のリスクを低減できます。また、適切なセキュリティを講じているツールを使用すれば、不正アクセスなど外からの情報の抜き取りも防ぐことが可能です。
ペーパーレス化するための準備
ペーパーレス化を闇雲に進めてしまうと、かえって業務が煩雑となり、社内に浸透しない可能性もあります。ここでは、ペーパーレス化のための3つのポイントをまとめます。
社員の理解を得る
ペーパーレス化により、日常業務そのものを廃止したり、業務フローを変えなければならなかったりするケースがあります。
たとえば、これまでは印刷した資料で情報共有をし、閲覧確認として押印する企業文化もあったかもしれません。このような文化に慣れ親しんでいて、さらにITに明るくない人は、文書の電子化に抵抗を感じる可能性があります。
このようにさまざまな理由で抵抗勢力が生まれるかもしれませんが、社内全体全体にペーパーレスを浸透させていくためには、社内全体の理解が必要です。そのため、ペーパーレス化の目的と意義を社員全員で共有する場を設けましょう。
さらにマニュアルなどを用意し、ルールとともにペーパーレス化の利点をわかりやすく伝えることで、社員の抵抗感を軽減するように努めることが重要です。
整理する
ペーパーレス化にあたり、資料そのものの存在の必要性を含めて、1つ1つの資料を整理する必要があります。以下は、資料を整理する際に考慮すべき3つのポイントです。
〇資料の必要性
以前は必要だった資料も、時代とともに不要となっているケースがあります。その資料がなくても法律上・業務上問題なければ、資料そのものをなくしましょう。
押印よる承認をしている文書があれば、そもそもハンコを残す必要があるのかも含めて業務フローを見直す機会にもなります。
また、社内に似たような紙文書はありませんか。社員が類似した書類を二重作成・二重管理し、業務負荷となっているケースがあります。似たような書類があるのであれば、ペーパーレス化を機に統一した方が効率がよいでしょう。
〇電子化する資料の選別
法律や行政関連の都合上、紙での保管が義務付けられている資料があります。また、社内や顧客の都合でどうしても紙でなければならないものもあるかもしれません。そこで、電子化できる文書と紙のまま残す文書を選別しましょう。
現在は政府を挙げてペーパーレス化に取り組んでいる最中です。民間企業が行政機関へおこなう手続きのうち、紙に押印しているものは約1万5,000種類ありますが、これを99%廃止することを検討しています。これに伴い、企業が紙へ印刷する必要がなくなる資料も増えてくるでしょう。
〇管理者の設定
管理者が誰かわからないまま保管し、紙の文書が何年も放置されていることはありませんか。
このようなケースでは、文書の管理者が明確に決まっていないことがあります。一方で文書の管理者が決まっていれば、ルールに基づいて管理が徹底されるでしょう。
また、ペーパーレス化を含め、企業に新しい制度を導入すると少なからず混乱が生じることが多いです。管理者が明確であれば、不明点が生じたときに社員も問い合わせがしやすいでしょう。
適切なクラウドサービスを選ぶ
ペーパーレス化に対する社員の理解を得て、電子化する文書の種類や運用ルールが決まったら、適切なツールを導入しましょう。
ペーパーレス化を実現するITサービスにはさまざまなものがありますが、テレワークで活用するならクラウドサービスが必須です。クラウドなら、いつでもどこでもアクセスできるため便利でしょう。次章では、自社に適切なクラウドサービスを選ぶ際のポイントについてまとめます。
クラウドサービスの選び方
ペーパーレス化を実現するクラウドサービスは、それぞれ特徴があります。数多くあるツールから自社に適したサービスを選ぶには、どのようなことに注意すればよいでしょうか。
ここでは、「費用対効果」「操作性」「セキュリティ」の3つのポイントに着目してお伝えします。
費用対効果は高いか
ペーパーレス化を実現するにあたり、コストを気にする人は多いでしょう。しかし、初期費用やランニングコストを気にするあまり、自社で十分な効果を発揮できないサービスを選択してしまっては元も子もありません。
まずは、各サービスの基本的な搭載機能を確認しましょう。そのうえで、そのサービスを使用すると、自社の業務とどのようにマッチするか検討します。
検討を重ねていくうちに、自社にとって必須な機能と必要のない機能を絞ることができ、自社の利益を最大化できるサービスが見えてくるでしょう。
また、費用対効果を考える際に、各サービスが提供しているサポート体制も検討材料に入れることをおすすめします。
クラウドサービスのなかには、利用中の不明点を解決してくれるだけではなく、社内定着支援をおこなってくれる企業もあります。抵抗勢力が多いなど、定着に不安を抱えている企業にとっては心強いサービスです。
このように、自社の特徴を理解したうえで自社に必要なサービスは何かを洗い出すとよいでしょう。
操作性に優れるか
社内にはITツールの扱いに慣れていない社員もいるかもしれません。ITに明るくない人にとっては、ツールの操作が難しいとかえって効率が悪くなり、ペーパーレス化が定着しないリスクもあります。
テレワーク中は近くに質問できる相手もいないため、業務効率もおちてしまうかもしれません。テレワーク中の社員を含めて全社員がペーパーレス化に取り組むためには、直感的に操作できるツールが望ましいでしょう。
セキュリティ対策は万全か
近年、ネットワークにある情報のハッキングが増加・複雑化しています。特にコロナ禍でテレワークが急ピッチで拡大するなかを狙って、サイバー攻撃が増えているようです。
日ごろ扱う文書のなかには、社外秘の情報も含まれているでしょう。オフィスではITセキュリティチームを中心に強固な安全対策が講じられていますが、テレワークではセキュリティ対策は個人でおこなわなければならない場面もあり得ます。
たとえば、突然画面に現れたポップアップに従い、よくわからないままダウンロードしたソフトにウイルスが含まれているかもしれません。
会社の情報を徹底的に守るためには、ペーパーレス化のためのツールを含めて徹底したセキュリティ対策が必要になります。導入予定のクラウドサービスの安全対策が万全か、事前に確認しましょう。
クラウドサービスとあわせて活用したい「03plus」
ペーパーレス化を進めるにあたり、自社に適したクラウドサービスが必要だとお伝えしましたが、最後にクラウドサービスと併せて活用したいIP電話サービス「03plus」をご紹介します。
テレワークを推進するなかでも、顧客などからの問い合わせ電話に対応するためだけに、やむを得ず輪番で出社する「電話番出社」をしなければならず、ジレンマを抱えている企業もあるでしょう。
また、固定電話の留守電で「担当社員の携帯電話やメールにご連絡ください」と促すケースもありますが、これでは新たな商機を逃してしまう可能性もあります。
「03plus」は、オフィスの固定電話に掛かってきた電話を、社員のスマートフォンで受けることができるため、テレワーク中の課題を解決できるでしょう。
ペーパーレス化を実現するクラウドサービスと「03plus」を組み合わせることで、より効率的なテレワークをおこなうことができます。
ぜひ本記事を参考に、テレワークの導入とペーパーレス化の推進を検討してみてください。