テレワークは導入したいと考えているものの、管理職の目の届かないところでも従業員がきちんと仕事をしてくれるのかと心配に思い、導入を踏みとどまっている経営者や管理職は多いのではないでしょうか。
実際に、導入している企業は、そのような不安をどのように解消しているのでしょうか。
本記事ではテレワークの実態と共に、従業員を管理するにはどうしたらいいか、自己管理のポイントも合わせて解説します。
目次
テレワーク中はついさぼってしまいがち?
テレワークには、カフェなどで仕事をするモバイル勤務、企業が設けた場所で仕事をするサテライトオフィス勤務、自宅で仕事をする在宅勤務の3種類があります。
特に在宅勤務は、普段の生活の場で仕事をすることになります。
誰も見ていないところで仕事をすることになるので、管理職は「部下がさぼるのではないか」と不安に思うことでしょう。
多くのマネジメント層が不安視している「さぼり」
部下を管理する役目を負う多くのマネジメント層が不安視している部下の「さぼり」。
どの程度不安に感じているかを示すデータをご紹介します。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズが2020年3月26〜28日に行ったインターネット調査「テレワーク緊急実態調査」。
部下のいる課長相当の管理職618人が答えた「テレワーク下のマネジメントの『不安』」を大まかに以下にまとめました。
- テレワーク経験の有無に関わらず、50%以上の管理職は「部下がさぼっていないか心配である」と回答した
- テレワーク未経験者の管理職は「部下に必要なときに業務指示を出したり、指導をしたりしづらい」「チームビルディングができない」と考えており、テレワーク経験のある管理職でも60%以上が不安に感じている
- テレワーク経験のある管理職のほうが、経験のない管理職よりも不安に感じているのは 「部下の心身の健康の悪化の兆候を見逃してしまうこと」で、70%近くの管理職が不安に感じている
テレワーク経験の有無にかかわらず、多くの管理職が部下の「さぼり」を不安視しているという結果が出ました。
従業員自身も自己管理できるか不安に感じている
管理職だけではなく、その部下、従業員自身もテレワークで自己管理ができるのか不安に感じています。
先に紹介した調査でもテレワークで感じる不安が回答内容ににじみ出ています。
【「テレワーク環境における心理的変化」についての回答】
- 「さびしさや疎外感を感じる気持ち」に「増える」「やや増える」と答えた人は30%以上
- 「仕事のプロセスや成果が適正に評価されないのではという不安」に「増える」「やや増える」と答えた人は約30%
これまで、同僚やチームの雰囲気に影響を受けて、自分のやる気が奮い立たせられて仕事に取り組んでいたのだとしたら、そのきっかけがなくなってしまいます。
オフィスと違い、一人でいる時間が多くなるテレワーク。
自らやる気を出して自己管理をしながら仕事を進めていくことに「一抹の不安も感じない」という人はいないでしょう。
テレワークでさぼりがちになる要因
管理職が部下の「さぼり」を不安に思う要因と、従業員が自己管理しながら仕事をすることに対する不安が生じる要因について挙げてみましょう。
人の目がない
まず1つ目は、オフィスの環境とは異なり、同僚や上司の目が届かなくなることです。
テレワークの中でも在宅勤務をした場合、人の目がなくなっただけではなく、テレビやゲーム、書籍など、普段はオフの日に楽しむものに囲まれることになります。
そうしたものの誘惑に負けず、自らを奮い立たせて仕事に取り組むには強い意志が必要になるでしょう。
人の目がない中で、さぼらずに仕事をすることは想像以上に大変なことです。
自己管理を徹底できていない
在宅勤務などでは、さぼろうとは思っていなくても、ついつい昼休みを長く取ってしまったり、家事に思わずのめりこんでしまったりすることもあるでしょう。
自己管理を徹底できていないので、無意識に「さぼり」の時間が増えていってしまうのです。
始業・終業時間、昼休みにチャイムが鳴るようなオフィスの場合は、それに合わせて行動すればいいですが、在宅勤務の場合には、自分の行動を自分で管理していかなくてはなりません。
テレワーク中の従業員を適切に管理するポイント
では、テレワーク中に従業員が「さぼり」の誘惑に負けずに仕事をするにはどうしたらいいでしょうか。
ここからは、テレワーク中の従業員を適切に管理するポイントをお伝えします。
仕事内容を明確にする
普段、チームでコミュニケーションを取りながら、互いに不足した部分を補っていくような仕事のやり方をしている場合には要注意です。
「普段は○○さんがやってくれているから、テレワーク中でも自分はこの仕事はやらなくて大丈夫」などと、人任せな姿勢で誰もが仕事に取り組んでしまったら、業務が滞り、取り返しの付かないことになりかねません。
テレワーク中には各社員の行うべき仕事を明確にしましょう。
成果重視の評価を行う
テレワーク中の従業員の「さぼり」を防ぎつつ、適切に管理する方法としては、成果重視の評価を行うことが挙げられます。
具体的な目標を掲げられれば、従業員は仕事に取り組みやすくなります。
成果を出すために仕事に精を出す必要があるので、さぼる時間はおのずとなくなるでしょう。
毎日の報告を必須に
先ほど挙げた成果重視の評価を行うことにもつながりますが、どのような成果を出せたのか、毎日の報告を必須にするといいでしょう。
仕事の進捗状況と成果に加えて、翌日の仕事内容や目標も確認しましょう。
従業員だけでなく管理職も、チームや部署の目標のために、いつ、どこまで成果を上げればいいのか共有できれば、結束力を高められますね。
定期的なコミュニケーションで仕事ぶりを確認
毎日の業務報告だけではなく、案件ごとにミーティング時間などを設け、定期的にコミュニケーションを図ることで仕事ぶりを確認しましょう。
時にはWeb会議のシステムなどを用いてランチミーティングを行うなど、気軽に会話できる場所も設けるといいですね。
先の調査でも明るみになりましたが、管理職がテレワーク中の従業員に対して不安に思う要素の一つ、従業員の心身の健康状態も確認することができるでしょう。
従業員による自己管理の徹底も重要
テレワーク中に「さぼり」を防いで生産性を上げるためには、従業員による自己管理の徹底も重要です。
ここからは自己管理の方法について考えてみましょう。
自己管理しやすくなるポイント
従業員が自己管理をしやすくすることは、「さぼり」の誘惑に負けないようにと葛藤したり、やる気を奮い立たせるために工夫したりするような、ムダな労力を避けることにつながります。
従業員自身にとってもいいことなのです。
自己管理しやすくするためのポイントは、以下の2つです。
- スケジュール管理
- 環境の整備
それぞれについて確認していきましょう。
【1.スケジュール管理】
時間を管理するためには、今日やらなくてはならないタスクを洗い出し、スケジュールを組む必要があります。
まずは、始業・終業時刻や休憩時間を確認し、いつ、どのタスクに取り組むのか時間配分を考慮しながら計画を立てましょう。
テレワークでは、オフィスのようにチャイムが鳴るわけでも、ランチタイムが割り当てられているわけではないので、スケジュール管理が重要です。
「仕事にすぐ取り組んだほうが時間を有効に使える」と思う方もいるでしょう。
しかし、何にどのくらい時間を掛けてもいいのかあらかじめ確認してあれば、仮に予想よりも長い時間を掛けて1つの仕事に取り組んでしまった場合でも、ほかの仕事と調整してスケジュールを立て直して取り組むことができ、結局は時間を有効に使うことができます。
意外に重要なのは、特に在宅勤務の場合、終業時刻をしっかり決めておくことです。
だらだらと自宅内で残業をしてしまうと、睡眠時間を削ってしまうことにつながり、心身の健康を損なうことにもなりかねません。
一人暮らしをしている場合は特に、健康状態の変化に気付いてくれる人が身近にいませんので、時間を決めてオンとオフをしっかり区別して取り組みましょう。
【2.環境の整備】
自己管理をするためには、環境を整えることも重要です。
株式会社リクルート住まいカンパニーが、1,390人の会社員と公務員の回答を得た2020年4月17〜20日に行ったインターネットリサーチ「コロナ禍を受けたテレワークの実態調査」では、テレワークを実施するために自宅の環境整備をした人は40%でした。
自宅の仕事環境の整備のために使った金額は「1万円未満」56%、「1万~5万円程度」21%、「5万~10万程度」11%、「10万~30万程度」9%でした。
自宅を仕事がしやすい環境に整えようとする人が多いことが分かりますね。
自分の意志などに頼らず自然に執務できる環境や、楽な姿勢で仕事を続けられる環境を整えておくことは、結局は自分の労力をムダにせず、仕事の能率を上げることにつながります。
企業側もツールなどで支援すべき
在宅勤務の場合は、従業員のプライベートな場所である自宅を使うのだから、仕事環境には口を出さないほうがいいと考える管理職の方もいるでしょう。
しかし、テレワーク環境を従業員の努力に任せるのではなく、企業側もタスク管理ツールやコミュニケーションツールを導入するなど、従業員が働きやすく自己管理しやすい環境づくりのために努めましょう。
ただし、常時Webカメラで監視したり、頻繁に業務状況を報告させたりするなどの過度な見張りは従業員にとってストレスとなります。
従業員と管理職が互いに心地よいテレワーク環境を目指しましょう。
従業員間で気軽にコミュニケーションをとる手段とは?
従業員間で気軽にコミュニケーションをとる手段があればいいですが、どのようなものが最適でしょうか。
テレワーク中でもメールはオフィスと同様に支障なく利用することができ、普段、チャットツールを使っている場合もそのまま使うことができるでしょう。
会議やミーティングは、専用のソフトを用いればWeb会議に置き換えることが可能です。
では、内線電話はどうでしょうか。
オフィスで日常的に内線電話を利用しているのであれば、知りたいことをすぐに尋ねられる内線電話もテレワーク中に使えるといいですね。
電話アプリ「03plus」ならテレワーク中に内線が使える
電話アプリ「03plus(ゼロサンプラス)」を使えばテレワーク中でも内線電話が使えます。
「03plus」は、スマートフォンにインストールすることで利用できるアプリで、スマートフォンに携帯電話のほかに、もう一つ固定電話の回線を持つことができるのが大きな特徴。
複数のスマートフォンにこのアプリを入れれば、アプリの電話帳から内線相手を選択するだけで、内線電話もできます。
テレワーク中に困ったことや知りたいことがあった時、内線電話があれば、Web会議のように改まることなく、チャットやメールのようにいつ返答があるか待つ必要もなく、気軽に尋ねることが可能なのです。
社外からの電話もテレワークしながら受けられる
「03plus」は、複数契約に加えて代表番号のオプションサービスを追加すれば、テレワーク中でも代表番号に掛かってきた外線電話を受け、さらに内線電話で取り次ぐこともできます。
電話の相手は、会社の固定電話の番号へ電話をし、電話を受けた人から担当者へ内線でつないでもらえるので、オフィス内で電話を受けてもらうのと何ら遜色がありません。
自社の都合でテレワークをしていても、電話の相手に電話のかけ直しを待ってもらう必要もなく、テレワークを導入する心理的な負担を減らすことにつながります。
もちろん、交代制でオフィスとテレワークを組み合わせている場合も、オフィスからテレワーク先へ、テレワーク先からオフィスへ内線電話をつなぐこともスムーズに行えます。
テレワーク中の電話の経費精算も簡単です。
会社はアプリケーションの利用料金を負担するので、テレワーク中の携帯電話料金を按分する必要もありません。
まとめ
管理職はテレワーク中の従業員の業務管理に悩み、従業員自身も自己管理に不安を感じていることが分かりました。
互いの姿が見えない中で一緒に仕事をして成果を出していくには、オフィス勤務では行っていなかったさまざまな工夫をしたり、ツールを活用したりする必要がありそうです。
理想的なテレワーク像を想像しながら、何が必要か検討し、組み立てていきましょう。