新型コロナウィルス感染症対策として、企業へテレワークの導入が進みました。
感染症の拡大に対応して、政府や自治体からさまざまな感染予防のための施策が出されています。
緊急事態宣言により、急遽テレワークを採用する企業もあったことでしょう。
宣言が解除された今も、また新たな動きがあるかもしれません。
そのように急激な社会状況の変化に対応できるように、テレワーク環境についてあらかじめ整えておくことが必要です。
本記事では、テレワークに必須の「ネット環境」の整備や、ネット環境の選び方やかかる費用について説明します。
まだテレワークが導入されていない企業の方や、テレワークに暫定的に取り組んだことがあり、次こそ最良のネット環境でテレワークをしたいという方は、ぜひ検討してみてください。
目次
急なテレワーク導入…ネット環境の悩みも
テレワークを急に導入しなくてはならない場合、実はテレワークで十分に仕事ができるのかではなく、ネット環境を整えることに悩みを抱える企業の方がほとんどです。
コロナ禍で急増したテレワーク
コロナ禍でテレワークの働き方を採用する企業が急増しました。
テレワークには、自宅で仕事をする「在宅勤務」やカフェなどの出先で仕事をする「モバイルワーク」、企業のオフィス以外の施設で仕事をする「サテライトオフィス勤務」の3つがあります。
不動産市場調査を行う株式会社ザイマックス不動産総合研究所が2016年秋から合計9回、オフィスワーカーについては2016年末から合計4回、定期的にアンケート調査実施してきた「首都圏オフィスワーカー調査」。
2020年11月24日に発表した調査(首都圏—東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県でオフィス勤務の会社員など20~69 歳の男女 2,060 人が回答)によると、2019年に行った調査と比較すると、テレワークの場所を「サテライトオフィス勤務」と回答した割合は5.5%から15.3%と、約10%上昇しました。
同様に「在宅勤務」の回答割合は10.5%→58.6%と大幅に上昇しました。
感染症予防対策として、密にならない環境で仕事をするためにテレワークが採用されたので、多くの企業が「在宅勤務」を選択したということがわかります。
ネット環境に悩みを抱える社員も?
「在宅勤務をするように」と会社で決められても、テレワークが行える環境が整っていない社員もいます。
プライベートではスマートフォンでインターネットに接続しているという場合も少なくないでしょう。
マイボイスコム株式会社が「自宅でのインターネット接続」について10代から70代の男女から10,259件の回答を得たインターネット調査(2019年2月1日~5日実施)では、自宅のネット環境は「光ファイバー」が全体の60%強、「モバイル回線」が30%弱、「ケーブルテレビ」が20%弱という結果になりました。
モバイル回線を使ったネット環境を使っている割合が30%という数字を見て、意外に多いと感じている方も多いでしょう。
携帯各社が60Gなどという大容量のモバイルデータ通信を売りにした料金プランを設定していることがその証拠です。
自宅でも出先でも自由にインターネットを使えます。
自宅にネット環境がない社員は、突然インターネットを使ったテレワークを命じられても困ってしまうのです。
また、ネット環境はあるものの、速度が遅いということもあり得ます。
自宅の場所によっては高速回線が利用できる場合もありますし、そうでない場合もあるのです。
テレワークでネット環境を整備する方法
「在宅勤務」でネット環境を持たない場合は、テレワーク開始前までにネット環境を整えなくてはなりません。
ネット環境を築く方法としては、自宅に光回線などを引き込む固定回線タイプや、持ち運びが可能なモバイルルーターを導入する方法があります。
ネット環境の選び方は?
固定回線やモバイルルーター、どちらのネット環境を選択するといいのでしょうか。
それぞれのネット環境のメリットとデメリットを比較してみましょう。
【固定回線でネット環境を整える場合】
<メリット>
- 通信速度が速く、Wi-Fi環境も作ることが可能
- 家電量販店やネット申し込みなどで高額のキャッシュバックが期待できる
- 携帯電話会社が提供しているセット割を利用すると料金が安くなる
<デメリット>
- 回線を引き込むための工事が必要
- 利用できるのはもちろん自宅のみ
- 加入特典で無料になる場合が多いが工事費が高額(途中解約の場合には実費を負担することも)
【モバイルルーターでネット環境を整える場合】
<メリット>
- 工事をする必要がなく、すぐにネット環境をつくることができる
- ネット環境を格安でつくることが可能
- 自宅内外でネット環境を構築できる
- 家電量販店やネット申し込みなどで高額のキャッシュバックが期待できる
- 携帯電話会社が提供しているセット割を利用すると料金が安くなる場合がある
<デメリット>
- 3日で10Gまでなど通信制限が設けられていることがほとんど
- 他の電波と干渉しやすい
- 場所によっては期待するような回線速度が得られない
- 持ち歩く場合、バッテリーの残量に気を付けなければいけない
両者のネット環境のメリットとデメリットを比較すると、回線速度としてはやはり固定回線が有利です。
しかし、急にネット環境を整えなくてはならない場合はモバイルルーターでないと対応できません。
モバイルルーターの中には通信制限を設けていないものもありますので、よく調べてみましょう。
テレワークを一時的に行う予定の場合は、ネット環境を整えるのに投資をするよりは、社員が所有しているスマートフォンのテザリング機能を利用してもらうという企業もあります。
スマートフォンはすでに契約済みですので、契約料は不要です。
企業は業務に使用するモバイルデータ通信料のみを負担すればいいので、時間的にも金銭的にもかからずにネット環境の用意ができます。
ネット環境でよくある課題点と対策
普段、スマートフォンを利用してインターネットを活用している方には気付きにくい、ネット環境でよくある課題点と対策についてお伝えします。
通信速度
テレワークをするのに必要な通信速度は、下りと上りともに5Mbpsが目安だといわれています。
Web会議やチャットツールなどの使用を快適に行うことができます。
自宅のネット環境を考える時にはこの値を参考にしていきましょう。
固定回線もモバイルルーターもおおむねこの値をクリアしていますが、実測値は利用する場所によっても異なります。
インターネット上には実測値をレポートしているホームページもありますので、参考にしてみましょう。
また、インターネット回線の速度テストができるアプリケーションやホームページもあります。
モバイルルーターを検討中の方は、無料もしくは安価で数日間レンタルできるものもありますので、ぜひ実際の環境で試してみてください。
セキュリティ
ネット環境を整えてテレワークができるようになったら、次に心配なのがセキュリティです。
普段、スマートフォンを利用してインターネットをしていた方であれば、怪しいサイトにアクセスしない、知らない人から送られたメールやメッセージは開かないなどの対策をとっていればおおむね安心できたでしょう。
しかし、PCを所有していなければ、会社から貸与されたPCを用いて仕事をする場合も多く、情報の管理にも気を付けなければなりません。
セキュリティ対策として何が必要かを考えるには、ネット環境を活用してテレワークを行う場合にどのような脅威があるのかを把握しておくことが大切です。
大きく分けて3つの脅威について紹介します。
【脅威1:マルウェア(ウィルスやワーム)】
ネット環境を活用する時に気を付けるべきこととして、よく言われているのがこの脅威です。
スマートフォンを利用する時に気を付けている方も多いでしょう。
偽サイトへのアクセスやニセメールの開封、偽メッセージに貼り付けられたリンクをクリックすることで端末がウィルスに感染したり、情報を引き出すワナが仕掛けられたりしてしまいます。
この脅威は、情報漏えい事故につながってしまいます。
【脅威2:端末の紛失・盗難】
ネット環境の脅威というよりは、情報を扱う人の心構えとして知っておきたいことです。
よくニュースなどでも「機密情報の入ったUSBメモリを紛失した」なとどニュースになりますが、実はネット上ではないところに脅威があります。
自宅でのテレワークで端末の紛失や盗難は少ないかもしれませんが、データの入ったディスクを誤って家族がゴミ箱に捨ててしまったり、子どもがいたずらで屋外へ持ち出したりすることも考えられますので、注意しましょう。
バックアップを取っていなかった場合、情報自体が消失してしまうという取り返しの付かない事故につながる恐れがあります。
【脅威3:重要情報の盗聴】
ネット環境を整えたばかりの人は、自分が設定したwifiと他のwifiの区別が付かず、自分のものではないwifiに接続してしまうことがあるかもしれません。
詳しくは総務省が「テレワークセキュリティガイドライン」を発行していますので、参考にしてみましょう。
ネット環境の整備、費用を払うのは会社?社員?
社員の自宅を使ってテレワークをする時にかかってくるネット環境の整備などの費用を払うのは会社なのか社員なのか、とても気になるでしょう。
先述した通り、テザリング機能を使ってネット環境をつくっている場合は、仕事で使った分のデータ料金を会社が支払うというパターンがあるようです。
その他、以下のようなパターンが考えられます。
- 固定回線は、会社と社員で負担割合を7対3などと決める
- モバイルルーターを会社が契約して料金も会社が負担し、テレワークをする社員に貸し出す
会社が社員の自宅を借りてテレワークを行うという認識から、社員への負担はないようにしている会社がほとんどでしょう。
さらに、自宅を借りているということで、在宅勤務手当を出す会社もあります。
テレワークを導入することを決めたら、費用負担の面でもさまざまなルールを規定しましょう。
まとめ
ネット環境をどうしていくか、検討することができたでしょうか。
ネット環境を持たない方は、会社に相談しながら進めていく必要があります。
テレワークにはネット環境以外にも、整えておくと効率良く仕事を進められるICTツールがあります。
それらをうまく使いこなせば、オフィス勤務と変わらない仕事環境を整えることも可能です。
会社の電話回線に代替するものとして人気が出てきているのは電話アプリの「03plus(ゼロサンプラス)」です。
スマートフォンに「03plus」をインストールするだけで、会社の電話機能を手元で操作できます。
複数台で利用する場合には、無料で通話をすることができ内線電話機能代わりにもなります。
さらに、代表電話番号のオプションを利用すれば、固定電話の代表電話番号から発着信が可能なのです。
テレワーク中であっても会社の電話を受けて、パーク保留や内線機能を使えば、必要な人に電話を取り次ぐこともできるので、電話の相手先にはテレワーク中だとは気付かれない環境をつくることができます。
さらに、クラウド上に保管され、いつでもどこでも再生が可能な留守番電話やインターネットFAXのオプションもあります。
大阪市財政局税務部管理課管理グループをはじめ、企業や店舗などさまざまな団体が利用しています。
ネット環境を整えるというテレワークに必要な最低限の準備を終えたら、業務効率アップを目指してさらに環境を整えていきましょう。