テレワーク中に注意が必要なハラスメントとは?実態や対策

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2020年の春、世界は、新型コロナウイルスの影響によって大きく変わりました。

夏に開催予定だったオリンピック、パラリンピックも1年間の延期が決定し、秋には日本も第3波の新型コロナウイルス感染が発生し、その拡大の勢いは止まりません。

そんな中、日本社会も働き方が変わり、移行可能な業務についてはテレワークの導入がますます推奨されています。

ところが、テレワークという新しい働き方においても、さまざまなハラスメント問題が起きていることをご存じでしょうか。

そこで、今回は「テレワーク中に注意が必要なハラスメントとは?実態や対策」と題して、その実態や対策について紹介します。



 

近年増加するハラスメントの被害(パワハラ・セクハラなどの定義や件数など)

昨今では「嫌がらせ」の内容に応じて、さまざまな語と結合させて使われる「ハラスメント」。日本では、1989年に職場での性的嫌がらせを意味する「セクシャル・ハラスメント」に関する裁判が初めて行われたことで、注目されるようになりました。

この裁判で告訴した女性が全面勝訴したことを機に、ハラスメントがよくないこととして認識されています。1997年の男女雇用均等法が改正される際には、事業主に「セクシャル・ハラスメント防止措置」の義務が課されることになりました。

ハラスメントという語は、性的嫌がらせにとどまらず、自分以外の特定または不特定多数の他者に対して嫌がらせやいたずら、いじめなどを行って不快にさせたり、実質的な損害を与えたりする行為に使用されます。

現在、ハラスメントは、オフィスワークに関連するものに限定しても、下記のおよそ20種類が存在すると言われているのです。

1)セクシャル・ハラスメント(セクハラ/性的嫌がらせ)
2)セカンド・ハラスメント(セカハラ/セクハラを訴えて会社から圧力を受ける二次被害)
3)パワー・ハラスメント(パワハラ/上司や先輩などの嫌がらせ)
4)モラル・ハラスメント(モラハラ/無視などの精神的な継続的嫌がらせ)
5)アルコール・ハラスメント(アルハラ/アルコールを無理矢理飲ませる嫌がらせ)
6)ジェンダー・ハラスメント(ジェンハラ/男性・女性らしさを強いる嫌がらせ)
7)リストラ・ハラスメント(リスハラ/リストラ対象者に対する嫌がらせ)
8)テクスチュアル・ハラスメント(テクハラ/文章上の性的嫌がらせ)
9)スモーク・ハラスメント(スモハラ/喫煙者の非喫煙者に対する嫌がらせ)
10)ブラッドタイプ・ハラスメント(ブラハラ/血液型分類に関する嫌がらせ)
11)テクノロジー・ハラスメント(テクハラ/ハイテク技術に詳しい人による嫌がらせ)
12)エイジ・ハラスメント(エイハラ/年齢に関する嫌がらせ)
13)シルバー・ハラスメント(シルハラ/シルバー世代に対する嫌がらせ)
14)マリッジ・ハラスメント(マリハラ/未婚者に対する嫌がらせ)
15)エアー・ハラスメント(エアハラ/空調に関する嫌がらせ)
16)パーソナル・ハラスメント(パーハラ/個人の趣向や要旨などへの嫌がらせ)
17)マタニティ・ハラスメント(マタハラ/妊婦や出産した女性に対する嫌がらせ)
18)ラブ・ハラスメント(ラブハラ/恋愛に対する嫌がらせ)
19)パタニティ・ハラスメント(パタハラ/男性の育児に対する嫌がらせ)
20)時短・ハラスメント(ジタハラ/時短勤務に対する嫌がらせ)

このようなさまざまなハラスメントは、昭和の時代にも存在していたと言われています。

女性の社会進出が活性化し、経営環境・雇用関係・職場での人間関係が変化して日本社会が高い人権意識を持つようになり、以前より問題視されるようになってきたのです。

平成28年度に厚生労働省が実施した「わが国における過労死等の概要および政府が過労死等の帽子のために講じた施策の状況」という調査によると、民事上の個別労働紛争相談件数に占める「いじめ」や「嫌がらせ」の割合および相談件数は右肩上がりになっています。

実際、平成14年には6%弱だったハラスメントの割合は、平成28年には22.8%と大きく増加しているのが現状です。

また、同省によると、ハラスメントに関する相談件数は平成19年度の2万8,335件数に対し、令和元年には8万7,570件数まで増え、その被害は年々増加しているとされています。

 

テレワーク中にもハラスメントが起きる?

このように年々増加しているハラスメントは、2019年の働き方改革によって浸透したテレワークという勤務形態においても起きています。

2020年の新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの企業でテレワークが実施されました。

導入が増加しているテレワークでは、リモートワーク・ハラスメントまたはテレワーク・ハラスメントと呼ばれる新たなハラスメントが社会的な問題として浮上しています。

なぜ、自宅で作業をするテレワークで、このような嫌がらせが起きているのでしょうか。
 

テレワークでハラスメントが起きやすくなる理由

テレワークであるにも関わらずハラスメントが起きる理由としては、テレワークで作業をする際の環境が考えられます。

2019年の働き方改革により、多様性を認めるという観点からテレワークが推奨されていましたが、導入する企業のほとんどは大手企業でした。

しかし、2020年4月に発動された緊急事態宣言によって、やむを得ずテレワークに切り替える企業が増えました。

とは言え、自宅でテレワークをする環境が整っているオフィスワーカーはほとんどいなかったというのが実情ではないでしょうか。

学校や保育園・幼稚園も休校・休園となったこともあり、とりあえず机と椅子のあるダイニングで仕事をするというようなテレワークには、どうしても生活感が漂います。

オンラインミーティングの会議でも、ダイニングで仕事をする環境にあれば、取り付けたカメラに家族が歩き回っている姿が映り込んでしまうということもあるでしょう。

このようなテレワークの現状から、リモートワーク・ハラスメントやテレワーク・ハラスメントが浮上してきたものと考えられています。

 

具体的な内容

そんなリモートワーク・ハラスメントやテレワーク・ハラスメントとは、どのような嫌がらせなのでしょうか。

いくつか特徴がありますが、具体的な内容を5つ紹介します。

 

執拗に働きぶりを監視される

1つ目には、働きぶりを執拗に監視されるという嫌がらせがあります。

具体的には、テレワークのオンラインミーティングで、動画の背景に映る部屋の様子や従業員の服装、メイクの仕方などについて詮索したり、ダメ出しするなどの嫌がらせ行為です。

これらは、内容によってはセクシャル・ハラスメント、パワー・ハラスメント、モラル・ハラスメントにも該当します。

ハラスメントに関する企業研修が行われていても、リモートワークという環境下ではこれらの行為がハラスメントであるという認識や意識が下がっているのかもしれません。

 

プライベートを詮索される

2つ目には、プライベートを詮索されるという嫌がらせもあります。

テレワークでは、どうしてもWeb上のカメラに相手の部屋や生活の様子が映ってしまいます。

また、同じくテレワーク勤務となった家族、休校・休園によって自宅にいる子ども達の音声やその生活音などをマイクが拾ってしまうこともあるでしょう。

昨今のテレワークでは、通常業務での指導やアドバイスの範囲を超えて、画面越しの生活の様子や生活音などについて威圧的な言動を発したり、否定的な態度に出たりする嫌がらせも出ています。

 

個別のミーティングを求められる

3つ目として、個別のミーティングを求められるという嫌がらせもあります。

直接顔を合わせていないテレワークだからこそ、仕事を口実に必要以上に個別のオンライン・ミーティングを強いるケースもあるようです。

実際に会っていないことで、ハラスメントへの意識が下がっているのかもしれません。

しかし、他に目撃者がいないことをいいことに、仕事で必要な範囲を超えて頻繁に個別のミーティングを強要し、その内容も仕事とは無関係のことが多い場合にはハラスメントに該当すると言えます。

 

不公平な業務配分・指示

4つ目は、不公平な業務配分や指示をするという嫌がらせです。

具体的には、企業がテレワークをしている社員に対し、過度な仕事を振ったり一部の社員だけに出社が必要な仕事を強要をしたりすることなどが挙げられます。

組織の中での仕事はチームワークなので、ある社員だけに仕事が偏ったり、電話番など出社しないとできないような仕事を振ったりする行為は、ハラスメントに該当すると言えるでしょう。

 

仕事に関係のない指摘・嫌がらせ

5つ目として、仕事に関係のない指摘や嫌がらせもあります。

テレワークは働く場所こそオフィスではありませんが、自宅であっても仕事をしているわけですから、仕事とは無関係の生活や画面上の容姿などに関する指摘や嫌がらせはハラスメントであるということを認識すべきです。

 

被害にあった場合、どうすればいい?

このように、テレワークでもハラスメントによる被害を受けることがあります。

もし被害にあった場合には、どうすればよいのでしょうか。

テレワークでのハラスメントにおいて難しいのは、業務上の注意や指導に含まれるかどうかを判断する際に、証拠を収集することが簡単ではない点です。

また、テレワークのようにコミュニケーションが限られた状況下にあっては、ハラスメントの被害を受けても、その内容を会社に相談しづらいこともあります。

テレワーク中にハラスメントを受けたと感じた場合は、なるべく早く上司にメールで相談するとよいでしょう。

メールは送信した日時や内容を活字を通して保存できますので、もし、将来的に裁判で争うような場合にも証拠となる可能性も高くなります。

この他、設置されているハラスメントの相談窓口に連絡することも有効です。

2020年6月1日より「パワハラ防止法」が施行されており、この法律では会社に対し相談体制を整備することや必要な措置を執ることが義務化されています。

会社のハラスメント相談窓口や担当者に指名されている社員は、オフィス内で十分にハラスメントに関する教育を受けて理解を深めていることが一般的なので、早めに相談しましょう。

とはいえ、新型コロナウイルスの影響で十分に社員の安全に配慮できずにテレワークを導入した企業や、ハラスメントを行った社員との人間関係などからオフィス内の担当者に相談しづらいケースもあります。

その場合には、証拠の保全を速やかに行うためにも弁護士に相談するとよいでしょう。

特に、法的な問題となるか否かという点については、社内だけでは判断が難しい場合があります。

なぜなら、その行為に至る経緯や指導の必要性やその程度、ハラスメントであるとされる行為の内容や性質、継続されていた期間、心身的な状況などを総合的に勘案し、個別に判断する必要があるからです。

テレワークによるハラスメントは、オフィス内でのハラスメントとは異なり、目撃者のいない状態で行われますので、判断が困難な問題も含まれます。

ですから、嫌がらせの内容によっては早めに弁護士に相談するようにしましょう。

 

被害にあわないためにできることとは

ラップトップとヘッドホン

今後もテレワークでの業務は継続される可能性が高いという現状で、ハラスメントによる被害にあわないためにできる対策としては、主に2点あります。

1点目は、Web上のカメラに写る画像に配慮することです。

社則などにもよりますが、身だしなみを整えることは社会人としてのマナーでもありますので、清潔感のあるきちんとした服装を心がけ、カジュアルになりすぎないように注意しましょう。

また、プライベートを連想させないためにも、部屋などの背景が写らないような場所でテレワークを行ったり、業務中に何らかの理由で中座する際にはパソコンの画面を非表示にしたりするということも効果的です。

2点目は、マイクが拾ってしまう生活音などに配慮することです。

テレワークの会議中、自分が発言する以外の時間は音声をミュートにし、相手に音声情報が届かないようにすることは、すぐにでも始められます。

やむを得ず、子どもの声や同居している家族の生活音などが入ってしまう場合には、上司や会社に事情や状況を説明して事前に了承を得ておくなどして、ハラスメントの原因を作らないように心がけましょう。

 

まとめ

これからは、テレワークでの仕事が基本となるワークスタイルにおいて、ハラスメントが起こらない状況を作るためには、企業が社員の仕事環境を整えることが大切です。

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