新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言を機に、会社への出社をおこなわずに働く「テレワーク」の実施が急速に広がりました。しかし、テレワークで継続して働いてきた人の中には「不安を感じている」という声も多くあります。
また、企業側も「テレワークの規定やルールを設ける間もなく、とりあえずテレワークを始めたが、このやり方で継続してよいのだろうか」と感じているのではないでしょうか。
この記事では、テレワークの不安や、継続に向けて企業ができる取り組みのまとめをお伝えしていきます。
目次
約9割の企業がテレワークの継続意向
毎日新聞が主要企業126社に実施したアンケートによると、約9割の企業が新型コロナウイルス収束後もテレワークを継続したいと回答しています。
これは、感染防止対策はもちろん、オフィスの省スペース化、通勤時間と交通費の削減などテレワークの持つさまざまなメリットを感じられた結果と言えるでしょう。
しかし、労働時間の不透明化や深刻なコミュニケーション不足など、テレワークの持つデメリットや不安も多数存在しています。
今後の感染状況だけでなく、新型コロナウイルス収束後も、従業員が能力を十分に発揮し安心して継続していけるテレワーク環境を整えるためにはどうすればよいのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
テレワークの継続で残る不安
通勤時間が削減され、柔軟な働き方ができるなどのメリットがあるテレワークですが、「テレワークの継続に不安を感じる」という声もあがっています。
実際にテレワークをおこなってきた社員が抱える不安の一例を見ていきましょう。
・コミュニケーションの機会が減った、相手の気持ちを察しにくい
・上司や同僚に、仕事をさぼっていると思われていないか不安
・出社勤務している同僚の負担が増えていないか心配
・評価やキャリア形成は出社時と同様におこなわれるのか
など、対面と違い、お互いの様子が見えない中で業務に取り組んでいることによる不安が多いようです。
コミュニケーションの機会を意識的に多く設ける、きちんと自分の仕事や成長が評価されている、という安心感を得られるようなミーティングの機会を作る、などの対応が必要になってくるでしょう。
集中ができない
テレワークを継続するうえで、「集中して仕事に取り組むことができない」のも、大きな問題のひとつです。
会社のオフィスは勤務に特化したスペースのため、快適に仕事をおこなう環境が整っています。従業員の業務に必要なPCやデスク、椅子、内線電話などが用意されており、周囲の同僚や上司も同じ空間で仕事にあたっている……。出勤している時は当たり前に思えていた環境ですが、自宅でテレワークをおこなうときに、同じ環境を作るのは至難の業です。
「自宅にデスクを置く場所がない」
「仕事に向いている椅子が自宅にない」
「家族と一緒に住んでいるので、会話やテレビの音などが聞こえてきて、仕事に集中したくても気が散ってしまう」
などのテレワークの悩みを、ラジオやSNSの投稿でもよく見聞きするようになりました。また、個人の状況対応による部分が大きいため、悩んでいても社内のメンバーに相談できないことが多いようです。
「テレワークで集中ができない」のは、誰もが抱えやすい悩みであることを念頭に置いて、気軽な会話の席を設けて、困っていないかを尋ねてみてはいかがでしょうか。
相談がしづらい
テレワークでは、出社していた時と違い、基本的に個別で作業をおこないます。日々の業務報告にはチャットやメールを使い、会議や打ち合わせの時にはWeb会議ツールなどを使うという働き方が一般的でしょう。
かんたんな相談や確認があった際に、会社に出社していた時は「ここはどうすればいいですか?」と直接気軽に聞ける環境でしたが、テレワークではとても手間がかかってしまいます。
例えば、チャットやメールで尋ねる場合は、自分の中にある疑問を文章として整理し書き出さなくてはならず、口頭で質問するよりもかなりの労力を要します。
話して確認をしたいときは、「Web会議できますか?」とアポを取って、招待メールやURLを送り、お互いに接続してからでないと話すことができません。さらに、資料の一部について確認したいときは、画面共有ツールを使い相手にも見えているかを確認しながら尋ねる……と、事前準備だけで疲れてしまうようなステップを踏む必要があります。
日頃からコミュニケーションが不足している従業員にとっては、相談のハードルが高すぎると感じてもおかしくありません。
わからないことがあっても「とりあえず進めて、報告の時に確認しよう」というような判断をして、1人で進めてしまうこともあるでしょう。
そして後々ミスが発覚し、まずい事態になる……というトラブルは、どんな企業でも起こりうると考えてよいでしょう。
簡易的な業務報告だけでなく、意識的にコミュニケーションの機会を増やして「今回おこなった作業で困った点はないか」や、作業の進捗について定期的なヒアリングの場を設けるなど、細やかな配慮をこまめにおこなうとよいですね。
仕事とプライベートの線引きが曖昧
会社に出勤する際は「会社に出勤=仕事の時間」「退勤=プライベート」のように、それぞれの時間の線引きをわかりやすくおこなうことができました。通勤時に仕事のやる気スイッチがONになる、というルーティーンがあった人も多いのではないでしょうか。
しかし、テレワークでは仕事もプライベートも自宅のため、仕事のオン・オフやメリハリをつけづらい面があるようです。
また、自宅にはベッドやテレビ、ゲームや本などの娯楽が揃っています。誘惑に負けないように、いつも自制して業務に当たらなければいけないため、無駄なストレスが生まれている状況といえるでしょう。
反対に、自宅でいつでも仕事ができて周囲に同僚や上司の目がないことから、つい業務を続けてしまい、働きすぎに陥るケースもあります。
「やりかけの仕事があると気になってしまい、心から休んだ気がしない。休みの日でも仕事を継続しているような気になる」という声もよく耳にします。
改善策としては「作業を細かくタスク化し、チーム内や上司と共有する」「日・週単位でタスクを管理し、作業の上限を決めておく」など、働きすぎとさぼりがちの両方をチェックできるルールを作るとよいでしょう。
また、出勤・退勤は社内システムへのログインや申請で確認するのが一般的になりつつありますが、その時間も「自己申請」であることを気にかけ、申告時間以外でも業務を進めていないかを定期的にチェックしましょう。
テレワークの継続で企業ができる取り組み
テレワークの継続を良い環境で進めるために、上司やチームができる改善策をお伝えしてきましたが、企業ができる取り組みにはどのようなものがあるでしょうか。詳しく見ていきましょう。
テレワーク手当の見直し
テレワークの継続にともない、毎月の在宅勤務手当を支給している企業も多いでしょう。しかし、その内容は従業員にとって適切といえるでしょうか?
自宅で勤務するには、それぞれの家で仕事をおこなう環境を整えなくてはなりません。仕事スペースの確保(デスク、椅子などの用意)や、Wi-Fiの設置などの通信設備の改善をおこない、充実した仕事環境を整備することで個々の作業効率もアップするでしょう。
初期投資費用を支給していない企業は、今後もテレワークを継続していくことを見据えて、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、自宅にいる時間が長くなると光熱費や通信費などの毎日の環境維持費も自己負担となります。
一時的な在宅勤務であれば環境維持費は小さな額ですが、今後もテレワークの継続が見込まれる今、長期的では負担が大きくなっていくことが考えられます。
個人事業主の経費計上を参考にしたり、社内アンケートを実施して毎月の負担額のリサーチをおこなうなど情報を集めて、毎月の在宅勤務手当の見直しをしてみてはいかがでしょうか。
導入ツールの見直し
テレワークの継続によって「会話が減った」「雑談やコミュニケーションの機会が減った」「プロジェクトの進捗状況が見えづらくなった」と考えている従業員が多い場合は、現在導入しているツールを見直してみるのもよい改善策です。
昨今では個人・グループ・チームの業務進行を助けるビジネスツールや、雑談などのちょっとした会話が気軽にできるチャットツールが数多くあります。出社時にはあまり必要性を感じていなかった場合でも、テレワークではおおいに活用できます。
仕事中はビジネスツールで全体のタスクや進捗度をしっかりと管理し、会社のリラックスルームや給湯室のような役割の雑談用チャットツールを導入することで、メリハリや連帯感を生むことができます。モチベーションの低下を防いだり、孤独感を軽減する効果も期待できるでしょう。
福利厚生の見直し
テレワークという業務形態の継続が見込まれる今、会社の福利厚生を見直すことも大切です。
福利厚生には「社員旅行」「歓送迎会、新年会、忘年会」「保養地の利用、リフレッシュ休暇」などの、飲み会の催し物や旅行などの会社行事が記載されているのが一般的です。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大がおさまらない今は、会社行事の開催が困難になっています。上記のような福利厚生は、ほぼ機能していないのではないでしょうか?
実施されない福利厚生の予算を見直し、今後も在宅勤務でのテレワークを継続していくのであれば、勤務場所となる自宅への住宅手当や住宅購入補助金などを検討してみるのもおすすめです。
オンラインでの社員旅行としてバーチャルツアーなどのオンライン旅行サービスを活用したり、歓送迎会のオンライン飲み会を開催するのもよいでしょう。
しかし、SNSなどではオンライン飲み会をストレスに感じるという声も見られます。全社アンケートなどで従業員のニーズを把握し、従業員みんなが満足できる福利厚生を再検討することが重要です。
ミーティングの見直し
安心してテレワークを継続していくためには、従業員やチームのコミュニケーション回数を増やし、気軽な話もできる雰囲気のミーティングも盛り込むと良いでしょう。
仕事の進捗確認などの業務的な会話だけでなく、日々のちょっとしたことを話せる環境も作ることで、個人の孤独感のケアやチームの一体感の形成にもつながります。
また、個人のケアやスキルアップをはかる際は、1on1ミーティングの実施も効果的です。
1on1ミーティングは、個々の社員の状況や課題を中心としたミーティングです。
継続して定期的に対話をすることで、寂しさや孤独感といったテレワークの継続による不安の軽減をはじめ、メンバーの性格や健康状態・テレワーク中の環境の把握、仕事の悩みや課題の共有、モチベーションの向上など、さまざまな効果が期待できます。
また、社員の気持ちや不安を聞き、それを汲んだ関わり方をしていくことで、コミュニケーションの質を高めることもできます。
コミュニケーションの機会を定期的に確保し、社員の不安を払拭していきましょう。
テレワークの継続で整えたい電話対応環境
テレワークを継続する続ける社員の不安に対して企業ができる取り組みについてご紹介してきましたが、テレワーク環境下で難しい問題のひとつが電話対応です。
一般的な転送機能では、転送先の設定をおこなえるのは1つの番号のみのため、1人しか対応ができません。対応する社員に負担が集中してしまったり、担当者への取り次ぎが面倒だったりといった問題がありました。
電話窓口を閉じる、電話対応の代行サービスを利用するなどの対応をおこなってる企業も多いのではないでしょうか。
そこで便利なのが「03plus」です。これは、スマートフォンで固定電話番号を使うことができるアプリケーションです。
すでにある会社の固定電話番号を「03plus」のアプリケーションで経由させれば、自宅でテレワークをしている社員も、アプリケーションを入れたスマートフォンで電話を受けることができます。
また、ひとつの固定電話番号に対して、転送電話サービスや複数のIDなどを組み合わせることにより、複数人が電話に対応できるようになります。
複数契約をしていればアプリケーション同士の内線通話も無料でできるため、社内のコミュニケーションも円滑になるでしょう。
「03plus」のようなサービスを活用して、社内のメンバーと連絡を取り合ったり、社外の方々と快適な仕事を継続できる環境を整えましょう。
まとめ
テレワークの継続における社員の不安に対して、企業ができる取り組みをご紹介しました。
コミュニケーションの機会を定期的に確保し、テレワークの環境を改善することで、不安の軽減だけでなく、トラブルの未然防止、関係性強化、成長促進、モチベーション向上などさまざまな効果が見込めます。
よりよいテレワークの継続のしかたを、企業側でも模索してみてはいかがでしょうか。