テレワーク環境下のコールセンターで発生し得る課題とその解決方法とは?

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新型コロナウイルスの蔓延により、2020年4月16日に全国に緊急事態宣言が発令されました。感染防止策として多くの企業で導入された働き方が、通常の勤務地以外での勤務を可能にするテレワークです。

しかし、業務の特性上テレワークを取り入れることが難しく、導入を断念した企業もあるのではないでしょうか。コールセンターもその1つでしょう。個人情報を取り扱うため、情報漏洩や紛失のリスクがあり、テレワークでの導入は難しいと考えている企業もあるかもしれません。

この記事ではコールセンターのテレワーク化の課題や、その課題解決のヒントをご紹介します。テレワークでのコールセンターの運営に悩んでいる際にぜひ参考にしてみてください。

 

コールセンターのテレワーク化

2011年に起きた東日本大震災以降、企業では急速にBCP(事業継続計画)が進みました。これは災害時や今回のような非常時にも企業への被害を最小限に抑え、事業を継続するための計画です。他拠点化や分散化することが推奨されています。

また、深刻な人手不足を解消する意味でもコールセンターのテレワーク化が進む原因の1つです。コールセンターのテレワーク化をすれば場所や時間の制約がなくなります。

時間的に就業が難しかった介護や育児中の人や、物理的に就業が難しかった地方の人などの就業も可能になるため、優秀な人材が確保しやすくなるのです。

上記のような理由、そして今回の新型コロナウイルスの蔓延により、多くの企業でテレワークが導入され、コールセンターも例外ではありません。

ただその業務の特性上、テレワーク化をする際にいくつかの課題もあるといえるでしょう。

 

テレワークにおけるコールセンターの課題

ではテレワークにおけるコールセンターの課題としてどのようなものがあるのでしょうか。具体的にみていきましょう。

 

対応スピードの悪化

1つ目のコールセンターのテレワーク化の課題としては、対応スピードの悪化があるでしょう。コールセンタースタッフが出社して対応をする場合に、対応方法を決めかねる際にはその場で上司や他のスタッフに指示を仰ぐことができます。

しかし、テレワークでは早急な対応ができず、他のスタッフに何か質問をする場合に相手の状況が見えないため、質問をするタイミングも難しいものです。それ故、対応スピードが悪化するということがあるでしょう。

即座に対応できないと相手の貴重な時間を奪うことになり、場合によっては不信感を抱かれたり、最悪の場合クレームにつながったりすることもあるかもしれません。

また顧客情報の共有方法にも工夫が必要です。1度切電をした後に再度架電があった場合、誰が引き継いでも対応できるようにしておくことが大切でしょう。

 

対応品質の悪化

2つ目のコールセンターのテレワーク化の課題としては対応品質の悪化の可能性があることです。

周りの目がある場合は着信したらすぐに対応するなど、気をひきしめて業務にあたることができるでしょう。

しかしテレワークになることで、どうしても気が緩んでしまうという人もいるかもしれません。そうなると今までは電話したらすぐにつながっていたコールセンターになかなかつながらないということが起きてきます。

またテレワークをする社員自身の職場環境も人によって異なります。

自身の書斎がなく仕事に集中ができない場合や、他の家族がいる場合は思ったように時間が確保できなかったり、家族の声や生活音が入ってしまったりとリスクがあるでしょう。

 

業務の属人化

3つ目のコールセンターのテレワーク化の課題として考えられるのが業務の属人化です。社員がテレワークに入ることで、お互いの業務状況が見えにくくなります。そのため、高度な回答ができる特定の個人に業務が集中することが考えられます。

改善するにはスタッフそれぞれの通話時間や、通話内容、対応件数に稼働時間などの業務状況の管理や、特定の社員に不満を抱かせないような仕組みづくりが必要です。

実際に勤務をしている場合には、高度な回答ができる人の業務の様子や対応を見て学ぶこともできます。しかし、テレワークだとそれができないため、社員教育が難しくなるというのも課題でしょう。

そのため、これまで以上にますます属人化がすすむことも考えられます。

 

セキュリティ問題

4つ目のコールセンターのテレワーク化の課題として考えられるのがセキュリティの問題です。

コールセンターでは顧客の個人情報を扱うことも多いでしょう。自宅から社内のデータベースにアクセスして仕事を行うことも多いテレワークでは、セキュリティ面での不安がある企業も多いのではないでしょうか。

万一個人情報の流出があった場合には企業としての信用を失い、取返しのつかない問題に発展してしまう恐れさえあるといえます。

セキュリティの問題は企業の信用問題に関わるため、最も注意して取り扱わなければならない課題です。

 

コールセンターでの課題解決ヒント

上記で紹介したようなコールセンターのテレワーク化をする場合の課題はどうしたら解決するのでしょうか。そのヒントをご紹介します。

 

クラウドサービスを活用する

1つ目のコールセンターをテレワーク化するヒントはクラウドサービスを活用することです。

問い合わせ管理システムや顧客情報を一元管理できるCRMを活用することで、顧客情報をテレワークを行っている社員間でリアルタイムに共有できます

CRMを活用すると、対応漏れや重複対応を防ぐことができるでしょう。

 

ナレッジを共有する

2つ目のコールセンターをテレワーク化するヒントはナレッジを共有することです。安定した品質の対応を実施するためにマニュアルを作成するなどして、対応ナレッジをしっかり共有しておきましょう

コールセンターでは文言はもちろんですが、絶妙な間や話の抑揚のつけ方、相槌や声色なども重要になってきます。話し方の微妙なニュアンスを伝えるためにも、動画に撮って見てもらうのもおすすめです。

 

定期的にミーティングを開催する

3つ目のコールセンターをテレワーク化するヒントは定期的にスタッフでMTGを行うことです。例えば、業務の面でいえば顧客から最近よくあがる事例を共有するとよいでしょう。

どのように対応をしているか共有することで、担当した社員によって対応が異なるということを防ぐことができます

また、テレワーク中は孤独感や不安感を感じている人も多くいます。1日中1人で業務を行っており、気付いたら仕事で顧客と話す以外何日も誰とも話していないという人もいるでしょう。

そのような環境で感じるであろう孤独感も定期的にミーティングを行うことで解消できます。業務の話をするだけでなく、時には雑談をしてみたり、社員全員でストレッチをしてみたりするだけでも身も心もリフレッシュできるかもしれません。

コミュニケーションをとるきっかけをつくることで、信頼関係ができてきます。新入社員でも上司や先輩への質問だけでなく、不安を感じながら仕事をすることが少なくなり、テレワークでも効率よく仕事ができるでしょう。

 

テレワークでもコールセンターを稼働させるには?

テレワークでもコールセンターを稼働させるためには、セキュリティ対策がしっかりした電話環境を整えることです。

セキュリティ対策ができるツールを導入するのが早いでしょう。ではどのようなツールがあるのか紹介します。

 

クラウドPBXを活用する

PBXとは「Private Branch Exchanger」の略で、電話交換機という意味です。外線を社内の複数の内線電話につなげたり、内線同士を相互接続する役割を果たします。

通常のPBXであればハードウェアの購入が必要で、拠点ごとに設置する必要があります。回線の増減や保守がきれた場合にも業者を呼ぶ必要があるため、コストと手間がかかるのが難点です。

その点、クラウドPBXであればインターネットを介して行うことができるため、ハードウェアも不要で、複数拠点からの使用が可能です。設定や回線の増減もブラウザ上でできるため、自社でメンテナンスを行う必要はありません

ダイヤルインや内線通話、保留、転送など従来の業務で利用していた機能も備わっているため、テレワークになっても違和感なく自宅でコールセンターの業務を行えるでしょう。

クラウドPBXにはIVRというものがあり、顧客の問い合わせ内容に応じて自動音声で応対し、適切なオペレーターに割り振るという機能があります。

オペレーターの取り次ぎ時間の軽減をする他、この機能を使えばコールセンターのテレワーク化に伴う課題の1つである属人化も防ぐことができるでしょう。

 

クラウドアプリを活用する

クラウドアプリでおすすめなのが「03plus」です。03plus」はスマホやタブレットを利用した固定電話回線に依存しないテレワーク向きのIP電話サービスです

東京の市外局番である「03」から始まる番号や、大阪の市外局番である「06」から始まる電話番号など、全国46エリアの番号と「050」から始まる番号を用いて社員自身のスマホやタブレットから発着信できます。

そのため、テレワークでもまるで社内にいるかのようなコールセンターの業務ができるのが特徴です。

社員自身のスマホやタブレットを利用して使うことができるます。特別な機材を貸与する必要がないため、低コストで導入できるのも魅力といえるでしょう。

今まで企業で利用していた番号を転送する場合にも、通常の電話転送サービスでは1つの番号にしか転送できないため、その場合だと1人でしか対応することができませんでした。

しかし03plus」の代表番号とキャリアの転送サービス、複数IDを活用すれば、今までの企業で使っていた固定電話の番号をそのまま利用できます

番号転移であるLNPを活用すれば、キャリアの転送サービスにかかる費用を削減でき、より低コストで運用できるでしょう。

また、在宅で受電をした場合にはどうしてもその場で受け答えが難しいということもあるでしょう。「03plus」には通常のビジネスフォンと同じようにパーク保留機能があります。

保留にしたときの番号さえ分かれば誰でも保留を解除して通話を再開できるため、テレワーク中でも安心してコールセンター業務を行うことができるでしょう。

営業時間外や休憩時間、特別な行事などの際には時間外アナウンスを流すことが可能です。細かいスケジュールを設定することができ、電話をしてきた相手に対して細やかなアナウンスができるため、顧客に不信感を抱かせる心配もありません。

さらに、顧客からの受電のみならず、社内外で利用する通話の頻度が高い人には10分かけ放題のオプションをつけることもおすすめです。

通常であれば通話料が30秒20円のところ、1IDあたり月額1,000円で10分以内であればかけ放題になります。

テレワーク中はビジネスチャットを用いて社員間でコミュニケーションを取る企業も多いかもしれません。しかし、文章だと思っている意図がうまく伝わらないということもあるでしょう。

上司が部下の様子を確認するのにも、電話であれば声色等である程度メンタル面を確認できます。テレワーク中でコミュニケーションが難しいからこそ、おすすめのオプションです。

 

まとめ

セキュリティなどの課題が懸念されるコールセンターのテレワーク化ですが、紹介したアプリやクラウドPBXを用いればテレワークを行うことが可能です。

いつまで続くかわからないコロナ禍に社員の感染リスクを減らすためにも、仕事をテレワークにする企業は今後ますます増加するでしょう。コールセンター業務をテレワーク化する際の参考にしてみてくださいね。