テレワークに切り替わった、経理への影響は?

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2020年は新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、未だに油断が出来ない状況が続いています。

絶え間なく忙しい医療業界、自粛せざるを得ない飲食業界、イベントの中止・延期が続いている音楽業界などさまざまですが、稼働できる業界はできるだけテレワークにシフトチェンジして働くことが推奨されています。

しかし、企業の経理担当者など社外との取引が多い方は、テレワークでは処理できない業務もあるでしょう。今のテレワークの働き方が引き続き推奨されるのか、今後どのような影響が出てくるのかが気になるところです。

特に経理部門の業務は紙の書類も多く、会計ソフトも作業担当者しか使用できないなどの制約もあるため、テレワークに移行しづらい部門であるとされています。

そこで、今回はテレワークに切り替わったあと、経理へどのような影響が出るのかについてご説明したいと思います。

 

 

増加するテレワーク

新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年4月7日に緊急事態宣言が発動されました。

これによって、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県など緊急事態宣言の対象となった関東圏や、大阪府、兵庫県、福岡県など特に感染者が拡大している地域では、テレワーク勤務が推奨されました。

実際、パーソナル総合研究所の「新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によれば、先の各都県ではテレワークの実施率も高く、2020年3月のテレワーク実施率と4月のテレワーク実施率を比較すると、概ね2倍以上に増加していることが分かります。

 

<従業員のテレワーク実施率>
1)実施率1位:東京都/3月:23.1% 4月:40.1%
2)実施率2位:神奈川県/3月:18.9% 4月:42.7%
3)実施率3位:千葉県/3月:17.0% 4月:38.0%
4)実施率4位:埼玉県/3月:13.8% 4月:34.2%
5)実施率5位:大阪府/3月:12.5% 4月:34.2%
6)実施率7位:兵庫県/3月:10.6% 4月:25.2%
7)実施率8位:福岡県/3月:10.3% 4月:23.8%

 

また、これらの各都県では、会社からのテレワークの推奨・命令率についても、3月と4月とを比較すると、4月の方が2倍以上増加したとの結果が出ています。

 

<会社からのテレワーク推奨・命令率>
1)実施率1位:東京都/3月:38.2% 4月:64.7%
2)実施率2位:神奈川県/3月:33.2% 4月:57.7%
3)実施率3位:千葉県/3月:26.6% 4月:51.7%
4)実施率4位:埼玉県/3月:23.1% 4月:47.3%
5)実施率5位:大阪府/3月:20.2% 4月:43.5%
6)実施率7位:兵庫県/3月:19.3% 4月:40.6%
7)実施率8位:福岡県/3月:17.1% 4月:34.2%

 

ご覧のとおり、ほんの2ヶ月足らずで従業員のテレワーク実施率も、会社からのテレワーク推奨・命令率も大きく増加しており、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない状況下では、この数値は増えることはあっても減ることはないものと予測されます。

 

テレワークの導入前に必要なことは?

これまでは、業務委託など特定の作業を任せる雇用形態における「在宅ワーク」などはあったものの、日本の多くの企業ではオフィスワーカーが会社に出社して仕事をするというスタイルが大半でした。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるには、「密閉」「密集」「密接」の3密を回避することが有効であるとされてからは、早急に通勤や長時間勤務などを可能な限り減らし、テレワークを導入する必要が出て来ました。

企業が、テレワークを導入する際には、どのようなことに留意すべきでしょうか。

ここからは、企業が必要な準備について具体的に考えてみましょう。

 

目標や評価基準の設定

まず、企業がテレワークを導入する際には、各企業が今後の働き方を変えていく際の目標や評価基準を設定することが大切です。

テレワーク勤務を導入した結果、企業に不利益が出てしまうようでは意味がありません。

大抵の企業は、経営企画部門や経理・人事・総務などの管理部門、情報システム部門など、さまざまな部門によって構成されています。

テレワーク勤務を導入するにあたっては、部門ごとに目標を立て、どのように業務を評価するのかの基準を設定するとともに、これまで経営トップがオフィス内で出していた指示をテレワークにおいてもカバーする必要があります。

テレワークとオフィスでの勤務の最も大きな違いは、一緒に働くオフィスワーカーの姿が見えるか見えないかという点です。

昨今では、テレビ会議やネット会議などもありますが、通常業務をこなしている間、ずっとオフィス内でオフィスワーカー同士がお互いに見えているという環境ではなくなります。

従って、テレワークが導入されるようになっても、オフィスワーカーがモチベーションを保って作業効率を高めるためには、どのような目標を持つのか、どのように働けばどのように評価されるのかを明確にすることが重要です。

 

可能な仕事の切り分け

次に、テレワークを導入する際には、可能な仕事の切り分けについて検討する必要があります。

平成30年度に総務省から発行された「テレワークエキスパート講習テキストブック」によると、テレワークのワークスタイルには「部分在宅勤務」「完全在宅勤務」「モバイルワーク」などがあるとされています。

現在の新型コロナウイルス拡大感染を防ぐためには、「3密」となるオフィスでの勤務や満員電車による通勤を避ける必要があり、テレワークで作業できる業務から移行していくことが求められています。

これらのワークスタイルのなかで、「完全在宅勤務」は無理でも、「部分在宅勤務」や「モバイルワーク」と、時差出勤などをうまく組み合わせることで「3密」を避けることが求められています。

 

業務のなかにはオフィス内でないと出来ないとこともありますが、速やかに企業がテレワークを導入するためには、どのような仕事であればテレワークに移行できるのかを考えなければなりません。

導入部門や経営のトップが中心となって、経営企画部門、情報システム部門、人事・総務部門、テレワーク導入部門の業務をうまく仕分けして、テレワークに移行できる部分から移行していくことが必要です。

そのためには、テレワークの普及・拡大に必要なプロセスを各部門で分担することが必要です。

とはいえ、企業や部門によっては、すべての業務を1つの部門内で処理できるとは限りません。なかには部門をまたいで対応している業務や、いくつかの部門が連携することでできる業務もあるでしょう。

そこで、各部門の持つ特徴や機能をテレワーク業務のプロセスにどのように活用できるのかを検討し、どのように連携させ、どう分担すればよいのかを整理することが重要です。

 

テレワークで使えるツールの導入

次に、テレワークを導入するにあたって、どのようなツールを取り入れればよいのかについても検討する必要があります。

テレワークで作業するということは、単に働く場所が変わるというものではありません。

自宅で作業をするためには、一人でも生産性の高い仕事を効率的に進めることが求められます。

仕事の手順や稼働時間の予測など、事前に段取りを行ってテレワーク業務に集中できるようにすることが大切です。

また、これまでは仕事で分からないことがあれば、オフィスで同僚に声をかければ済んだことでも、テレワークの場合には直接的なコミュニケーションを図ることができないため、コミュニケーションツールをうまく利用することも必須になります。

メールやチャットなどを常に活用していると、その作業のために時間がかかってしまい、かえって作業効率が下がることもありますし、重要なことは電話などで確認したりミーティングを開いたりすることも必要です。

そこで、テレビ会議やチャット機能、電話などのツールをうまく取り入れて、テレワーク中でもコミュニケーションが十分にとれるようにすることが大切です。

これらのことを総合的に判断し、どのようなツールを活用するべきなのかをしっかり検討しましょう。

特に、オンライン会議やテレビ会議は複数の人が関わるため、通信環境によってはスムーズに会議を行えないこともあり、誰かが話している際に話し始めるとコミュニケーションが図れなくなるということもあります。

事前に会議の進め方や対話する際のルールを決めて参加者全員が共有できるようにし、混乱しないようにすることが重要です。

 

テレワーク移行による経理への影響

ここまでで、テレワークを導入する際に必要なことをご説明しました。

ここからは、どんな企業にも存在する部門でありながら、テレワークでの作業が向かないとされる経理への影響について考えてみましょう。

経理の業務とは、「企業の活動」を数値化することであり、主な作業は企業が利益を得るために活動した情報を収集して、簿記によって記録することです。

具体的な経理の仕事としては、仕入れや売上の管理や現預金の管理、給与や保険料の計算、税金の計算などが挙げられるでしょう。

会社を運営するトップが、その企業にどの程度の資産や利益があるのかを把握するために、必要な情報を随時提供することも経理の役割の1つです。

 

そんな経理部門ですが、毎日テレワークで業務を行っているという経理担当者は殆どいないというのが現状です。

株式会社マネーフォワードのグループ企業であるMF KESSAI株式会社の「テレワークを実施している経理・会計担当者」についての調査によれば、4月7日に緊急事態宣言が発動された後もテレワークを実施していないという経理担当者は50%であるとの結果が出ています。

週5日テレワークで作業を行っている経理・会計担当者はわずか17%に留まり、週3~4日のテレワーク勤務をしている経理・会計担当者は16%、週1~2日のテレワークを実施している経理・会計担当者は14%、月に1~2回のテレワークを実施している経理・担当者が3%という結果でした。

このことから、経理担当者のおよそ8割以上は月に一回以上はオフィスに出勤しなければならない現状にあることがお分かりいただけると思います。

 

これまでは、経理部門は経営トップと会社の利益に密接に関わっていることから、テレワークは難しいと考えられていました。

経理の業務をテレワークに移行させるためには、下記の11項目について自社の経理の現状を検討し、できるところから改善していく必要があるでしょう。

 

1)経理業務における手書きの伝票の廃止および記帳業務のデジタル化
2)クラウド型の最適な会計ソフトを使用することによる、経理担当者の複数名による処理の実現
3)経理部門の支払におけるインターネットバンキングの導入
4)電子化された社印表示付き請求書の経理宛メールによる送信
5)経理業務に関する業務の明確化
6)定期的な経理部門に関するオンライン会議システムの導入
7)経理部門を含めた社内でのコミュニケーションツールの導入
8)経理処理に必要な書類のクラウドストレージへの保管
9)経理業務の標準化により、チームとしての経理体制の構築
10)社内の専門部門による経理業務のテレワーク化
11)経理業務の運用テストによるテレワークへの移行

 

経理業務をテレワークに移行するためには、会社全体で業務内容を検討し、いかにテレワークに移行できる部分を増やせるかが重要です。

企業にとって、会社の要とも言うべき経理部門に負担をかけないようにすることは、生産性を上げるという意味でも重要なことであると言えるでしょう。

 

経理事情を支える電話アプリ03plus

そんな経理部門のさまざまな事情を支えるツールとしてオススメしたいのが、「電話アプリ03plus」です。

経理担当者が、自宅で働きづらかったことの1つとして、オフィスにかかってきた社外からの電話に対応する必要があることがありました。

ところが、経理担当者がこの「電話アプリ03plus」を専用のアプリを登録すれば、自宅にいながらスマートフォンで固定電話が使うことができます

これまでは、NTTの電話回線とボイスワープによってスマートフォンに転送するなどの方法はありましたが、特定の番号にしか転送できないなど運用の難しさがありました。

ところが、この「電話アプリ03plus」は回線工事なども不要で、すぐに03plus用の電話番号を開通して利用できます。

この03plus用の番号をそのまま使うこともできますし、既存の電話番号から03plus用の番号へと転送をかけて使うことも可能です。

しかも、経理担当者が、自宅に電話機を新たに設置する必要もありません。スマートフォンに専用のアプリを導入するだけで利用可能です。

このように「電話アプリ03plus」によって、経理の担当者は、常にオフィスにいなければならないという制約からも開放され、このアプリによって自宅で固定電話を利用することができ、FAXもスマートフォンで受信ができます。

さらに、会社の電話番号を変える必要がないため、そのままの電話番を利用できます。代表番号オプションの機能によって複数のスマートフォンで着信することもできるため、複数の経理担当者が同時に自宅で業務を進められます。

特に、経理の担当者にとって、どこにいても会社宛の電話を取れるということは、大きなメリットと言えるでしょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

新型コロナウイルスがいつ収束するのかについては、まだ見通しが立っていません。

企業にとって、経理部門は経営状況を把握するために必要不可欠な部門であり、だからこそこのような状況下で経理部門がテレワークに移行できるように環境を整え、経理担当者の負担を減らすことが大切です。

そのためにも、自宅でも固定電話やFAXを受けることができ、複数人で固定番号を共有できる「電話アプリ03plus」の導入を検討されることをおすすめします。

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