企業が在宅勤務を取り入れる際に必要なこととは?

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ビジネスシーンにおける在宅勤務の可能性は、2010年代に入るころから、「働き方改革」の一環として議題に上る機会が増えてきたテーマです。

そして2020年代に入った現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、在宅勤務の必要性が急速に高まりました。

これまで在宅勤務といえばフリーランスか、ITを活用している業種など特定の分野の間でのみ進んでいる印象がありましたが、これからはあらゆる業種がこの制度の導入を視野に入れたうえで勤務環境の改善・再構築を目指していくとも言われています。

在宅勤務は、コロナ禍の対策という意味合いだけでなく、従業員の出勤の負担をなくすことによる業務の効率化や、フルタイムでの会社勤務が難しい人の就労機会をつくるといった面でも有効な手段です。

今回は、在宅勤務について、その概要やメリット・デメリット、そして導入する際に必要なポイントなどについてまとめました。

 

在宅勤務とは? 

在宅勤務とはその名前の通り「自宅で働く」形の就業形態です。

従来のサラリーマンの一日と言えば、起床して電車に乗って出勤、9時から17時まで会社で働き、必要に応じて残業をしたうえで帰宅する、というものでした。

在宅勤務はこうした「出勤」と「定められた時間に働く」という制限を撤廃したうえで働ける環境を意味します。

都市部での電車通勤ともなると連日ラッシュにもまれて出勤する前から疲労困憊、仕事で疲れた帰りに追い打ちをかけられるといったケースも多く、それが従業員の能率ダウン、生産性の低下といった大きな問題を引き起こしています。

在宅勤務であれば、そういった「無駄」を排除することで生産性の向上も見込めます。

 

企業で在宅勤務を取り入れるメリット 

これまで在宅勤務といえばフリーランスの人が多くを占めていましたが、コロナ禍の影響で、企業に勤務する正社員の間でも在宅勤務を導入する重要性が指摘されるようになっています。

とはいえ、コロナ対策という面だけで捉えてしまうのは勿体ないほど、在宅勤務は様々な可能性を持つ勤務形態です。

では、実際に導入することでどのようなメリットが得られるか、詳しく見ていきましょう。

 

まず、通勤による従業員の負担の軽減は最大のメリットといっても過言ではないでしょう。

通勤に一日3~4時間もかけている人も珍しくない昨今、その負担がなくなるだけでも、時間的・金銭的なメリットはかなりのものになります。

多くの企業では通勤手当を出していますから、その負担を減らせる点も見逃せません。従業員が数十人もいる企業ともなると、大幅な経費削減につながります。

 

もうひとつ、人手不足の解消や離職率の低下といった、現代のビジネスシーンの重要な課題の解消にもメリットが期待できます。

例えば女性社員がフルタイムで通勤する環境では、家庭生活、子育てとの両立が難しく退職を余儀なくされるのを防ぐこともできるでしょう。

通勤の負担が減るだけでも離職率の低下に役立つはずです。

さらには、通勤にかかっていたぶんの時間を有効に活用することで、プライベートな時間の確保ができることや、スキルアップや資格取得などの機会を従業員にもたらすこともできます。

 

企業で在宅勤務を取り入れるデメリット 

在宅勤務にはメリットも多いものの、これまであまり導入されてこなかった背景には、少なからず障害やデメリットが存在することも原因にあります。

 

まず、在宅勤務がスムーズにできるためにしかるべき環境を企業側が用意しなければならない点です。

この環境を用意しやすいかどうかは、業種によってかなりの差が出てきます。

例えばIT関連の企業は比較的導入しやすく、日常の業務で使用しているWeb環境の延長線上で在宅勤務の環境を整えていくことができるでしょう。

ところがこれが製造業や販売業ともなると現場で作業してこそですから、なかなか在宅勤務が難しいのが実情です。こうした業種ではどこまで在宅が可能なのか、どこから実際に出勤して現場で働く必要があるのか、見極めたうえでの環境づくりも欠かせません。

 

また、在宅勤務環境における適応性が従業員にあるかどうかも、重要なポイントです。

そもそも在宅勤務が注目を集めるようになった背景にはインターネットの普及や通信環境の向上が理由として挙げられます。

会社のデータをクラウド上で簡単に管理・共有できるなど、従業員同士が同じ場所(職場)にいなくても連絡やデータ・資料の共有がしやすくなっているのです。

しかしこうしたITツールについて、若い世代はともかく、年齢層が上の従業員となると、慣れないシステムやアプリケーションをゼロから使い始めなければならなくなります。

現場で指揮をとる人が、うまく在宅勤務の環境を活用できないことで、そのメリットを引き出せず、かえって業務に支障をきたしてしまうといった問題も出てきます。

 

そしてもうひとつ、これはデメリットというよりも従業員や職場全体の意識の問題となってきますが、自由度が高い環境においてパフォーマンスを発揮することができるか、という点も考えなければなりません。

自宅で快適に働くことができるのはよいですが、その分緊張感や集中力も欠けてしまうケースも少なくないためです。

在宅勤務の導入によって、著しく生産性が下がってしまうようなことはあってはなりません。各従業員の働きぶりや成果を管理する仕組みをつくるなど、対策が必要です。

 

在宅勤務の開始前に必要なことは? 

企業が在宅勤務を導入する際には、メリットをうまく引き出し、デメリットをできるだけ抑えるための準備が必要です。

利便性ばかりを重視して見切り発車ではじめたり、Web環境を充実させただけでスタートしても業務がうまく回らない恐れも出てきます。

 

目標や評価基準の設定 

在宅勤務の開始前に必要なこととして、まず第一に挙げられるのが目標や評価基準の設定です。

職場に集まって業務を行う場合、全員で目標やモチベーションを共有し、その達成のためにどうすればよいか、課題が生じたときにはどのようなソリューションを目指すべきかを都度検討し、共有することができます。

しかし同じ職場の従業員がそれぞれ離れた自宅で勤務するとなると、なかなかそれができなくなるのです。

そのため、あらかじめ在宅勤務環境への移行を見据えた目標を設定しておくことや、目標に向けたコミュニケーションの場を定期的に設けるなど、これまでの良い面が失われないような工夫を施しましょう。

 

また、そのうえで評価基準もできるだけ具体的に決めておきましょう。

在宅勤務の場合、マネジメント層にいる社員は、部下の仕事のプロセスについて逐一確認することができないため、その成果によって各自の働きぶりをチェックすることとなります。

いわゆる成果主義と呼ばれるものですが、もしこれが在宅勤務導入前の評価方法と異なる場合は、その変更点について従業員にしっかりと説明しておく必要があります。

 

在宅勤務可能な仕事の切り分け 

在宅勤務ができる仕事とできない仕事を分類することも必要です。

出社して対応しなければならない業務や、セキュリティの制約上社外からアクセスができないデータを扱う場合など、どうしても在宅勤務が行えない業務は存在します。

そういった業務を切り分けた上で、誰が出社して対応するのか、出社回数や日程はどうするのか、などの点をあらかじめ決めておく必要があります。

 

在宅勤務で使えるツールの取入れ

メリット・デメリットの部分でも触れましたが、在宅勤務で使えるツールの導入も必要です。

当然のことながら会社の経費で導入するのが原則ですから、そのコストも考慮する必要があります。

また、理想としては従業員全員が同じ環境でツールを使える環境が望ましいでしょう。

例を挙げるとAさんはとても高性能なパソコンを自分で持っているのに対して、Bさんは古いパソコンを使っている場合、ツール・アプリケーションの速度などに違いが出てしまい、それが業務に思わぬ支障をもたらしてしまう恐れもあります。

 

また、在宅勤務にとどまらず外出先やレンタルオフィス、サテライトオフィスでの勤務も視野に入れた「テレワーク」にも注目が集まっています。

自宅で仕事をしているときにはツールは問題なく使えるものの、外出先では通信回線などの都合で快適に使えないといった環境はできるだけ避けたいところで、こうした配慮もしたうえでのツールの導入が必要となります。

 

在宅勤務で使えるツールの代表格としては、Zoomに代表される会議システムがまず挙げられます。メールや通話だけではカバーしきれない部分もでてきますから、リアルタイムで顔を合わせながら会議やコミュニケーションがとれるツールは欠かせません。

また、勤怠管理などマネジメントに使うツールも導入しておくべきでしょう。従業員の自発的な就業意欲や自己管理を全面的に信用していたのでは、途中でさまざまな問題を抱えてしまいかねません。

在宅勤務がうまくできる人とそうでない人でペースに大きな差が出る可能性もあります。

そのため「Cyzen」や「テレワークウォッチ」などの勤怠管理ツール、「Remotty」や「Sococo Virtual Office」といった在席管理ツールなどの導入も検討しておきましょう。

 

さらに、在宅勤務・テレワークの大きな課題点でもある、取引先やカスタマーから担当者に電話が来た時の取り次ぎに便利なツールも活用しましょう。

転送電話では通話料金のコストが高くつきますし、携帯電話で折り返し電話をするのでは急ぎの要件に対応できないなどの問題も起こります。

この点を解消できるクラウドPBXやアプリケーションなども登場しているので導入を検討してみましょう。

 

在宅勤務を支える電話アプリ03plus

電話アプリの03plusは、在宅勤務における電話の問題点を解消することができるアプリケーションです。

最大のポイントはスマートフォンで会社の固定電話番号が使える点、つまりスマホの電話番号に加えてもうひとつ固定電話用の電話番号を持つことができる点です。

在宅勤務中でも会社の電話番号から発信できれば、相手にとってもどの企業からの電話かがわかりやすくなりますし、個人の携帯電話番号を知らせる必要がなくなります。

また、03plusでは会社の代表番号を複数のスマホで共有することができます。わざわざ会社にかかってきた電話を在宅勤務しているスタッフに伝える手間や面倒も大幅に削減できます。

スマホのアプリケーションなので導入も簡単で、急な勤務形態の変更にも対応できます。

このほか便利な機能としては、営業時間外に電話がかかってきた時にオリジナルのアナウンスで応答する機能などもあります。

在宅勤務になると仕事とプライベートの境界があいまいになってかえって負担が大きくなってしまう問題点が指摘されることもありますが、この機能を導入すれば時間外に外部からの連絡に対応しなければならない問題から解消されます。

 

まとめ

企業が在宅勤務を導入するためには、業務がスムーズに機能するための環境をしっかりと整えたうえで開始することが重要です。

導入にどれだけのコストがかかるのか、従業員にわかりやすく、また使いやすい環境を用意することができるかなど、検討すべき要素は多いですが、よい環境を整えることができれば、従業員の負担を減らしつつ効率と生産性をアップし業績向上も期待できます。

本記事の紹介内容も参考にしながら、自社にあった最適な在宅勤務環境づくりを進めていってくださいね。

 

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