新型コロナウイルスの蔓延により、職場クラスターや通勤途中の感染を防ぐために在宅勤務が導入されました。
通勤の必要がなくなったため、交通費の支給の見直しをしなければと思いつつも、後回しになっているなんてこともあるのではないでしょうか。
完全に在宅勤務ではなく、週に2、3日だけ出勤しているなど、部分的に在宅勤務を取り入れている場合はなおさら計算も複雑でしょう。
この記事では、在宅勤務の際の交通費計算についてご紹介していきます。
目次
在宅勤務の実施で交通費支給に見直しが必要?
在宅勤務によって通勤の必要がなくなったことにより出てくる問題が、交通費の支給を見直すか否かということです。
社員全員が完全に在宅勤務になった場合、全員交通費の支給はなしということができます。
しかし、部署によっては出勤をしていたり、週に数日は会社に出勤していたりすることがあります。
また社員自身が会社に行くか在宅勤務をするか自由に調整できるという会社もあるでしょう。
そのような場合には「月〇〇日以上出勤していれば定期代を支給、月〇〇日未満であれば通勤費を実費支給」とするのがよいでしょう。
社員自身が自由に出勤日を選べるなら問題ありませんが、上司からに命じられたり、クライアント都合で急遽出社するケースもあります。
定期を購入したのに思ったより出勤日が少ない、逆に定期を購入しなかったのに出勤日が思ったより多いということも考えられます。
従業員から申請があった場合、差分を会社が負担するという方法もありますが、給与担当者の負担は増えるでしょう。
会社としてどのような運用ルールが必要なのか、検討の上見直しが必要です。
在宅勤務時の通勤手当は非課税?
在宅勤務時の通勤手当は非課税なのか、そもそも気になる方も多いでしょう。
ここでは、通勤手当に関する税金に関して説明します。
非課税通勤手当とは
まずは「非課税通勤手当」についてご紹介します。
所得税法の「非課税通勤手当」では、下記のように定められています。
非課税になる通勤手当は通常の給与に加算して支払うものの中で、通勤のための時間、距離、運賃等の事情と照らして、最も安価かつ合理的な経路と方法で通勤した場合の通勤定期券の金額(月の上限15万円)であるとされています。
そのため、非課税となる交通費は会社に電車やバス、マイカーで出勤したことを前提とされているのです。
では在宅勤務で出勤日数が月0日の場合はどうなるのでしょうか。
在宅勤務中も非課税になる?
結論から言うと、在宅勤務中でも交通費は非課税で問題ありません。
理由は2つあります。
- 社員が全日在宅勤務で仕事を行うとは限らない
- 一時的な在宅勤務とはいえ、社員の勤務地は会社であること
つまり、社員の出社の可能性があるため、一定の合理性をもって支給を行っている交通費であると捉えられているのです。
後の税務調査においても、「社員の通勤日数が少なかったことを理由に交通費を給与課税の対象として指摘をすることは想定されていないと」税務通信3614号に記されています。
ただし、元々勤務地が自宅となっている会社は要注意です。
その場合の交通費は「非課税通勤手当」として不適当とみなされる可能性があります。
元々は会社勤務だったが、今後の情勢を鑑みて完全在宅勤務と切り替えた会社は交通費を実費支給にするなどの対応がおすすめです。
在宅勤務で通勤手当を実費支給に切り替える場合のポイント
在宅勤務で通勤手当を実費支給に切り替える場合にはどのようなポイントがあるのでしょうか。
労働条件の「不利益変更」に該当する?
交通費の支給について法的に決まっていることはありません。
各社が任意で定めたものに基づき、通勤にかかった費用を交通費として支給するという形がほとんどでしょう。
在宅勤務によって通勤が減ったから支給する交通費が減るというのは一概に不合理とは言えません。
そのため、労働条件の「不利益変更」には該当しないでしょう。
就業規則の変更は必要?
では就業規則の変更は必要なのでしょうか。
交通費を実費支給に変更する場合、就業規則の変更は必要です。
在宅勤務で今までの勤務形態と変わるとさまざまな変更点が出てきます。
交通費の支給方法と合わせて下記を就業規則に記し、手順を踏んでおくと万が一のトラブルも防げます。
- 就業規則に定めること
1、在宅勤務を命ずることに関する規定
2、在宅勤務時の勤務時間
3、通信費など、在宅勤務にかかる経費に関する規定
- 就業規則変更後にすべきこと
1、従業員の代表者の意見を聞き、それを添付した上で所轄の労働基準監督署に届け出を行う
2、従業員全員に就業規則の変更があったことを知らせる
また交通費に関しては「月〇日以上の出勤は定期代を支給、月〇日未満は翌月に給料と合わせて実費支給を行うものとする」など具体的に記載しておくとよいでしょう。
実施支給した交通費は社会保険の報酬額に含まれる?
会社が管理する場合に心配なのが、交通費は社会保険の報酬額に含まれるのかでしょう。
交通費にかかる社会保険の取り扱いとしては、制度上は支給方法や勘定の項目に関わらず、通勤にかかった費用は社会保険の報酬の対象になります。
元々交通費は通勤に必要な費用のため「労働の対償」として支払われており、労働基準法の賃金の一部とされています。
実費支給によるコストメリットを正確に測ろう
実費支給をする場合、社員がどれぐらいの頻度で在宅勤務をしているのか確認し、定期代の支給か実費のどちらが会社の負担が少ないか計算しましょう。
例として東京-横浜間、京都-大阪間を例にご紹介します。
- 東京-横浜間
東京-横浜間の6か月定期は67,980円かかります。
往復の運賃は946円かかり、月10日6か月通った場合には56,760円、月12日6か月通った場合は68,112円かかります。
月12日通勤すると実費のほうが定期代より132円高いことがわかります。
- 京都-大阪間
京都-大阪間の6か月定期は80,780円かかります。
往復の運賃は1,140円かかり、月10日6か月通った場合には68,400円、月12日6か月通った場合は82,080円かかります。
月12日勤務すると実費のほうが定期代より1,300円高いことがわかります。
上記で紹介した区間では、月12日以上通勤の必要がある場合は定期代を支給したほうが負担が少額で済むという結果になりました。
社員全員を一律実費支給にすると、逆に交通費の負担が増えるということにもなりかねません。
社員が月どれぐらい出社しているのかを把握し、定期代の支給と実費代の支給でどちらの負担が少なく済むのか計算をして検討するとよいでしょう。
別の手当を支給する動きも
在宅勤務中に交通費の見直しだけでなく、別の手当を支給する動きもあります。
例えば、仕事をするための電気代、お手洗いにいく回数も増えることから水道代が増えたということもあるでしょう。
そのような費用を負担するために、1日当たり250円の水道・光熱費を支給するという会社もあります。
その他、在宅勤務手当として一律月額5,000円ほど支給を行い、水道・光熱費の負担や、在宅勤務に必要な通信費、グッズの購入費用にあててもらうという会社もあります。
在宅勤務の環境を整える費用として、在宅勤務開始時に10万円を超える額を社員に支給する方法もあります。
パソコンの購入費やその他周辺機器を購入し、環境を整えることを目的にしています。
家で仕事を行うと思った以上に肩や首、腰などに負担がかかるというのはよく聞く話です。
家の家具は通常リラックスのために購入しており、長時間仕事をするのには向いていません。
1日中無理な姿勢で仕事を行っていることが、不調の原因につながります。
快適な仕事をするために必要な費用を会社が一部負担すると、社員も効率よく仕事をできるのではないでしょうか。
また、社員が家でこもりきって仕事をするとリフレッシュをする機会がないということから、お茶代として1日500円、日に4回まで手当として支給するユニークな手当もあります。
在宅勤務は1日中家で仕事を行うため、思った以上にストレスがかかるものです。
新しい時代の働き方に新しい時代の手当を検討することで、社員もストレスにならず、仕事に打ち込めるのではないでしょうか。
十分な準備ができず在宅勤務になった会社も多いでしょう。
何か環境を整えたくても、そのための打ち合わせもままならず、なし崩し的に社員負担によって続けている会社もあります。
現状を変えずにいると、いつの間にか社員の負担となり、不平・不満をためるきっかけになるのです。
社員に不平・不満をためさせないためにも、在宅勤務手当を一律支給することや、交通費の支給を見直すことを検討しましょう。
まとめ
在宅勤務によって通勤が必要なくなった分、会社は交通費やその他の規則を見直し、就業規則に記載する必要があります。
しかし、イレギュラーな対応でなかなか職場環境を整えることに時間を割けない会社もあるでしょう。
そこでおすすめなのがネット上で申し込みができるアプリの導入です。
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電話が多くかかってくる部署でも問題ありません。
また、郵送物が多く会社に届き、その確認のために会社に出社するというケースもあるでしょう。
「03plus」ではオプションでクラウドFAXの機能もあり、自身のスマホやタブレットでFAXの送受信が可能です。
受信可能枚数は1回につき50枚で、受信データは最大100件です。
送信も1回につき10枚まで可能です。
すぐにすべてのクライアントにクラウドFAXを導入するのは難しいかもしれませんが、優先度の高いものからクラウドFAXに移行していくことで、郵便物のために出社をするのが将来的になくなります。
このように「03plus」を活用すると交通費の負担を減らすことができるでしょう。
在宅勤務による経費の精算も、「03plus」を利用すれば通話料をアプリ上で確認できるため簡単です。
在宅勤務中にコミュニケーションに悩むことは多く、ビジネスチャットのやり取りのみでは冷たい印象を与えてしまうこともあります。
また、物事の伝え方に悩み文章を作成するためだけに膨大な時間を使ってしまうというケースもあるかもしれません。
電話であれば相手の声色もわかることができ、気軽にコミュニケーションをとることができます。
長引くコロナ禍で在宅勤務を取り入れたはいいものの、なかなかうまくいかない、改善したいという場合は「03plus」のような手軽に利用できるアプリを導入することは必要不可欠です。
交通費の清算や、在宅勤務時の経費で迷っている方は参考にしてみてください。