固定電話のメタル回線が廃止に!背景や影響を解説
目次
NTTは2025年9月、全国の固定電話で使われている「メタル回線(銅線)」を2035年度までに廃止する方針を正式に発表しました。メタル回線は長年にわたり日本中の電話網を支えてきましたが、老朽化や保守コストの増加により、今後は光回線やモバイル通信など新しい通信網へと移行します。
「メタル回線が廃止されたら、今の固定電話は使えなくなるの?」「手続きや工事は必要?」そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、メタル回線廃止の背景やスケジュール、利用者への影響、そして今後の固定電話の選択肢について分かりやすく解説します。
NTTが固定電話の「メタル回線」を廃止へ
NTT東日本・西日本は、長年使われてきた固定電話のメタル(銅)回線を段階的に廃止し、光回線やモバイル網を用いた代替サービスへ移行すると発表しました。
移行先は光回線電話やワイヤレス固定電話、ひかり電話など。加入電話(メタル)利用者の移行に伴う初期費用は無償とし、月額料金は現行水準を基本に案内されます。
なお、メタル回線維持のコスト増を踏まえ、2026年4月から加入電話の基本料は住宅用で月220円、事務用で月330円引き上げられます。
以下で、メタル回線廃止の背景や廃止時期について解説します。
廃止の背景
メタル回線廃止の背景には、契約数の減少や設備の老朽化、維持費などの問題があります。
固定電話契約はかつて6,000万件ほどありましたが、2023年までに約80%減少しました。それに加え、老朽化したメタル設備の保守・修理費用は年々増加し、採算性が大きく低下しています。NTTでは、このまま同等のサービス水準を保つことが難しいと判断し、より維持しやすい光・モバイル基盤へ更新し、固定電話サービスを継続する方針に転換したわけです。
また、コスト削減以外に、安全性や災害耐性の面や将来の機能拡張の面でも、「次世代通信への転換」という中長期的な構造改革も背景にあります。
廃止の時期
メタル回線の撤去は2026年度から順次開始され、2035年度までに全国的な廃止完了を目指しています。
まずは老朽化が著しい地域や、災害・電柱移設などで再敷設が難しいエリアから先行的に対応が始まり、地域ごとの終了スケジュールは今後NTT東西から順次公表される予定です。対象となる利用者には、書面などで個別に案内が届きます。
また、廃止に先立ち、2026年4月からはメタル回線利用者の基本料金を値上げ(住宅用+220円/事務用+330円)することも発表されています。
移行先としては、2025年10月から提供開始予定の「光回線電話」と、制度整備が整い次第全国展開される「ワイヤレス固定電話」が用意されています。いずれも現行の固定電話番号を引き継ぎ、既存の電話機を基本的にそのまま利用できます。
メタル回線の廃止後に固定電話はどうなる?
メタル回線の廃止後も、固定電話そのものが使えなくなるわけではありません。通話を支える通信基盤が「メタル(銅線)」から「光回線」や「モバイル通信網」に置き換わるだけで、利用者の使い勝手は基本的に変わりません。電話番号もこれまで通り引き継がれ、通話の品質や操作方法にも大きな違いはありません。
変わる点としては、通信の仕組みが新しい技術に移行するため、今後は「光回線電話」や「ワイヤレス固定電話」などのIP技術を使ったサービスで提供されます。これにより、老朽化した設備の維持リスクを減らし、災害時の復旧性や通信の安定性が高まります。
一方で、利用者が行う手続きや準備はほとんど不要です。NTTからの案内に沿って手続きを行えば、現在使用している電話番号と電話機を基本的にそのまま利用できます。ただし、ISDN対応機器やG4FAXなど一部の古い機器は利用できない場合があるため、対応状況を確認しておくと安心です。
つまり、メタル回線が廃止になっても、固定電話サービスは「廃止」されるわけではありません。メタル回線の廃止は、通信基盤が次世代に移行することによる「通信方式の世代交代」です。そのため、利用者の生活や業務に大きな影響はありません。NTTのサポートに従って順次移行を進めることで、これまでと同じように固定電話を利用し続けることができます。
メタル回線を使う固定電話の回線使用料は値上げ予定
NTT東日本とNTT西日本は、2026年4月からメタル(銅)回線を利用する固定電話の回線使用料(基本料)を値上げする方針を発表しました。値上げは約30年ぶりで、住宅用の「3級取扱所(付加サービスなし)」の場合は月額220円増の2,090円、事務用は月額330円増となります。
この値上げは、メタル回線の老朽化や人件費・資材費の上昇など、設備維持にかかるコスト増が背景にあります。NTT東西は、メタル回線を当面維持しながらも、今後予定されている光回線やモバイル回線への移行を円滑に進めるための措置としています。
一方で、代替となる「光回線電話」や「ワイヤレス固定電話」などの新サービスについては、現行と同程度の料金体系が維持される予定です。NTTは、これらへの移行にあたって原則として初期費用を無償化し、利用者の負担をできるだけ抑える方針を示しています。
つまり、メタル回線の基本料値上げは、今後のサービス移行を見据えた一時的な措置と位置づけられます。光回線やワイヤレス固定電話への切り替えが進むことで、将来的にはより安定した通信環境と持続可能な料金体系が実現していく見込みです。
メタル回線の廃止が利用者にもたらすメリット・デメリットとは?
メタル回線の廃止は、一見「不便になるのでは」と思われがちですが、実際には通信の品質や安全性を高めるための前向きな取り組みです。ここでは、利用者にとってのメリットとデメリットを整理して解説します。
メタル回線廃止によるメリット
メタル回線の廃止は、単なる設備の削減ではなく、通信環境をより快適で安定したものにするための前向きな取り組みです。ここでは、利用者にとっての主なメリットを紹介します。
通信の安定性と品質が向上する
メタル回線は老朽化が進み、ノイズや通信障害のリスクが増していました。光回線やモバイル網に移行することで、より高速・安定した通信が可能になります。音声品質もクリアになり、ビジネスや家庭での利用がより快適になります。
災害時の復旧が早くなる
光回線やモバイル通信は、メタル回線よりも復旧体制が整っており、災害時の影響を受けにくい特性があります。停電時にもバッテリー装置などを利用すれば、一定時間は通話が可能です。
将来的なサービス拡張がしやすい
IP技術を基盤とすることで、今後はAI音声応答やクラウドPBXなど、より高度な通信サービスを組み合わせやすくなります。固定電話だけでなく、スマートフォンやPCとの連携も進むため、利便性が向上します。
このように、メタル回線の廃止は通信品質の向上や災害対策、将来のサービス拡張といった面で多くの利点があります。今後はより安定した通信環境のもとで、利便性の高い次世代サービスが利用できるようになるでしょう。
メタル回線廃止によるデメリット・注意点
メタル回線の廃止は通信の近代化を進めるうえで必要な取り組みですが、利用者側にとっていくつか注意すべき点もあります。ここでは、移行時に想定されるデメリットや対策を整理します。
切り替え時に申し込みや工事が必要
メタル回線から光回線やワイヤレス固定電話へ移行する際は、NTTへの申し込みと回線工事が必要になります。初期費用は原則として無償ですが、派遣工事を希望する場合や設置環境によっては追加費用が発生する可能性もあります。切り替えはNTTから案内が届いた後に進めるのが基本で、案内前の契約変更は避けたほうが安全です。
古い機器は使えない場合がある
ISDN対応機器や一部のFAX(G4FAXなど)、ビジネスフォンの古い機種などは、光回線電話やワイヤレス固定電話に対応していない場合があります。機器によっては通話や通信が正常に行えなくなるため、移行前に利用中の電話機やFAXが対応しているかを確認しておくことが大切です。必要に応じて、対応機器への買い替えも検討しましょう。
詐欺や悪質な勧誘に注意が必要
回線切り替えのタイミングを狙った詐欺や悪質な営業活動にも注意が必要です。NTTを装って「今すぐ手続きが必要」「切り替えないと電話が使えなくなる」などと不安をあおり、不要な契約を迫るケースが報告されています。NTTは正式な案内を必ず書面で送付するため、不審な電話や訪問があった場合は契約せず、必ずNTT公式窓口に確認してください。
このように、メタル回線の廃止には一時的な手続きや注意点がありますが、通信の安定性やセキュリティの向上などの長期的なメリットを考えれば、前向きな変化といえます。早めに情報を確認し、NTTの正式な案内に沿って準備を進めることで、安心して新しい通信環境へ移行できるでしょう。
メタル回線の固定電話の代替手段
メタル回線の廃止後も、固定電話サービス自体がなくなるわけではありません。NTTや各通信事業者は、利用者がこれまで通り通話できるように、いくつかの代替手段を用意しています。ここでは主な選択肢を紹介します。
そのまま利用する(NTTの代替サービス)
メタル回線終了後も、NTTが提供する「光回線電話」または「ワイヤレス固定電話」に切り替えることで、現在と同じ電話番号・電話機を基本的に継続して利用できます。
光回線電話は光ファイバーを通話専用で利用するサービスで、通話品質が高く、既存の電話機をそのまま使えるのが特徴です。ワイヤレス固定電話は携帯通信網を利用して固定電話を実現するもので、光回線を引けない地域でも導入できます。どちらも初期費用は無償化される予定で、料金も現行とほぼ同額に据え置かれます。
IP電話サービスを利用する
インターネットを利用したIP電話サービスに切り替える方法もあります。従来の固定電話よりも料金が安く、距離に関係なく全国一律料金で通話できるのが特徴です。家庭用であれば050番号を使うIP電話、法人や事業主であれば03や06などの市外局番を取得できるクラウド型のIP電話サービスが人気です。
クラウドPBXを導入する
ビジネス用途であれば、クラウドPBXへの切り替えも有効です。クラウドPBXは、従来オフィス内に設置していた主装置をクラウド上で管理するもので、スマートフォンやパソコンから会社番号での発着信が可能になります。複数拠点間の内線通話、通話録音、IVR(自動音声応答)など、ビジネスを支える機能が充実している点も魅力です。
このように、メタル回線廃止後もさまざまな代替手段があり、利用目的に応じて最適な方法を選べます。家庭用ならNTTの代替サービス、事業用ならIP電話やクラウドPBXなど、利用環境に合わせて検討すると良いでしょう。
クラウドPBXに移行するメリットとは?
クラウドPBXは、クラウド上にPBXを設置してインターネット上に電話環境を構築するシステムです。物理的に電話回線や交換機を設置する必要がなく、インターネット経由で通話を管理できるため、コスト面・運用面で多くの利点があります。
クラウドPBXへ移行する主なメリットは次の通りです。
場所を選ばず代表番号で発着信できる
スマホやパソコンに専用アプリを入れるだけで、どこからでも会社の代表番号で通話できます。外出中でも代表番号で着信・発信ができるため、リモートワークや営業活動が多い企業にも最適です。電話設備のコストを削減できる
クラウドPBXは物理的なPBX機器を必要としないため、導入工事や保守費用を大幅に削減できます。回線数の増減もソフトウェア上で対応でき、事業規模の変化に合わせた柔軟な運用が可能です。
通話録音やIVRなどの機能を簡単に追加できる
通話録音・自動音声ガイダンス(IVR)・内線転送・留守番電話など、従来はオプション扱いだった機能を、ソフトウェア上で手軽に利用できます。例えば03plusでは、着信前ガイダンスや通話自動録音、クラウドFAXなどの機能を組み合わせて利用できます。
メンテナンスや更新作業が不要
クラウドPBXは、サービス提供側でサーバーやシステムを一元管理しており、利用者が機器のメンテナンスを行う必要がありません。ソフトウェアのアップデートやセキュリティ対応も自動で行われ、常に最新の環境で利用できます。
テレワークや複数拠点での利用に強い
インターネット環境があればどこでも使えるため、拠点間通話や在宅勤務の環境整備にも適しています。社員同士の内線通話や、スマホでの代表番号着信など、柔軟な働き方を支える仕組みとして活用できます。
おすすめのクラウドPBXサービス「03plus」
メタル回線廃止に伴う移行先としておすすめなのが、クラウドPBXサービス「03plus」です。03plusは、全国の主要46局の市外局番付きの固定電話番号を取得してスマホで使えるサービスです。番号ポータビリティにも対応していますので、従来のビジネスフォンからの移行もスムーズに行えます。
また、代表番号の共有や通話録音など、ビジネスで求められる機能を一通り備えており、固定電話の利便性をそのままに、より柔軟な働き方を支援する仕組みとして多くの企業に選ばれています。
そのほか、03plusでは以下のような機能を利用できます。
- クラウドFAX:FAXの送受信をクラウド上で管理できる機能。紙のFAX機が不要になり、外出先でもスマホやPCから確認可能。
- WEB電話帳:社内で共有できる電話帳をクラウド上で管理。スタッフ全員が常に最新の連絡先情報を参照でき、情報更新の手間を削減。
- 通話録音:通話内容を自動でクラウドに保存し、顧客対応の品質向上やトラブル防止に活用可能。録音データはWeb上から確認できます。
- IVR(自動音声ガイダンス):着信時に自動音声で案内を流し、担当部署や内容に応じて振り分けを行える機能。電話対応の効率化に役立ちます。
- 留守レポ:不在時の着信内容をテキストで通知する機能。通話メモを確認する手間を減らし、外出中でも迅速な対応が可能。
- 通話前ガイダンス:着信前に「この電話は録音されます」などの案内を自動で流す機能。顧客対応の透明性向上やトラブル防止に効果的です。
まとめ
今回は、NTTが発表した「固定電話のメタル回線廃止」について解説しました。
メタル回線は長年にわたり日本の通信を支えてきましたが、老朽化や保守コストの増加を背景に、2026年度から撤去が始まり、2035年度までに全国で廃止される予定です。
今後は、光回線やワイヤレス固定電話などの代替サービスを通じて、より安定した通信環境が提供されます。光回線電話であれば、これまでの番号や機器を基本的にそのまま使えるため、多くの利用者は大きな負担なく移行可能です。
一方で、切り替えには申し込みや工事が必要な場合があり、一部の古い機器が使えなくなる可能性があります。また、回線切り替えを装った詐欺や悪質な勧誘にも注意が必要です。NTTからの正式な案内を確認し、慎重に対応しましょう。
メタル回線の廃止は、通信環境をより便利で柔軟なものへと進化させる第一歩です。このタイミングで、従来のビジネスフォンから「クラウドPBX」への乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか。
クラウドPBXなら、スマートフォンをビジネスフォン化して会社番号での発着信が可能になり、場所を問わず電話業務を行えるため、テレワークや多拠点対応にも最適です。クラウドPBXサービスなら、ぜひ03plusをご検討ください。